今話はナンバリングが外れておりますが、誤記ではございません。現状の流れそのままな回となります。
実質的には分割20話目となります。
とじとものOVAの放映も迫っていますが、レースクイーン姿のミルヤや舞衣の姿につい現を抜かしそうになりますね。
その中でのShift版(PC版)のとじともが終わるとの知らせを受け、半ばショックではありますが。
(プラットホームそのものが無くなるのでは仕方がありませんが…。)
PC版は使い勝手が良かっただけに、残念でなりません。
…話を戻します。
今回、筆者としてもかなり胸糞悪い描写を綴っている箇所がございますので、読まれる際にはご注意ください。
それでは、どうぞ。
ー福井県某所 某アパートー
時は十年ほど前に遡る。真夜中にはまだ早い、夜八時頃のこと。
「…オラッ!!俺の言っていることを聞けっ!」
「痛いっ!」
「ヒック、だいたい、学校の成績も悪い、運動もできないような屑はウチの家には要らねえんだよ!ヒック、それになんでお前は、人の話を聞こうとしない!そんなだから、いつまで経っても何も成長できねえんだよ!」
「貴方!もう止めて!この子を許してあげて!」
「……ったく、仕方がねえ。コイツを庇うなら、母親のお前もしっかり躾ろ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
「…もういい。興醒めだ。お前は今晩、俺にもう顔を見せるな。そこに居るだけで腹が立つ。」
「……はい。」
どこにでもあるような、とあるアパートの一室。その部屋では、親子三人が暮らしていた。父親は荒れくれたように酒を飲み、片手間に自身の娘を叩いていた。その父親から身を挺して守るように、母親が止めに入る。
父親は娘がまだ幼かった頃に、進めていた事業が失敗。その借金を背負いながらも、消費者金融や地方銀行から資金や融資を得ながら、建設業などの事業投資を行っていた。ようやくその投資に見合ったようなリターンが得られそうになった矢先、世界的な金融危機による連鎖的な経済不況が襲いかかった。
投資先の建設業も、それよりも前にあった政権交代により国の大規模な建設事業が軒並み停滞ないし凍結。そこにこの不況が追い討ちを掛け、複数の投資先が倒産や廃業を余儀なくされた。
そのため、せっかくの投資は水泡に帰し、借金のみが再び手元に残された。父親は上手くいかない世の中を恨み、そしてその矛先を自分の家族に向け続けた。
不機嫌な父親から見えないように、少女は隣の部屋の隅にうずくまった。すると、先程庇った母親が、様子を見に部屋へと入って来た。娘を庇うあたり、母は親としての義務をまだ放棄したわけではないようだ。
「……大丈夫?痛くない?」
「…お母さん、どうして、ずっとあんな人と一緒にいるの?家に帰ってきても、暴言や叩いたり殴ったりばっかり…。私、こんな生活、嫌だよ。」
「…ごめんね。お母さんが弱いばっかりに、辛い思いをさせて。…ただね。お父さん、やり方はあんまりだけれど、貴女のことを心配していないわけじゃないことだけは、どうか覚えておいてね。…ごめんね。」
「……私、お母さんが苦しい思いをしないように、頑張って、楽をさせてあげるからね。」
「……ありがとうね。お母さん、娘からそう言ってもらえるだけ、果報者よ。」
自分の成績や運動が不甲斐ないばかりに、父親というあの男から、味方である母をずっと苛ませている。彼女は、小学生ながらも母親のことを考えて、その将来のために邁進しようとした。
大好きであった、母親のために。
幼い少女は、人よりも物覚えや体の動きの悪さという点を、日々の勉強と努力でカバーしようと、必死に頑張った。父親からの虐待に等しい扱いにずっと耐え続け、ようやく小学校での成績が上向き始めた頃だった。
「えっ、母が倒れた、ですか?」
その電話を貰った瞬間、彼女は目の前が真っ暗になったような感覚を覚えた。母親の勤務先からの連絡で、病院に救急搬送されたことを告げられた。
「お母さん!!」
母の勤め先からの電話で、すぐに私は運ばれた病院へと向かった。
突きつけられた現実は、残酷だった。
「……手を尽くしましたが、ご臨終です。」
脳梗塞だった。
日頃のストレスと過労がもとで、身体は悲鳴を上げ続けていた。最近になって、やつれ方が更に酷くなってきていた母へ病院に行くよう勧めても、
「大丈夫だから。お母さんは、大丈夫。最近、貴女頑張っているじゃないの。だから、お母さんはもっと頑張れるのよ。」
と言われて、診察をやんわりと断られてしまった。
あの時にもっと強く、母に病院へ行くよう強く説得していれば、そんな後悔が全身を駆け巡った。だが、目前にあるのは物言わぬ母の変わり果てた姿のみであった。
母の死後、保険会社から彼女が密かに生命保険を掛けていたことを知らされた。受取人は、娘である私だった。
それなのに。
「そうかそうか。あの女、俺のためにこのカネを遺して逝ったのか。これでもっと、楽ができるぞ!」
父親が勝手に受取人を変更したのだ。正確には、私がまだ未成年だったことで、法律上は保険金の管理が父親に一任されていたのだ。
父親は、母が必死に生きた証と言えるその保険金を、一銭も残すことなく新たな投資やギャンブルにつぎ込んだ。そしてまた、血縁以外は最悪の繋がりしかない父親から、心身が消耗し続ける生活へと戻っていった。
私は悔しかった。悲しかった。
母親は、あんな男でも身を滅ぼしてまでずっと尽くし、地獄の日々に耐え続けたのだ。それでも、あの男は、そんな母のことをただの金づるであるかのような発言を漏らした。それだけで、許せなかった。
母親が生前残していた手紙には、こうあった。
『お母さんがもし先に死ぬことがあったら、貴女の困らないように何とかするから。だから、生きることは諦めないで。』
私には、母がなぜ受取人名義を私にしたのかが理解できていた。恐らく、余命が短いことを悟っていた彼女は、娘の将来が困らないようにするためのお金を遺そうとしていたのだと。しかし、その母の優しい想いは、あの男の欲望の前には無力であった。
(…一つ、母から教訓を得ることがあるとすれば、結婚に選んだ男は慎重に選ぶこと、あるいは独身を貫け、ってことだったわね。…もっと早く、お母さんに言えていれば、違う未来になったのかしら。)
今となっては全て遅きに失したが、彼女は母親が並の人よりも優しく、我慢強い人であったことは間違いない、と今でも思っている。母は、男運を除いて女性として尊敬できる人物であった、と断言するほどに。
私は、この男を殺す機会をずっと伺い続けていた。心の奥に深く抱いた殺意を、胸に押し留めながら。
その日は、突然訪れた。
母親の死から一年ほど経った頃、今度は最低最悪の存在であった父親が急逝する。この原因は明らかで、日頃から飲み過ぎていた大量の酒類による、急性アルコール中毒であった。高い度数のウォッカやウイスキー、焼酎などを飲み過ぎた結果であった。居酒屋で急に倒れたらしく、救急車が到着した時には既に息絶えていたという。
生前の父親の粗暴ぶりに、児童相談所からは何度か家庭訪問もあったが、その死後には私が生きる上でお世話になった。
父親の死後、遺産相続の際には資産以上に多額の借金などの負債が遺されていたことを理由に、彼女はその相続をすべて拒否した。母と過ごした部屋にも別れを告げ、彼女の身が引き取られたのは、同じ福井県内にある母方の弟、叔父夫婦の家庭であった。これでようやく、生活に困ることはない環境が得られた。そう思っていた。
そう安心したのも束の間。今度はここで、女としての尊厳を破壊されることになる。
同居を開始して三ヶ月が経ち、新しい生活にも慣れてきた頃。
「どう?ここでの生活は?」
「はい。だいぶ良くしていただいてます。」
「そうかい。それは何よりだ。」
叔父夫婦には、子供が二人いた。二人とも男の子だ。私は、その兄と弟の間の歳であったため、弟にはだいぶ懐かれた。
一人っ子だった私には、それは新鮮な感覚であった。心の傷はまだ一割も治ってはいなかったが、それでもこの家族ならば、きっとこの傷も癒されるだろうな、そう思っていた。
その晩、私は叔父夫婦よりも先に眠りについていた。用意された部屋は、二階の奥の部屋であった。トイレからは遠く、叔父夫婦の寝室は一階、兄弟の部屋も二階ではあったが、兄の部屋が私の方に近い位置にあった。
「……んんっ。」
静寂に包まれた部屋。
今まで夜はずっと父親の暴言や罵声が続いた。この時間が一番心安まる時。寝るまではそうであった。
ドスン
(…なに?地震…?)
体の左側を下にして寝ぼけていた私は、それが単なる揺れであったと思い込んだ。
そうであれば、どれほど良かっただろう。
「…寝ているな。よし、体を縛るか。」
その声が聞こえ、私の両手は手慣れた手つきで縛られた。それは、結束バンドだった。
(…えっ、これって私、縛られているの?)
それに気付いた時には、両手の手首は既に自由を失っていた。
「あっ、やべ。起きそうだな。」
次に聞こえたのは、粘着テープの音。ビッビッ、という何気ないあの音が、この時には恐怖にしか感じられなかった。
声を発そうとした瞬間に、口は粘着テープによって閉ざされた。これでもう、言葉で助けは呼べなくなった。
(…そうだ!机に携帯があったはず。起きなきゃ。)
そう思って寝返りを打とうとした。だが、体は仰向けの向きまで回転した後、動かなくなった。
「……起きちゃってるのかあ。仕方ないか。なら、さっさとやるべきことをやってしまおうか。」
(…どうして、動かないの?…あれ、左足が動かせない。……嘘だよね?)
しかし、夜目でもはっきり分かるほどに、ストッキングと二つの結束バンドがクローゼットのノブに括り付けられ、それらによって左足を固定されていたことが確認できた。つまり、ここから逃げ出すことは不可能であった。
そして、カチャカチャと、ベルトを外すような音が聞こえてくる。
「…待ってた、ずっと待ってたんだよ、この時を。四十を越えて、段々風俗にも嫁にも満足できなかった時に、ちょうど君がやってきた。これはきっと、天からの思し召しだ。君は、僕のところに贈られてきた天使だよ!」
(な、何を言っているの?)
「さあ、僕に全部任せてごらん。君の純潔は、優しく僕がもらってあげるから。」
(純潔?何を言って……!?)
彼女は唖然とした。自身の下側のパジャマを脱がせ、醜い男の象徴をちらつかせている姿が、目に飛び込んできたからだ。
しかもそれは、これが夢であってくれたらと願いたくなるような人物が行っていた。
(お、叔父さん!?どうしてなの?ねえ、叔父さん!)
「…んんっ、んんっ!!」
まだ幼い彼女でも、これから起こり得ることが甚だ嫌な予感しかしないものであることは、すぐに解った。だが、激しい抵抗をするにしても、全て遅かったのだ。
「ん?……そんなにビクビクしなくて大丈夫だよ。さ、女の子から女性になる、一生でたった一度の瞬間を味わおうよ。それっ!」
(いや!お願いだから、止めてえぇぇぇーーっ!!)
彼女の叫びは、口に貼り付けられた粘着テープによって、誰にも届くことはなかった。
無情にも彼女の純潔は、信頼していた叔父により、無惨にも奪われた。裏切りにも近いそれは、彼女のなかで比較的最後まで残っていた、男にも良心が残っているだろうという認識を粉々に打ち砕くのには、あまりにも十分すぎる壮絶な体験だった。
日の出前まで続いた行為は、叔父が満足したことでようやく終わりの時を迎えた。彼女にとっては、父親の時とはまた違う感覚の、地獄のような数時間であったが。
「…ふぅ。さて、今の行為は赤外線カメラで撮ってたから、僕に何かしようと考えるなら無駄だよ。その時は、これを世界中にばらまくつもりだから。」
(……もう、いやぁ…。)
「ああ、それとまた来るから。……逃げるつもりなら、僕は君をここから追い出すことだってできるからね。どうすることが利口かくらい、考えるまでもないよね?」
粘着テープは、叔父が部屋を出る前に彼女から剥がし、白い体液の飛び散ったシーツや服、身体以外はほぼ元通りにされた。そして、他の家族にバレないよう、静かに戸を閉めた。
年頃の女の子の心を殺すには充分過ぎるほどの鬼畜な所業を、虚ろな目をした彼女の心身に刻み込み、放置して。
「……うっ、ううっ…、うえぇんふぇ~ん、えへぇ~ん!」
(叔父さん、どうして、どうしてこんなことを…。何で、私ばかりこんな酷い目に遭うの?)
叔父が部屋を去ってから、彼女は夜明けまでただただ泣くしかなかった。幼い彼女には、知識も、力も、何もかもが足らなかった。父親にぶたれ続けた、あの時のように。
だが、今は頼れる人間はもう居ない。信頼できるただ一人の味方であった母はもう、この世には居ないのだから。
その時だった。彼女の中で、憎悪の炎が燃え上がったのは。
(……ぅしてやる、復讐してやる、復讐してやる、復讐してやる!!)
男は全員、信用してはならない。身近な人間はより一層信用ならない。母のように、信じられる女性はいるかもしれない。だから、母のような女性が報われる社会にしたい。男を滅ぼすことで、この世の中の理不尽は全て無くすことができるはずだ。そのためなら、何だってしてやると。
長年溜めこまれた莫大なエネルギーは、ついにその実態を現そうとしていた。
彼女は、自身の処女を無理矢理に奪った、叔父をどうにか抹殺しようと考えた。先立った母には申し訳ないが、実弟と言えど容赦するつもりはなかった。
その実行のチャンスは意外と早くやってきた。あの出来事から一月後に、叔父が家族全員で東尋坊へ行こうと話を出したのだ。温泉旅館で寝泊まりする、一泊二日の小旅行であった。
勿論、叔父としてのその旅行目的は、彼女を完全な精神的支配下に置くことを目論んだものであった。ただ、叔父と彼女以外の家族は県内とはいえ旅行に喜んでいる様子ではあった。…それが悲劇に変わるとは知らずに。
そして、叔父一家の運命の日。
旅行の初日に三国町内の海岸へと立ち寄り、海遊びやバーベキューを楽しんだ一行は、この日の宿泊先である芦原温泉の旅館に向かう前に、日没の迫る東尋坊へと立ち寄った。
断崖絶壁の生み出した、自然の彫刻とでも言うべき絶景に、叔父一家は息を呑んだ。ただ一人、彼女だけは異なる感傷を持っていたようだが。
その帰り、東尋坊周辺の店舗が密集するあたりで、叔父が家族全員にあることを提案する。
「なあ、喉渇かないか?さっき、下を覗いた時に肝が冷えたのもあるのかもなあ。君はどうだい?」
「そうねぇ…、ちょっと渇いてきたかも。孝太は貫太の付き添いでトイレ行っちゃったからねぇ…。ごめんけど、お願いできる?」
「…うん、分かったよ。買ってくるね。」
叔母はお札を渡しつつ、彼女に人数分の飲み物を買ってくるよう頼んだ。叔父とともに席を確保しに向かったため、彼女がどの店に向かったかまでは人混みに紛れて分からなくなった。
叔父夫婦と別れた彼女は、かねてからの計画を実行に移すことを決めた。紙コップタイプの種類がバラバラなものを五つ購入し、ストローや蓋などがあるスペースに一度それらを置く。紙製の台座なので、纏めて持ち運べるのは便利のいい代物であると思った。
その後彼女は、自身のカバンから白い紙袋を取り出す。
「…まさか、自分の不眠症がこんなところで役立つとはね。喜びたくもないけれど。」
実父からの暴言や暴行に苛まれた彼女は、不眠症と若年ながらも鬱病を発症していた。このため、それに対する処方箋として、医療機関から睡眠薬や精神安定剤を受け取っていた。
粉末状の睡眠薬を、自身が飲むオレンジジュース以外の四つのカップに注ぎ込んでいく。
(少なくとも一時間以内には、抗えないくらいの眠気がやってくる。…あの男が確実に気を失うほどの量を入れておけば、大丈夫。)
兄弟である孝太と貫太はコーラかサイダーを好むと考えたほか、叔父は眠気覚ましとしてコーヒーを、叔母向けにはストレートティーを購入した。自身はその残りであるオレンジジュースだ。
「あとは、これを入れるだけ…。」
睡眠薬が四つの紙コップに注がれていく。通常、一晩につき一袋で十分な量の薬を、それぞれ二袋ずつ注いでいく。流し込み終えると、すぐにストローでかき混ぜる。水溶性の薬であるため、あっという間に粉は中身と混ざり合い、消えていった。
これでもう、後戻りはできない。
(…叔母さんや貫太には申し訳ないけれど、中途半端に死なすよりも皆で逝ってもらった方がいい。……あの男は私にやったことの報いとして、地獄に落ちろとは思うけれど。)
叔父以外への複雑な感情を湧かせつつ、彼女は叔父達が待っているであろう場所へと向かった。最後の晩餐ならぬ、最後の談笑に移る。
叔父達はそれぞれの店で食べ物を買っていて、既に食べ始めている様子だった。
「あっ、戻ってきたぁー!」
「遅いよ、どこ行ってたの?」
「ごめんごめん、孝太、貫太。」
「お帰り。ちょっと混んでたのね。」
「うん。みんなの飲み物が何がいいのかなって考えていたら、ちょっと時間掛かっちゃったみたい。」
心配してくれた叔母に、嘘を吐いた彼女。ズキンと重く心が痛んだが、それを悟らせるわけにはいかない。それなりの会話で誤魔化す。
「こんな他人想いの娘になったんだ。自分にも他人にも尽くせるような人間になるといいな。」
「…そう、だね。うん、叔父さん。」
内心ではどの口が言うか、とキレそうにはなったが、その感情からもあと数時間でおさらばできることを思えば、その言葉は大した苦にはならなかった。
「あー!兄ちゃんずるーい!僕のウインナー食べたー!」
「遅いからだろ。ほらほら、早くしないと唐揚げも無くなるぞ。」
「こらこら、孝太、意地悪しちゃだめよ。お兄ちゃんなんだから。」
「はーい。」
自分には、明らかに子どもに向けるそれとは異なる目線を注ぐ叔父以外の家族を、今から間接的に殺めることに対して、彼女はきつく思ってしまった。
(叔父以外の優しい空気にずっと触れていたい。……でも、私はその世界には一緒には居られない。…叔母さん、孝太、貫太。ごめんなさい。こんな自分勝手な人間で、ごめんなさい。)
きっと誰かに助けを求めていたならば、この結末は変えられたのかもしれない。だが、彼女の生きてきたなかで、この時までその選択が出てくることはなかった。幼かったから、圧倒的な弱者の立場であったからこそ、叔父が心身を支配しようとする空間から逃げることができなかった。
それでも彼女は、今から行うこととその将来の可能性を全て奪うことを、一生その罪と向き合い続けることを、この時点で固めていた。
少女によってもたらされる叔父一家に忍び寄る死の鎌は、もうその首元にまで迫っていた。その時は目前である。
ご拝読いただき、ありがとうございました。
今回は三人称と一人称を交えながらの構成となりました。これが一体、誰の話なのかは次回分かります。
勘のいい方はもうお気づきかもしれませんが、次回まで正体は伏せます。(ネタバレ回避のため)
とじとものメインストーリー、事態が混迷を極めてきておりますが、美炎の明日は一体どうなることやら…。
それでは、また。