しばらくは変則投稿が続きます。
番外編二人目は美炎編です。
といっても、今話は読み切り形式です。
短めですが、お付き合いください。
それでは、どうぞ。
美炎編 葉桜と釣り
ー岐阜県某所 長良川ー
美濃関学院に近い河川敷。
実家の神社から自転車で漕げる距離でもあり、川釣りをするには十分な立地条件であるこの場所で、休日の何も無い時には趣味の釣りに興じる。
普段の釣りの定位置に着くと、ライフジャケットを羽織り、川岸から釣り針に括り付けた川魚用の餌を投げ込む。
「こんなものかな?」
ある程度の距離まで釣り糸を飛ばし、設置したスタンドに釣り竿を置く。
「たまには何も考えず、こんな感じの日も有りかな。」
天気も快晴だったこの日、絶好の釣り日和でもあったが、出かける前に可奈美から一太刀打ち合いを頼まれた。
いつもの稽古の延長ではあったが、今日は珍しく立ち合いのお礼に、可奈美が神社の清掃を手伝ってくれるそうで、心置きなく釣りに没頭できそうだった。
「おーい。美炎。」
釣りを開始して五分後。度々事務の手助けをしてくれる、彼がやってきた。
「あっ、クーラーボックス!忘れてた~。」
「相変わらず、うっかり忘れが多いなぁ。この前も、美炎の宿題を手伝う羽目になったしな。」
「ううっ。そこは多目に見てよ~。私だって、好きで忘れているわけじゃないんだからさぁ…。」
「まあ、そうだな。」
単にやりたくないだけなんじゃ、と言いたくなる口を抑え、彼も釣りに加わる。
「そういえば、清光も今日は一緒なんだな。」
「うん。いつ荒魂が出てくるか、最近はよく分からなくなってきたからね。」
そう言って、彼女は自身の御刀である《加州清光》に触れる。
「まあ、可奈美も近くに居るんだし大丈夫だろ。」
「そうだね。クーラーボックスの上に、飲み物置くよ。」
「構わないぞ。…それっ!」
彼も自身の釣り竿を使い、擬似餌を投げ込む。
「あとは、引くまで待つか。」
スタンドに置き、美炎の隣に座る彼。
「色々あったけど、こうしてのんびり出来ているのが不思議だね…。」
「そうだな。可奈美も無事に帰ってきたし、管理局も再編されて動きやすくなったし。…俺の仕事は増える一方だし。」
「えっ、ここに居て大丈夫なの!?」
「本部長から、一泊二日の休暇貰ったから大丈夫だろ。…まあ、書類運びとかで半日ほど潰れたがな。」
「そっ、そうなんだ…。」
「まっ、美炎が隣に居りゃ悪いことも吹っ飛ぶさ。」
「まあ、お仕事は為せば成る!の精神でもいけるからね。…でも、折角の休みを私と一緒に過ごしても本当に良かったの?」
「どうせなら、休みの時くらい鎌倉から離れたかったしな。それに、釣りをしながら色々考えに更けれたり、愚痴をこぼすことだってできるだろ。」
「それは、そうなんだけどね…。」
魚はなかなか釣れないようなので、会話ばかりが過ぎてゆく。
ふと、釣り竿に変化があった。美炎の方の釣り竿である。
「ん?糸引いてる。」
「かかったのか?手伝うぞ。」
「ああ、大丈夫。そういう時は…。」
突如、彼女の腕に力が込められる。猛烈な勢いでリールが巻かれていく。
「美炎、まさか八幡力を使っているのか?」
「確実に引けるからね!…よし、近づいてきた!」
「結構デカいな。どれ。」
網を持ってくる彼。彼女は、そのまま釣った魚を網の中に叩き込む。
「よし!釣れたっ!」
「…?美炎、これ…。」
彼は、美炎が釣り上げた魚を見る。
「あれっ?…これ、ブラックバスじゃん!しかも二匹!」
「…ある意味凄いな…。」
そんなことを言っていると、彼の方の釣り竿も引かれていた。
「俺も引いてきたか。よし、デスクワーク上がりの良い運動になりそうだ!」
彼も美炎に負けじと、高速でリールを巻き上げる。
「うし!ここまで引けば大丈夫か。」
網を左手に構え、引っ掛けた獲物を網の中へ放り込む。
「おっ、鮎か。」
「良かったね。しかし、なんで私はブラックバス…。」
「まあまあ。特定危険外来種の指定を受けてる奴だし、駆除に貢献したで良しとしようや…。まして二匹も。」
「…そうだね。釣りを再開しようか。」
とりあえずクーラーボックスに三匹を突っ込み、釣りを再開する二人。
最終的に、美炎はブラックバス四匹と鮎三匹、彼は鮎五匹を釣り上げた。
ブラックバスはキチンと然るべきところへ渡し、鮎は美炎の実家で頂くことになった。
仲良く、自転車を押して帰る二人。
ふと、美炎が彼に声を掛ける。
「そういえば、私があちこち飛ばされていた頃、私達の負担を下げるように上申書出してたのって、本当なの?」
「ああ、それか…。まあ本当だな。ただ、概ね断られたがな。」
「そうなんだ…。…遅くなったけど、いつも手助けしてくれてありがとうね。」
「俺に出来るのはこれくらいだからな。本来はお礼をされるようなことでも無いしな。」
「そこは素直に受け取ってよ。…チイ姉、元気しているかな?」
「まあ、元気だろ。俺もたまに会うしな。」
「えっ、それズルくないですか!私もたまには会いたいな~。」
「夏までのお楽しみにしておけよ、そこは。」
「は~い。」
大人びた幼なじみを思い返す、美炎。
それからしばらくして、美炎の実家に到着する。
帰ってくると、可奈美が二人を出迎える。
「美炎ちゃ~ん!」
「可奈美!それに舞衣も!」
「お邪魔してます。美炎ちゃん。」
「ちょうど良かった。二人も時間があるんだったら、鮎を食べて行かない?」
「えっ、いいの!ありがとう、美炎ちゃん!」
「いいんですか?私も一緒で。」
「美炎が良いって言っているんだ。俺に拒否権は無いよ。」
「それじゃあ、遠慮なく。」
その後、四人と美炎の祖父とで塩焼きにした鮎を頂く。
季節感漂う、初夏の夜だった。
ご拝読頂きありがとうございました。
美炎(というか調査隊)の今後、どうなるか気になりますね…。
みにとじでの動く姿、楽しみです。
調査隊の面々は、間隔を空けて1話ずつ投稿を進める予定です。(…なお、山城さんはウチに来ませんでした…。)
コンセプトワークス、届いたのにまだ読めていない(-ω-;)
じっくり読みたいんですけれどね…。
感想等ございましたら、感想欄・活動報告で対応させて頂きます。
それでは、また。