UA1400越え、全話PV3300越えを達成致しました。…凄いです…。
(もう一つの投稿作の方が追い抜かされそうだ…。)
今回は沙耶香がメイン回です。
先に投稿した三人と比べ、少々難産な部分がありました…。
刀使の本務、荒魂討伐がメインです。(討伐するとは言ってない)
時系列的には、薫の下に派遣された後から沙耶香の誕生日の間あたりです。
それでは、どうぞ。
① 任務と
―東武鉄道 特急スペーシア車内―
刀剣類管理局本部に戻った彼は、真庭本部長より日光市民から提供された、荒魂出現情報に応じて、刀使を派遣することになったのだが、その際に彼女たちに同行することを“お願い”された。
というのも、現地でのサポート要員の不足を受け、ピンチヒッターとして急遽派遣されることになったのだ。
そして今、彼の身体は日光に向かう特急電車の席にあった。
「全く、本部長も人遣いが荒いんだから…。」
「? 刀使の使命は、荒魂を斬って祓うことじゃないの?」
俺のちょっとしたボヤキに、隣の座席に座っていた、鎌府女学院の
「確かに、荒魂は斬って祓う必要がある。だが、荒魂にも人と同じように感情や、思考を持つものだっている。鎌倉で戦ったタギツヒメが分かりやすい例だ。」
「うん。」
「舞草の中には、荒魂の動きを解明して、これらを理解しようとする人たちだっている。薫とねねは、その道を導き出す大きなヒントになる関係だな。」
「でも、ねねに穢れはない。」
「ああ。本来荒魂にあるとされる穢れは、ねねに限っては無い。」
ただし、ねねは、女の子の胸部の将来性の判定が出来る、ということは余り触れない方がいいだろう。…世の中,知り過ぎない方がいいことだってある。
俺は、話を続ける。
「穢れは、人為的に減らしていくことだって出来るかもしれないし、そうではないのかもしれないから、そこは研究の本職の人たちに委ねる。…俺は、あくまで個人的な考えだが、出来る事なら君たち刀使の出番が減ることを望んでいる。…いくら八幡力や迅移などが出来ると言えど、女の子が傷ついていく姿を見るのは、正直嫌なことなんだよな…。それなのに、君たちに何も出来ない自分に、腹立たしさを覚えることだってある。」
沙耶香は、その彼の言葉を聞いて、首をフルフルと横に振る。
そして、口を開く。
「貴方は、出来る限りのことをしてくれている。私だけじゃない。可奈美や舞衣、みんなのために日々動き回っていることだって。…それに、可奈美や薫からも教わった。自分の意思や荒魂に対する考えを持って、動くことが大事だって。」
「…そうかい。それは、良い傾向だな。」
失踪中の鎌府女学院・高津雪那学長の指示に従っていた頃とは、とても同じ娘であるとは思えないほどの成長をしていた。
彼は、舞衣や可奈美たちがこの変化をもたらしたことに、感謝と凄さを感じた。
「あと、貴方のおかげで優しい人たちに多く知り合うことが出来た。」
少し頬を赤らめる沙耶香。しかしながら、それに彼は気がつかなかった。
「そう…なのか?」
自信のない返事が車内に響く。
それから少しして、危うく忘れるところだった頼まれ事を思い出した。
15.6インチノートパソコンが入るビジネスバッグから、丁寧な包装がされた小袋を取り出す。
「はい。これは、舞衣からの預かり物。」
「!舞衣のクッキーだ。…おいしい。」
少し前に渡された、柳瀬舞衣お手製のクッキーを彼女へ渡す。
最近では、沙耶香は彼女のクッキーを、よく噛んで味わうようになってきた。
―栃木県日光市 中禅寺湖―
スペーシアの終点である東武日光駅から、
目撃証言があった湖畔を中心に探したが、荒魂は見つからなかった。
駐車場やお土産店を中心に聞き込みを行うも、手掛かりになりそうなものは少なかった。
沙耶香は自身の身体能力を駆使し、中禅寺湖周辺10㎞の範囲を探索するが、残念ながらこちらも空振りに終わった。
―日光市内 某旅館―
派遣部隊は集団で行動することが主なので、こうしたところでも集団でいることだってままあることだった。
特に部屋は、大体大人数部屋であることが多い。まあ、予算の兼ね合いもあるのだが。
流石に男が一緒の部屋というのは、倫理的に見てもいかがなものか、となるため、一人もしくは二人部屋である。
「ふぁぁ…。いいお湯だったな…。」
旅館の浴場からあがった俺は、思わず欠伸をする。
「今日はどうせ一人だし、自販機から何か買ってくるかな…。」
ふと、自販機などが置かれているフロアから、建物の外を見る。
「ん?あれは…沙耶香か?」
旅館の外で、御刀である《妙法村正》を振るう沙耶香の姿を見かける。
「おーい!沙耶香!」
「!…びっくりした…。」
突然の大声に驚く沙耶香。
「すまない。姿が見えたもんでな。…鍛錬か?」
「うん。…可奈美に追いつこうと思ったら、こういう時にもやらなければならないと思って。」
確かに、衛藤可奈美の剣術の凄さは、誰もが周知の事実として把握している。
だが、無念無想に代表されるように、沙耶香の剣も決して彼女に劣るようなものではない。
(感情を表に出すことに、まだ慣れてないんだろうな…。)
そう考えた彼は、口を紡ぐ。
「沙耶香。確かに、可奈美の剣術は凄く、強い。」
一瞬顔を曇らせる沙耶香。彼は続ける。
「だがな、沙耶香の持続的な高速さを、彼女は持っていない。…人には、与えられたもの或いは学んだことを、最大限活用する頭を持っているんだ。可奈美があらゆる剣術を試しているように、君もまた迅移や無念無想の力を上げることだって出来ると思う。自分が、今後刀使として、友達としてどうしていきたいのか、ということを考えてみるといいかもしれないな。」
「私には、まだ分からない…。」
アドバイス後一発目の沙耶香の言葉に、彼は、中学1年生の女の子に対して俺は何を言っているんだ、とも冷静に感じた。
しかしながら、彼女は続ける。
「だから、分かるようになりたい。荒魂のことも、みんなのことも。剣術のことも。」
その眼の中には、熱が込められていた。
あの学長の下では、絶対に湧きあがらなかったであろう熱が。
「…そうか。頑張って見つけていこう。俺も探すから。」
うん、と首を縦に振る沙耶香。
素振りを終えた沙耶香は、途中で眠気が来たのか通路に置かれたソファーの上で、座ったまま瞼を下ろしてしまった。
困ったことに、俺は動けない。なぜかって?
肩に寄りかかっている彼女を、無理矢理剥がせと⁉
こんなに愛くるs…もとい安心した姿で眠っている彼女を起こすなんて、俺には出来ない!
沙耶香が起きるよりも先に、彼も浅い眠りについてしまった。
後に、他の刀使たちが二人を探しに来た際、互いに寄り添うように眠っている姿を見た彼女たちは、皆こう思った。
『まるで、ともに生活する兄妹のようだ。』と。
それほどに、穏やかで安心しきった顔をしていたそうな。
その後、彼が起きた際にひと悶着あったのは、また別の話である。
日光の空は更けていく。平穏無事な、刀使たちの人生の一コマであった。
ご拝読頂きありがとうございました。
アニメ版刀使ノ巫女に登場するメンバーで、沙耶香は彼女自身の成長過程も軸になっていた部分がありました。(特に荒魂に対する考え)
最終決戦前、沙耶香が歩に向けて、可奈美が以前沙耶香に対して放った言葉を、「今度は自分の番」と言って剣に思いを載せ、一閃したシーンも未だに印象深い場面です。
今後の予定(投稿方針)としては、
①まずメイン6人の話が先行(まず各3話ずつ)
②そのあと親衛隊+紫様(話数未定)
③とじとも・とじみこメンバーのうち、アニメにワンカットでも入っているメンバーのSS
(これは誰にするとかまだ決めてない)
④以降各メンバーの投稿
を計画しています。
不定期ですが、無茶しない程度に頑張っていきます。
それでは、また。
余談:コンセプトワークス予約しました!届くのが楽しみ(^^)