今回はエレン編その6 前編になります。
時系列は進みまして沙耶香の誕生日前、十月下旬頃の話になります。
それでは、どうぞ。
ー群馬県渋川市 伊香保温泉街ー
鎌倉特別危険廃棄物漏出問題以降の荒魂の出現頻度の激化が、刀使をはじめとした特別祭祀機動隊や刀剣類管理局へやたら負担を増やしている頃。
彼とエレンは、このあたりで発生したとされる荒魂の情報の収集のため、他の刀使達に先んじて現地入りしていた。
伊香保温泉の石階段を上る二人。周囲の店や旅館の縦看板が、この温泉街独特の空間を生み出す。
「しかしまあ、真庭本部長の考えはよく分からんな。別に俺を派遣する必然性もなかっただろうに。」
「そうごねないでクダサーイ。紗南センセイにも何か考えがあるから、ワタシとダーリンを送り込んだのデショウし。」
「薫と一緒じゃないのは、エレンにとって良かったのか?俺からすれば、薫も一緒の方が荒魂に対処しやすいと思ったんだが。」
「ダーリン、ワタシの実力を甘くみてマセンか?これでも、長船の代表に選ばれる実力は持ってマスよ。今日は《康継》の調子も良さそうデスし。」
「今回《越前康継》の出番はないことを願いたいが、…まあ、絶対にいるだろうな。荒魂は。」
今のようにこうしてエレンと組む回数は、実のところ指を折って数えた方が速い。
意外かもしれないが、舞草の活動が活発になる前でも、本部等の諜報と実働とそれぞれ別の立ち位置に居た二人が会っていたこと自体が、珍しいことでもあった。最も、彼の本来の立場的には刀使達に関わることがあるため、二つの繋がりがある彼女が色々と彼のことを知っていたのは、そうおかしな話でもなかった。
「温泉街の人が情報提供を積極的にしてくださるのは、こちらとしてもありがたいことだったな。…とはいえ、今は情報化社会。ネガティブな要素がすぐに拡散する時代だし、ダメージもデカくなるんだろう。」
「まさに、温泉街の人たちにとっては死活問題、デスね。」
「なるべく早く見つけ出したいところだが…。目撃情報だけじゃなあ。益子流の考えを採るなら、人に害を為していない荒魂を祓うのは気が引けるんだが…。」
「それは同感デス。…できるなら、ワタシたちだけで探し出した方がいいのデショウが。」
「とはいえ、スペクトラムファインダーだけで探すとか、かなり酷なんだが。」
「確か、増派されてくる刀使達がやってくるのは、明後日だったハズ…。急ぎますカ?」
「いや、焦って何かあっても仕方がない。今日は聞き込みを進めて、地図と目撃情報の場所を突き合わせようと思う。」
「了解デス!」
と、今日の一通りの方針を固めた二人。
グーッ
どこからともなく、空腹からの音が彼の耳に届く。
「ん?今のは…。」
ふと後ろを振り返ると、顔を真っ赤にするエレンの姿を捉える。
先程のことと、彼女が浮かべていた表情という事実を、頭の中で繋げる彼。
「あっ、なるほど。…エレン。先に何か食べるとするか。」
「ハッ、ハイ…。」
朝はそこまで大量に食べていたわけではなかったため、昼前のこの時間帯に胃の中が空になるのは自然なことであろう。
「別に恥ずかしがることはないだろ?生理現象なんだし。」
「そうなのデスが…。―ダーリンに聞かれたのがちょっと…。み、見ないでクダサイ!」
「おっ、おう。分かった。」
見るなと言われた以上、見続けるのは失礼であるため、すぐに前に向き直る彼。
「伊香保といえば…、あれがあるか。エレン、一度車に戻るぞ。ついて来てくれ。」
「…?ドコか、宛てがあるのデスか?」
「乗れば分かる。まだ振り返ってほしくないだろうし、後ろは向かない。」
スタスタと先に進む彼。
「…全く、勝手なんだか、気遣いのつもりなのか、相変わらず分からない人デスね。…そういうところがイイのデスけれど。」
少し距離を置いたところから、そう呟いた彼女。離れつつある彼を追う。
移動車中、エレンが彼に行先を尋ねる。
「そうそう、ダーリン。今から行くのは何のお店なのデスか?」
「伊香保まで来たなら、水沢うどんを食べていかないとな。」
「ヒメノン*1の苗字も、確か水沢でしたヨネ?Parent's homeもこのあたりなのデスか?」
「いや~、確か違ったと思うぞ。もしかしたら、親戚にはいるかもしれないが。…ふと思ったんだが、エレンの実家って言われると、どこになるのかは気になるところだな。」
「ウーン…。確かにワタシのルーツはAmericaと日本ですが、その視点からだとどうなのデショウかね。イヤ~。ダーリンも知っての通り、ウチの家族は研究一筋ですし、familyが揃った場所が実家ってことになりますカネ。」
「…すまない、軽薄な考えだった。エレンも寂しい時があるはずだろうに。…ゴメン。」
うっかりしていたが、珠鋼やノロ関連の研究を行ってきたエレンの両親や、祖父のフリードマン博士が多忙であるため、エレン自身、家族で一緒に居られる時間は限られていた。
「それを言うなら、ダーリンも一緒デスよ。…ずっと実家に帰らず、ワタシ達のことに付きっきりデスよね?」
「俺は平気だよ。元々、両親は家を空けることが多かったし。…実家に一人残してきた妹の方は、正直気懸かりだけどな。」
「Sister?マイマイのsister'sに会ったことはありますが、ダーリンの方はどんな感じなのかは気になりますネー。」
「…一段落着いたら、会ってみるか?」
「!―ホントデスか!?」
「まあ、アイツならだいたいの人と上手くやっていけるだろうから、ガツガツくるエレンでも大丈夫だろうよ。…問題は会った時のリアクションだけなんだが…。」
(…エレン連れて行ったら、麻美*2色々質問攻めにされそうだな。)
二人を引き合わせた時にどんな感じになるのか、想像がつかない彼。
「こうした話をするたびに思うのデスが、家族とすぐに会えないという点は、ワタシ達似た者同士ナノかもしれませんネ。」
「…確かにな。…っと、辛気臭い話は置いておいて、そろそろ見えてきたぞ。」
「水沢うどん、一体どんなtasteなのでショウカ。」
「俺も詳しくはないしな…。」
水沢うどんの名店の駐車場へと、車を進める彼。隣でウキウキしているエレンの姿に少し頬を緩ませつつ、駐車場の枠内に車両を停めていく。
二人は店内に入ると、早速うどんと天ぷらを注文する。
「しかし珍しいデスね。ワタシはてっきり、どんぶりに入れられてくるものだと思っていましたガ。」
「水沢うどんは冷麵タイプらしいから、今の季節だと体を冷やしやすいってのは、ちょっと困りどころではあるな。…だからこそのお茶なんだが。」
「ア~。だから、真っ先に温かいお茶を店員さんに頼んだのデスネ。」
「エレンも頼んだ方が良かったんじゃないのか?」
「それも悪くないと思いマスが、折角なら本来の味を嗜むのも、悪くないデショ?」
「そうだな。…っと。来たみたいだ。」
店の奥から、注文した水沢うどんと野菜の天ぷらを載せた二つのトレーが、店員の手により運ばれてくる。
「お待たせいたしました。水沢うどんと、天ぷらになります。」
「アリガトウゴザイマ~ス!」
「これは美味しそうだな。」
「それでは、ごゆっくり堪能ください。」
店員が去ると、二人の箸はざる上のうどん麺へ吸い込まれていった。
「ンー!!Very delicious!!このモチモチとした食感が、たまらないデ~ス!」
「うん、美味しいな。つけ麺感覚で食べれるから、一口あたりの量を調整できる。」
チュルチュルと麺を口に啜っていく二人。
視線を下に落しがちになっていた彼は、エレンからの言葉に不意を突かれる。
「ダーリン、ちょっとこっちを見てクダサイ。」
「ん?――んんっ!?」
ポカンとして口を開けていたのだが、彼女の言葉を聞いた直後に、そこへ突っ込まれたかき揚げ天ぷらが意識を上方へと向ける。
その視線上には、意地悪な笑顔を見せる彼女があった。
「ビックリしましたカ?ダーリンの天ぷらとちょっと味が違うデショ?」
サクサクと音が立つも、息ができるくらいの隙間はあったようで、食べる時の息苦しさなどはなかった。
「…確かに。って、これ食べかけなんじゃ。」
「もう半分は食べ終わった後デスよ。なので、ダーリンの方のも半分もらいマスね。」
「え、ふぁ?」
呆気にとられているうちに、彼のトレー上にあった天ぷらの一部が彼女の口に運ばれていった。勿論、まだ食べていない部分ではあったが。
「ウーン、これもなかなかいけますネー。」
「…なんか、してやられた感が…。」
「何言っているんデスか。ワタシはこれでも、ダーリンと一緒に食事できてhappyデスよ。」
彼は気がつかなかったが、そう言った彼女の顔はすぐに曇った。
(あんまり強く押しすぎると引かれてしまいマスし、このあたりで止めておきまショウか。…こうした時の距離感は難しいデスネ。)
エレンにとって、この人なら付き合っても大丈夫だと、確信を持って言えるくらいには彼への信頼は高い。だが、彼は刀使やその周りの人間との、特に恋愛対象という点での距離をおく傾向が強い。
(…そういえば、ダーリンの過去に何があったのか、ワタシは大まかな話しか知らないんデスよね…。もしかして、距離を置こうとする理由はそこにあるのデショウか?)
彼女が知らない彼の過去。彼が距離を置きたがる鍵はここにあるのでは、彼女はそう考えた。
水沢うどんを食べ終え、温泉街での聞き込みをひと通り終えた二人。
「結局、これといった確実な情報は出てこなかったか…。」
「山の方からたまに声がする、というのは聞き込みで一致しているのデスけどネ…。」
チラッと腕時計を見る彼。時刻は午後四時頃だった。
「ホテルに戻るにはまだ早いしな。ちょっと捜索してみるか?」
「ワタシは賛成デス。前もってどういう土地なのかを知るための、field workは大事ですし。」
「決まりだな。…18時半までにホテルへ戻るか。よし、車に乗り込んでくれ。」
「Hi!」
こうして、二人は群馬の山中に向かうことした。…だが、上空の天候は徐々に黒雲が広がり始めていた。
温泉街から離れた、ちょっとした山道の待避所に車を停める。エレンは御刀とスペクトラムファインダーを、彼の方は89式小銃とスモークグレネード、その他必要そうな装備や飲み物をミリタリーバッグに突っ込み、移動を始める。
「朝に比べると、だいぶ曇ってきたな。ホテルに戻るまでに、天候が保ってくれればいいんだが。」
「今の季節は、天候が変わりやすいデスからネ。困ったコトに、こうした時にはレインコートを着られないんデスよね。材質的に滑りマスから。」
「かという俺も、ヘルメットや装備とかですぐに汗まみれになりそうでなぁ…。取り敢えず、俺が先行するから、エレンは後ろについて来てくれ。」
「了解デス。…でも、荒魂と遭遇した時に危なくないデスか?だったら、ワタシが前の方がイイのでは?」
「大丈夫だろ。今のところ反応はない。万が一遭遇して向こうにバレた時は、エレンだけでも必ず逃がすから。」
「…ハイ。」
普段の彼女なら、この彼の案に反対したのだろうが、少し前の話*3を思い出していたエレンはこれに承服する選択をとった。
(一緒に逃げよう、とは言ってくれないのデスね。…大事にしてくれているのは分かるのですが、アナタばかりに背負わせるのは、何か違うと思います。分かってくれないかもしれませんが。)
普通は逆だろうと言いたいところだが、刀使だけでの対処はそう簡単なものではない。まして、山のように傾斜地、木々の生い茂る中では刀使の連携はより取りにくくなる。それならば、銃火器で引きつけつつ、エレンの撤退の時間稼ぎに徹するという彼の判断は、そこまでおかしなものでもなかったりする。…最も、当事者の心理的な部分を無視すればという文言が加わるが。
確率として低いものではあるのだが、理系分野での頭回りの速さをもつ彼女は、一抹の不安を拭えなかったりする。
(…聞いてみまショウか。ダーリンの過去の話を。)
なぜ、彼が自分の身よりも刀使を優先するのか、その一端を聞いてみたかったのである。
「ダーリン、聞きたいことがアリマ~ス。」
「ん?何だ?」
「…数年前にあった、『秩父会戦』の時の話*4デス。」
「…折神家や特祭隊の方に提出した、あのレポートの通りだ。それ以外のことは何もない。」
「そうじゃアリマセン。…あの時の戦闘でのレポート内で『一時重態 一名』となっていたのは、ダーリン、貴方のことですよね。」
途中から普段の片言日本語ではなく、流暢な、そして真剣な喋りに変わる彼女。
「そうだ。別に隠しているつもりは、全く無かったんだがな。」
「それだけじゃありません。あの後、この戦闘の功績から昇進の話があったはずです。…でもグランパから聞いた話だと、貴方はそれを蹴ったそうじゃないですか。」
「…単に俺は、その立場に不相応だと思ったからだよ。現に、その時の空いた役職には他の人間が入っているだろ?」
「確かにそうデス。…でも、これだけじゃないですよ。普通なら自分の功績くらい話してもおかしくはない筈ですが、一切その手の話を聞いたことがないのデス。舞草の集まりの時でも、一度も話題に出したことはなかったと記憶していますが。」
「まあ、誰かに誇って言うようなことでもなかったしな。あれは。」
「…ワタシは、ダーリン、貴方の口からあの時の出来事を聞きたいのです。…きっと、今のアナタを作りあげるキッカケになっていることは間違いないと思ってマスから。」
これを聞いて得をするのは勿論エレンである。だが、何の代償もなく聞くつもりはなかった彼女。
「…無論デスが、何の見返りも無く聞くつもりはアリマセン。ワタシができる範囲の、どんなお願いでも一つ言ってください。何でも構いませんから。」
(…これをダシに使うつもりはありません。でも、これを聞かないことには前には進まないはず。その先は、ワタシが考えるべきところデス。)
取るリスクと得られるリターンを考えたうえでの、このタイミングでの問い掛けだった。
(なぜ、このタイミングであの時の話を…。)
彼としては困惑するところが大きかった。ただ、舞草で諜報をやっていた時でも薫やエレン、智恵にこの話をしたことは無かった。
周囲が山林であるため、エレン以外には誰も聞く人間が居なかったこともあり、熟考した上で口を開いた。
「………はあ~。後ろを振り返らずに話すから、聞き漏らさないようにな。ちょっと長くなるぞ。」
「ホントですか!?」
「ただ、エレンのお願いは後に取っておくから、そのつもりで。」
「ウッ、流石に抜かりないデスね。」
「それと探索しながらだから、荒魂が出てきた時にはこの話を切らさせてもらうぞ。」
「それは分かってマ~ス。」
「さて、俺が戦闘指揮をする前の話から入るか。」
その後、彼は荒魂出現前の臨時指揮所の様子や、その時に初めて出会って一緒に巡回に行き、今では掛け替えのない親友になった刀使のこと、圧倒的に少ない刀使と経験不足の特祭隊員達での荒魂討伐、その際に荒魂の攻撃を受けて一月ほど昏睡状態に陥っていたこと、などなどを話していく。
「…まるで、急にpresidentになった人みたいな目まぐるしさがありますネ。」
「実際はこれに人命も絡んできたから、プレッシャーが滅茶苦茶あった記憶は物凄くある。…彩矢*5から、幸い俺が指揮していた人間では死人は出なかったって聞いた時には、安心してデカく息を吐いたけど。…それでも、俺は何も出来なかった。先輩を、指揮所にいた刀使達を助けられなかった。」
「ダーリン…。」
「おっと、話が逸れた。それで、病室で彩矢から渡された俺の携帯の着信に、先輩が俺へ遺言を残していたんだよ。」
「遺言、デスか?」
「端的には、『刀使や特祭隊員のことを生きて帰せるように頼む』とな。…今となっちゃ、それが果たして出来ているのかまでは分からんが。」
「他には、どんなことが書かれていたのデスか?」
「後は『早死にはするな、彼女を作って幸せになれ』、という点くらいか。…でも、俺は先輩の生前最後の言葉を聞いて、俺が幸せになるのは違うとも思っている。独り身で最後を迎えた先輩よりも、後輩が幸せになるのはおかしいともな。なら、荒魂で死ぬことになろうと、刀使達の生存策を常に考える方があの人も浮かばれるんじゃないだろうか、という考えに至ったわけだ。」
エレンの方には向かなかったが、誇ることも嘲ることもなく、淡々と話していった彼。
それを聞いた彼女は、彼が良くも悪くも他人本位で自分のことは考えない、自分はどうなってでも構わず刀使を帰す、などという根幹の問題点は、恐らくここに凝縮されているのだろうと感じた。
「デモ、単純な疑問として、なんで『ダーリンが幸せになる』ことがいけないのデスか?あの時の状況なら誰も悪くなかったのは、刀使でなくとも分かるはずデス。」
「……これは、俺が課した責任だよ。あの戦いでは、先輩達後方支援の者だけじゃなく、刀使達も犠牲になった。怪我がある程度回復した際に、諸報告と謝罪を兼ねて、ある刀使だった娘の実家へと向かったんだよ。…その時の遺族のお母さんは誰にでも解るくらい、無理矢理笑顔をつくって対応してくれたさ。…その後ろでギュッとその母親の服を掴んだ、幼子の恐怖に怯えた姿が俺は忘れられなかったよ。」
もう数年も前のことだが、身近の人間を失った悲しさや喪失感は、何物にも代えがたい深い傷であることには変わりない。
「…死ぬことがあり得る職であれ、あんな風に悲しみに暮れる家族は、もう出したくないんだよ。死亡率ゼロは不可能かもしれないが、極限まで下げたい。」
「そのためなら、自分の身がどうなってもイイ、そう考えているのですか。」
「一度死にかけた身だ。今は生きながら死んでいるようなものだしな。…確かに無茶ばかりやっているという指摘をされても、仕方ないのかもな。」
「…ダーリン、貴方って人は…。」
(不器用、ですよ。…なんで、貴方一人だけで何でもかんでも抱えようとしてしまうのデスか。)
話を聞きながら、エレンの心の中では、彼の底なしの優しさと本質的なところでの人への頼らなさを感じていた。
ポツ ポツ ザアァァーッ
「ヤバい、雨か!」
ひと通り話が切れたところで、懸念していた雨が降り始める。
「車に戻りますカ?」
「ああ…。暗い話ばかりで済まない。ホテルへ急ごう。」
「大丈夫デスよ。Go to back!……。」
車に近い方に居たエレンは、彼にいつもの笑顔を見せてきたが、彼の視界から外れた後の表情は非常に暗いものと化した。
(…ワタシ、どうしたらいいのデショウか。…でも、この話は聞いて良かったと思えマシタ。)
彼の、言わば後ろ暗い部分の一部を聞くことができたわけで、その点ではいい結果であった。
(薫に、ちょっと相談してみましょうカネ。…ダーリンの隣に居たいからこそ、改めて告白する前に聞いておきたいのデス。)
最後の一歩を踏み出す前に、親友からの言葉を借りようと思った彼女。
秋雨が洗い流すのは、過去の哀しみか、見えない可能性の未来か、それはまだ分からない。
ご拝読いただき、ありがとうございました。
とじとものイベントでまさかうどんネタが出てくるとは思いもよりませんでしたが、執筆に着手したのはそれより前でしたので、そのまま進めることに致しました。
次回は後編に続きます。
話を上手く回収できるか不安ですが、頑張ります。
感想等ございましたら、お気軽に感想欄・活動報告へご投稿頂ければと思います。
それでは、また。