漢方配達する青年と無愛想なイーブイの話   作:ノクス*。

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カンポウに借りたポケモンはラッタで、この辺の草むらにも良くいるコラッタの進化系だ。

草むらから飛び出してくるまだ弱いポケモン達とは違い、長年カンポウと共に連れ添い良く育てられたそのラッタは圧倒的な威圧感で周囲にポケモンを寄せ付けない。

元々、漢方特有の苦味のある香りをポケモン達が好まない為あまり積極的に寄って来ないのだが、好奇心で近づいてきた、或いは縄張りを守りにきたポケモン達を容赦無く威嚇していくラッタはとても頼もしい。頼もしいのだが、

 

「ラッタ、そこは通らなくても良いんじゃないか?いや、そっちじゃなくてな…」

 

レベルが高すぎるせいか全くもってアッシュの事を聞いてくれない。

今も「いいから黙ってついてきな」みたいなことを言って、アッシュの胸元くらいまで伸びた草むらの中を勇んで突き進んでいっている。

はっきりとは分からないが、威勢が良いのと何と無く男っぽい口調なのは分かるので確認してないけれど多分オスなのだろう。

というかポケモンの性別など余程見目に差異がない限りアッシュにはよく分からない。

カンポウにはきっとよく懐いているのだろうが、アッシュはポケモンなんて一度も持ったことがないのでどうすれば良いのかよく分からない。

 

普通の少年ならば10代のうちにポケモンを貰い、ポケモントレーナーデビューを飾るのが恒例なのだろう。

現にアッシュの弟分とも言える年下の友人達もまた喜んで旅立っていった。

しかしアッシュはバトルも育成も興味がなく、極一部の人々がそうする様に学校へと進学する道を選んだ。20代を迎えた後もトレーナーになることはなくポケモンと触れ合う機会はあまりない。

そんなわけでカンポウに比べたら遥かに年下でポケモン達についてもあまり知らないアッシュはラッタに下だと思われているのだろうというのが容易に想像出来た。

 

「あー、でも家には母さんのゴーリキーがいたな」

 

ゴーリキーはアッシュに懐いてくれていたが、それは長年連れ添ってきた自分のパートナーの子供なのと産まれた時からアッシュのことを見ていてゴーリキー自身の母性本能がくすぐられたからかもしれないと思い返す。

 

「あいつ、メスだったしなぁ」

 

女っぽい仕草や話し方は母の影響だと思っていたが、まさか本当にメスだったとは思わなかった。知った時は大いに驚いた。

しかし、何で母は可愛らしい見た目のポケモンがいる中から一番最初のポケモンにワンリキーを選んだんだろうかと未だに疑問である。

 

「ラッッタ!!!」

「あぁ、すまんすまん!」

 

母とワンリキーの出逢いを想像していたら「早く来い」といったニュアンスの言葉でラッタに怒られてしまい、アッシュは慌ててそちらに意識を戻した。

ギリギリと威嚇紛いの歯ぎしりしていることからその考えは恐らく合っていると思う。

 

 

それから何度か威嚇に負けない野生のポケモンに遭遇したり、森の中にいたトレーナーに勝負を挑まれたりしたが、その全てにラッタは押し勝ってしまった。

アッシュの言うことなんて全て無視してガンガン推し進めていく勝負に、ポケモンもトレーナーも涙目である。

そして何より止めるアッシュの方も大変だったということもここに追記しておこう。

 

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