ダンガンロンパ・コネクト~問題児だらけのコロシアイ学園生活~   作:ノドクル

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第3話

「つ、次は僕かな?」

 

小城の自己紹介で少し張り詰めた空気になっていた中、気まずそうに一人の男子が手を挙げる。

 

「僕は佐藤晴斗。普通の男子高校生だよ」

 

 

  佐藤 晴斗【サトウ ハルト】

 

  【超高校級の平均】

 

 

クラスに一人はいるようなこの雰囲気……今までの面子が超高校級の才能を持つ人間ばかりだった事を考えると、多分佐藤も何らかの才能持ちなんだろうけど、いったいどんな才能なんだ?

 

「佐藤さんですか……すみません、リサーチ不足だったみたいです。あなたはいったいどんな超高校級の才能をお持ちなんですか?」

 

新木も同じ事を思ったのか、そう問いかけると……佐藤の顔から表情が消えた。

 

あれ、なんか急に雰囲気が……

 

「僕は普通の男子高校生だよ」

 

「えっ、いや、でもここまで超高校級の方々が出てくるならあなたもそうなんじゃ」

 

「普通だって言ってるだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

いきなりの叫びに、もう何度目かもわからないけど新木は固まり、周りの空気が凍りつく。

 

その叫びの主である佐藤の目は血走り、口の端から泡まで出して頭をかきむしっていて……はっきり言って正気かすら疑わしい。

 

「才能?超高校級?おかしい僕は普通だ、普通に生きてきただけなのになんで超高校級の平均だなんて言われるんだよ!?」

 

「お、落ち着けよ佐藤!」

 

「ああ、その上こんな普通じゃない所に連れてこられて!日常のサイクルが崩れ、おええ!?」

 

は、吐いた?こいつ、いったいなんなんだよ!?

 

「特別とかいらない!僕は普通でいい、普通を返せぇ!」

 

「うるせえんだよ!くそが!」

 

あまりの迫力に周りがドン引きしていると、さっき黒神に食って掛かってた男子が佐藤の腹を殴る。

 

そのまま佐藤は何かを言う事もなく、その場に崩れ落ちた。

 

……今年は個性的とは聞いていたけどここまでなのか?

 

「なんなんですか、もう……」

 

新木はさっきから災難ばっかりだな……気の毒に。

 

「……もういい?次は多分あたしなんだけど」

 

「あっ、どうぞ……ま、まああなたは有名だと思いますけど」

 

 

次に出てきたのは金髪碧眼の女子……ああ、確かに彼女は有名だ。

 

「狭山真依」

 

 

   狭山 真依【サヤマ マイ】

 

  【超高校級のグラビアアイドル】

 

 

狭山真依と言えばそのプロポーションと明るい性格で人気のトップグラビアアイドル……あれ?

 

「なんか、テレビと性格違わないか?」

 

テレビで見た狭山はもっと明るかったというか、こんな冷めた目をするようには……

 

「あんなもの演技に決まってるでしょ。馬鹿じゃないの?」

 

「ば、馬鹿?」

 

「事実でしょ。それとも間抜けの方がいい?」

 

ほ、本当はこういう性格だったのか……ファンとまではいかないけど、なんか夢を壊された気分だ。

 

「何、その夢を壊されたとでも言いたげな顔」

 

「えっ」

 

「これだから嫌なのよ。元々じゃ売れないからってあんなキャラにされて、勝手に幻滅されるとか」

 

「わ、悪かった……」

 

「は?謝ってとか頼んでないからやめて」

 

き、キツいな……まあ、そういう人間だってわかればまだまともな方かもしれない……

 

「生意気な女だなてめえ!」

 

「はっ!?」

 

そんな事を考えていると、佐藤を殴った男子が何を思ったかいきなり狭山に殴りかかる。

 

狭山は虚をつかれたのか全く反応出来ていない……!

 

「っ!」

 

俺は咄嗟に防御の体勢を取りながら間に入ったけど、その一撃はあまりに重く、腕に痛みが襲いかかってくる。

 

こいつ、こんな力で狭山を殴ろうとしたのか!?

 

「ああ!?てめえこの武宮唯我の邪魔をしやがるか!」

 

 

  武宮 唯我【タケミヤ ユイガ】

 

   【超高校級の空手家】

 

 

武宮唯我……ま、まさかあの空手家の武宮唯我なのか?

 

空手をやってる奴がいきなり人を殴ろうとした、それどころかさっき人を殴ってたよな!?

 

「オラァ!」

 

「ぐっ!?」

 

武宮はターゲットを俺に変えたのかその拳が腹に突き刺さる……混乱していたせいでもろに入った一撃に意識が飛びそうにさえなって、俺は思わず膝をついた。

 

「ゲホッ、ゲホッ!」

 

「か、葛城さん!」

 

腹を押さえて咳き込む俺を新木が心配する声が聞こえてくる。

 

俺は大丈夫だと声をかけようとして、武宮がまた俺を殴ろうと拳を振り上げてるのを見た。

 

嘘だろ、こいつまだ……駄目だ、やられ……

 

「ああ、武宮くんまたこんな事して!ちょっと待って、ほらグローブ」

 

思わず目を閉じた俺の耳にそんな声が聞こえてくる。

 

見てみたらさっきも殴られていた小柄な男子が、武宮を怖がる様子もなくさっきと同じように笑いながらグローブを渡していた。

 

「はい、どうぞ」

 

「オラァ!」

 

グローブを着けた武宮はまるで誘うように腕を広げた男子を殴って、その男子は床を転がる。

 

「あはは、いいパンチだよ武宮くん!」

 

だけどすぐさま起き上がって埃を払っていた……だ、大丈夫なのかあれ。

 

一方の武宮は満足したのか、また俺や狭山を殴ろうとはしてこなかった。

 

「今、天使を殴ろうとしたな!?」

 

「ああ?うるせえな、当たってねえからいいだろうが。ごちゃごちゃ抜かすとてめえも殴るぞ」

 

「なんだとこの悪吐……むぐっ!?」

 

空手家にあるまじき言葉を吐きながら武宮は全く反省してないのか、つまらなそうにそっぽを向く……小田は宇佐見に口を塞がれ、他は俺を含めて殴られたくはないからか、何も言わなかった。

 

「大丈夫?ごめんね、武宮くんちょっと沸点低いから」

 

謝りながら俺に湿布を渡すさっきの男子……本当になんでこんなに平気なんだ?

 

「あはは、心配そうな顔しなくてもいいよ。ボクは南雲青梅、殴られ屋をしてるんだ」

 

 

  南雲 青梅【ナグモ オウメ】

 

  【超高校級の殴られ屋】

 

 

「殴られ屋……?」

 

「そうそう。葛城くんもイライラしたら思いっきりボクを殴っていいからね!」

 

「そ、そんな事するわけないだろう!」

 

「えぇ?でもストレス溜めるのはよくないよ?」

 

なんで南雲が大丈夫なのかはわかったけど、理解はしたくない。

 

ましてや殴るなんて俺はごめんだ!

 

「まあ、いいけど!他のみんなもどんどんボクを使っていいからね!」

 

なんで笑いながらそんな事が言えるんだよ……!

 

「ま、またあんなの……あ、ああ、もう。外ってこんなに怖いところなの……?」

 

そう言って頭を抱えるのはさっきからちょくちょく叫んでいた女子。

 

どうやら彼女の感性はまともみたいだ……

 

「あ、ああ、次もしかしてワタシ?ね、寝倉清美……【超高校級の引きこもり】よ」

 

 

   寝倉 清美【ネクラ キヨミ】

 

   【超高校級の引きこもり】

 

 

「ちょ、【超高校級の引きこもり】?」

 

それって才能なのか?

 

「う、産まれてから一度も外に出た事なかったのよ。今日、希望ヶ峰に来たのが初めての外出」

 

「一度も!?」

 

寝倉のその言葉はにわかには信じられない、そんな代物だった。

 

人間が生きていて全く外に出た事がなかったなんて……

 

「そんな事ありえるわけ?学校とか病院は」

 

「が、学校は家庭教師とか通信教育でなんとかなるわ。病院はかかりつけのお医者様が、向こうから来てくれるし……欲しい物があったらネットとかでね」

 

狭山の疑問に寝倉はなんて事はないと言った口調で返答する。

 

本当に筋金入りなんだな……

 

「ま、まあ……ワタシが望んでたわけでも、ないんだけど」

 

寝倉が最後に悲しげな顔でポツリと呟いたその言葉。

 

俺がそれについて聞くよりも早く、次の自己紹介が始まっていた。

 

「次は拙者でありますか……拙者は風魔千代!故あって才能は明かせませぬが、ご容赦を!」

 

風魔と名乗った少女が胸を張る……だけど才能を明かさないって本気なんだろうか。

 

腰に差したクナイ、手裏剣にしか見えない腕輪、口元を隠す黒い布に和服っぽい上着の上からでもすぐわかる鎖帷子……

 

いや、隠す気ないだろあれ。

 

「あの、どう見てもアナタって忍……」

 

「風魔さんは確か【超高校級のメイド】でしたね」

 

「違うのかよ!?」

 

「違うの!?」

 

新木が明かした風魔の才能に俺と寝倉の叫びが見事にシンクロする……こんな忍者ですアピールしておきながら【超高校級の忍者】じゃないのか!?

 

しかもメイド!?彼女のどこにメイド要素があるんだ!?

 

「ま、まさかリサーチされていたとは……!拙者は確かに【超高校級のメイド】であります……無念!」

 

 

   風魔 千代【フウマ チヨ】

 

   【超高校級のメイド】

 

 

「えぇー、その格好で本当に忍者じゃないの?」

 

「むむっ?確かにお館様の護衛をする事もあるにはあるでありますが……拙者の得意技能は基本的に家事であります!」

 

「じゃあなんでそんな忍者っぽい格好なんだい?可愛いけど、ボクは天使千代のメイドさんも見てみたかったな」

 

「だってかっこいいでありますよ!忍者!」

 

だから忍者の格好なのか……まさかあれでメイドの仕事もしてるのか?

 

「それに忍者がこんな忍ばない露骨な格好とかあり得ないのでは?」

 

「当たり前ですね」

 

……た、確かに。

 

ここまで露骨な忍者がいるわけない……なんだか負けた気分だ……

 

 

「次は私、デスネ?」

 

風魔の事でまた停滞した自己紹介も残りは後男女二人。

 

先に声をあげたのは女子の方……見るからに外国の出身だとわかるその顔立ちは片言が混じった口調で確信に変わる。

 

「私はメイリー・ペンティア。ガイド、デス」

 

 

    メイリー・ペンティア

 

   【超高校級のガイド】

 

 

「メイリーさんは色んな国のガイドとして活躍している【超高校級のガイド】ですね」

 

「そんなに色々な国に?」

 

「ハイ、国によって、違いがたくさんあって……ガイド好きデス」

 

どうやら彼女もまともみたいだな……よかった。

 

「たくさん……フフッ」

 

「……んっ?」

 

今、メイリーの目が妖しく光ったような……気のせいか?

 

「最後は俺か!アッハッハッハッ!今までの自己紹介を見てきたが本当に個性的な奴らばかりじゃないか!」

 

最後に残った男子……いや、高校生にしてはなんか大人っぽく見えるな。

 

「俺は山菊昌平!【超高校級の運転手】だ!アッハッハッハッ!」

 

 

  山菊 昌平【ヤマギク ショウヘイ】

 

    【超高校級の運転手】

 

 

「確か山菊さんは要人の運転手をした事もあるんですよね?」

 

「まあな!議員やら総理大臣やら海外のVIPの運転手もしてきたぞ!」

 

「高校生なのにそれだけ運転手してきたのか?」

 

「まあ俺は留年してるしな!アッハッハッハッ!」

 

留年……だから雰囲気が大人っぽいのか。

 

それに免許だって現役ともなると取りにくいだろうし……

 

「ちなみに何回留年したんデス?」

 

「うーん?確か俺は今年で二十五歳になるからひーふー……八年だな!」

 

八年!?

 

「に、二十五歳の高校生って……」

 

「卒業のタイミングをいつの間にか逃した感じだな!まあいずれ卒業出来るだろう!アッハッハッハッ!」

 

ポジティブ、過ぎる。

 

人を個性的だって言ってたけど、自分だって十二分に個性的じゃないか。

 

 

こうして、十六人の自己紹介が終わる。

 

あまりに個性的な面々に……俺は少し不安さえ感じ始めていた。

 

そしてその不安は。

 

キーンコーン、カーンコーン……

 

このチャイムと共に、さらに強くなる事になった。

 




これで自己紹介は終了です。
このメンバーで物語は進んでいきますのでよろしくお願いいたします。
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