ダンガンロンパ・コネクト~問題児だらけのコロシアイ学園生活~   作:ノドクル

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(非)日常編その2

「さて、と……」

 

色々あったけど改めて俺達は二人一組になって調査を始めようとしていた。

 

「しかし佐藤は大丈夫なのか?」

 

目覚めた後俺達の置かれた事情を聞かされて酷く混乱した佐藤は、まともに話も出来ない状態で。

 

そのため佐藤は殴られたばかりだという事もあり宇佐見、国希の二人と食堂の調査を兼ねて待機する事になった。

 

それはそれで小田が騒いでたけどな……

 

「あいつ、普通にこだわりがあるみたいだから心配になるな」

 

とはいえ俺も行ってこれ以上調査の手を減らすわけにもいかない。

 

佐藤とは食堂に集まった時に話しておこう。

 

「とにかく今は調査だ。そういえば俺の組む相手って……」

 

「葛城さん!」

 

名前を呼ばれて振り返ると、走ってきたのか息を切らせた新木が膝に手を置いていた。

 

「ひ、酷いじゃないですか!私を置いて先に行くなんて!」

 

「えっ?」

 

言われて周りを見てみれば、そこは薄暗い廊下。

 

どうやら考え事をしながら歩いて、体育館から出てきてしまっていたらしい。

 

「わ、悪い。考え事しててさ」

 

「無視されたのかと少し悲しかったんですからね」

 

ずれた眼鏡の下から見える瞳は不満を表すかのように細められて俺を睨んでいる。

 

まいったな、調整役どころか俺自身がトラブル起こすなんて。

 

「本当にごめん。決して新木を無視しようとかそう思ってた訳じゃ……」

 

「……もういいですよ。葛城さんがそんな意地悪な人じゃないのはわかってますから」

 

苦笑いしながら眼鏡を直す新木……どうやら許してくれたらしい。

 

「それでは!気を取り直して調査一緒に頑張りましょう!」

 

「あ、ああ、新木が俺のパートナーって事でいいんだよな?」

 

「はい、そうですよ。よろしくお願いしますね葛城さん」

 

「……ああ、よろしくな」

 

そうして俺と新木の調査が始まった。

 

これが武宮とかだったら調査前に俺はボコボコにされて調査出来なくなってただろうな……

 

「二階に続く階段はシャッターが降りてますね。何とかしてこの先に行けないでしょうか?」

 

「どうだろうな……モノクマのあの硬さを考えると、壊すのは現実的じゃなさそうだし」

 

俺が目の前にある二階への階段を阻むシャッターをコツコツと軽く叩きながら告げると、ですよねぇと新木は呟く。

 

「小城さんはここを希望ヶ峰学園だって言ってましたけど……葛城さんはどう思います?」

 

「それにしては、なんだか違和感があるよな。窓を塞いだ鉄板や監視カメラもそうだけど、根本的な雰囲気に」

 

 

ここが希望ヶ峰学園なら、俺達の前の世代の生徒や教職員がいるはずなのに全くその気配がない。

 

それ以前にここには人がいたという生活感がまるでないんだ……まるで俺達が初めて入った人間かのように。

 

「そう思いますよね?そもそも小城さんが語っていた事件って相当昔の話みたいですし。その頃から校舎が全く変わっていないのは変です」

 

「そうなると、やっぱりここは昔の校舎を再現した別の建物って事になるな」

 

昔の校舎を再現した……口で言うのは簡単だけど、行動に移すとなると容易じゃないだろう。

 

敷地、資金、人手、話題にならないようにする隠蔽工作……考えただけで頭が痛くなってくる。

 

「なんだか、常軌を逸してますよね。そこまでして私達にコロシアイをさせたいんでしょうか……」

 

「……」

 

過去にあった事件の再現。

 

それをしてモノクマは最終的に何を望むのか。

 

俺には常識外過ぎるだろうその答えを導き出す事は、出来なかった。

 

 

 

「あっ、葛城さん!あれ見てください!」

 

途中にあるトイレを分かれて調べたり、保健室に鍵がかかっていたのを確認したりしながら廊下を歩いていると、新木が俺の手を引いて上の方を指差す。

 

その指の先には下手くそな字で玄関ホールと書かれた看板がぶら下がっていた。

 

「玄関ホール……」

 

「これで玄関が開いていたらいいんですけどね」

 

言った新木もさすがにそれはないだろうとわかっているのか、その口に本気の色は感じられない。

 

だけど期待していなかった俺達の予想以上の光景が、玄関ホールには広がっていた。

 

「……あれ?」

 

玄関ホールと確かに書かれていた場所……そこには、何もない。

 

扉があるだろう場所はただの壁……どこにも外に出られるような部分は存在しなかった。

 

「ここ、玄関ホールですよね?」

 

「らしいけど……」

 

念のために壁を触ってみても、新たに塞がれたという感じはしない。

 

元々ここには玄関なんてない……そう結論付けるしかなさそうだ。

 

「なんだか意地が悪いですね。玄関ホールだなんて書いておきながら、そもそも玄関がないなんて」

 

「確かにな……」

 

こんな事をさせる相手だからいい印象なんて最初からないにしても、こうもおちょくられてると腹が立つ。

 

それでも空手家の武宮すらどうしようもない以上、モノクマに俺達は従うしかないという現実が、さらに重石となって俺の心を暗くした。

 

「何もないみたいだし、行くか」

 

「そうですね」

 

名ばかりの玄関ホールから中に戻ると正面に購買部の看板。

 

中にはなぜか鎧やら剣やらが飾られていて、購買部というより貯蔵庫という印象だ。

 

「この剣、本物なんでしょうか?」

 

壁にかかった長さの違う三本の剣の内、一番短い物をまじまじと見ている新木。

 

リサーチャーとしての義務感からか、調査をしているその目は輝いて見えた。

 

「危ないからあんまり近付かない方がいいんじゃないか?」

 

あれだけの熱中具合だと本物なら怪我してもおかしくないし、念のためにそれだけ言って新木に背中を向ける。

 

棚の中にあるガラクタなのか何なのかよくわからない物を調べていると、背後で新木の小さな悲鳴が聞こえた。

 

「新木?」

 

振り向いてみれば新木は困った顔をして人差し指をくわえていて。

 

もう片方の手にはさっきまで見ていた短剣があって、その刃に微かに付着していた赤い液体が何があったのかを物語っていた。

 

「あはは、ちょっと触っただけなんですけど指切っちゃいました……本物みたいです」

 

「お、おいおい大丈夫か?」

 

新木から短剣を受け取って元に戻すと、購買にあった絆創膏を渡す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いや、ここにあったの渡しただけだしな」

 

指に絆創膏を貼る新木を横目に戻した短剣を見る。

 

ちょっと触っただけで切れたって事は相当切れ味鋭いんだな……食堂で注意喚起した方が良さそうだ。

 

購買を出た俺達が次に来たのは視聴覚室。

 

中にある機器は古いものだけど、問題なく動くようだ。

 

「機器は動くけど、ソフトとかはないみたいだな」

 

「機材だけあっても意味ないですね……」

 

新木はガッカリした様子で機器を弄っている。

 

「なんだ?何か見たい物でもあったのか?」

 

「はい、まあ……古い海外ドラマなんですけど、少しずつ見ててちょうど終盤に入ったところだったんですよ」

 

「ああ……なるほど」

 

結末がわからないままここに来たから、せめてここで見られたらって思ったわけか……

 

「はあ……早く出られたらいいんですけど」

 

「あはは、そのためにも調査をしないとな」

 

「そうですね!頑張ります!」

 

 

新木が改めて気合いを入れたところで俺達の調査は進んでいく。

 

「この赤い扉はなんなんでしょうか?」

 

視聴覚室を出た先にある分かれ道を右に行くと赤い扉。

 

取っ手を掴んで押したり引いたりしても鍵がかかっているのか開く気配はない。

 

「開きそうにないな」

 

「保健室や階段もそうですけど、いずれ開く事もあるんですかね」

 

「どうだろうな……わざわざ塞いだままっていうのも考えにくいけど」

 

もし開くとしてもどういう条件なのかもわからないしな……

 

 

 

赤い扉を離れて真っ直ぐ……分かれ道の左側を今度は進む。

 

二つ並んだ教室……一つは俺が最初にいたところだな。

 

「机の一つに涎の跡がありますね」

 

「それは観察しなくていい!」

 

「あっ、もしかして葛城さんのでした?」

 

はっきり聞かれて思わず言葉に詰まると、新木は何がおかしいのかクスクスと笑う。

 

くっ、なんだか知らないけど恥ずかしいぞ……!

 

「ふうっ……私、葛城さんってもう少し気難しい人だと思ってました」

 

「俺が気難しい?どうしてまた」

 

「調整役というぐらいですから、それはもう黒神さんぐらい我が強くないとやっていけないんじゃないかって」

 

ああ、確かに自分がないと流されるだけで調整どころじゃないもんな……とはいえ黒神レベルだと逆の意味で調整どころじゃなくなるだろ。

 

「でも思ってた以上に親しみやすそうで安心しました」

 

「なぁ、机の涎の跡でそう認識されたっていうのは喜ぶべきなのか……?」

 

いや、無駄に警戒されたり悪い評価されるよりはいいんだろうけど……素直に喜べない。

 

教室を調べて手に入ったのはそんなどこか複雑な気分ぐらいだった。

 

 

「この先が小城さんが言っていた寄宿舎みたいですよ」

 

「ここを一通り調べたら食堂に行くか……それにしてもこのネーミングはなんなんだ」

 

【絶望ホテル】だなんて悪趣味な名前に辟易しながら、寄宿舎に入ると広いホールに出る。

 

すぐ右に食堂はあるみたいだな……左には大浴場があるけど、保健室や赤い扉みたいに入れないみたいだ。

 

「お風呂も入れませんか……入れない部屋の基準もよくわかりませんよね」

 

「今入れないのは保健室、赤い扉の部屋、大浴場……規則性はないよな」

 

新木と話しながら壁づたいに進むと、入れる部屋が……その中にはいくつもの洗濯機が並んでいた。

 

「ランドリーですね。もう洗濯物が干してありますけど……」

 

確かに部屋の上に張り巡らせた物干し用らしきロープにタオルやら水着やらが干してある……誰かここで洗濯したのか?

 

 

ランドリーを出た後、ここにもあったトイレを分かれて調べて先に進む。

 

「新しい部屋がありますよ!」

 

「ここには入れそうだな」

 

次にあった部屋に入ると中はかなり広く、鉄格子の奥には音をたてて動く機械が見えた。

 

ここは……

 

 

「ゴミはここで処理するようにって張り紙が貼ってありました。後鉄格子の鍵も張り紙横のボックスに」

 

「つまりトラッシュルームって事か。一応鉄格子の奥も調べてみよう」

 

新木に渡された鍵を使って鉄格子を開けると奥にある機械に近付く。

 

「焼却炉みたいだけど燃やすのもこっちでやるのか?」

 

「そうじゃないでしょうか?横に稼働用のスイッチがありますから」

 

焼却炉の蓋を開けてスイッチを押してみると、ゴウゴウと中で炎が踊りだす。

 

結構勢いが強いな……気を付けないと火傷しそうだ。

 

「何かありましたか?」

 

 

「いや、炎の勢いが強いぐらいだ」

 

焼却炉の蓋を閉めてスイッチを切った俺は、他になにかないかトラッシュルームを見渡してみる。

 

すると床に取っ手のような物があるのが見えた。

 

「なんだこれ?扉か?」

 

鉄格子を開けた鍵を差し込んでみたけど、どうやらこの鍵では開かないらしく、ガチャガチャという音だけが返ってくる。

 

「これも開かないみたいですけど、どこに繋がってるんでしょうか」

 

トラッシュルームの下……あの焼却炉で燃やしきれないゴミの集積場所とかか?

 

何にせよ開かない以上は、推測しか出来ないか……

 

 

トラッシュルームを出て進むと、ネームプレートの貼られた扉が並んでいるのが見えてくる。

 

どうやらここは個室みたいだな。

 

「個室の中も調べてみましょうか?」

 

「そうだな……トイレみたいにお互いの個室を調べておくか」

 

俺達は自分のネームプレートが貼られた部屋を見つけてそれぞれ中に入る。

 

個室にはベッドや机、シャワールーム……掃除用のコロコロなど寝泊まりする分には問題なさそうな設備が揃っていた。

 

「だけどここにも鉄板か……」

 

どうやら窓があるらしき部分には例外なく鉄板があるらしい。

 

 

監視カメラやモニターといい……正直息が詰まりそうになる。

 

「……なんだこれ」

 

さらに机の引き出しの中にはハンマーやらドライバーやらが入ったセット。

 

その上には紙で【工具セット。撲殺や刺殺のお供に是非】と書いてある……とことん気分を滅入らせてくるな。

 

沈む気分を振り払うようにテーブルの方を見ると、上に部屋の鍵と電子機器が置かれていた……これは電子手帳か?

 

鍵をポケットに突っ込んで電子手帳の電源を入れると、俺の名前が表示される。

 

「なるほど。この学園の地図や、俺達のプロフィールが載っているんだな……んっ?」

 

メニューの中に校則って項目があるな……念のためチェックしておこう。

 

 

 

1…生徒達はこの学園内で共同生活を行いましょう。期限は無期限です。

 

2…夜10時から朝7時までは夜時間とします。夜時間食堂は立ち入り禁止になるので注意しましょう。

 

3…寄宿舎の個室以外での故意の就寝は禁止します。

 

4…この学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

 

5…学園長モノクマへの暴力行為、監視カメラやモニターの破壊を禁じます。

 

6…この電子生徒手帳を破損、紛失した場合再発行はされません。

 

7…生徒内で殺人が起きた場合、その一定時間後に全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

 

8…学級裁判で正しいクロを指摘した場合はクロだけが処刑されます。

 

9…学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は残りの生徒が全員処刑されます。

 

10…三人以上の人間が死体を最初に発見した際、それを知らせる死体発見アナウンスが流れ捜査時間に入ります。

 

11…死体発見アナウンスが鳴り、捜査時間に入るまで殺人は認定されず学級裁判は行われません。

 

12…同一のクロが殺害できる最大人数は二人までです。

 

13…ルールは今後も増える可能性があります。

 

 

 

「……」

 

電子手帳改め電子生徒手帳をポケットに入れると、今読んだ校則について考える。

 

「調べる事に制限がないのはそれだけ自信があるって事か?」

 

今までの事も踏まえると、ここに俺達を連れてきた相手は相当な社会的地位と財力があるみたいだ。

 

そんな奴がどうしてこんなコロシアイなんてさせるのかは……モノクマに言われたように、どんな理由だとしても納得は出来ない。

 

でも理由を知ればそれが突破口になるかも……

 

「とにかく個室にあるのはこれぐらいだし、新木に合流するか」

 

個室の外に出ると目の前に既に調査を終えたらしい新木がまた息を切らしていた。

 

……なんで?

 

「はぁ、はぁ……葛城さん。わ、わざとじゃありませんよね?」

 

「いや、俺には何がなんだかわからないんだけど……」

 

「声、かけたんですけど」

 

声?

 

新木の声なんて全く聞こえなかったよな……

 

「ごめん、全く聞こえなかった」

 

「はぁ……つまりこの部屋は防音がしっかりしているという事ですね」

 

「そうか、防音が……あれ?」

 

防音がしっかりしているのがわかったのはまあともかく……

 

「なあ、新木」

 

「なんですか……」

 

「インターホン、鳴らせば良かったんじゃないか?」

 

扉の横にあるインターホンを指差すと、新木が石になったかのように固まる。

 

まさか新木……気付いてなかったのか。

 

「くっ……」

 

「わ、笑わないでください!」

 

「いや、さっき俺も笑われたし……」

 

「ううっ、それを言われると何も言えません!」

 

「ははっ、あっ、そっちの部屋はどうだった?こっちは……」

 

新木の違った一面にさっきまでの沈んだ気分が晴れたのを自覚しながら、俺は彼女とお互いの個室についての情報を交換する。

 

それによると女子の部屋はシャワールームに鍵がかかる事と、工具セットが針や糸の入った裁縫セットになっている以外は男子の部屋と同じらしい。

 

「これは他の皆の部屋もそうだと思って良さそうだな」

 

「そうですね、大きな違いはないと思います」

 

話しながら新しく開いてない部屋とシャッターの閉まった二階への階段を確認。

 

そして俺達は食堂の前に戻ってきた……どうやら一周したみたいだな。

 

「そういえば、皆さんには会いませんでしたね」

 

「もう食堂に集まってるのかもしれないな」

 

そんな話をしながら食堂の中に入ると……

 

「離せぇ!ボクは天使良香を助けに行かないといけないんだ!」

 

「小田殿、落ち着いてください!」

 

小田が風魔に羽交い締めにされていた。

 

「新木、小田に名前を呼ばれてるぞ」

 

「嫌な予感しかしません……」

 

奇遇だな、俺もだ。

 

 

 

 

あれから話を聞いたところによると……だいたい集まったのにいつまでも来ない俺達に小田が

 

「天使良香があの悪吐蠱に襲われてる!」

 

と言い出して新木を助けに飛び出そうとしたらしい。

 

それを風魔が止めていた……というのが俺達の見たあの光景だったようだ。

 

「ああ、天使良香!無事だったかい!?あの悪吐蠱にそれはもうおぞましい目に……」

 

「無事ですから!あってませんから!」

 

 

そういうわけで今している報告会の間も小田は新木にベッタリだ……正直、時折俺に殺意のこもった視線を向けてくるのは勘弁してほしい。

 

「そういえば……あっちは大丈夫だったのか?」

 

小田の視線から逃げるように俺がチラリと視線を向けた先には一人テーブルで頬杖をついている狭山。

 

まさか来ているとは思わなかったけど、そうなると武宮辺りがまた殴ろうとしなかったか不安なんだよな。

 

「ああ、武宮の心配か?殴ろうとしたのを国希と南雲が食い止めてたな」

 

山菊の言葉を聞く限り、国希が抑えて最終的に南雲を殴って落ち着いたなこれは……

 

「さて、報告会は以上だが……貴様ら全て調べたのが俺達以外に二人だけとはやる気があるのか?」

【葛城さんと新木さんが全部調べてくれてたから僕達のと合わせて報告もスムーズに進んだね】

 

どうやら調査より集合を優先したのか、全ての部屋を調査したのは俺達と黒神、小城だけだったらしい。

 

だから報告と言っても俺や新木には新しい情報はほとんどなかったのが現状。

 

まあ俺達も食堂は調べられなかったからその部分ぐらいか。

 

「チヨ、食事はワタシ達が作るデスヨネ?」

 

「その通りでありますな。先ほども報告しましたが、モノクマ曰く食糧は常に補給されるようなので!」

 

食堂にいた風魔達によればモノクマがわざわざ出てきて、食糧が尽きないという事と食事は自分達で用意する事を伝えられたとか。

 

「あ、あの……それで少し、提案があるんだけどいいかな?」

 

手をあげる佐藤の顔色はやっぱり良くないけど、体育館でパニックになってた頃よりはマシに見える。

 

だけど提案?いったいなんなんだ?

 

「しょ、正直普通じゃなさすぎて吐きそうなんだけどさ……ここで生活しないといけないんだよね?」

 

「仕方ないよね。武宮くんでもあの鉄板壊せなかったし」

 

「てめえ余計な事言うんじゃねえよ!」

 

「そ、それでどうしたのよ?」

 

「ああ、えっとだからさ……あの、せめて日常的なサイクルを作りたいんだ」

 

「サイクル?」

 

「そ、そうそう。例えば一日に決まった時間にみんなで食事をするとか……」

 

食事会って事か……意見交換や交流の場もいるだろうしいいかもしれないな。

 

「その場合食事当番を決める必要がありますね」

 

「じゃあ次はそれを決めるか」

 

「お待ちください!」

 

食事当番をどう決めるか話し合おうとした俺達を風魔が制止した。

 

その目はどことなく燃えているように見える……

 

「ここは拙者にお任せくだされ!この風魔千代、メイドとして存分に力を尽くそうではありませぬか!」

 

「えっ、いいんでちゅか?あちしは料理が苦手なんで助かりまちゅけど……大変なんじゃ」

 

確かに風魔一人でここにいる全員分の食事を作るなんて大変過ぎるよな……

 

「一人に任せて毒でも入れられたらたまらないしね。複数でやったら?」

 

「狭山!口を開いたと思えばそれかぁ!」

 

狭山の言葉に国希が立ち上がって抗議する。

 

しかし狭山がそんなものを意に介すわけもない……現に彼女は国希を馬鹿にしたように目を細める。

 

「事実でしょ?」

 

「ふん!空気を悪くしたいのか知らんが認識が甘いなぁ!」

 

「は?」

 

「いいか!この場合むしろ複数でやる方が安心感から隙を生む!当番制となれば不特定多数が出入りする事にもなるから内部の把握も難しい!だが風魔に基本的な部分を任せれば異常があった時には風魔がすぐ気付き、さらにお前の懸念通りとなれば確実に風魔に疑いがかかる!つまり!お前の言葉は的外れだ狭山ぁ!」

 

だけどそれに対して国希はしっかりと反論していく。

 

正直、意外だ。

 

「……意外」

 

「ほほう、国希さんはそれなりに考える頭をお持ちのようですね」

 

それは皆も同じのようで、国希に向けられる視線には驚きの色に満ちている。

 

狭山ですら、まさかの反論に呆然としていた。

 

「むっ?なんだなんだ!全員オレを見て!そんなにオレの筋肉を見たいのかぁ!」

 

「い、いきなり脱ぎ出さないでよぉ!?」

 

視線をどう解釈したのか国希は服を脱いでブーメランパンツのみの姿に……これさえなければな!

 

 

「少しよろしいですか?」

 

国希になんとか服を着せて一息ついたところで今度は小城が手をあげる。

 

「改めて調査したところやはりこの校舎は私が資料で見た希望ヶ峰学園とほぼ一致しました……最も老朽化具合からしてこちらは最近建てたものでしょうが」

 

やっぱりここは希望ヶ峰学園……それも昔のコロシアイがあった校舎を模した建物なのか。

 

「これは記憶にある資料の地図を私が描いたものです。置いておきますので電子生徒手帳のマップと各自比べてみてください」

 

電子生徒手帳を出して小城が出した地図と比較する……玄関ホールに出入口がない事以外はピッタリと一致した。

 

「それでですね、一つ提案が。皆さんには夜時間の無断外出を控えていただきたい」

 

「夜時間の無断外出?外出自体じゃなくて?」

 

「これは拘束力もないので。だからもしも夜時間外出予定がありましたら、食事会の時にその旨を伝えておいてほしいんですよ」

 

「先に報告させる事で夜時間にコソコソと動き回る塵がいれば即わかるわけか」

【皆で把握しておけば、夜時間に誰かが下手に動く事もなさそうだしね】

 

なるほど……学級裁判の存在もあって外に誰かがいる状況でコロシアイを起こすのはリスクが高いからな。

 

「まあ、これはあくまでもお願いですから。心の内に留めておいていただければ」

 

 

 

「話し合うのはこんなもんか?」

 

山菊の言葉に異を唱える人間はいない。

 

これで報告というか話し合いの時間は終わりのようだ。

 

「よし、だったら飯にするか。昼も食わずに調査していたし俺は腹ペコだ!風魔、頼むぞ!」

 

「承知!それでは拙者は夕餉の準備に入ります故!ごめん!」

 

どうやらこのまま夕食に入るらしい……確かにここに来てから何も食べてないもんな。

 

「だけど風魔さんってどんな料理を作るんでしょうか?」

 

「うーん、やっぱり和食じゃない?格好が格好だし」

 

「天使千代の料理ならたとえ虫でもボクは美味しくいただくよ!」

 

厨房に入っていった風魔の料理について皆が予想しているなか、しばらくして風魔が皿を持ってやってくる。

 

「こちらは本日の小前菜【アミューズ】であります。前菜【オードブル】はしばしお待ちを」

 

「フランス料理!?」

 

本当に風魔は格好と行動が一致しないな!

 

 

ちなみに、風魔作フランス料理のフルコースは文句のつけようもなく美味しかった。

 

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