殺人が趣味の男   作:筆先文十郎

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前作で終わるつもりだったのですがふと話が思いついたので投稿します。
前作とは何の繋がりもありません。
別作品として読んでくださると幸いです。


農民四戦士の復讐

中世ヨーロッパ。

 街の広場では数十人の男女が磔にされていた。

 護衛に囲まれた高い場所で豪華な服に身を包んだ国王が集まった民衆に向かって叫んだ。

「見よこれが反乱を企てた者の末路だ!」

 その言葉を合図に磔に火が放たれる。

 あちこちで響き渡る悲痛な叫び。

 その姿に民衆は涙を流し、目を覆い尽い、耳を塞ぐ。

 火あぶりによって黒く焼け焦げた者たちを歯を食いしばりながら見ていた四人の若者がいた。

「親父、おじさん……!」

 四人の中で一番体格の良い男、アロウが体を震わせ呟いた。

「何で、税が重いから軽くしてくれと直訴しただけで父さん達が……」

 歳の割に小柄だが服の下にはがっちりとした筋肉を備えた男、ソウドが涙をぬぐう。

「しかも『文句を言う暇があるにも関わらず税を納めない努力をしない怠け者』だと。厳しすぎる税に困窮し今にも死にそうだから直訴しただけじゃないか!」

 四人の中で一番背の高い男、ランサが憤る。

「兄ちゃん達、これからどうするの?」

 四人の中で一番若い少年、ブックスが充血した目で年上の三人を見つめる。

「復讐だ!!」

「……!!」

 最年長のアロウの言葉に三人は真剣な面持ちで耳を傾ける。

「だが今の俺達には復讐するだけの力はない。だから十年、十年後にまたここで会おう。俺たちの親父達の敵討ちをする力を蓄えて!」

「ならオレは西に行く。西には優れた建築技術があると聞く。オレはそれを身につける」

「私は南だ。南に行って農学を学んでいく」

 建築技術を身につけると言ったソウドに続いてランサが考えを述べる。

「だったら俺は北だ。北には優れた戦術家がいると言う。俺はその人の教えを乞おうと思う。ブックス、お前はどうする?」

 アロウの言葉にブックスははっきりと答える。

「僕は東。そこで学問を修めたい」

「ふふ、見事に別れたな」

 アロウが笑う。三人も笑う。

 四人は円になって手を合わせる。

「では十年後また会おう!!」

「おうッ!!」

 こうして四人の若者は東西南北に歩き出した。

 

 

 

 十年後。立派な大人になった四人の若者は約束通り故郷の地に立っていた。

「相変わらず悪政をしているようだな」

 荒廃した土地と疲れ果てた人々の顔を見てアローは呆れ果てたようにつぶやいた。

 三人もこくりと頷く。

「さて始めるとしよう。俺達の復讐を」

 

 

 数日後。

 四人は村の片隅に塾を開いた。

 四人はそれぞれが身につけた知識を村人に教え、相談に応じた。

 アロウは盗賊などから身を守る護身術を教えた。

 ソウドは丈夫な家屋の作り方、水路や害虫・害獣から農作物を守る倉庫の作り方を教えた。

 ランサは新たな耕作方法、収穫量の上がる肥料の作り方、ジャガイモなど痩せた土地でも育つ作物を紹介した。

 ブックスはどうすれば幸せになれるか人々の悩みに耳を傾けアドバイスを行った。

 ためになる四人の話に人々は感謝・感激し、四人の話を聞いた者が「この塾はためになるぞ」と噂し、ついには遠くから学びに来る者も現れるほどの盛況になった。

 だがこれを面白くない者がいた。四人の親族の命を奪った国王である。

 国王は四人を反乱を企てようと計画していた首謀者として逮捕、四人の親族同様すぐさま火あぶりの刑に処した。

 この時国王は不気味な光景を見る。今にも殺されそうになっている四人が意味深な笑みを浮かべていたのだ。

 なぜ四人が笑みを浮かべていたのか。その理由を国王はすぐに知ることになる。

 証拠もなく四人を反乱を企てようとした首謀者として処刑した国王に激怒した国民は武器を持って立ち上がった。

 反乱が起きることを予見していた国王はすぐさま討伐軍を派遣。数と武装、経験で勝る討伐軍が反乱軍を鎮圧する。 国王はそう信じていた。だが結果は国王の期待を大きく裏切ることになる。

 他国から(・・・・)攻められる(・・・・・)かもしれない(・・・・・・)ということを想定してアロウは武器の使い方や集団での戦い方を。ソウドは基地や砦など防衛設備の建築方法を。ランサは保存性の高い兵糧の作り方を。ブックスは討伐軍とも戦える規律と士気の維持を。

 これらのことを四人は国民に教えていた。

 装備、戦術、防衛、食料、規律、戦い抜くという意志が数と経験で勝る討伐軍を蹴散らした。

 討伐軍の敗退に 国内では次々と反乱が勃発。反乱を収めることが出来ないことを悟った国王は恐怖し国外への脱出を決める。

 しかしもし敵が(・・・・)国王なら(・・・・)国を脱出する際どのように(・・・・・)逃げるか(・・・・)かを何故か教えられていた反乱軍はいとも簡単に国王を捕縛。

 国王の命乞いも虚しく、国王は穴という穴に溶かした金属を流し込まれるという最後を遂げた。

 国王亡き後、反乱軍は国民主体の共和国を設立。

 復讐に自らの命をかけた四人は後に建国の祖として(まつ)られた。

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