鉄血の三日月   作:止まるんじゃねぇぞ…

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これから更新が遅れるかもしれませんが一日一話頑張ります。


第十一話

 第二章「再開」第十一話

 

 「ふんふんふ~ん。ふ~んふ~ん♪」

 

 「ご機嫌だねぇ」

 

 「うひぃ!?」

 

 鼻歌交じりにブレスレットを編んでいると、背後から女性の声がかかる。不意に声を掛けられた少女は思わず立ち上がると、背後の女性に見えないように、編んでいたブレスレットを後ろに隠すのであった。

 

 「す、すみません!」

 

 「いいよ別に。それに今日は近くの鎮守府の襲撃のせいで、客が来る気配もないから店を閉めるつもりでいたからね」

 

 女性は腰に手を置くと、どこか諦めた表情を浮かべながら窓の外を眺める。窓の外から見える鎮守府から、建物の修復作業や艦娘の巡回警備の様子が窺える。チラリと横目で少女の持っているブレスレットを見ると笑みをこぼす。

 

 「それ……あの坊主のかい?」

 

 「……はい」

 

 少女は持っていたブレスレットを見つめると寂しげな表情を浮かべた。

 

 「あの坊主に会えたのかい?」

 

 「いいえ。まだ……会えてないです」

 

 「そっか。 ……悪いね。野暮なことを聞いて」

 

 少女の言う事に女性は一言謝ると首を横に振る。

 

 「いいんです。それに……団長さんやクーデリカさん。鉄華団の人たちの何人かは出会えたんです。きっと――会えます」

 

 女性は少女の今にも泣きそうな笑みに思わずそっと抱きしめる。

 

 「お、女将さん……」

 

 「大丈夫。アンタならきっと会えるさ」

 

 「……はい」

 

 女性は最後に少女の背中を軽く叩く。少女は女性から離れると、袖で目尻を拭い晴れやかな表情を浮かべる。

 

 「よーし! 絶対三日月に会うんだから!」

 

 「その意気だよ。それじゃあ……行こうかね」

 

 「女将さん、どこか出かけるんですか?」

 

 「何言ってるんだい。アンタも行くんだよ」

 

 「ふぇ?」

 

 女将さんと呼ばれる女性、ハバは少女の手を引き外へと連れ出す。店の隣の駐車場まで歩くと困惑した少女をトラックに乗せた。

 

 「あの……どこへ行くんですか?」

 

 「決まってるだろ? 行先は――あの鉄華団がいる鎮守府にだよ」

 

 笑顔で答える女将さんは少女――アトラ・ミクスタに言うとエンジンをかけ「HABA'S STORE」と書かれたトラックを走らせるのであった。

 

 

 ♢

 

 

 「そういえば兄弟。お前はこれからどうするんだ?」

 

 「え?」

 

 海岸沿いを歩きながら名瀬はオルガに訊くと、突然の質問に間抜け声をあげる。

 

 「いやだからな。これからどうするんだって聞いてるんだよ」

 

 「あ、あぁ……そうですね」

 

 腕を組み唸り声を上げると、空を見上げながら呟く。

 

 「とりあえず報告書を作成して人員の補充の要請とか始末書とかの作成とか……あと、あいつらの遠征に必要な安全なルートの検索とか――」

 

 「あーうん。悪かった。俺の聞き方が悪かったな」

 

 「え、違うんですか?」

 

 「違えよ。そんなことはお前らのところの話だろ。俺の言いたいことはそんなことじゃねえ」

 

 「それじゃあ……」

 

 「俺の聞きたいことはなだな……オルガ、お前がこれからどういう道を進んでいくのかを聞きてえんだよ」

 

 「……」

 

 名瀬の内容にオルガは思わず押し黙ってしまう。名瀬はどこか遠くを見るかのように海を見つめている。

 

 「なあ兄弟。俺は知りてえんだ。お前があの時みたいに生き急いでいるんじゃねえってかよ」

 

 「それは……」

 

 「以前、俺に家族を守るために、お前は火星の王を目指すべき場所だと言ったよな? だが、今はもう過去のことだ。だからこそ聞きてえんだ。 ……今のお前は何を目指しているんだ?」

 

 名瀬の言葉にオルガは口ごもる。何かを言おうと試みるが思うように言葉に出すことが出来ずにいた。そんなオルガのもとに三日月を率いて歩いてくる。

 

 「あ、提督。お時間よろしいでしょうか?」

 

 「あ、あぁ、神通か。悪いが名瀬の兄貴と話してる最中なんだ。用件なら後で聞くから今は――」

 

 「オルガ」

 

 神通と話していたオルガの前に姿を現すのは、黒セーラー服を纏い少女の姿をした相棒、三日月の姿だった。

 

 「……」

 

 「……」

 

 オルガと三日月は見つめ合うことしばらく、一連のやり取りを見ていた彼等は迂闊に動くことが出来ずにいた。一触即発と言いたげな不穏な雰囲気に思わず周囲の人たちは息をのむ。実際のところ、オルガと三日月の両者共々、久々の再会に言葉が見つからずにいた。

 

 (ミカ――俺は……)

 

 会えて嬉しいはずなのに声に出すことが出来ない。話したいことは山ほどあった。

 連れて行くと約束したことを果たせず先に死んでしまったこと。お前が助けに来てくれたおかげで皆を守ることが出来たこと。俺の無茶なお願いをいつも断らず引き受けてくれたこと。お前とまた再会できて嬉しいこと。

 感謝、謝罪、懇願、感激、ありとあらゆる感情と言葉が混じり合い胸の内からあふれ出す。だが、目の前の相棒に上手く伝えられずいる自分に苛立ちを覚え拳に力がこもる。

 

 そんなオルガの様子に三日月はただ腕を前に出すと――

 

 「――連れてってくれるんでしょ?」

 

 「――は?」

 

 三日月の言葉にオルガは思わずあっけらかんと声をあげる。そんなオルガの様子を無視するかのように話を続ける。

 

 「俺たちの――『本当の居場所』に」

 

 (オルガ。もう一度連れて行ってくれ。俺たちの辿り着いていたあの場所に)

 

 三日月の言葉にオルガは目元を片手で覆うと空に向かって高らかに笑い出す。

 

 「――ク、ククク……アッハッハッハ!! あぁ、そうだったな!」

 

 (そうだ。俺は何を迷う必要があったんだ)

 

 答えは――目の前にあるじゃねえか。

 

 「あぁ、わかったよ! 連れて行ってやるよ! たとえこの先、どんな困難が待ち受けようともお前を、お前たちを、俺が連れて行ってやるよ!」

 

 (今度こそ連れて行ってやる。俺たちの――『本当の居場所』によ!!)

 

 三日月は辿り着いた場所にもう一度辿り着くために、オルガは果たせなかった約束の居場所へと連れて行くために、それぞれの思いが重なり合うと、オルガは三日月に腕を出し重ね合わせると、互いに不敵な笑みを浮かべるのであった。




アニメで確認はしたんですが、意外とミカとオルガのやり取りってこういうのばっかりで、他のキャラと違って、こういうシーンが多くなると思いますが、ご了承ください。
では、また。
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