多分、間違えてる箇所がいくつかあるかもしれないので、あったら教えてください。
では、どうぞ。
第二章「再開」第十二話
「……そうかよ」
名瀬は三日月とオルガのやり取りを見て口元を緩めると、オルガに何も言わず立ち去ろうとする。すると、背後から呼び止められる声が聞こえてくる。名瀬は首だけ後ろに向けて振り返る。
「……なんだよ兄弟」
「兄貴……さっきの質問の答えなんですが、俺は――」
「あー悪いな。その話はもういいんだ」
「えっ!?」
名瀬の言う事に戸惑うオルガ。オルガの表情を見て名瀬はクスリと笑うと止めていた足を動かし歩き出す。後ろから引き留める声が聞こえてくるが、聞えないフリをして歩き続ける。
(行けよ兄弟。お前の目指すべき場所によ)
二人のやり取りの中で名瀬は確かなことが一つだけわかった気がした。それさえ知れたならいいと思い歩き続けていると、海岸沿いに名瀬の妻――アミダ・アルカが海の景色を眺めていた。アミダは名瀬が歩いてくるのに気づくと、名瀬の背中に回り込みもたれかかる形で抱き着く。
「アンタ、もういいのかい?」
「あぁ、ここでの用は済んだ。あとのことは他の奴にでも任せるさ」
名瀬はアミダに軽めの接吻をすると、アミダもそれに応えるように名瀬と同じことをする。
「あの子に訊きたいことがあったんだろ? それで?」
「ん? あーあれな。やっぱり訊くのは止めることにしたんだわ」
「あらどうして?」
アミダの疑問に名瀬は微笑みながら答える。
「分かったんだよ。アイツがどこを目指すかをよ」
「訊いてもいないのにかい?」
「あぁ」
断言するかのような名瀬の口ぶりに、アミダは不思議に思う。その気配を察したかのように名瀬は話を続けた。
「俺はまたアイツが火星の王を目指した時みたいに、生き急いでいるんじゃないかと心配したんだがよ」
そう、名瀬はオルガが再び家族の為にと無理をしているんだと思っていた。ハシュマルとの戦闘で半身不随になった三日月の話を聞いていた時のことを思い出す。初めてオルガと出会った時から頃に比べ、多くの仲間を失い続けた鉄華団。それでもなお、辿り着く場所があるんだと信じ続け立ち止まることをしなかったオルガ。
だが、あの時の名瀬から見たオルガの顔からはどこでもいいから早く降りて楽になりたい。そう訴えているかのようにも見えた。だが、立ち止まることを許されなかったオルガの立場や団員の意志によって、もう戻れないところまで来てしまった。
だからこそ知りたかった。また火星の王でも地球の王にでもなると目指すのかと。
家族に楽をさせてやりたい。その気持ちは変わっていない様子だったオルガの姿を見て名瀬は思った。
以前、いくらでも方法はあると提案したことがあった。だが、オルガは名瀬の言葉を否定し戦う事でしか生きられないと話したことがある。けど、それはすでに過去のこと。今ならまだ間に合う。そう思った名瀬はオルガの返答次第では殴ってでも止めるつもりで今日、ここに来たのだった。
――しかし、それは杞憂で終わった。
あの三日月のやり取りをしていたオルガの表情から伝わってきたのは、仲間の屍を超えてまで辿り着こうとしていた、あの時の目とは違うことに。今度こそ、誰も失わず皆で辿り着くんだと。そう決意する眼差しを感じた。
だから名瀬はあえてオルガに訊くのをやめた。もし、名瀬の思い通りなら全力でそれを支えてやろうと思った。仮に違うというのなら殴ってでも止めてやると決めたのだ。
それが、名瀬が出来る精一杯の恩返しだと考えていた。
「けど今のアイツなら大丈夫だ。たとえ、この先どんな困難が待ち構えていようともな」
「……そうだね。あの子たちならきっとやれるだろうさ」
「あぁ。さぁ、とっとと帰るとするか!」
大声を上げ一緒に帰ろうとするとポケットに入れてあった携帯電話が鳴り響く。
「……ちっ。誰だよ、今どう見てもいい雰囲気だったはずなのによ」
ピッとボタンを押す音を鳴らすと、電話の先から聞き慣れた声が聞こえてくる
「悪い名瀬。ちょっといいかい?」
「あん? どうしたんだアジ―。何か問題でもあるのか?」
「あぁ、ちょっとね。前話していた件なんだが」
アジ―・グルミン。かつてタービンズ専属のパイロットであり、鉄華団と共にしていた。名瀬が亡くなりタービンズ壊滅後、一時期ラフタの死に責任を感じてふさぎ込んでしまうが、残ったメンバーをまとめ上げ、名瀬の意志を引き継ぐのであった。
そんな彼女はというと、今後のことを考えて名瀬はアジ―に後を引き継がせようと考え、名瀬の代理として働いていた。
「取引先の奴らが、やっぱり例の提案には乗れないって行き成り言い出してきたんだよ。挙句の果てに自分たちの言いように話を進めてくるんだ」
「それをどうにかするのがテメエの仕事だろうが」
「そうなんだけどさ……」
名瀬は思わずため息をこぼす。こりゃあまだまだ任せるのは先かなと思っていたところ、話の続きがあったらしくアジ―が話を続けると――
「……姐さんをよこせば話に乗ってもいいって言ってくるのさ」
「――ほぅ?」
ビキッと額の血管が今にも浮き出るかのような音を出す。頬を引きつらせながら不敵な笑みを浮かべると「すぐに向かう」とだけ伝え通話を切った。
「あら、どうしたのアンタ?」
「おもしれえ……俺の女に手を出そうとはいい度胸じゃねぇか」
「ふふっ。アンタ、なんて顔をしてるんだい? イイ男が台無しだよ?」
「いいんだよ。お前がわかっていれば問題ないさ」
「ったく、アンタっていう男は」
名瀬はアミダの腰に腕を回すと、アミダも名瀬の肩に寄りかかる。二人は顔を合わせると、互いに頬笑みながらアジ―の元へと歩き出すのであった。
全然三日月が出ていませんでしたが、次回から多分出ると思います。今回の章は戦いとかはないと思うんですが、出せるキャラは出していこうと思います。
では、また。