鉄血の三日月   作:止まるんじゃねぇぞ…

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これで第二章は終了になります。
もっと、多くのキャラとか描写とかしたかったんですが、今後の展開でやっていくよう頑張りたいです。
では、どうぞ。


第十七話

 第二章「再開」第十七話

 

 「じゃあね、三日月」

 

 「うん。アトラも気を付けて」

 

 三日月はハバの女将さんのトラックまで同行すると、アトラに別れを告げて見送る。トラックが発車するのを確認すると、長月達の元へと戻ろうとした時、後ろから歩く音が聞こえてくる。

 

 「よおミカ。もう、いいのか?」

 

 「うん。アトラと話が出来たから大丈夫」

 

 「……そっか」

 

 後ろから歩いてきたのは、かつて鉄華団団長、オルガ・イツカであった。

 三日月はオルガに振り返ると、どうしたのかと訊く。するとオルガは大したことはないとだけ告げると、海岸沿いに指を指す。

 

 「ちょっと話さないか? 久しぶりに会えたって言うのに、お互いドタバタしてたからな。まだいけそうか?」

 

 「オルガが言うなら俺は付き合うよ」

 

 「……ったく。別に無理しなくてもいいんだぞ?」

 

 「別に、無理はしてないよ」

 

 「……そっか。んじゃ、頼むわ」

 

 「うん」

 

 オルガが歩き始めると、三日月もオルガに続きついて行く。海岸沿いにたどり着くと、オルガはコンクリートで出来た地面に腰を下ろすと、三日月もオルガの隣に腰を下ろす。三日月の足とは違い、オルガの足はちょっとしたことで海面に触れそうであった。

 オルガは海面を眺めている三日月と何を話したらいいのかと迷っていると、三日月のスカートのポケットから何かを取り出し、口元に運んでいく。

 

 「おいミカ。それ、どうしたんだ?」

 

 「ん? あぁ、これ? さっきアトラから貰った」

 

 三日月は食べていたものをいくつか渡す。オルガは手に渡されたものを確認すると、それはドライフルーツの一種、レーズンであった。

 

 「……なんでレーズンなんだ?」

 

 「アトラが言ってた。この世界に火星ヤシがないから代わりにって」

 

 ミカの話によると、なんでも火星ヤシに似た果実、デーツってのがあるらしいんだが、普段入手するには難しいらしい。だから代わりに似たレーズンを渡したそうだ。あとここだけの話なんだが、生前のミカがよく眼から血を出していたこともあってか、レーズンにしたってアトラに言われたとのことだ。

 

 「……てか、うまいのか?」

 

 「オルガも食べてみなよ」

 

 「……」

 

 気持ちは有難いんだけどよ……どうしても、ミカが渡すもののほとんどが外れな気がしてよ。正直、躊躇っちまうんだが。おい、ミカ。そんな期待に満ちた瞳で見るんじゃねえよ。今のお前の姿わかってんのか? 結構可愛いとか思っちまうじゃねえか。

 

 「……いけるな、コレ」

 

 「うん。今度アトラからもっと貰うつもり」

 

 ぱあっと無表情でありながら嬉しいそうな感情を見せるミカに俺は頬を緩める。どこからどう見ても、どこにでもいる少女の姿にしか見えないミカが、未だにあの三日月・オーガス本人だと思えなかった。けど、こうも違和感がないわけではないが違わないとなれば信じる他ないと思った。

 

 「……そういえば他の皆はどこにいるの?」

 

 「……あーそのことなんだけどな」

 

 「ん?」

 

 ミカが俺に不思議そうに尋ねてくる。そりゃあそうだよな。こんだけ知り合いに会ったら気になるよな。どう説明していいんだろうな。あんまり難しい話とかだと、ミカはよくわかんないだろうしよ。取りあえずそうだな……。

 

 「この世界について誰かから詳しく聞いたか?」

 

 「おやっさんから一応は。……なんだっけ? シンカイっとかいう奴らが攻めてきたんでしょ?」

 

 「そうだ。その深海棲姫からこの町守るため、海を取り返すために俺たちは戦ってる」

 

 「……つまりオルガの敵ってこと?」

 

 「まあ、俺の敵って言うのもなんだけどよ。あながち間違いじゃねえな」

 

 「――そっか」

 

 それだけ言うとミカは海面をただじっと眺める。それは前と同じで俺たちに立ちふさがる奴は敵でいいのだという認識に違いなかった。

 

 「なんにせよ、俺たちがやることは一つだ」

 

 「うん――オルガ」

 

 「あん?」

 

 「――連れて行ってくれるんでしょ?」

 

 ミカの瞳が俺を捉える。俺はその瞳から目を逸らさずしっかりと頷く。

 

 「あぁ、今度こそ連れてってやる。俺たちの――『本当の居場所』によ」

 

 「あぁ、だから連れてってくれ。そのためにオルガ――俺は次、どうしたらいい?」

 

 ミカが次の指示をくれと言わんばかりに俺のことを見てくる。俺はすっと海面の先、今まさに出てきたであろう太陽に向かって指を指して言う。

 

 「この世界には『暁の水平線』っていう言葉があるんだけどよ。俺たちはそれに向かって勝利を勝ち取っていくことが、今のやるべきことだと俺は思っている」

 

 「……どういう意味なの? その『暁の水平線』って」

 

 「そうだな……ざっくり言うと夜明け前の海の向こうから太陽が昇るってことなんだろうけどよ。俺たちはその夜明け前、つまり深海棲姫との因縁を終わらせて、戦いを終わらせるって意味で使ったりしてる」

 

 「……つまり、シンカイを倒せば戦いは終わるの?」

 

 「あぁ、そうだ。そのためにミカ。俺ともう一度戦ってくれるか?」

 

 そう言うとミカは何を言っているんだと言いたげな顔でこちらを見つめている。

 

 「俺の命は元々オルガに貰ったものなんだ。だから、この命はオルガのために使わなきゃいけないんだ」

 

 「ミカお前……」

 

 (本当に変わらねぇんだな)

 

 昔と同じことを言ってた時を思い出す。俺はミカに拳を出すと、ミカもそれに応えるように拳をコツンとぶつける。

 

 「頼んだぜ、ミカ」

 

 「うん」

 

 俺の返事にミカも返事を返す。俺たちは朝日が昇るのを一緒に眺めると、お互いに鎮守府に戻ろうと立ち上がった。

 

 「あ、そうだ」

 

 「どうした?」

 

 「さっきの話の途中なんだけど」

 

 「あぁ、そうだったな。忘れてたわけじゃねえんだけどよ」

 

 いい雰囲気で終わろうとしたところにミカがさっきの話の続きを求めてくる。いや、本当に忘れてたわけじゃねえんだ。ただ、流れ的にこのままでいいかとか思っちまっただけなんだ。許してくれ、ミカ。

 

 「実は俺もそんなに他の皆とは会っちゃいねえんだ」

 

 「へーそうなんだ?」

 

 「あぁ。昭弘とかユージンは俺が海兵の学校に行ってた時に再開したしな。ビスケットは俺と幼馴染っていうこともあって、今も一緒にいるんだけどよ」

 

 「……そういえばオルガ。なんか前よりも老けてない?」

 

 「まあな。俺はあの時よりかは年はあるしな。今年で26になると思ったけど」

 

 「え、そうなの?」

 

 「あぁ。 ……それに俺にもよくわかんねえんだけどよ。俺が死んだ時より、遥かに年上なアトラが今じゃ俺よりも全然年下だしよ」

 

 「へぇ……って、アトラは一度死んだの?」

 

 「あん? そうだって聞いてるぜ。確か……95とかまで長生きしたとか」

 

 「……」

 

 ……おい、ミカ? 大丈夫か? 気持ちは分かるけどよ。そんなに目を点にしてまで驚くことはねえだろ。

 

 「まあ言いてえことはあると思うけどよ。どういうわけか、死んだはずの仲間がこの世界にいるってことと、アトラのように最後まで長生きして死んだ奴もいるってことだ」

 

 そう、この世界で過ごしていて思ったことがある。本来死んだはずのビスケットや俺は生き返るなんて話はないと思っていた。現に再会した時はお互い驚いたしな。ユージン達なんかには会って早々殴られたりもしたな。

 

 けど、話を聞いてみると全員が殺されたりしていたわけじゃないらしい。ちゃんと、アトラのように最後まで年を取って死んだ奴もいれば、俺のような奴もいる。それに、どういうわけか記憶もちゃんと持っているときた。それと、この世界に来た時、誰かの体だったわけじゃない。むしろ、赤ん坊から生まれてきたところから生きてきた奴しかいないんじゃないのか?

 

 俺たちは死んだ時期や死に様などは違っても、また再会することができたんだ。今はそれでいいと思っている。ただ、正直な話を言うと、ここまで別れたはずの仲間達と出会うと誰かが仕組んだことじゃないかと勘ぐってしまうことがある。まるで、俺たちの世界にいた時のようなことを再現するかのような感じがしてならない。

 

 「まあなんにせよ。これからもよろしく頼むぜ、ミカ」

 

 「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ、オルガ」

 

 俺たちは再びの再会に喜び合うと鎮守府に戻るのであった。

 ちなみに余談だが、朝まで帰ってくるのを待っていた長月、菊月から酷く心配していたとミカから報告を聞かされたのであった。




一番書くのが大変だった気がします。
一応補足というか説明ですが、とりあえず簡潔に言いますと皆一回は死んでます(ざっくり)
殺されたりとか寿命でとか色々ですが、死んだうえで記憶有りな感じです。
次からは三章に入りますが、いよいよミカが入ったことで新しい展開をやっていきたいと思います。
特に艦これ要素が多いんじゃないかな?
長い文章ですみませんでした。
では、また。
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