鉄血の三日月   作:止まるんじゃねぇぞ…

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第十九話

 第三章「始動」第十九話

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 「アハハ! 楽しいね『三日月』! やっぱり夜戦はこうじゃないとね!!」

 

 「……あぐっ!?」

 

 疲労困憊の三日月に休む暇もなく攻撃を続ける川内。演習用の弾は実弾とは違い、艤装によるダメージはほぼない。だが、いくら艤装にダメージがないとはいえ直接生身に当たれば痛いだけでは済まされない。しかも、三日月は『適合者』と違って直接艤装に繋がっている分、ダメージによる痛みが伝わりやすかった。

 

 「『建造』の子達も可哀想だよね。どうせなら私たちみたいな『適合者』組と同じようにすれば痛みもいくらか和らぐと思うんだけどね。……まあ、感覚が鋭くなった分、動きはアタシ達よりも動けるから仕方ないのかな?」

 

 「はぁ……うぐっ!?」

 

 「ほら、『三日月』。もうおしまいなの? 夜戦は始まったばかりなんだよ? アタシたちよりも感覚的に動けるんだから、動かないと取り柄が無くなっちゃうけど?」

 

 「……このままじゃ」

 

 不味いと思い、三日月は艤装に搭載されている単装砲を川内へと照準を合わせるが、向けた先には既に川内の姿はなかった。気づいたときには既に遅く、川内は三日月のすぐそばまで近づくと、脇腹に向けて単装砲を一発、二発と立て続けにトリガーを引く。

 

 パンッ、パンッと軽そうに聞こえる銃声とは裏腹に、三日月の脇腹に演習用の弾が当たる度に、骨をきしませる音が響き渡る。三日月はあまりの苦痛に悶絶しそうになりかけた。銃撃による衝撃で何度も海面を跳ね回ると、痛む脇腹を抑えながらも三日月は立ち上がる。

 

 「……はぁ……はぁ……」

 

 「ねぇ、何でこんなことをしているか分かるかな?」

 

 「はぁ……ジンツウの、ことじゃないの?」

 

 「うーん。まあ間違いじゃないけど。半分間違い」

 

 川内の攻撃が止んだことで息を整え始める三日月。そんな三日月の様子とは違い、川内は海面を氷の上を滑るかのように、滑らかな動きで三日月の周辺を滑っていた。

 三日月の言葉に川内は、人差し指を口に当てると考える素振りを見せる。

 

 「半分?」

 

 「そ、半分。確かに神通ちゃんのことはあるんだけどさ。それだけだと、ただ妹を苛めた子を苛め返しにきたみたいじゃん?」

 

 「……え?」

 

 「え……ってアンタ『三日月』。アタシのことをどう思っていたの!?」

 

 「ごめん。ちょっと意外だった」

 

 三日月の言葉に川内は頬を膨らませる。ツーサイドアップの髪が羽ばたいているように見える様子からどうやら怒らせてしまったらしい。しかし、川内はため息をつくと、すぐさま元の感じで話しかけてくる。

 

 「まあ、いいや。話の続きなんだけどさ。アンタがどう戦おうとアタシはいいと思ってるよ。実際、アンタの戦い方は嫌いじゃないしね。かく言うアタシも夜戦の時は結構アンタの戦いに近いしね」

 

 川内は三日月の戦い方はアリだと思っている。ル級との戦い振りを少しだが見て思った。あんな無茶苦茶な戦いは他では出来ない動きだと感じた。

 これから先、深海棲姫との戦いにおいて、これまでのような戦い方では勝てない場面も出てくると思う。もしも艦隊の乱れを生じたらどうするのか。敵に分断されて艦隊としての機能を失ってしまったらどうするのか。

 

 そんな時、三日月のスタイルであれば、敵に不意を付け入れることが可能かもしれない。だから、川内は決して神通のように必ずしも間違いだということは言わなかったのである。しかし、川内は三日月の戦い方に否定はしないものの、肯定もしなかった。それは、三日月がこの世界において何も知らな過ぎたからであった。

 

 「いい? アンタにイイ事を教えてあげる」

 

 「……イイ事?」

 

 三日月の言う事に川内は頷く。

 

 「そ、この世界ではアタシ達、艦娘は敵と戦うたびに強くなれるよう出来ているの。敵を倒して、訓練を積んで、鍛錬を怠らなければ、艤装にその経験値が溜まっていくの」

 

 「艤装に経験値?」

 

 「ようは戦えば戦うほど、アタシ達が強くなるってこと。そして、ある一定の経験値を積むとね――アタシのように『改』って存在にもなれるんだ」

 

 「『改』?」

 

 川内の話に三日月は首を傾ける。艤装から送られてくるデータの中にそれらしき言葉があったが、あまりわからないでいた。艤装と繋ぐことで主に戦闘の仕方、海上での航行の方法、武器の使用方法などがほとんどなのだ。ちなみに、神通の説教の理由は単にやり方がわからないのではなく、自分に合わなかったからが最もな理由だったりする。

 

 話が逸れてしまったが、艤装にはあるシステムが組み込まれている。それは戦闘による経験値を蓄積することが出来るのである。そして、川内のようにある一定値まで経験値が溜まると、第二次段階へと進化することが出来る。この次の段階への移行を『改造』と呼ばれている。

 

 最も経験値が溜まったからと言って、その場で姿形が変わるわけではなく、鎮守府の設備による改造工事によって、行われて初めて次の段階へと進めるのだ。

 

 「『改』になると、今までとは違って性能も格段と上がるんだ。だから、アンタが『建造』でアタシ達よりも格段と性能が良くっても、アタシ達『適合者』にとってその差を埋めるためには、こうして『改』とかにならないと差を埋められないんだけどね」

 

 「……じゃあ、俺もその『改』になれば、アンタよりも強くなれるのか?」

 

 「勿論だよ。アタシ達より遥かに強くなれるよ」

 

 (もっとも、それだけの差を埋めるだけの戦闘経験を積めばの話だけどさ)

 

 川内はニヤリと笑みを浮かべると、三日月との戦闘を再開するのであった。

 




次話で何故三日月と川内が夜戦していたかはわかりますのでご安心ください。
……というよりこんな急な展開にしたことに深く反省してます、はい。
あと今回は艦これの『改』についてですが、どこかのアニメみたいに急に進化するわけではありません。まあ、そこは現実的というかなんというかですが、今の川内と三日月のレベルの差を言ってみれば……

・川内改:(lv25)

・ミカ:(lv5)

ですかね?
まあ、艦これをやっている方は分かると思いますが、割と20の差はデカいと分かると思います。しかも、川内は夜戦は強いですから今のミカでは難しい……と思ってます。
長々とすみませんでした。
では、また
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