今日も疲れた。仕事が後輩の手違いで長引いてしまったし、駆け込んで飛び乗った電車は超満員だったし。後輩もなぁ、メモ取るとかもうちょいやる気を見せてくれたらこっちのモチベーションもだだ下がりしないのになぁ。同じことを何度言ってもメモ一つとらず、失敗しても黙ってハイハイ言うだけじゃお手上げだっての…。人を育てるって大変だししんどいばっかりだ。
「あーあ、私も気楽な新人に戻りたいよーぉ」
泣き言を言いながら素っ裸になって風呂の扉を開けた先に、とびっきりのボンキュッボンなお姉さまがいた。
「あら」
「しし失礼つかぁした!!!」
ッパーン!と、扉をスライドさせて閉めた。え、何今の?なんか、同じ人間の女と思えないほどのとびっきりのナイスバディでグラマラスなエキゾチックなお姉さまがいた!?えっもしかして私、家を間違えた?急いで着ていた服を着直して表に出ると、間違いなく私が賃貸してるマンションの、私が借りている部屋番号で合っていた。というかそもそも鍵が合っていて部屋の家具が同じ時点で間違いなく私の家だった。だというのに、なぜ他人が?
「ハッ…まさかメンヘラ女性が彼氏の家と間違えてコッソリピッキングして侵入し、彼氏のいない間に彼女みたいになりきろうとシャワーを浴びていた最中だったとか…?」
どこの昼ドラだと思う余裕もないぐらい突飛なストーリーが私の頭に浮かんだ。しかも疲れた私の頭ではそれが一番ありえることだと思い込んでしまった。なのでメンヘラ=包丁で刺してくる、という法則のもとに盾代わりのフライパンを携え、再度風呂に向かった。しかし風呂場からは湯気も洗剤の匂いもなく、深夜の暗さしかなかった。
「ええ……どういうこと…?」
目も覚めるほどのとびっきりの美女が消え、あるのは普通の風呂場だけ。扉を開けても濡れた気配なんて全くない。まさか幻覚でも見たのだろうか。
「あっ、そういえばこの間もなんか幻覚見たわ…。疲れてんのかな…」
どうせ明日は休みだし、今日はさっさとシャワーを浴びて早く寝てしまおう。性別や見目が麗しかったからか、前回のように幽霊だと怯える気持ちもほとんどなかった。むしろ眼福だと拝みたいぐらいの驚くべきナイスバディだった。また見れるものなら見させてもらいたい…。
「でも今度は目も覚めるほどのイケメンがいいなぁ…」
布団に入って己の欲望を口にした。枯れた生活に潤いというなら美女とイケメン、これに限る。できればハリウッドスターバリのイケメンで頼む。ぐふふと笑いながら夢の世界に旅立つほんの一瞬、あることが脳裏に浮かんだ。そういえば私、いつも換気のために風呂場の扉を開けてたのに今日は閉まってたよなぁ。なんでだ?