「あっどうも」
「ヒィエエエエエ!!!」
目の前にドクロが現れて速攻扉を閉めた。幻覚だ、また幻覚を見たんだ、と頭を抱えてうずくまる私を咎める人はいない。だって深夜の玄関前だもの。人っ子一人いねぇ。
「あっ…あっ……なんでドクロ…なんで…」
ありえないものを見た&恐怖で鳥肌と体の震えが止まらない。エンドレス恐怖。腰が砕けて座り込んだ廊下は現代社会よりも冷たかった。今までのパターンは自室や風呂場など家の中の扉を開けたタイミングだったから、最近は扉を閉めきらずに対策していたというのに。今回はそんな努力をあざ笑うような、まさかの玄関トラップ。しかも間近にドクロ。ふざけんな、本気で仰け反って悲鳴あげたわ。
「あのー、大丈夫ですか?」
さすがに深夜とはいえ悲鳴がうるさかったのか、誰かが気遣うような声をかけてきた。ご近所さんだろうか。迷惑をかけてすみませんという気持ちよりも、誰か他人がいてくれて心底助かったという気持ちで顔を上げた。
「たっ…助けてください…ドクロが家の中に…!」
「えっドクロ!?どこに!?」
「私の家の中………に……」
目の前にドクロ、再び。嫌がらせのように間近に接近しているドクロが、ドクロのくせに表情豊かに気遣うような顔をしてる。でもドクロ。されどドクロ。
「ヒェッ」
私、死んだ。
ーーーーーーーーー
「あれ?生きてる」
ぱちぱちと瞬きをして呟いた言葉も、持ち上げた自分の手の感覚も至って普通だ。むしろ寝起き感満載。やたらとスッキリ感じるのはもしかしなくても熟睡したからだろうか。ということはあれは夢?
「なぁんだ、夢かー!生きてるって素晴らしい!」
「ヨホホ。いやまったく同感です」
「ですよねーーーーってドクロおおお!!!」
「えっ!?どこに!?」
「アンタだよ!!!」
なんだこのドクロ!怖い!恐ろしいほどにノリツッコミがすごい!
「もう帰りたい…家に帰らせてえええ…」
「あ、ご自宅でしたらそこの扉から帰ることができると思いますよ」
「え!?」
「扉の開け閉めに関する能力ではないかとルフィさんたちから聞いていましたから、もしかして、と思いましてーードアストッパーつけてます」
「仕事のできるドクロだった!!!」
「えっドクロ!?」
「いや、もうそのくだりはいいんで。…あ、本当に廊下と繋がってる。いやー、ありがとうございます。無事家に帰れそうです」
「それはよかった。あ、お礼にパンツ見せてもらえませんか?」
「オイなんだよこのドクロ。ドクロな上に変態かよ」
「ヨホホ。気をつけてお帰りくださいね」
「ドクロに気をつけてとか言われるとなんか不吉…。でもまあ、お世話になりました」
「ええ。こちらこそ、噂のお嬢さんからお話を聞けてよかったです。またいらしてくださいね」
「あはは…まあ、機会があれば」