趣味で始めたので完結させたい します(鋼鉄の決意)
ーーー寛永十六年 某月某日 朱の刻
それは前触れも無く唐突に。
不道理の月夜の始まった。
「…可笑し、可笑しいぃ⁉︎ 何しよる糞坊主ぅー」
半身を切り取られた男を抱き、女は狂う。死ぬ。
「逃げい! 子ら、早う!
多量の血を浴びながら老人は声高に叫ぶ。死ぬ。
「ちいい…! 化物め⁉︎ 近よるなぁ!こ…ー」
浪人らしき帯刀者は獲物を振り回し怯える。死ぬ。
死ぬ。死ぬ。死ぬ。
逃げる者は追い抜かれ、臓腑を抉り刺し殺された。
挑む者はその差に絶望し、横鎌に撫で殺された。
諦めた者は嘲笑と共に、引き刃で斬り殺された。
男も女も赤子も老人も関係無く。その破戒僧は人型であるならば目に付く者を全て、丁寧に丁寧に手折っていく。
「ハ、ハハッ!ハハハハハッ!悲哀を唄え!血泡を纏い叫べよ!民草共ッ……どうせの事、貴様等はあの
「きさんっ! 何言ってるか人殺しがぁっ!ー」
「死ね!死ねぇっ! 俺の子をよくもっー」
潜んでいた村の男達が、微かな抵抗として振り被った鎌はその全ての柄が二断され、返しの刃で地面には血華が咲く。
殺す。殺す。殺す。
家屋を開き、火を付け、虫を燻す様に炙り出す。
人の肉脂にも火は回り、其処は人界の豪炎地獄。
その光景を見ながら憎悪と殺意に僧は吠え笑う。
総ての道徳を溝に晒しながらその在り方を良しとし、その身を狂わせる殺人衝動に身を委ねながら次の指針を
(かるであとやらから来た妙な服を着ていた女を殺す、其奴が抱いていたおぬいと田助を殺す。)
(それにあの女、新免武蔵守を殺す。)
(初めの村を潰した時。奴等、姿を見せなんだ。それは此処に来る時も然り。)
(隠れたとしてもあの童等を優先するのであれば他からの助けは必須。平地が続く此の村でない、とするならば…。)
(残るはあの山村。それかその付近であろうな。)
(ならばこの様な雑事は疾く終わらせ、殺す。違いの無い様、念入りに全員を晒してやろう。)
「だが、此れはこれで好いモノだなァ! ランサー・プルガトリオたるこの身、
「たすっ、たすけてっ! かあさまっ! じいー」
炙られ出てきた幼子の首を一息で斬り飛ばし、掃討に移行した僧は血肉の村を駆ける。
人を探し、人を見つけ、人を殺す。
刺し抜く感触。血を浴びる光景。落ちる肉塊の音。
その死に様を武蔵達に投射すれば一層
ーーー朱月は天上に。村の夜明けは近い。
その後。
半刻も掛からずに絶滅した二つ目の村を後にする。
残ったのは燃え滓が弾ける音。肉を貪る犬達の遠吠え。そして、大量の血などの濃密な死臭。
僧は身体に付いた淀んだ血潮と脂を振り落とし、蜘蛛の巣状で砕かれた憑き大武者やら屍肉喰らいの獣の死骸やらを横目に駆け出そうとしていた。
唯、頭に残っていたのは殺戮の光景。
求め降ろすのは一切合切の人種の死。
僧が見つめ、目指すその先に。
新たな地獄が産まれようとしていた。
ーーー本来。
本来であるならば、此の時点でプルガトリオが行う武蔵への追撃により山中にある村の死が確定事項となる筈だった。
あの男がその世界に迷い込まず、下総国に立ち寄らず、更には昼寝をしていた土手にて無双の大立ち回りをする事が無かったのなら。
『回避不可』であった被害はそのままであった。
が、全ての因果を引き寄せた片目の男は
悪鬼達の欲や情念が逆巻いた『英霊剣豪七番勝負』と云う舟に乗り、一心に滝壺を目指していくのだ。
「何をそんなに急いてやがる 怪僧」
…故に、此処に運命は紡がれる。
ーーー最後に這い出るのは、誰か。
◯今回の設定(ネタバレ含みます…本文で今更か)
・プルガトリオさんがおぬいちゃんの里を滅ッ!してから村正さんの所に来るまで潰したと言っていた「二つの村」の一つ目が今回の舞台でした。
・西と北と言ってたので村正さんの所に近い北ではなく、西の村。
・自分で勝手にFGOのマップに対応した「平野の村(西)」、「山中の村(北)」を建て物語を組みました。
・余談なのですが、おぬいちゃんの里っておぬいちゃん合わせて56人しか住んでなかったっぽいのですが…江戸時代の平均村人数の10分の1って大分ヤバくないですかね…?
・間違いとかあったらすいません!
というか今回も殆ど一人だから文字数がぁ。
後書きの方がスラスラってどういう事だってばよ…。