修羅の路   作:瑕傷々

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漸くバトル回。書くの楽しいです。(御馳走)

お気に入りや評価付けてもらうのを見ると…pixivでいいね!沢山貰えた時の様なもどかしさがありますね…。ありがとうです…!

後これから書こうかと思っている作品を活動報告に纏めるつもりなので良かったらどうぞ。…設定死集になりませんように…。


一幕二場「プルガトリオ(弐)」

ーーー寛永十六年 某月某日 酉の刻

 

その声が聞こえた瞬間。

怪僧と呼ばれた者は即座に男の居る土手下へと駿足を駆け至り、その身に刻まれた五芒星陣の衝動のまま不可避の槍撃を見舞う。

それは煉獄へと堕落した『宝蔵院胤舜』にとっては素直な、故に極悪の闘意と殺意が込められた一突きであった。

 

「なるほど 道理で臭い奴等が居る訳だな」

だが、『とにもかくにも外れあらまし』と謳われた必至のそれは、三枝の根元である口金を握る男の片手に止められた。

僧は心に僅かな喫驚を浮かべたが、その言葉に返す事無く掴まれた柄を小手内に巻き引き、男の腕ごと横の鎌で削ぎ落とそうとする。

回転が始まる寸前に男は外に腕を逃すと、その腕を地面に落とし跳ねる蜘蛛の様に僧の殺傷範囲から逃れる。

 

「……チィッ!」

「‥‥は」

数秒の内に終わった一連の接触の後には十文字槍を後ろに引き不快そうに佇む僧と、始めの飄々とした態勢を崩さない男に別れた。

男が動かないのは様子見や仕切り直しが主であったが、今も尚、殺意と憎悪に囚われて居る僧が動かない理由は違かった。

男が逃れる寸前に放った脚蹴り、『先の先』の技能(スキル)すら反応しきれていない跳ね回る二蹴が僧が払った先手に打ち込まれていたのだ。

朱き月光が二人に注ぎ、殺意が満ちていく。

 

「……不有(有り得ず)ッ よもや武蔵(あの女)の他にも未だ我が槍の前から逃げ切り、尚且つ反撃まで転じるとはなぁ!」

「面妖だな‥‥まったく」

双方は初動にて互いの力量を感じ取り、口を動かし間合いを取り合いながらも自身の能力を天秤に掛けていた。

(あの宙で曲った回し蹴り…我が眼を超えたのは異様だったが問題は無い 敵が人であるならこの身、この不倒無敵の身体に敵う筈も無し 疾く殺し倒す。そして武蔵を殺す 疾く、疾クゥ!)

僧は侵された思考で自身の脅威では無いと感じ、

(あれはやべえな‥‥ 『(つむじ)』の響きが甘いか‥あの野郎も化生の類か? 未だココの右も左も分からねえって云うのに‥ 面倒だな)

男は神秘を知らぬ身で僧の異様さを感じ取った。

 

「オオオオッ!」

「‥‥!」

次に動いたのもやはり僧。人とサーヴァントの間に横たわる敏捷な差の暴力。それを見せつける様に槍を払い、男を両脚と腰を両断せしめようとする。

だが一度は見た槍の間合いにその動き。男は自身の目付にて其れを見極め、低めから放たれた高速の鎌を地を蹴り飛び上がる事で避けようとする…が。

 

「逃げるナァ…!」

避けるであろうと予測していた僧は瞬時に持ち手を柄に滑らせ引き戻し、小手内の妙技にて軌道を変え、男の逃げ道を無くす。

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その技に男は眼を少し見開き、それでも反射的に空いている双手を穂の側面に抑え叩き、手を多少傷付けながらも1秒後の死を免れる。

 

サーヴァントの筋力故に男は二間余り浮かび上がると、そのまま僧の背後に着地。直ぐ様近付き自身の間合いに入れようと走り出す。

僧は振り返りながらも後手を動かし、石突の速射を男への応対に向かわせる。

常人であるならば一撃で半身が消し飛び、肉の山が出来る其れを男は拍子を合わせ叩き落とす事で対処する。

 

(ようや)く自身の間合いに僧を入れ込んだ男は離される事を良しとせず、引きながら突き薙ぎ斬る僧の槍を叩き避け抑える事で接近戦に持ち込む。

僧に向かうは妙な軌道から穿たれる変幻の拳、次瞬には極められる関節、それから続け様に届く折りの追撃。

 

一方、肉体と技(スペック)の差で押し込めると判断した僧。その思惑は薙ぎ払われる暴威になり男の身体には次々に傷が付けられていく。

男が喰らうは自身の倍以上に降りかかってくる迅き絶死の鎌、避ければ薙ぎが、そして合間に挟まれるは突きの猛攻。

 

ーーー音が止む闘いの刹那。

男は槍の柄を掴み動かず。

僧は蹴りを受け止め動かず。

辺り一面が抉り掘り返され、見る影も無い中。

未だ名を交わさぬ二人は睨み合いながら語る。

 

「何故!何故!何故だ‼︎ 人なんぞに何故⁉︎ 此の身、此の技、此の槍であるなら一撃で仕留められる筈だァッ!」

其れは、言葉となって僧の口から漏れ出る。

其れは、本来なら万が一にも出てこない精神思考。

 

「それはこちらの言葉だな おい」

其れは、戦いでは無音を好む男には珍しい一言。

其れは、久しく感じてこなかった不可能への入口。

 

煉獄では無い彼ならば、一切鏖殺の業を背負っていない彼ならば、能力(スキル)を駆使しその防御術を十全に発揮させて優位に立てていた。

少なくとも『互いが千日手』になると云った状況は起こり得なかったであろう。

だが此処に居るのは『宝蔵院胤舜』の骨身を喰み、骸に巣食った『英霊剣豪』。武芸の道義も術理も僧には唯引き出し放つだけの道具と化している。

 

逆に並のサーヴァントであれば、不可解な業を持たず唯の力を振るう者であれば男の陸奥圓明流(最強の技)に屈していただろう。

10度戦い10度勝ち、100度戦い100度勝つ。

人界の限界に挑んだソレは遥か未来に於ける『教会の聖法技術』、『退魔の殺害技巧』にも並びうる。

だが其処に居たのは煌びやかな伝説や輝かしい経歴で英雄へ至った者では無かった。唯々技を鍛え、身を鍛え、数多全てを鍛え抜き英雄に至った同類の化物(けもの)。加えて幾ら叩き砕き切り裂いても倒れぬ不死の身体へ変生したのだから悪夢と云う他無い。

 

故に届かない。阻まれ打つ道義の無い刃線、誘われ放つ術理の無い動作。それでは男には、その強靭な身体に深く刻まれた500年を超える不敗の歴史には届かない。

 

故に届かない。腕を叩き折り、足を踏み抜き、身体の起点や急所を幾ら狙おうとも。それだけは僧には、双無しの槍捌きと一切鏖殺の業を背負った不滅の概念には届かない。

 

斜め上から男を追従する様に強襲を掛ける穂先。

同時に後ろに力抜きで倒れこむ事で避ける男。

互いの距離が離れた途端に僧は槍を下から搗ち上げ、男は反応する前に飛び起きて僧の肩を打つ。

刃先の行方は変わり、其れを男は足で落とし再び距離が縮まる。

次の瞬間には僧の低めから打ち込む三連突。

闘いの流れは澱み始め、その動きは更に激を増す。

 

ーーー勝負の音は未だ止まない。




振り返れば唯々闘ってるだけになっちゃった…。
ハーメルンの活用が徐々に分かってきたぞー!

◯今回の設定
・男(天斗)と『陸奥圓明流』のFate時空特攻。
・作中の『陸奥圓明流』は1634年迄に『修羅の刻』内に登場する技に加えて、筆者の陸奥のこんな動き格好良いよねっ!という偏見に左右されます。(最初名前無しだった陸奥の技動きが歴史を重ねるにつれて徐々に名付けられていく関係上)
・今回使った技は『旋』『金剛』の二つ。
・本来は両脚を回して後ろ回し蹴りと前回し蹴りを打つ『旋』に今回は後方転回が加わってヒットアンドアウェイの動きに。
・名前は出てきませんでしたが接近戦中に常時『金剛』を発動していました。本来ならスパッとドーン!だろうけどネ。
・筆者は昔、『旋』をベッドで何回も練習してて怒られました。
・プルガトリオさんが下を多く狙うのは宝蔵院流槍術の特徴を踏んで。胤舜さんレベルだとセイバークラスの線攻撃が全部叩き落とされる勢いなんだよなぁ。クラス相性()とは。
・プルガトリオさんの『朧裏月十一式』は「如何なる武器、武装、術」の応対者であったそうなのでむっちゃんの無手でチャレンジして貰いました。揚げ足取りってレベルじゃねーぞ。
・間違ってたら御免なさい…。許してぇ…。

余談ですが此の小説漢字率と異なり形態素率が平均の10倍ですって…個性派2次創作かな?(すっとぼけ)
漢字が多い所為か滅茶苦茶書いてる感じになるんですよね…これで3000字超えて無いってマジかよ…。
やはり後書き長いよぅ!
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