SAO≪ソードアート・オンライン≫ 神速の剣士 作:ソウルメイジ
多くのゲーマー達の夢、それはゲームを自分という体を使ってプレイすることも一つに含まれるのではないだろうか。
好みのアバターで、現実なんかよりも華麗に、強く、そしてかっこよく。
しかし、そんなものは理想に過ぎないはずだった、あのゲームが発売されるまでは……
そのゲームは2022年に発売された。
その名もナーヴギア。
形は頭にかぶせるヘルメットのようなもので、脳の信号を遮断し、それをゲームの中だけに反映させるという単純そうに見えて、かなり難しい技術を搭載した次世代ゲーム機。
このゲーム機によって人類は完全仮想空間を実現した。
そして、このゲーム機の第一弾となるゲームが、ソードアートオンラインであった。
☆
今日、俺、時雨(しぐれ) 七緒(なお)は世間のゲーマーにうらやましがられる人間の一人となったことだろう。
今、注目を集めているゲーム≪ソードアート・オンライン≫
日本の一億といる人間のたった一万の人間に与えられるゲームを俺は手にしたのだ。
ベータテストというソードアート・オンラインの試運転に希望し、1000人のみができるそれに当選した者には無条件でソードアート・オンラインを手にする権利が与えられる。それに見事に当選した友人が、あれはクリアできる気がしないから、お前に譲ってやると言ってくれたのだ。
まぁ、もともと飽き性な奴でもあったから、あれだけどっぷりとつかってしまったから時間が空いて興ざめしたというのも理由にあると俺は思っている。
『その変わり一回女装して家に来てくれ』というのが本当の理由だとは思いたくない。
あまり、自分でも好ましくないと思っているが、俺の顔や体つきは中性的のようで、よく女に間違われる。男だと主張しても、一向に受け入れてもらえないところなんかは悲しいところである。
しかし、その友人は俺に親切で操作のコツまで教えてくれたのだから感謝するべきだろう。
さて、いったい向こうの、完全仮想空間ではどのような世界が広がっているのか。
レベリングの時のステータスはやはり、いつも通り俊敏性から上げるべきであろうか。
いや、とりあえずアバターだ、現実とはまるで違う、かなりかっこいいイケメンで行こう。
男らしい感じを盛大に出した感じの奴。それこそイタイレベルのかっこよさで……
あー、早く入りたい、その世界へ。
ダイブできる時間になるまでのあと数分という時間をを今の俺はとてつもなく長く感じていた。
そして、ついに、その時はきた。
俺は、ナーヴギアの起動ワードを口にする
≪リンク・スタート≫
☆
ダイブすると、すでにそこにはかなりの人が出現していた。
おおー!!!これがフルダイブ!!!
あまりの喜ばしさに心が躍る。
自分で作ったアバターを見回したり、飛び跳ねたり体全てでその喜びを表現する。
俺のキャラの名前は≪Sion≫にしておいた。最初と最後の名前を取って[しお]に[ん]をつけただけの単純なものだが、いつでもそうしているので、ここでもそうしておいた。
そして、少しして、喜びが収まったところで俺は自分のステータスを確認した。
そこで、自分の数字を見た瞬間、思わず思考が停止した。
もう一度目をこすってそれを見た。
一回ウィンドウを閉じて、もう一度見た。
しかし、数字は変わらなかった。
これは、バグだな。多分次入ったときには修正されてるパターンか、数字だけがそうなっていて、実はそんなに強くありません、とかそういうパターンだな。
実際はこのステータスが本当で、自分が最強とかいう考えを捨て去ることができないが、それでも淡い希望を抱かない方がいいと悪い方向に頑張って考えて冷静に言葉上は否定する。
結局、そんなことをしていてもらちが明かないと思い、とりあえず友人が教えてくれた通、武器屋へと向かうことにした。
街中を歩いていると、すでにかなり仲良くなっている人が多い。
知人から、このゲームで初めてであった人まで、たぶん、ゲームを手に入れた苦労話などですぐに打ち解けられたのであろう。
結局、このゲームに盛り上がっていたこともあって、考えは否定しきれず、武器を調達したあと、すぐに俺はフィールドに向かった。
そして、そこで、これは本当に自分のステータスだと知った。
☆
狩りは人のいないところで行うことにした。
どのゲームでもそうだが、やはり圧倒的に強い人間はせこいだの、オタク特有の陰険な考え方で、全否定してくる。
努力して強くなったものならまだしも、今の俺みたいに何も知らないのに強い人間ならなおさらだ。
スキル発動の練習をひと段落終えて、街に近いフィールドに戻っていると一人の女の子に声をかけられた。
「君、もしかしてベータテスタかな?」
アバターの通りここでは男らしい口調で行くべきだろう。
「いいや、今回が初めてだが、何か困っているのか?」
「えへへ、ちょっとね。スキルの使い方とかがよくわかんなくて。レクチャーお願いできないかな?」
「そこまで力になれるかわからないが、俺でよかったら。」
「ありがとっ♪」
その女の子のアバターは実際かなり可愛い風に作られていた。相当時間をかけただろう。
現実での姿がどんなのかは知らないが、言動とかを見ている限り、多分これが素の女の子でかなりかわいい子なのだろうなと思った。
と、そこにちょうどスキル練習にうってつけな≪フレンジー・ボア≫という青いイノシシ型の敵が出現する。あれは、かなり弱いので練習にはうってつけの敵だった。
「よし、あれで練習しよう」
そういうと、女の子は敵に剣を構えて突っ込んでいく。
女の子は一生懸命剣をふるうが中々上手くいかない。挙句の果てには≪フレンジー・ボア≫に一撃を食らわされてしりもちをついていた。
「痛っタ―――、やったわね、イノシシめ!」
しかし、彼女は負けずに、食らいついていく。そんな姿がけなげで可愛かったり。
実際、この世界では痛みというのは存在しないのだが、そこは雰囲気だろう。
「スキルっていうのは、少し溜めが必要なんだ。こう、なんて言ったらいいのかな、技をチャージするように、ちょっと構えた状態でストップして」
俺は、剣を抜いて構えを取ってみる。
「こ、こうかな?」
同じような構えを女の子も取り、そして、二人のスキルの発動ができるようになる。
「今だ!」
そう言って叫んだ時に二人は同時に≪フレンジー・ボア≫へ初期スキル≪バーチカル≫をさく裂させ、そして、コンマ一秒後、≪フレンジー・ボア≫はライトエフェクトとなって散っていった。
このスキルについても、俺は一応上位スキルのある程度が使えるようになっていた。
しかし、全部が全部完全に使えるわけではないようで、何というか、中途半端に強くなるバグだな、とすこし苦笑していた。
しばらく、練習に付き合っているといつの間にか日もくれだしていた。
「もう、この辺にしておこうか。もう日も暮れてきたことだし」
「そうだね。付き合ってくれてありがとう。ダイブ、強くなった気がするよ」
そう言って、女の子はスキルで空を切る。
「最初の頃よりは、かなり強くなったと思うよ。よく頑張ってたと思うしね」
「えへへ、ありがとー。よかったらフレンド登録しない?あ、嫌ならいいよ?」
「せっかくだしな、しておこうか」
「よく考えたらお互いの名前も知らないしね」
「そうだな」
二人は、お互いに苦笑し合う。
そうしている間に俺の画面に≪Nagisa≫からのフレンド登録のメッセージが届く。
それにOKボタンを押して、フレンド登録を完了させる
「シオンっていうんだね」
「まぁ、本名じゃないけどな」
「それは、お互いさまよ。それじゃあ、落ちるね。晩御飯の準備もあるし」
「お疲れさま」
そう言ってログアウトしようとする彼女に疑問符が浮かぶ。
「あれ?ログアウトってどうやってするんだったっけ?」
「普通に、メインメニューボタン一番下にログアウトボタンがあるはずだぞ?」
「無いんだよ、それが」
また、バグか……。
そう思いながら、俺もメインメニューを開く。
しかし、俺のところにもログアウトボタンもなかった。
一瞬、頭の中に嫌な考えが走った。
とそこに、鐘の音が鳴り響く。
そして、二人の体は光に包まれた。
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