SAO≪ソードアート・オンライン≫ 神速の剣士 作:ソウルメイジ
文字数が大量で読みづらいかと思います。
申し訳ありません。
光から解放された時、俺とナギサは始まりの町へと転送されていた。
そのことで少し安堵の息を俺は心の中でついていた。
俺の中をよぎった嫌な考えというのは、このままずっとログアウトができないというものだったのだ。
ナーヴギアは、完全に脳と体を切り離している。もし、そんな状態でログアウトボタンがなくなってしまえば、当然ゲームからの脱出ができなくなってしまう。
しかし、このように強制的に何かをされるということは当然なにかをやるということ。それにこのログアウトボタンの説明も含まれるであるだろうとふんだのだ。
「ねぇ、これから何が始まるのかな?」
ナギサが不安そうに顔を曇らせ俺の裾をギュッと握る。
「多分、ログアウトボタンの説明、もしくは、オープニングセレモニーかなにかだろう。そんな不安がらなくても大丈夫だ。」
「本当に?」
「ああ、大丈夫だ」
俺は、ポンとナギサの頭に手を置いた。
すると、安心したのか、すこし顔色が良くなった気がした。
「おい、あれ、ゲームマスターじゃねぇか?」
周りの誰かから不意に聞こえた声。
それにしたがって、俺とナギサはその指差す方を見た。
そこに映っていたのは真紅のフード付きローブを纏った姿
まさにゲームマスターの姿があった。
しかし、そのゲームマスターにはどういうわけか顔は無く、異常なまでに大きかった。
『プレイヤーの諸君。ようこそ、私の世界へ』
両手をゆったりと広げ、ゲームマスターは低く広がる声で言葉を続ける。
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。』
かやば…あきひこ………!!!!!
思い出した。
茅場晶彦、このナーヴギアを完成させた天才科学者。
しかし、なぜ彼がここに?
『プレイヤー諸君はすでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気づいていると思う。しかし、これはゲームの不具合ではない。』
一体、茅場晶彦は俺たちに何が言いたいんだ?
『繰り返す、不具合ではなくソードアート・オンライン本来の仕様である。諸君は自発的にログアウトすることができない。また、外部の人間によるナーヴギアの停止、あるいは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合は、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが諸君の脳を破壊し生命活動を停止させる。』
なん……だと!?
隣の裾を握る力が一層強くなるのを感じ、そちらの方を少し見やると、今にも泣きそうな顔をし震えながらながら黙っていた。
俺は、そっとこちらに体を抱き寄せた。
「大丈夫、大丈夫だから」
まるで、母親が子供に言い聞かせるように優しく穏やかな口調で、俺は彼女に安心感を与えようと努める。
が、やはり震えはやまずその表情も変わらなかった。
周りは、あまりの突飛的な話に現実を受け入れられず、ばかばかしいと口々につぶやいて、どこかへ出ていこうとしている。
が、そこから出ることはできない。
なにか、目に見えない特殊な壁が、彼らの進行を阻止する。
確かに、ばかばかしいと思う。しかし、俺はどうしてもその言葉を偽りとは思えなかった。
多分、ナギサもどこか直感的な部分でそう思ったのだろう。
『残念ながら、現時点でプレイヤーの家族、友人などが警告を無視しナーヴギアを強制的に解除しようと試みた例が少なからずあり……
その結果213名のプレイヤーがアインクラッドおよび現実世界からも永久退場している』
胸に衝撃が走った。
もう、何も考えることができなくなるほどに強く、茅場から放たれた事実は俺の胸を突いた。
213人もの人間がこのゲームをしたがために死んでしまったのか……そんなのおかしい。おかしすぎる!
と、そこで俺の裾を引く力がなくなった。
隣を見ると、ナギサが倒れていた。
「おい!しっかりしろ!ナギサ!」
嫌な考えだけが、俺の頭を支配した。
死ぬな!死なないでくれ!
『御覧の通り、多数の死者が出たことを含め、この状況をあらゆるメディアが繰り返し報道している。よってすでにナーヴギアが強制的に解除される危険は低くなっていると言ってよかろう。諸君らは安心してゲーム攻略に励んでほしい。』
自分の周りに多数のニュースパネルを表示させ、死亡の事故が現実で起きていることを淡々と説明する。
これだけ、長時間立って消えないということはただ単に気絶しただけか……
とりあえず、ホッと一安心し、次に人の死を何とも思わない茅場を強く睨み付けた。
『しかし、充分に留意してもらいた。今後ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。HPが0になった瞬間諸君らのアバターは永久に消滅し、諸君らの脳はナーヴギアによって破壊される。』
ゲームでの死は現実での死、か……
ここまで来ると、どっちが現実かわからなくなってくるな。
いや、こう考える方がいいのか。このゲームがもう一つの現実だと。
『諸君らが解放される条件はただ一つ、このゲームをクリアすればよい。現在君たちがいるのは、アインクラッドの最下層の第一層で、各フロアの迷宮区を攻略し、フロアボスを倒し、上の層へ上り第百層にいるボスを倒せばクリアだ。』
ここで、俺はもう考えるのを辞めた。
これ以上は考えても疲れるだけだ。驚くのも、怒るのも、不安がるのも、結局は意味のない行為だ。
こうしてある現実を受け止める以外に方法は無い。
それにしても、百層か……気の遠くなるような話だな。
『それでは、最後に諸君のアイテムストレージに私からのプレゼントを用意してある。確認してくれたまえ』
言われるがままにアイテムストレージを確認する。
あるはずのないアイテムストレージに一つ、アイテムがあった。
手鏡。オブジェクト化してみたが何の変哲もないただの手鏡だった。すると、次の瞬間、俺たちをここへ強制転送したときと同じ光が俺の体を包んだ。
そして、次に目を開けた瞬間鏡の中に写っていたのは
「俺、なのか……?」
間違いなく、現実のそれと寸分たがわぬ時雨 七緒の姿だった。
声から、身長まで、ご丁寧に再現されていた。
もう、この際なぜとは問わない。
逆に冷静になっていた俺は、他のことを考えるような余裕まで手にしており、結果、ナギサの素顔が気になった。
光に包まれたことで手から離れたナギサを探すとすぐ隣に
、アバターとあまり変わり映えしないかわいらしい、そして活発的な雰囲気を持った女の子が倒れていた。
他のところではお前男だったの!?、などといろいろ声が上がっている。
多分、大幅にこのゲームの男女比も変わっただろうと思う。
『諸君は今、なぜと思っているだろう。なぜ、ソードアート・オンラインおよびナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのかと。』
思っていない。興味ないな。と心の中で一応突っ込んでおく。
『私の目的はすでに達成せられている。この世界を作り出し観賞することためにのみ、私はソードアートオンラインを作った。そして今、すべては達成せしめられた。以上でソードアート・オンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の検討を祈る。』
そして、巨人は姿を消した。
周りが一斉に騒ぎ出す。
俺は、その中をナギサを抱えて颯爽と宿屋へ向かった。
とりあえず、この空気から逃げたかった。
俺は、彼女にどう伝えたらいい。
大丈夫と言ってしまった俺は、どうしたらいいんだ?
そんなことを考えながら宿屋へ向かった。
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「まぁ、そこそこかな」みたいな一言だけでもいいのでいただけたらと思います。
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