「えー君が受けた傷よりは浅くしてあるよ。まぁでも、衝撃でぶった切るのが転式だからね、しばらくこの二人は気絶してるかな。よっと...とと。」
戦闘を終え、茜は変身を解除する。少しふらついたのは戦闘の疲労からだろうか。
「頑張りすぎちゃったね...ふぅ...」
「茜...無事なのか?」
「無事ではあるよ、でも結構疲れちゃったかな。...教え子を叱るのはほんとに心が痛むね...ギアちゃんは無事?3秒耐えられた?」
「は、はい...」
「なればよし。さて、えー君の治療のためにも移動しなきゃだけれども...」
「そうは問屋が卸さなさそうだ...」
肌寒い。それは雪国だから当然なのだが、それとは一線を画す肌寒さが上空から来ている。見上げるとそこには、水色とピンクの髪をしている双子の女神候補生がいた。
「冗談きついぞ連戦は...」
「というかえー君手負いでしょ...けど、連戦しんどいは事実だね。」
「あれは...!」
三者三様の声を上げ、三人ともその双子を見据える。
「くろすけとしろっちになんてことしてるのよ!」
「許さない...!」
両断されたデュアライザーを回収し、二人から放たれる魔法を避ける。
「ちょっとえー君!?傷そこそこ深いんだから動いちゃダメだって!」
「んなこと言ってる場合か...!ギア、少し任せる!」
「え、影さん!?」
「茜、それをよこせ!」
「え、えー君まさか!?」
「そのまさかだ。規格が同じなら、シェアデュアライザーとしてそれも使える...だから!」
「だめだよえー君、いくら何でもその傷じゃあ!」
「たとえあの二人に殺意がなくたって!俺は...お前がいなくなるかもしれないのが怖い!だから...護る。護らせろ。俺がまだ、『人間』であるために...!」
本心だった。本心が出てしまった。
もう二度とというと変だが、俺はもう二度と茜を失うわけにはいかない。俺のせいで茜は死んだんだ。だから...俺は。
「えー君......」
「頼む茜...ギアだけじゃ数の暴力でいずれどうしようもなくなる。だから。」
「...ずるいなぁ...けど、これにMECは挿入できないよ。私用のチューンだけど...そのまま使ってえー君。それで私を護って。」
茜からマジェディヴァッガーを受け取る。不意に、茜が俺を抱きしめた。
「茜...?」
「私もえー君を護るよ。えー君が私を必要なように、私もえー君が必要なの。だから。」
茜の腕の力が少し強くなる。
「愛してるよ、えー君。」
「...ありがとう、茜。行ってくる。」
そう言った後茜が離れたのとギアが俺の背後に着地したのはだいたい同時だった。
「...いつまでイチャイチャしてるんですか...!」
「イチャイチャ、か。昔も言われたような気がするよ。」
「はぐらかさないでください...!」
「はいはい。でもまぁ、よくやったよ、ギア。自慢の妹だ。」
「え...?あなたは一体何を言ってるんですか?」
「...世迷言さ。もうちょい付き合ってもらうぞ。」
マジェディヴァッガーを腰に巻き、起動する。
深紅の霊装、ご丁寧に脚はスカートではなくなっている。そこはちゃんと調整してくれたようだ。短時間でよくやったよ...あるいは止めても無駄だと把握してこっそりいじっていたのか...
「俺に紅は似合うかどうかは知らんが...ロム、ラム。すまんが一回仕留めさせてもらう。」
大剣を構え、俺はそう言い放ったのだった。
次回、第19話「二人いるから」
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