再編世界の特異点   作:Feldelt

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第27話 心の天秤

「導入ぶっ飛ばして本題だ。ネプギアはゲイムキャラの保護を最優先。俺は好き放題に暴れさせてもらう!」

 

なーんて、そこそこ考えることを放棄してるようにも見えるけど...ここにつくまでえー君何もしゃべってないんだよね。だから私が把握したことしか言えないんだけど...えー君、私に戦わせない気だ。何があっても。どんな目にあったとしても。

 

「げ、もう来たのかよ!?」

「なんだ、下っ端と...有象無象のモンスターだけか。相手にもならないな。」

 

えー君は既に臨戦態勢。きっとあの程度の量なら数分で終わらせられる。普通なら。けど相手はリンダ君。逃げ道を探るのは一級品。

 

「こんにゃろ...ブレイブ様もトリック様もここに着くまでに女神候補生に会って到着が遅れてるって時に...!」

「...!ネプギア!ここ任せる!この程度お前がなんとかできなきゃダメな量だ!...茜...!」

 

リンダ君の口走った情報。えー君はそれだけで作戦を変えた。そして、私にも声をかけた。それだけ、えー君の天秤が傾いたということ。

 

「ラステイション方向だね、りょーかい!」

「頼んだぞ、そして...帰ってこい。ネプギアも。」

「......はい!」

ギアちゃんの返事を皮切りに、私とえー君は戦域から離れる。頼んだよ、ギアちゃん!

 

 


 

 

全速力、出しうる限り限界の速度を叩き出した俺は戦域離脱から5分で無事トリックとロムラムを発見した。絶賛ドンパチしているが...ロムラムはもうボロボロといってもいい。きっと後先考えず魔法を連発した上に舌を避けるのに体力を消耗したからだろう。対してトリックはピンピンしている。気に入らん。

 

「穿つ...!」

「む、ぬおう!?」

『誰っ!?』

 

銃剣のビームは避けられたが...注意は上空の俺に向けられた。

 

「ただの悪魔だよ...四天王トリック・ザ・ハード、その命もらい受ける。」

 

white heart

white sisters

 

「その力は...面白い。」

 

duallized!

 

纏うは白の姉妹の力。圧倒的冷気。圧倒的魔力。魔法は外付けの変換機構で使ってただけにいきなりこの量...酔いそうだ...だが。

 

「凍てつけ...全て。」

 

右手に大斧を顕現し、氷をそれに纏わせる。

 

「《ヌル・シュラーク》ッ!」

 

氷斧一閃。トリックは防御姿勢を取り防ぐ。やはり、俺一人では撃破までは行きつかない...!

 

「ロム、ラム!なんでもいい!魔法を奴に撃て!」

『えっ...』

「躊躇するな!倒すんだろ、こいつを!」

 

吹き出す冷気でトリックをその場に抑えこんではいるものの。これが限界なのが今の俺の現状...そして...

 

「ふん...その程度か?」

「やっぱ隠してるよなぁ!」

『えぇい!』

 

氷が割れるのと魔法が走るのは割れるのが先...ちっ、手詰まりだな...

 

「アクククク、貴様のその力...やはりそれが限界か。」

「悪かったな...限界で!」

 

魔法適正が低いせいか威力が出ない。だったら...!

 

arms drive singllized!

 

「これで、消す!」

「アクククク、まだ青いな若造。」

「っ...!?」

 

出力を下げたのが仇となり、待ってましたと言わんばかりの奴の攻撃を受ける。

 

「なるほどな...しゃあない退くぞ、長居は無用だ!来い!ロム!ラム!」

「来いって...いきなり何よ!」

「リーンボックスに行くんだろ!?だったら来い!こいつの舌に絡めとられるか俺についてくるか選べ!」

 

黒切羽でトリックをロムラムから離しながら引く準備を整える。

 

「だったら...行く!」

「ロムちゃん!?」

「あの人強かった...私も、強くなりたい...!」

「私だって!...行こう、ロムちゃん!」

「うん!」

 

ロムラムがこちらに来る。茜が同じことを考えていれば...候補生四人、まとめて鍛えられるか...

 

「ぬぅ、みすみす逃がしてなるものかと言いたいが...アクククク、これもこれで一興よ。」

「...今度は殺す、確実に。」

 

ルウィーの戦域から離れ、ロムとラムを連れてリーンボックスに戻ることにした。無事だろうかネプギアは。

 

 


 

 

ラステイションとの国境近く、爆発がいっぱい起きてどったんばったん大騒ぎのはちゃめちゃ大パニックなんだけど...原因はすごく簡単。ユニちゃんとブレイブが戦っているから。そして戦況を判断するのも、あまりにも簡単だった。

 

「ほっとくのもまぁいいんだけど、ね。えー君を心配させたくないし、きっとえー君が考えていることはユニちゃんの回収...どこまで強くなれるのかな、あの子たちは。」

 

多分、えー君は何も言わずに女神候補生たちをじゅーりんすると思う。それはそれはもう完膚無きままに。だけど...そうじゃなきゃいけないて思ってるえー君は大丈夫なのかな。

 

「考えるのはあと、か。ギアちゃん待たせるわけにもいかないし。」

 

私は大剣を構えて戦域に降りていく。ブレイブとユニちゃんの間に大剣を投げて突き刺し、粒子をはためかせて柄の上に立つ。

 

「あなたは...」

「仙道か...!」

「やっほー、2人とも。邪魔しちゃってごめんね?けど...そうせざるを得ないわけだったのさ。ねぇブレイブ、ユニちゃん、弱かった?」

「うむ。覚悟も力も弱い。だが何故聞く。貴様ならその目でわかるはずだ。」

「っ...」

「そうだね...でも、言葉で聞かせたかったから。わかった?ユニちゃん。ブレイブの覚悟には遠く及ばないし、力ももちろん及ばない。私が来なかったら、いくら女神候補生といえど死んでたんじゃないかな。よかったね、命拾いしたよ。」

 

地面に立ち、大剣を抜いてブレイブへ向ける。

 

「ブレイブ、預けられた勝負はまだ預かっておくよ。きっとお互い万全じゃないんだし、さ。」

「ふん、やはりその目は誤魔化せんか。ならばこちらも今は剣をひこう。」

「...君のそういうところ、私は好きだよ。じゃあ行こうかユニちゃん。あなたの身の程をわきまえさせてくれる場所へ。」

 

ブレイブの撤退を確認し、私はユニちゃんを見る。あからさまに悔しがって、折れている。あぁ、ほんと...見たくないなぁ。

 

「...なんですか、あなたは...いきなりやってきて弱いだとか身の程がどうとか!何が、何がわかるんですか!」

「何が...か。何もかも、だよ。」

 

言葉と同時に向けられる銃口をそれが来るとわかっていたと言わんばかりに大剣で銃身を弾く。私の大剣は剣先からビームも出せる。剣先をユニちゃんの目の前に向けながら私は続ける。

 

「技術も足りないときた。あなたには何があるの?ノワールを助けたいんでしょ?足りなすぎる。何もかも。ほっとけばよかったと思うくらいには私は後悔してる。だから見せてよ。私の後悔を裏切ってくれるような輝きをさ。だからえー君は...救いようもなく弱いあなたを必要としているの。」

「っ...!」

 

必要という言葉は刺さったみたい。ここまで私が嫌われ役を買って出たのはすべてこのための布石。きっとえー君なら「俺を後ろから撃ちながらついてこい」くらい言いそうだけど...いや、いっそ私も言っちゃうか。

 

「まー、正直使い物になるかもわからないってのが正直な感想。悔しかったら私を背中から撃って当ててみせてよ。そしたら考え直すかもね。それじゃ、おいで!」

「...あーもう!好き勝手言って!ほえ面かかせてやる!」

 

よし、何はともあれ無事ユニちゃんを連れだすことには成功したし...ギアちゃんさえうまくいけば、何とかなるかな。

 

「待ちなさい!」

「遅いし狙いも甘いって!」

 

...ちょっと大変だけどね。

 

 


 

 

俺がロムラムを引き連れてリーンボックスに戻ってきた時、ネプギアはへたり込んでいた。敵影はなし。ゲイムキャラも無事。なるほど優秀じゃないか。

 

「無事か、ネプギア。」

「影さん...ゲイムキャラさんは無事です。モンスターも、全部倒しました。」

「そうか。よくやった...よくやった。」

 

自然に、無意識にネプギアの頭の上に右手を置いていた。そしてそのままなのもあれだから撫で始めることにした。

 

「ちょ、影さん...いきなりなんですか...!」

「...いや、強くなったなってさ。」

 

遅れてロムラム、茜とユニも来た。

 

「ただいま2人とも!って、ギアちゃんずるい!えー君私もなでなでしてよー!」

「幼子か!...後でいいか?」

「じゃあ...とびきりのやつ!」

「なんだよそれ...」

「...ねぇネプギア。茜さん、またキャラ変わってない?」

「いつも通りに見えるけど...」

「えぇ...さっきとはまるで別人じゃない...」

 

コホン、と咳払いをする。

 

「女神候補生をここに集めたのにはわけがある。ネプギア、ゲイムキャラの協力は。」

「あ、ちゃんとお話して力を貸していただけることになりました。」

「よろしい。ロムラムユニ、お前たちの目標はなんだ。」

「もくひょう...?」

「きまってるじゃない!おねーちゃんをたすけることよ!」

「そうです...アタシもお姉ちゃんを...!」

「そうだ。手段は違えど目的は同じ。...茜。」

「ん、プラネテューヌに戻ってシミュレータフル運用だね。話はもうつけたよ。」

「...という訳だ。敵は残念ながら強大だ。単騎ゴリ押しには無理がある。よって...俺が満足できる領域までお前たちを鍛え上げる。確実に、四天王は屠れる領域までだ。なにか質問は?」

「ひとつ、いいですか?」

「なんだ、ネプギア。」

「四天王は...茜さんによると確かジャッジ、ブレイブ、トリックって言う話でしたけど、もう一人は誰なんですか?」

「あー、それ私。」

「やっぱりな...だそうだ。」

「いやスルーしちゃダメでしょ!なんで元四天王が私達に!?信用しちゃダメよ!」

「そーよ!しんじろってほうがむずかしいわ!」

「こわい...(ぶるぶる)」

「やっぱりこうなるよねー。どーしよえー君。」

「自分で蒔いた種だろ...安心しろ、茜は俺のそばにいる。もう敵になるこたない。絶対にだ。それに...四天王との実質の模擬戦ができるんだ。実力を試すにはちょうどいいだろ。それじゃあプラネテューヌへ向かう。各員ついてこい。ちなみに...俺と茜を背中から撃ちながら追いかけてきてもいいんだぞ?」

「なによ、ばかにしてるの!?」

「まほうあてる、とくい...!」

「それじゃ、お手並み拝見だよ。ユニちゃんは第2ラウンド。落としてみせてよ!元四天王を!」

 

とまぁ、半ば焚き付けで候補生達を躍起にさせることには成功したし...あとはひたすらに、か。

 

 


 

 

「ふふ。ここまで計画通り。女神候補生を束にし、四女神を救出する。救出されてももうこちらには影響がないし、なんなら犯罪組織がおまけのように壊滅されるかな。彼の考えるようなことだ。てことは...やはり私は復讐者足りえるということだね。保険もかけてある。たとえこの身砕けたところで...時雨お姉様の仇、取らせてもらうよ、凍月影。」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、第28話「力の本質」

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