いちかとひまりの二人でバケツプリンを作り上げる中、いちかはりすをモチーフにしたプリンをひまりに渡した。
「はい、あげる」
「えっ?これってリス?」
「そう!有栖川さん、リスっぽいから、私はうさぎ……なんちゃって……リス嫌い?」
「好きですよ」
何というかプリン作りで二人の絆が深まった気がするな……
「クロト、本当に嬉しそうだね」
「そんなわけ無いだろ」
「そっか」
ナタラの問いかけに俺はそう答えるが、いちかとひまりのことを見ていると何だか嬉しくなってきていた。それに……
『クロトはもう少しミナトとセリューとの距離を縮めたほうが良いよ』
あいつの言葉を思い出していた。
そんなときだった。突然大きな音が響き渡り、俺達は外に出るとそこにはプリンみたいなカラーリングの怪物が暴れていた。
「キラキラル、見~つけた!」
怪物は口を大きく広げ、いちかとひまりが作ったバケツプリンのキラキラルを吸い込み、バケツプリンは灰色に変わった。
「まだプリンがあるな~そいつを寄越せ!!」
怪物はひまりが持っていたリスプリンのキラキラルを吸い込もうとしていた。俺は飛び出し、怪物の顎を蹴り上げた。
「ぐほ!?」
「クロトさん!?」
「悪いがこれは食わせるわけには行かねぇな!!オウガデーモン!!」
俺は黒い鎧に身を包み、金棒を構えた。
「えっ?えっ?鎧が?えっ?」
戸惑うひまり。するといちかが戸惑うひまりの前に出た
「これは二人で作った大事なプリンなの!だから私には渡さない!長老!プリキュアになれば守れるんだよね」
「そうジャバ!」
「いちか、変身するペコ」
「い、犬が喋った!?」
いちかが想いの力で結晶化したアニマルスイーツを、スイーツパクトに装着した。
「キュアラモード・デコレーション!ショートケーキ!」
パクトにある星型のボタンを押すと
「元気と笑顔を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアホイップ! できあがり!」
ウサ耳をつけた姿に変わった。
「行くよ!クロトさん、ナタラさん」
「あぁ」
「任せて」
三人で怪物に蹴りを喰らわせるが、怪物は痛がる様子もなく反撃を喰らわせてきた。俺とナタラは避けるがホイップは喰らってしまい、吹き飛ばされた。
「ホイップ!」
ナタラが吹き飛ばされたホイップを何とかキャッチする。打撃を吸収するのか。面倒だな
「どうして、あの怪物は……」
「きっとそのプリンのキラキラルを狙ってるペコ!」
「それじゃ宇佐美さんたちはこのプリンを守るために……」
怪物に対して、攻撃が通じず、あっちの攻撃は通じるのか。
「仕方ねぇ!!使うか」
俺は金棒を地面に突き刺そうとした瞬間、ホイップとナタラの二人が怪物に踏み潰されようとしていた。俺は助けに行こうとした瞬間、
「待って、待って、待ってくださー――――い!!」
ひまりの大声を聞き、咄嗟に怪物は動きを止め、俺はひまりの方を見るとひまりはまばゆい光に包まれていた。
光が消えるとひまりの元にプリンのアニマルスイーツとスイーツパクトがあった。
「これって……」
「ひまり、助けたいんだろ。ならもう分かってるはずだ」
「クロトさん……はい!折角できた友達をなくしたくないんです!キュアラモード・デコレーション! プリン!」
ひまりはスイーツパクトにアニマルスイーツを装着し、
「知性と勇気を! レッツ・ラ・まぜまぜ! キュアカスタード! できあがり!」
黄色の衣装に、リスとプリンをモチーフにしたプリキュアに変身したひまり。
「よし、行くぞ……あっ」
カスタードが俺の隣に並び立とうとしていたが、何故かものすごいスピードで通り過ぎていった。まだ変身したてだから慣れてないのか?
そして転びそうになったカスタードをホイップがキャッチしていた。
「大丈夫?」
「あっ、宇佐美さん……」
「ねぇ、さっきの言葉……」
「あっ……ご、ごめんなさい……私、勝手に友達って……」
「友達じゃん」
ホイップは笑顔でそう告げ、カスタードも笑顔で返した。
「和んでる場合じゃねぇぞ!!」
「クロト、そこは空気を読んで……でもどうするんだ?攻撃は通じないんじゃ……」
「確かに攻撃は通じないが……あくまであの怪物には打撃が通じないだけだ。だったら……」
俺は金棒を地面に突き刺し、2つに割った瞬間、金棒が二本の刀に変わった。
「切り刻むだけだ!!」
俺は飛び出し、怪物を切り裂いていく。その隙にカスタードがクリームで怪物を縛り上げていく。
「ホイップ!」
「任せて!」
動きを封じた怪物に向かって、ホイップが白いクリームで怪物を包み込み、吹き飛ばすのであった。
「これで終わりか。にしてはあの女、出てこなかった」
てっきりカノンとかいうやつが出てくるかと思っていたが、警戒し過ぎか?
戦いも終わり、俺はひまりにある事を伝えた。
「えっと、つまり戦いのときにクロトさんを守ったら駄目なんですか?」
「俺は女に守られるのが大嫌いだからな」
ひまりを睨みながらそう告げた。てっきりひまりは怯えるかと思ったが、しばらく考え込み…
「あの一緒に戦うのはいいんですか?」
「あぁそれは大丈夫だ」
「分かりました。でも、もしかしたらうっかり守ったらごめんなさい」
「………その時は俺が判断しておく」