捏造設定あります。
200年前、とある平野で戦う者たちがいた。
額から大きな角が二本。まるで鳥のクチバシの様なそれはその者が人間でないことを物語っていた。
『十三英雄』と呼ばれる彼らが対峙するその者は『蟲の魔神』と呼ばれている。
「ガッ……カ…」
暗黒騎士が振るった剣の一撃を受けて『蟲の魔神』の左手が切り落とされた。
「………」
暗黒騎士の持つ剣の1つ、とてつもない切れ味を誇るそれが腕を切り下したのだ。
「どけ!ダーク!」エアジャイアントの戦士長のニッグが大剣を振り回す。
「………」
暗黒騎士ことダアクはそっと離れた。
「おら!次は俺の番だ!さっさとくたばれ!このデカブツ」そう言ってニッグは大剣を振るう。
「…エセ…ャナ…ヲ…エセ」『蟲の魔神』は大剣を片手で掴んだ。
「こいつ!放しやがれ!」
その言葉に反応したのか、『蟲の魔神』は掴んだ大剣ごとニッグを投げ飛ばした。
「うぉぉぉっ!嘘だろ!?なんつー馬鹿力だよ!」
ニッグは仲間であるエルフのオベイロンに抱き止められれる。
「ふん…どうせ抱き止めるなら
「それはこっちのセリフだ」
「エセ!……エセ!」そう言って蟲の魔神はオベイロンに向かって歩いていく。
「<
「エセ…エセ」
「これも効かぬか……」
「……エセ……ャナ……ヲ……エセ……!!ッ」
蟲の魔神が屈むようにして倒れた。その背中には大きな切り傷があった。
「遅いんだよ!イジャニーヤ!」叫んだのはニッグだ。
「若い者はこれだから……」白い髭を生やした男イジャ二―ヤの手に握られている鎌の刃からは血がついていた。
「…エセ……エセ!!」
そう言ってイジャニーヤは蟲の魔神から距離を取るため飛び跳ねた。
やがて蟲の魔神は起き上がると身体中から電気がバチバチと発生する。
「また来るぞ!」
リーダーのカイズのその言葉を聞いて全員が『蟲の魔神』から距離を取った。
「……エセ!!……エセ!!」
電流の嵐が周囲一帯を飲み込む。
あらかじめ距離を取ったおかげで巻きこまれずに済んだ。
『蟲の魔神』はカイズに向かって右手をかざす。
「レ……ル…ガン」蟲の魔神の右手から電気の波動が飛び出る。
「リーダー!危ない!」
そう言ってツアーはカイズの前に立った。
「ツアー!!?」
辺り一面が吹き飛ぶ。
平野に咲いていた雑草は燃え散り、地面は抉れていた。
十三英雄たちも傷は負ったも重傷という程ではなかった。
だがツアーは仰向けに倒れた。
「ツアー……お前……」
仰向けになったツアーの姿を見て一同は驚愕する。
「訳は後で話す。今はあいつを倒すのに専念しよう」
ツアーの鎧は砕け散っていた。鎧の胸部と腹部辺りが砕け散っており、そこには誰もいなかったのだ。
「……分かった!みんな戦いはこれからだ!」
カイズのその言葉に皆が鼓舞される。
「リグリット!!」
「ツアーめ、後でチクチク文句を言ってやるわ」
「お手柔らかに頼むよ。リグリット」
そう言ったツアーの言葉は普段と同じであった。それを聞いてリグリットは鎧の中身に不可視化したツアーがいるのではないと確信した。
「そんなことが言える立場かのう。お主」
そう言うとリグリットは召喚魔法を唱える。
「出でよ。
リグリットが召喚したデスナイトが咆哮を上げる。
「あの蟲の魔神を足止めせよ」
その命令を聞き、デスナイトが蟲の魔神に向かって走っていく。
「……エセ…………ャナ……ヲ……エセ」
蟲の魔神はデスナイトを葬り去ろうと拳を振り上げた。
それは確かに本来なら一撃で葬りさるには十分な威力であった。
だが『蟲の魔神』は知らなかったのだ。デスナイトにはどんな攻撃も1度だけ耐えきれる性質があることを。
だから倒せなかったデスナイトを見て戸惑い、一瞬の隙を作ってしまった。
そして気付けなかった。自身の頭上を一人の少女がいたことに。
「
そう言って
「カッ!!…………エセ……」
キーノが蟲の魔神に向かって魔法を放ったことで口や鼻らしき部分から泡を出し、身体が痙攣を起こす。だが致命傷とまではいかずまだ立っていた。本日3回目であるにも関わらずまだ倒れないのか。
だが蟲の魔神は大きな隙を見せてしまった。
「みんな!一気に行くぞ!」
この後、蟲の魔神に向かって一斉にあらゆる攻撃を放った。
そして最後にカイズが剣を振り上げて……
「エセ!……ャナ……ヲ」
振り下ろした。
その一撃を受けて『蟲の魔神』はついに倒れた。
「アッ……アッ……」
『蟲の魔神』の身体から光の粒子になって消えていく。粒子が天に吸い寄せられるように消滅していく。まるでその様子は『雲』から降った『雪』が戻っていくようであった。
「『蟲の魔神』・・・お主もか」そう言ってのはリグリットだ。今まで倒してきた『魔神』たちも何体かは同じようにして消滅していったのだ。
「今回勝てたのはキーノがいたからだろうな」
そう言ってニッグは自分の大剣を納めた。
「ほっ……ほっほっ。やはり若いものが一番じゃな」イジャニーヤがそんなことを口走る。
「うるさい!このロリコン爺!」
彼らは消えていく『魔神』に目を向けた。
「……カエセ……ャナ……ヲ……エセ……」
「カエセ?……『返せ』か?……一体何を返せというんじゃ?」リグリットは疑問に思う。何故そもそも『魔神』は各地で暴れまわった?
(スレイン法国あたりなら何か知っているかもしれんのう)
だが次に蟲の魔神が言った言葉を聞いてリグリットはその理由を知ることになる。
「カエセ!スルシャーナサマヲ!カエセ!」
『蟲の魔神』はこちらに向かって手を伸ばす。その瞳には涙が浮かんでいた。
「……スルシャーナサマ……」
やがて『蟲の魔神』は完全に消滅した。
「…………」
「リーダー?どうかしたのかい?」
ツアーが声を掛ける。リーダーの表情はどこか険しく見えた。
「…………後何回こんなことを繰り返せばいいんだろうな」
リーダーはそう言って涙を流す。
「兄貴は優しいな!」そう言ってリーダーの肩を叩いたののはゴブリンのジュゲムだ。
「そんなんじゃないんだ……」
例え、『魔神』と呼ばれる存在でさえ倒すことに心を痛める優しい青年カイズ。
身体も心も傷つきながら剣を振るい続けた英雄……
それが彼ら『十三英雄』の知るリーダーの姿であった。
幸か不幸か
彼が『本当に』『背負っているもの』を知るのはこの場には『一人』しかいなかった。
軽いネタバレ:魔神(六大神のNPC)が暴走した理由は六大神のギルド武器破壊ではない
まず最初に簡単なキャラの説明が入ります。
原作では二つ名しか知られていないキャラに名前がついています。
苦手な方はご注意下さい。
一応キャラの設定です。
設定の変更あるかもです。
カイズ
十三英雄のリーダー。人間の青年。
リグリット
死霊術師。
デスナイトを召喚できる。
自身の気配に『死』(気配を文字通り殺す)を与えるスキルを持つ。
キーノ=インベルン
『国堕とし』と呼ばれた伝説の吸血鬼。
実は共に旅をしていた。
ダーク
『暗黒騎士』と呼ばれる男。
悪魔との混血児らしい。
なおダークはフルネームではない。
ニッグ
エアジャイアントの戦士長。
大剣を扱う。
オベイロン
エルフの男。実はエルフの王。
イジャニーヤ
隠密に特化した人物。
鎌を扱う。
ロリコン疑惑がある。
ジュゲム
ゴブリンの王。
リーダーを「兄貴」と呼び慕う。
ツアー
「白銀」の二つ名を持つ人物。
その名の通り白銀の鎧を纏う。
その中身は誰も見たことがない。
『蟲の魔神』
電気系の魔法を使いこなす蟲。
何かを戦闘中にずっと呟いている。