オーバーロード<落書き集>   作:おしるこをしるこ

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IFルート 小さな世界(ワールド)

 

アーグランド評議国。

 

その国の最も重要な場所に一体の竜がいた。

 

 

 

 大きな開けた空間。そこに巨大な竜が一体眠っていた。竜は何かを感じ取ると目をパチリと開け口を開く。

 

「アインズかい?」

 

 その竜の問いかけに答えるように何もない空間から一人の人物が姿を現した。普段の黒いローブではなくとても目立つ赤いローブを着ていた。どうやら今回はフル装備ではないらしい。

 

 

「久しぶりだな。ツアー」

 魔法によって不可知化していた不死者(アンデッド)。今は【魔導王】と呼ばれるその人だ。もう彼がそう呼ばれてから少なくとも百年以上は経った。きっと百年前ならば共に旅をした仲間がそこに立っていただろう。

 

 

「やぁ。アインズ……いや今はモモンガ(・・・・)と呼ぶべきかな」

「あぁ。(・・)一人で来ているし。その名前で呼んでもらって構わない」

 

 

「そうか。……それで何か用かい?君がわざわざ来たということは厄介事だろう。あの"ぷれいやー"たちの件はこの前のことで終わったし…新しく"世界級(ワールド)アイテム"か"ギルド武器"でも見つけたのかい?」

 ツアーは問う。これは竜全般に言えることだが優れた財宝には興味がある。そしてそれはツアーにも同じことが言えた。

 

(前回の揺り返しの時、あの"ぷれいやー"たちが持っていた世界級アイテムは確か【ダヴはオリーブの葉を運ぶ】だったはず。またあのアイテムの様なものが見つかったのだとしたら嬉しいが……)

 

 

「残念ながら違うな。この前伝えた通り以上の新しい情報はない」

「それは残念だね。まぁ…"ぷれいやー"や悪しき者たちの手にさえなければそれでいいんだがね。もしかして"ぷれいやー"以外の何か厄介事かい?」

 続けてツアーは問う。本当に残念だがこれは本音だ。どんな強大な力を持つアイテムもそれが使用されない限りは無害だ。本当に大事なのは道具そのものの危険度ではなくそれを使う者の意思……いや悪意と言い換えるべきか。だが一番の問題はそれをいつどこで誰が触れ使用するかは分からないということ。可能なら自身が管理、最低でも自分の知っている人物が管理……例えば目の前にいるアインズなどがその最たる例だ。最悪の場合殺して奪うことも選択肢にあるからだ。

 

 

「あぁ」

「君はこの大陸を統一したアインズ・ウール・ゴウン魔導王その人だろう。そんなことが出来た君が解決できない程の厄介事なのかい?」

 妙に歯切れが悪いなとツアーは思った。普段のアインズ(・・・・)ならばもう少し堂々としているし自信の無さを他者に見せるようなことはしない。せいぜい支配者は大変だとか愚痴を吐くぐらいだ。そんな彼の歯切れの悪さに疑問を通り越して不安…もっと言えば警戒心を抱かずにはいられない。

 

 

「ツアー。最後まで俺の話を聞いてくれると約束してくれ」

「……僕が君の話を最後まで聞かなかったことがあるかい?」

 

 互いに沈黙が流れる。ツアーは嘘は言っていない。場合によってはこの場でアインズを殺害する必要すらあるだろう。アインズのことは友人だと思いたい(・・・・・・・・)が彼は"ぷれいやー"で僕が竜王である以上、必要なら……そうせざるをえないだろう。そしてアインズに下手な嘘は通じない。ゆえにツアーは言葉を選んだ。

 

(まぁ。可能ならそれは最後の手段にしたいんだが……それも要件次第だね)

「……そうだな。なら話す。心して聞いてほしい。私たちナザリック及び魔導国は……」

 

 

 

 

「【世界の盟約】を破る」

 

 

 

 

「!っ…アインズ(・・・・)!」

 思わず叫んでしまう。ツアーは瞳孔を開きアインズを捉える。瞬時に翼を広げ、殺気を放つ。そしていつでも魔法を行使しようと……した時だった。アインズが自分に向けて手を向けていた。それを見てツアーは世界との接続を開始。すぐさま攻撃用の<始原の魔法(ワイルドマジック)>を発動しようと……。

 

 

 

 

「待てツアー。話は最後まで聞いてくれと言ったはずだ。こちらに敵対する意思は無い」

「っ……モモンガ、君は自分が何を言っているのか分かっているのかい?その結果がどうなるかも?」

 敵対する意思が無いと言って何も持っていない両手を挙げたアインズを見てツアーは臨戦態勢を止め殺気を抑えた。だがそれだけだ。場合によっては瞬時に<始原の魔法>を行使する必要があるだろう。世界への接続はそのままに会話を続けることにした。

 

 

「あぁ。分かっている。デミウルゴスや他の守護者たちとも話し合って決めたことだ」

 話し合った…とは言っているがその実守護者たちには反対されたのではなかろうか。あのデミウルゴスと呼ばれる悪魔がナザリックをわざわざ危険に晒す様な真似をするとは思えない。だとすれば……そうすることが安全もしくは利益があると判断した。そんな所だろうか。それならばアインズが単独でこちらに来た理由も説明がつくか。敵対する意思は無い。それは恐らく間違いないが万が一でも『罠』の可能性がある。だが一先ず話だけでも聞くべきか……。

 

 

「君を信じたい……」

「信じたい。卑怯な言い方だな。……これでもか?」

 そう言ってアインズは自身の腹部を指さした。ツアーはそこを感知する。今まで何度か会ったアインズとは少し違うとは感じた。その理由がようやく分かった。そこには本来あるはずのあるものがないのだ。

 

 

「!っ……世界級アイテムを外してきたのか?」

「あぁ。こうでもしないとお前とは話は出来ないだろうと思ったからな。こればかりは守護者たちにも反対された。説得するのは苦労したぞ」

 

 ツアーは思考する。チャンスだ……今ならアインズを間違いなく殺害できる。世界の盟約を破ると本人が言っている以上、容赦する必要はない。先程から世界への接続はそのままのため瞬時に<始原の魔法>を行使しようとした。

 

 アインズは動かない。だたツアーを真っすぐ見つめていた。

 

(悪く思うな。アインズ。私が……私が世界を守るんだ)

 

 

 

 

「ツアー」

 

 

 

 

 いるはずの無い人物が目の前にいた。

 

(!っ……リク)

 

 その人物がツアーを真っすぐ見つめていた。

 

 

 

 

「ツアー?」

 その言葉にツアーはハッとした。目の前にいるのはアインズでないか。当然そこにリクはいなかった。どうやら幻覚を見ていたらしい。

 

 

 

 

 

「……分かった。一先ず、モモンガ…君を信用しよう。でもそこまでするんだ、何か理由があるのかい?それをしなくてはならないだけの理由が?」

「なぁ。ツアー。以前お前は言っていたよな。【八欲王】の時みたいなことは起きてほしくはない…そう言っていたよな?」

 

「あぁ。覚えているよ。……あんなことは私が二度と起こさせやしない」

「……だからお前がこの国……アーグランド評議国を作ったのも聞いたさ。スルシャーナからの助言を受けてそうしたのも」

 当時ツアーはスルシャーナから助言を受ける形でいずれ建国することを決めた。八欲王と呼ばれる彼らと竜王の争いは人間目線では完全に竜王側に非があったのだろう……完全に自業自得だとは思う。だが彼らはやり過ぎた。世界がどれだけ混乱に陥ったか。もうあんなことはウンザリだ。

 

 

「そこまで知ってて何故【世界の盟約】を破る。僕たちが敵同士になるのも分かっているだろう。ここまで上手くやれていたじゃないか」

「それなんだがなツアー。盟約を破るのは今回だけだ」

 

「はっ?……今回だけ」

 思わずツアーは間抜けな声を出してしまった。今モモンガは何と言った。今回だけだと?

 

「今回だけだ。それが終われば元通り【世界の盟約】を守ることを約束する」

「君は慎重な人間だ。そんな自分にとって都合のいい理屈を押し付けるとは思えないが……理由は何だい?」

 

「色々あるんだ。ツアー。アーグランド評議国……魔導国は今までこの国を属国という形で大陸を統一していた」

「そうだね。そして私は…いや私たち『竜王』は再三その話をして【世界の盟約】を守ることを条件にそれを認めた」

 

「あぁ。実際当時はそれがベストな選択だと思ってそうした。それで魔導国は大陸を統一できた。表向きは(・・・・)な…」

「表向き?それに何が問題なんだい?周辺諸国はそれで納得しただろう」

 アインズ・ウール・ゴウン魔導国。この国は目の前にいるアンデッドがトップに君臨し周辺諸国を全て傘下に治めた。そして大陸を統一し、アインズ・ウール・ゴウン大陸となった。だけど一つだけ属国という形ではあるが『国』という体で存在し、『王』が存在することを許された場所がある。それがここ……アーグランド評議国だ。アインズの言う表向きとはいうのはそういうことだろう。つまりアインズはこれを完全な形で支配下に置きたいということだ。名実ともに。だがそれは……。

 

 

「ツアー。俺は気付いてしまったんだ。この前のプレイヤーによるナザリックが侵攻された時に……大事なものを守るためには今のままじゃ力不足なんだって。もっと強くなる必要があるんだって」

「待て。モモンガ…もしかして君は…」

 確かにあの『侵攻』の時に大打撃を受けたのをツアーは知っている。その結果、守護者の半分が一度は殺害されてしまった。そしてそのことが原因で……。

 

(【あの子(・・・・)】に起きたことも理由になっているのか………)

 モモンガと【彼女】の子供。目の前で自らが爺と慕う守護者を殺害されるのを見て望まぬ形で覚醒してしまった。あの子か……。鎧越しで見ていたからよく知っている。そうか……あの時のことも起因しているのか。

 

 

「あぁ。そうだ。俺はこの国『アーグランド評議国』とそのトップであるお前たち『竜王』を完全に支配下に置き、完全にこの大陸(・・・・)を統一……いや……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「【ワールド(・・・・)】を統一する!」

 

 

 

 

「っ……。そうかモモンガ。君はこの大陸(ワールド)を統一し、【ワールドチャンピオン】たちなどを生み出す気か……」

「あぁ。そうだ。今のままではナザリックの戦力は万全とは言えない。だから力を求める」

 

 

「モモンガ。それは許されることじゃない」

「ツアー。ならば聞くが、大事なものを失うことは許されることなのか?」

 

「っ……」

「俺は大事なものを……奪われることを許せないよ。お前はどうだ?」

 

「……」

「ツアー。お前は世界を守りたいんだろう。俺も同じだ」

 

「同じ…?」

「あぁ。俺も【ナザリック】とそこにいる者たち。【魔導国】とそこにいる者たち。俺はただそれを守りたいんだよ。お前みたいに大きな意味じゃない。ただ俺の手に届く範囲だけでもいい……その小さな世界を守りたいだけだ。お前の言う世界も守るが…それはついでだ」

 

 ツアーは何も言えなかった。ツアーにとって世界とは文字通りの意味でしかなかった。だから"あの時"も僅かに考えはしたが最後は自らの手を汚すことにした。世界の為ならばただ一人の命……どちらが重いかは言うまでもないからだ。でもそその決断は……モモンガの言う小さな世界を守ることに繋がったのだろうか。

 

(リク……僕は……)

 

 

----お前さんはいい加減自分を許すことを覚えるんじゃな----

 

 

(リグリット……)

 長生きだった彼女が最後に言った言葉を思い出す。お前さんはこれからも生きるんじゃろ。だから……。

 

 

----新しい友人でも見つけるんじゃな----

 

 

 

 

「君は我儘だな。モモンガ」

「知らなかったのか?俺は我儘なんだよ。ツアー」

 

 

 

 

("友人"か……)

 

 

 

 

「……分かった。君の言う通りにしてみよう。【世界の盟約】を一度だけ破ることを認めよう。ただし今回だけだ」

「あぁ。分かってくれたようで何よりだ」

 

「それと他の評議員…たちや竜王たちへの説得は僕一人だと難しいだろう。だから手を貸してほしい」

「あぁ。勿論だ。説得ならデミウルゴスかパンドラを…」

 

「いや君に頼みたいんだよ。他でもない君にね。モモンガ」

「お前っ!……はぁ。我儘な奴だな」

 

「知らなかったのかい?モモンガ、僕は案外我儘らしい」

「いや、今知ったよ!」

 そんな言葉を言い合った後、二人は笑いあい握手した。大きさは全然違うがそれは確かに握手だった。

 

 

 

 友人か……

 

 なれるかは分からないが……まぁ時間は幾らでもある。

 

 いつかはなれるかもしれないな。

 

 


 

 

◆ツアーが国を作った理由

 

 『国』というものを作ることで『ワールド』を冠するクラスを取得できなくするのが目的だったりするのかなと思いました。八欲王が全員ワールドチャンピオンやワールドエネミーだとして竜王たちと何かしらの理由で争ったのだとすればその被害はかなり大きなものになりそうです。災害や天災を通り越した規模のダメージがありそう。元々かダメージによる影響かエリュエンティウの下は砂漠ですし。争いの過程か結果かは分かりませんが大陸中を統一しようとしていたのだとしたらレベルダウンが原因で大陸を統一し新しく『ワールド』職やそれに関連する何かを得ようとする、もしくは竜王たちから『ワールド』職などを新たに出さないようにするのが目的とかありそうです。互いに戦力の低下を狙ったとかありそうかなと。これならスレイン法国が二つの勢力から狙われていないであろう理由にもなるかと思われます。

 また評議国が竜王が建国したのならば<始原の魔法>を基準で建国したと思われるため、いざという時は「やべ、プレイヤーだ。<始原の魔法>使おう。税金だけじゃなくて国民の命とか魂を徴収するからな」みたいなことしそう。竜王国の状況見るにありそうかなと。

 

 私個人としましてはは600年前に『六大神』がいた頃の『スレイン法国』は国として独立していたというより竜王たちの支配下の属国のような形だったのではないかと考えています。「取引」というのはその辺りの事情とかありそう。

 『ワールド』=『大陸』ぐらいで考えています。これは現実世界におけるオリンピックの五輪(五つの大陸)だと表現するようなものであるからと考えています。ユグドラシルには九つのワールドがあったとされます。ならば異世界において『ワールド』というのはどの程度の規模を意味するのか考えた場合、恐らく大陸ぐらいの規模だと考えました。それを完全に統一することで完全な『ワールド』にし、公式武術大会などを開くことでワールドチャンピオンのクラス取得などが可能になるのでは?と考えました。

 

 

 

◆モモンガ(アインズ)の状況。

 

 実は【弐式炎雷】(忍者)に変身しているパンドラズ・アクターが少し離れた位置で世界級アイテム装備した状態で隠れて待機、モモンガさんからの指示で突入できる状態でした。なのでモモンガさんが世界級アイテムを外すことでツアーの信用を得るという博打を打てたという経緯があります。ちなみに他の守護者(アルベド以外)はナザリックでフル装備かつ世界級アイテムを装備した状態で待機してました。もしパンドラがツアーを敵だと判断した場合、ツアーは倒されていた可能性が高かったりします。でもツアーからしてもモモンガがフル装備でない、世界級アイテムを持っていなかったため…幻覚を見たことでギリギリ踏みとどまることが出来ました。ちなみにモモンガさんは自分の大事なものをツアーに一度守ってもらった恩義があるため結構ギリギリまでパンドラを呼ぶつもりはなかったりします。

 

 【世界の盟約】は正直よく分かりません。ですがこれを一度これを誓うと簡単に破れないと考えました。仮にも『世界』とついてますしまぁ破ったら何かしらのリスクはあるでしょう。スレイン法国の『叡者の額冠』のスクロール版みたいなものに自分の名前を書かされてるとかありそう。そのためモモンガさん本人が話し合いに行かざるをえないという感じです。ちなみにその場合、<始原の魔法>を行使する竜王には効かないとかありそう…自分たちにとって不利になることはしなさそう。それで世界級アイテムを装備している存在には効果が無いとかありそう。アレ、そんな盟約誰が守るの?。

 ちなみにモモンガさん、冷静そうに見えて案外「あっ、やべ」ぐらいには何度か思ってます。でもパンドラが突入してないから「あいつが突入してないし。まだ大丈夫か。交渉を続けよう」ぐらいの感じです。要は勘違いが奇跡的な交渉術になったみたいな感じです。

 

 今回【世界の盟約】を破った後の話ですが、

アーグランド評議国を完全に支配下に置き大陸を本当の意味で統一し【ワールド】にする。

また【世界の盟約】を再び結ぶまでの間に大陸中にある世界級アイテムを全てを回収しようとしてたりします。そのためナザリックの世界級アイテムの所有数が11個から少し増えて16個に増えたりします。盟約を再び結んだ後は公式武術大会を開催しワールドチャンピオンを取得できるかどうかを試します。ただ試すのは随分と後になる予定、これはナザリックに所属する者以外に取得されるのを避けるためです。

 ただし大陸=ワールドの場合、アインズ・ウール・ゴウン魔導国に反逆する意思を持つものが特定の条件を満たした場合ワールドエネミーになるリスクがあったりします。でもその辺りの管理はデミウルゴスたちが上手くするので可能性はほぼゼロです。

 

 

 

 

 

 





◆◆◆
私の独り言

世界陸上見て、何となく思いついた!
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