他の人の作品とか見てると書いてみたくなる時ってありますよね。
久々に創作意欲が出たので書いてみました。
亜人種のプレイヤー【しーかー】の手にはローリエの葉を巻いたような外装の指輪があった。
「成程。『クラスによるペナルティの無効化』…これはヤバいですね」
そう言ってギルド【ワールドサーチャーズ】のリーダー【しーかー】は呟く。
「そうなのか?まぁ…【しーかー】さんがそう言うなら多分そうなんだろうが…」
「いや…【ロックスミス】さん。普通に考えて下さいよ。『クラスによるペナルティの無効化』。先程試したみたいに『運営狂っている案件』ですよ」
【しーかー】さんの言う通り……なのだろう。まぁ運営が狂っているのはいつものことだが…。
ユグドラシルでは通常、上級職と呼ばれるクラスは強い。更に言えばデメリットが大きいクラス程優秀なスキルなどを取得できるため強い……いわゆるハマれば強い。だがそれらのクラスを選択した際に『強制的に』取得してしまうデメリットとなるパッシブスキルなどがまさにそれだ。例えば『マスターバーサーカー』という『バーサーカー』の上位に位置するクラスがある。このクラスは状態異常やデバフに対する耐性が高く、また状態異常やデバフ状態になってもステータスの大幅強化やスキルの強化などが発生し『マスターファイター』などの戦士職に比べると遥かに強化される。ただしその代わり状態異常にならなければ素のステータスやスキルはそこまで強くはない。また味方によるバフ効果を強制的に無効化してしまうなどもある。これは……-----運営視点だとデメリットということなのだろう----普通はそういうデメリットを抱えているのだ。
だがこの指輪、『ファウンダー』の【クラスによるペナルティの無効化】の効果を以てすればこのデメリットを全て踏み倒せるのだ。
そのためこの指輪を装備すれば【マスターバーサーカー】でありながら味方によるバフを受けることが出来、常時状態異常による耐性が強く、更に敵からのデバフを受ければ強化されるといった。デメリットを踏み倒せるのだ。つまり……常時、無条件にクラスによる恩恵が最大限に強化されるのだ。
(確かにやヤバイ効果だな。言われてみたら確かにそうだ。でも……それだと少しだけ…つまらないな)
ロックは思わずそんな感想が出た。今まで一度も敗北をしたことがなかったのだから、これ以上強くなっても……やることは変わらない。そんなのは……つまらない。
(あるいは『あいつ』ならば……)
一度も戦ったことは無かった。
でも一度だけ『あの男』が戦っているところを間近で見た。
誰かを守るために戦う、その姿はまさに……
『聖騎士』そのものだった。
一度、
(対等な状態で、対等な強さのまま……戦いたいんだが……)
ふと昔を思い出す。
リアルでのこと。かつて自分がユグドラシルをする前に見た光景。
総合格闘技で世界一になった後、それを妬む者たちから殺し屋が送られたことだ。
----「死ね」----
----殺し屋の持つマシンガンの銃弾を全て避けきった後、隠し持っていたリボルバーが俺を捉えていた---
----(あっ、これは避けれない。俺死んだ)----
----「!危ない」----
----その男は俺の警護をしていた一人の警察官だった。警棒を振ることで銃弾を弾いた----
----「すげーな。アンタ」----
----「犯人確保!」
----「なぁなぁ。アンタ今どうやったんだ!すげーな」----
----「警護対象が殺し屋の前に出てどうする!」----
(多分、動きからして……あの時のあの男が『あいつ』だろうな。あの時の動きを真似してみたくて……銃弾を弾けずにケガしてしまったから。体を動かせなくなったからユグドラシル始めたっけ…)
「話聞いていますか?ロックさん」
「うん、あぁ……すまない」
はぁ…そんなため息がしーかーさんから漏れ出る。
「とにかくこの指輪はヤバいんですよ」
「?」
「何で首をかしげているんですか?実験したでしょう。選択するクラスの変更を試したじゃないですか」
「あぁ。したな。それがどうかしたのか?」
「あぁ。もう戦うことしか頭に無い人はこれだからもう……もっとアイテムの重要度を分かってくださいよ」
実験。先ほど行った結果、思わぬ事実が発覚。
【しーかー】さんの仮設。それを裏付けることになった。
通常、戦士職は【聖騎士】や【ルーンファイター】のような魔法を行使するクラス以外はMPの最大値や魔法による攻撃力・防御力は上がらない。そのため戦士職の大半のクラスは魔法効果のある
ここで【しーかー】さんは一つの仮設を立てた。
それ自体が一種の【ペナルティ】なのでは?
戦士職を選択する際に発生する、最大MPが上がらないのも【ペナルティ】。
そう【しーかー】さんは考えたようだった。
そのためファウンダーを装備した状態でステータスの確認をすると最大MPが何故か少し上がっているのだ(といっても、魔法職や魔法戦士のようなクラス程ではなくあくまで少しだけ上がっている程度だが…)。スキルの威力などを雑魚モンスター相手に試すと明らかに威力が上がっていた。こっちは魔法攻撃力が増したことでその分の威力も上がったからだろう。
「重要度…といってもな」
「いや、これは戦略の幅が広がることに繋がります!間違いない。回避主体の戦士に防御という手段を与えるように、ただの戦士に魔法戦士としての強さも少しだけ加わったんですから」
「?でも魔法攻撃力を得たことでダメージが通らない奴もいるんじゃないのか?物理攻撃しか効かないようなモンスターもいるだろう」
「私の仮説が正しければ……それも全て【ペナルティ】扱いになって、一番最大の威力の物理攻撃が通じると思います」
「マジか」
「マジです」
戦略の幅が広がる。それはいいことだ。
そういった未知を既知とする行為はやはりいい。
リアルでの総合格闘技も何をどう組み合わせて相手を倒すかを考えるのは楽しいしな。
「ということでまた実験にいきましょう」
「分かった。何度でも付き合うさ」
いつか戦うことになる一人の戦士。
そいつをどうやって倒すか、それを考えるのは
楽しいからな。
【ロックスミス】
ワールドチャンピオン・ヨトゥンヘイムのプレイヤー。
リアルでは総合格闘技の世界チャンピオンの男性。
最初にワールドチャンピオンになったことで世界級アイテム:ファウンダーの入手条件をクリアしてことで入手。その後、協力者であり相談相手であるしーかーに相談。
【しーかー】
ギルド:ワールドサーチャーズのリーダー。亜人種。
非常に好奇心が強い人物。知識を得るのが好き。趣味は読書。
『ファウンダー』
世界級アイテム。外装はローリエの葉を巻いたような指輪。
その効果は「クラスによるペナルティの無効化」。
このペナルティの一文がかなりの範囲を探すため、運営狂っているといわれるようになる。
この指輪を装備すれば「ワールド」を冠するクラス以外のペナルティは全て無効化できる。
実は異形種でも人間種限定の街に入れるようになったり、人間種限定の上級職に就けたり、人間種限定の装備を身に着けることなども可能になる。反対に人間種は亜人種や異形種に種族変更しなければどうあっても種族クラスの取得条件を満たせないためこれらのクラスを選択できない。
クラスに関しては取得条件さえ満たせば既存の選択肢よりも幅広い選択が可能になる。これはレベルアップ時に特定のクラス選択をすると特定の上級クラスなどを選択できなくなることもペナルティと運営が考えているため。ただし装備者の実力や適性に合わせないとむしろ弱くなる可能性すらある。それを支えるだけのクラスに関しての知識や実力があれば何の問題もない。
例として
防御に特化したはずのタンク職が何故か素早く攻撃できる。
隠密に特化したはずのアサシン系のクラスがやたらHPが高い。
神聖魔法と炎系魔法に弱いはずのアンデッドが何故かこれらが無い。またそれにより装備なども耐性ではなく攻撃力に特化させることが可能など。
魔法職が重装備を身に着けると魔法に制限がかかるはずがそれがないため、素早さ特化で<現断>を打ち込んでくるなど。
こういったことが可能になる。