ありふれた黒の剣士で世界最強   作:零乃龍夜

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ステータスもキリトかなーやっぱりww




ステータスプレート

戦争参加の決意をした以上、キリト達は戦いの術を学ばなければならない。いくら規格外の力を潜在的に持っていると言っても、元は平和主義にどっぷり浸かりきった日本の高校生。いきなり魔物や魔人と戦うなど不可能である。

 

しかし、その辺の事情は当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

前回の、話が終わり。キリト達はその日、ハイリヒ王国に移動、そこで国王やその親族、また騎士団長や宰相等、高い地位にある者の紹介された。

その後は晩餐会が開かれ異世界料理を堪能、これらも中々の美味であって、晩餐が終われば今日はもう解散になった。

各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。天蓋付きベッドにキリトは少し驚きながら、豪奢な部屋に少し居心地悪く感じながら、それでも今日の一日に張り詰めていたものや、明日からの不安を一旦空っぽにしながら、ベッドにダイブすると共にその意識を落とし、今日という一日が終了した。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

翌日、朝から早速訓練と座学が始まった。

 

まず、集まったキリトや生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具の事だ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

「へぇ~・・・・・」

 

なるほど、と頷き生徒達は、顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。

キリトも内心どんな感じだろうと少し楽しそうに、他の生徒と同じように血を擦りつけ表を見る。

 

すると・・・・・

 

 

 

ジジ.....!

 

「ん?」

 

キリトは突然自身の持つステータスプレートから謎の音が聞こえた。

しかし、何が起きたかわからない為、キリトは内心でそういう演出なんだろうと思い改めて確認する。

 

 

 

===============================

浮城 桐斗(キリト) 17歳 男 レベル:1

天職:■■剣士

筋力:250

体力:80

耐性:50

敏捷:220

魔力:10

魔耐:10

技能:■■■・剣術・■■・剛力・体術・縮地・先読・気配感知・言語理解

===============================

 

ステータスがしっかりと表示されていた。

まるでゲームのキャラにでもなったようだと感じながら、キリトは自分のステータスを眺める。他の生徒達もマジマジと自分のステータスに注目している。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

メルド団長はそう言って俺達に説明をする。

どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳では無いという事がわかった。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後で、お前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ!」

 

メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

その上で、キリト達に宝物庫の装備が貰える。サービスまである。キリトは内心で『ぼくのかんがえたさいきょうそうび』と妄想を膨らませかけたが首を横に振って切り替えた。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

その説明を聞いた辺りでキリトは首を傾けながら自分のステータスプレートに書かれている部分に目を向ける。

 

「(・・・・・なんだこれ?)」

 

キリトの天職欄には〝剣士〟と書かれていた。

しかしそれだけならいいのだが、正確には〝■■剣士〟と書かれているのだ。

さらに〝技能〟にも■が多く含まれており、また剣士らしいとこもあれば、〝体術〟などの余り剣士に関係なさそうなものもあった。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

メルド団長のからそう呼び掛け中もステータスプレートと睨めっこ(おかしな部分のみに)していた時、ふと横にいるハジメの方に目がいく。

 

何せ他の生徒は顔を輝かせている中、ハジメだけオドオドと冷や汗を流しながらキョロキョロしているのだ。

 

「どうしたハジ「キリト!」っ、八重樫?」

 

ハジメに声をかけようとしたキリトだったが、その前に八重樫に声をかけられた。

 

「キリトのステータス、どうだった?私はこんな感じだったけど」

 

そう言って八重樫は俺にステータスプレートを見せてきた。

見ると天職は戦闘系天職の〝剣士〟と書かれており、全体的に敏捷の高い八重樫らしいともいえるステータスであった。

 

「へぇ・・・八重樫の事だから〝天職〟は忍者とか侍ガールだと思ってた」

「なんでよ・・・・・、ってなんで忍者なの?侍ガ・・・侍とか武士ならまだわかるけど」

「・・・・・そっか、うん。そうだな八重樫・・・まだお前は知らなくていい事だったな。うん・・・・・今のは聞かなかった事にしてくれ」

「え?ちょっと待ってキリト。何で目を逸らすの?ねぇ!?」

 

ちょっとー!とキリトの肩を揺らしながら言うが、顔を横にして沈黙する。

そんなやりとりをしていると、光輝がメルド団長にステータスの報告をしに前へ出た。

 

そのステータスは……

 

============================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==============================

 

といった具合で、まさに勇者らしいチートなステータスであった。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

「いや~、あはは……」

 

団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。

ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。

しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜くだろう。

そんな中、キリトは光輝のステータスを見て自分のステータスと見比べてみてとある事に気づいた。

 

「あっ、俺と天之河のステータス合計数値って同じなんだな」

「え、そうなの?ちょっと見して・・・・・・・・・・何かすごい偏ってるわね。キリトらしいといえばらしいけど。それにちょっとバグってない?」

「お前からバグなんて単語がでるとは・・・・・まぁ、後でステータス見せる時に聞くからいいとして、八重樫。余りステータスプレートは見せびらかさない方がいいぞ。一応それ、身分証なんだから」

「わかってるわよ。・・・・・大体、キリトしかまだ見せてないし・・・」

 

最後の辺りをボソボソ言いながら口を尖らせる八重樫だったが、キリトは気付かずに次々とメルド団長にステータスプレートを見せている生徒達を見る。

どうやら光輝だけが特別かと思ったら他の連中も、光輝に及ばないながら十分チートだった。

 

しかし・・・・・

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

順番が回ってきたハジメがステータスプレートを渡すと今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長のホクホクした表情が変わり、もの凄く微妙そうな表情をして歯切れ悪くハジメの天職を説明する。

 

そして、その様子にハジメを目の敵かたきにしている男子達が食いつかないはずがない。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

 檜山が、実にウザイ感じでハジメと肩を組みその状況を楽しんでるかのように周りの生徒達――特に男子はニヤニヤと嗤わらっている。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

ハジメは投げやり気味にプレートを渡す。

 

「ぶっはははっ~、なんだこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」

「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」

「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」

 

ハジメのプレートの内容を見て、檜山は爆笑した。そして、斎藤達取り巻きに投げ渡し内容を見た他の連中も爆笑なり失笑なりをしていく。

そのハジメのステータスプレートが少し見えたキリトはそのステータスを見て、メルド団長と同じように微妙な顔をする。

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:錬成・言語理解

===============================

 

これがハジメのステータス。

チート揃いのステータスを持つ連中の中で、圧倒的に弱いステータスだろう。

 

「(でもなんでハジメのステータスだけこうも低いんだ?非戦系天職はまだしもステータスすら低いなんて、ハジメがゲームていう所の大器晩成型だからか?・・・・・まぁ、そんな事よりも・・・)」

 

そんな事を思いながらも次々と笑い出す生徒にそろそろ香織が憤然と動き出そうとしていたが、それよりも先にキリトが動いた。

 

「ははははは~ッへぶっ!?」

 

キリトはステータスプレートに記載されていた技能〝縮地〟を使って檜山に近づいて肩を手で後ろに引っ張りながら足首を思い切り蹴って転ばした。

転ばされた檜山の手からハジメのステータスプレートを手放した為、キリトはそれをキャッチしてハジメに渡す。

 

「・・・っと、これが〝技能〟か。一定のモーションでの発動かな?それにしては自然になんとなくで出来たもんだが・・・あっ、ハジメこれ返すわ」

「え、うん、ありがとうキリト」

「別に、気にすんな」

 

ハジメにカードを返したキリトは、後から喚くように檜山が「何しやがんだ!」と叫んでおるがキリトはそれを無視してメルド団長の方に向かう。

すると檜山はキリトに掴みかかろうと立ち上がった辺りで、愛子先生が「こらー!」と精一杯の怒りを表現しながら檜山含む、ハジメを笑いものにした連中に説教している。

その為、キリトは問題なくメルド団長にステータスプレートを見せられるが、その前にメルド団長が口を開いた。

 

「さっきは驚かされたぞ。まさか訓練もしてないのに技能を使えるなんてな・・・」

「いや、俺もなんとなくでやってみたんで出来るとは思ってなかったですよ。それよりもメルド団長。俺のステータスプレートなんですが」

「ん?どうかしたのか?」

 

メルド団長が首を傾げながらキリトに訪ね、その返答にステータスプレートを渡しながら言う。

 

「俺のステータスプレートなんですが、どうやら壊れてるみたいなんですよ」

「・・・・・は?いやいや、神代のアーティファクトが壊れる訳が・・・」

 

渡したステータスプレートを受け取って確認したメルド団長は、驚いた表情でステータスプレートを見る。時にはコツコツとプレートを叩いたり、光にかざしたりする。

ひとしきりし終えたメルド団長は驚いた顔でプレートをキリトに返した。

 

「た、確かに壊れてるようだな・・・・・よし、こちらで新しくステータスプレートを貰うから。とりあえずそれまではそれを持っておけ。それでも一応身分証としては扱えるだろう」

「わかりました。あっ、できたら俺のステータスの事を周りに言わないで欲しいんですが、あんま目立ちたくないし」

「え、あっおう。わかった・・・」

 

メルド団長はもう()()()()()()()()()キリトを見る。先程の技能の使用やステータスを見た中で、今更目立ちたくないと言っても無理だろう。

そんな事もいざ知らず、キリトはハジメの方に戻るのだが・・・

 

「あれっ、どうしたんですか! 南雲君!」

「な、南雲くん! 大丈夫!?」

「・・・えっと・・・・・どういう状況?」

 

戻っくるや死んだ魚のような目をして遠くを見るハジメと、そのハジメをガクガク揺さぶる愛子先生と心配そうに駆け寄る香織。

そんな状況がよくわからないキリトは近くにいた八重樫に訪ねた。

 

「えっと八重樫・・・あれ何?」

「愛ちゃんが止め刺しちゃったのよ……ステータスプレートを見せて」

「あぁ・・・把握した。どうせ愛ちゃんもチートだったんだろ?」

「・・・ええ・・・・・」

 

キリトはステータスプレート辺りで何となく察して苦笑いする。

そんな中八重樫は、キリトの方をジト目しながらボソボソと呟く

 

「・・・なんで愛ちゃんは呼び捨てで私は苗字なのよ・・・」

「ん?なんか言ったか?」

「・・・・・・なんでもない!」

「?」

 

何故か機嫌を悪くした八重樫は足早にキリトから立ち去った。

未だに愛子先生は「あれぇ~?」と首を傾げており、相変わらず一生懸命だが空回る愛子先生にほっこりするクラスメイト達。

 

 

 

・・・しかし、この何気ない平穏が続く事などないという事を、()()()()を除いて、まだ知るよしよなかった・・・・・


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