東方有栖(アリス)伝   作:店頭価格

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投稿が遅れた言い訳はしません。
特に何もしていませんでした!!(くわっ!)

少し時間を開ければ執筆意欲が湧いて来るかと思いましたが、逆に全然書かなくても平気になって軽く恐怖でしたよ。

なので、今回のお話はこの四日間で仕上げた四日クオリティー(笑)

あ、今回は一応神様のお話です。



23・神遊び×鬼祭り×バカ騒ぎ

「うおぉぉぉらあぁぁぁっ!」

 

 鬼の怒号が響き、剛力で引いた勇儀の平手が山神の顔面に全力で伸びる。

 

「ふんっ!――はあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 神奈子はそれを軽く屈んで回避した後、お返しにとこちらも平手を相手の下顎へと叩き込んだ。

 

「ぐうぅっ!」

 

 空気が震えるほどの衝撃が起こり、勇儀の顔が僅かに下がってそこで止まる。

 

「――はっ、良いねぇ良いねぇ! ケンカってのはこうでなくっちゃねぇ! たまんないよ、アンタッ!」

「はっはっはっ! そうだろうとも! そうだろうともさ! この、血と鉄と熱の臭い――我らのような好き者が、早々忘れられるものではないさ!」

 

 高揚により、お互いが笑顔と言うには余りに凶悪な顔で睨み合う。

 既に相当の打撃を打ち合い、二人の顔面は血塗れの状態だ。

 

「ぜぇあっ!」

「ぐぬっ!――があぁぁっ!」

「……くははっ!」

「……ふはははっ!」

「「あっははははははははははははっ!」」

 

 怒号と爆笑が響き合い、一撃が入る毎に大気が振動し血風が舞い飛ぶ。

 現在、守矢神社の境内で行われているのは春の到来を祝っての神遊び。古くより伝わる伝統的な神事である、相撲だ。

 大義名分を得た両者は、活きいきとした表情で顔を血化粧で染め上げながら、互いに全力で勝負を楽しんでいる。

 かつて妖怪の山を支配し、現在は地底で生活している鬼の四天王、星熊勇儀が幾人かの地底妖怪を伴って守矢神社に来たのが数時間前。

 突然現れた昔の上司を引き止める事も出来ず、監視役の天狗たちが戦々恐々としながら遠巻きに見守る中、境内に居た神奈子へと開口一番「勝負しようや」と決闘が申し込まれた。勿論、弾幕ごっこなどではなく肉弾戦による本気の勝負だ。

 どうやら、前の異変で結局戦えなかった事がどうにも心残りで、ついに我慢が出来なくなったらしい。

 上の者が頻繁に幻想郷のルールを破るのは避けたい、と勝負を渋る神奈子だったが、彼女の方も実の所この鬼と本気で戦ってみたいという軍神の血が騒いでいるのは明白だった。

 神社を含め、妖怪の山の上部が跡形もなく消し飛ぶ未来を幻視した早苗が、流石にそれはまずいと一計を案じた結果、だったら祭事にしちゃいましょうと妥当で健全な勝負方法を提案したという訳だ。

 生まれ持った膂力と剛体に任せて肉体を振るう勇儀に対し、土俵という神域の特異点を設ける事で山に流れる地脈の力を受け取り、自身の存在そのものを半ば山と一体化させた神奈子。

 互いが五分となった勝負の行方は、未だ誰にも解らない。

 即席で作られた観客席には、おおまかに分けてやって来た地底の妖怪、神事に呼ばれた山に住む神々、天狗を中心とした山の妖怪という三つのグループで固まって勝負を観戦している。

 

「にゃはははっ! 二人とも、そろそろ本気出しなよ! まだまだこんなもんじゃないだろう!?」

「うにゅっ! 勇儀、がんばれえぇぇぇ!」

「姐さん! そこだ! 山の神様なんざぶっ飛ばしちまえ!」

「妬ましいわねぇ。あんなに笑ってる勇儀なんて、最近じゃ全然見なかったのに――ほら、楽しんでないでさっさと片付けなさい!」

 

 お燐、お空、ヤマメ、パルスィ。

 土俵の中で一進一退の攻防を続ける勇儀へと、地底妖怪たちから野次と激励が向かう。

 

「あーあー、楽しそうにしちゃってまぁ。一体どんだけ飢えてたんだか」

「八坂様! 砂です! 相手の目に、砂をぶっかけてやって下さい!」

 

 神社側に座って勝負を見学し、頬杖を付いて呆れる諏訪子の横では、早苗が握り拳で神奈子へと反則技を推奨していた。

 

「早苗ったら厄いわぁ……うふふ、二人とも頑張ってぇ」

 

 そんな早苗を見て妖しく笑うのは、フリルの付いた長いヘッドドレスに裾の長い赤のワンピース姿の少女。祭事に呼ばれた妖怪の山に住む疫病神、鍵山雛だ。

 彼女は人間へ向かう厄を引き受ける厄神なのだが、その場に居るだけで溜め込んだ厄を振り撒いてしまうので、それを防止する為に張られた結界の上に一人で座り、早苗の発言をどこか嬉しそうに微笑んだ後勇儀たちへと応援を送っている。

 

「ねぇ、穣子……私たち秋の神様なのに、なんで春のお祭りに呼ばれてるの? お姉ちゃんバイオレンスとか苦手だから、さっきまでみたいに家でゴロゴロしてたいんだけど」

「ぴぃっ! わ、私だって苦手だよぉ。でも、秋に向けての五穀豊穣とかちゃんと私たちへの願掛けもされてるみたいだし……ぴゃぁっ!」

 

 他の幾人かの神に囲まれた中で、秋という季節限定の神であり紅葉の神である、秋静葉が目の前の激闘を見ながら気だるげに言えば、その妹である豊穣の神、秋穣子が両手で覆った顔を指の間から僅かに覗かせながら、時折り小さく悲鳴を上げていた。

 

「ていうか秋姉妹、あの恰好似合い過ぎでしょ。誰から――って、一人しかいないか」

「あやややや。確かに、凄まじいほど似合っていますねぇ」

 

 河童や天狗の固まる一群では、にとりが焼き魚を頬張りながら秋姉妹の新しい衣服に突っ込みを入れれば、同じグループに居る文がやや呆れ混じりに同意した。

 静葉と稔子の恰好は、アリスから部屋着と農作業用を両立させる衣服として貰った赤紫色のジャージ姿となっている。神様にしては余りに威厳のない恰好だが、休業中の間であればこんなものだ。

 

「色合いの野暮ったさが、逆に彼女たちの人柄を引き立てていますよ。アリスさんの作る服飾の顧客は、異変の度に増えていきますねぇ」

「ああいう変な服って、大抵はアリスか早苗の仕業だよね」

 

 普段着にするほど気に入って貰えるとはアリス自身も思っておらず、その姿を見る度に彼女が喜びと後悔の狭間で懊悩しているのはどうでも良い小話である。

 満員御礼となった守矢神社で、人間一人とその他大勢の神と妖怪たちの宴。

 その目玉である祭事に、遂に決着が訪れた。

 

「「があぁあアァぁぁぁアぁァァっ!」」

 

 防御を捨て、全身全霊を込めた二人の張り手が相手の顔面に叩き込まれ、双方を逆方向へと弾き飛ばす。

 高速で飛翔した両者は、囲んでいた妖怪や神たちをものともせずに吹き飛ばし、遠くの岩に激突した後発生した土煙の中へと消えていった。

 その結末に、観客の大半が巻き込まれた者たちや試合をしていた二人の心配よりも先に、ある疑問を思い浮かべる。

 即ち、勝敗の行方だ。

 

「「――どっちが勝った!?」」

 

 怪我と流血を無視し、勇儀と神奈子はたちこめた煙を吹き散らして立ち上がると同時に、その場に居る全員に大声で問うた。

 通常、土俵から外の部分へ先に触れた方が負けではあるが、激突したのはほぼ同時だった上に位置が離れ過ぎていて、見物していた者たちの場所からではどちらか一方しか見れていない。

 

「姐さんだろ! 山神の負けさ!」

「何をバカな! 八坂様の勝ちに決まっているじゃありませんか! 勇儀さんの敗北です!」

「いいや、俺は見たね! 星熊様の方が後だった!」

「なんだと、この節穴が! 八坂様の勝ちだって!」

 

 動体視力の優れた烏天狗辺りなら確認出来たのかもしれないが、証拠がないのでは誰も納得はしないだろう。

 観戦している者たちで、あっちが勝った、いやこっちが――と、まとまらない意見の応酬が始まってしまった。

 地底の妖怪は総じて勇儀に付いているが、天狗や河童たちの中からも鬼の勝利を唱える者が多く、結果として完全に意見を二分する形となっている。

 

「「「ほーし・ぐま! ほーし・ぐま!」」」

「「「や・さ・か! や・さ・か!」」」

 

 遂には勇儀派と神奈子派でシュプレヒコールまで始まり、収拾が付かなくなって来たところで名前を呼ばれる両者が土俵の中央まで戻って来る。

 

「さて、どうするかねぇ……解らないってんじゃ、もう一戦するしかないかぁ?」

「ふむ、ならば仕方がないな!」

「やめなって、おバカ共」

 

 口では仕方がないなどと言いつつも、堪えようもない笑みを浮かべて構えようとした両者を、この中で唯一同等の実力と発言力を持つ諏訪子が制した。

 

「今のアンタたちに「もう一回」なんて許したら、それこそ何千回も「もう一回」が繰り返されるに決まってるじゃないか。一回十分戦れたんだから、満足しときなよ」

「それじゃあ、今の勝負をどう決着付けるってんだい?」

 

 勇儀の不満はもっともだが、だからといって再試合を許しでもしたら、結局はたがが外れて大暴れするに決まっている。

 諏訪子としてはそれでも別に良いのだが、風祝(かぜはふり)である早苗と寝床である神社を思えば、止めるのが妥当だと判断したのだ。

 

「ケロケロッ、簡単だよ。贔屓目のない第三者に意見を求めれば良いだけさ――という訳で、アーリースー!」

「――なに?」

 

 諏訪子に呼ばれ、どのグループからも距離を置き桶から出したキスメを膝に乗せたアリスが、相変わらずの無表情でキスメに向けていた顔を上げる。

 

「今の勝負、どっちが勝った!?」

 

 諏訪子の問いは、無茶振りも良いところの質問である。

 これでもし、どちらか片方に肩入れすればもう一方から八つ裂きにされるのは確実だろう。

 答えをはぐらかそうにも、今まで騒いでいた観客たちが一斉に押し黙って彼女の回答を待っている現状では、得策ではない。

 

「……そうね、引き分けではダメなの?」

「おっと、幾らなんでもそんな白ける引きはなしだよ」

「無論、真剣勝負に引き分けなどない!」

「そう……」

 

 答えれば破滅、黙り続けるのも居心地が悪いという針のムシロ状態で、彼女が出した結論は――

 

「だったら、どちらも勝ちにして山と地底の団体戦で勝敗を決めたら?」

 

 保身を優先し、問題を先延ばしにしただけだった。

 

 

 

 

 

 

「良い酒と豪華な飯が食えるからって来たのに、なんでこんな事に……全部アリスのせいだ」

 

 ごめんね、にとり。

 でも、私はまだ死にたくないんだよ。

 文句は諏訪ちゃんに言っておくんな。

 

 守矢神社でお祭りをするからとお燐と早苗に誘われて来てみれば、どう見てもガチバトルにしか見えないSUMOU大会だった。

 知っている地底の妖怪が幾人も来ていて驚いたが、これも条約が緩和された事で往来が自由になった影響なのだろう。

 今回の宴は、これから問題が多々起こるだろう山と地底それぞれに住む住人の、顔合わせも兼ねているのかもしれない。

 

「にとり! 勝利以外は無用と心得なさい!」

「はーいはいはい!」

「ヤマメ! 気合入れていきなよ!」

「あぁ、勿論さ!」

 

 増設された二つの大将席から激励を受けて土俵に立つのは、河童と土蜘蛛という犬猿の仲である両名。

 ここからの勝負は肉弾戦ではなく、幻想郷らしい弾幕ごっこによる決闘だ。

 私は山の妖怪ではないので、今回は完全に観客として宴を楽しむ事が出来る。

 

 何という安心感。

 毎度こうなら良いんだけどねぇ。

 

 精神衛生上、凄惨に笑う勇儀と神奈子をなるべく見ないようにと仲良くなったキスメを膝に乗せ、キャッキャウフフと二人だけで戯れていた私の周りには、現在諏訪子の質問で注目を集めてしまったせいか追加でお燐と文とお空が寄って来ていた。

 

「烏のお姉さん、人形遣いのお姉さんって何時もこうなのかい? なんていうか、折角のお祭りなんだから皆と一緒に居れば良いのに」

「えぇ、そうなんですよ。宴会やこういった行事には参加するくせに、何時も周りとは離れた場所に座って一人で眺めているんです。本人的には楽しんでいるのかもしれませんが、正直気味が悪いんですよね」

「うにゅ? お人形屋さんって友達居ないの? だったら、うつほが友達になってあげる!」

 

 本人が近くに居るのに言いたい放題だな、おい。

 友達居るし! パチュリーとか霊夢とか、ちゃんと居るし!

 私の膝に、ちょこんと乗ったこのキスメちゃんが目に入らんのか!?

 ホラ、キスメからも何か言ってやって!

 

「……がんばって」

 

 な、慰められただとぉ!?

 でも、可愛いから許す!

 ……まぁ、私自身変な行動してるなぁとは自覚してるけどね。

 

 もう慣れてしまったというのが大きいし、酔うと面倒な方々に絡まれたくないというのも理由の一つだが、私は集団の中で一人という空間の方が落ち着くのだ。

 喧騒に囲まれるのも悪くはないが、中心に居るのではなく外から騒ぎを眺める壁の花のような位置が、私としては丁度良い。

 

 私の体質では、酔っ払い連中のスーパーアゲアゲテンションには付き合えないしね。

 

 視線を境内の中央に戻せば、観客たちが沸く中でにとりとヤマメが剣呑な視線で睨み合っている。

 

「そう言えば、アンタとの勝負はまだしてなかったね。ま、仲間の後ろに隠れてばかりだった腰巾着のアンタじゃ、実力なんて高が知れてるだろうけどさ」

「別にぃ、あの時はお前程度に私が出るまでもなかったってだけの話だよ。実際、魔理沙やフラン相手にあんなにも簡単に退治されちゃって、まったく情けないったらないよ」

「おいおい、弱い奴ほど良く吠えるって言うけどさ、そんなに大口叩いてると負けちまった時の言い訳が苦しくなるんじゃないかい?」

「はぁっ? 誰が誰に負けるってぇ? けちょんけちょんにしてやるから、さっさと掛かかって来なってのっ!」

 

 あれ? 案外仲良いね、お二人さん。

 

 正に、売り言葉に買い言葉状態でお互いを罵り合いながら、勢いをつけて飛び上がると同時に弾幕を振り撒き始めるにとりとヤマメ。

 一つ、二つと連続の花火が爆ぜるように、色とりどりの光弾が空へと広がり散っていく。

 美しさと思念に勝る物は無し。

 スペルカード・ルールの原案に記された、理念の一つ。

 一度でもこの決闘を見れば、その意味は誰であろうと理解出来るだろう。

 流麗にして華美。何度見ても、弾幕ごっこの美しさは筆舌に尽くし難い。

 

「キスメ、楽しい?」

「……ん」

 

 幻想の光景に見惚れつつ、キスメの髪を手櫛で梳きながら問えば、彼女も同じ方向を見ながら無言のままで小さく頷いた。

 殆ど口を開かないキスメだが、身振り手振りや表情の変化などで意思の疎通は何とか可能だった。

 そんな彼女は今、喉を鳴らす猫のように心地良さそうな顔で私の手櫛を受け入れてくれている。

 

 はっきり言わせて貰おう、めがっさ可愛い。

 

 私の最近のマイブームは、幻想郷の美少女たちの髪の毛に手櫛を通す事だ。

 特に妖怪は、成長や劣化をしない肉体を持つ者が多い為常にツルツルのサラサラで、何時までもやっていたいほどの触り心地をしている。

 霊夢、魔理沙、フラン、パチュリー、ルーミア――そしてキスメ。

 私の毒牙は、着々と幻想郷の美少女たちへと向かい続けているのだ。

 

 次は誰に出来るかな。

 橙かな、妖夢かな――ちょっと冒険して、藍か輝夜辺りにお願いしても面白いかも。

 ふふふっ、今から夢がひろがりんぐだぜ。

 

 急ぎの研究や案件がない限り、こういった下らない事へ全力投球していくのが私のライフスタイルである。

 そのせいで、たまに急ぎではない研究などが滞ったりもするが、気にしてはいけない。

 

「ささ、おねーぇさん。さっきから全然飲んでないじゃないか」

 

 猫撫で声のお燐が、勇儀の持ち物ほどではないがそれなりに大きな杯を酒で満たし、満面の笑顔でこちらへと渡してくる。

 

 この娘、さっきから無駄に擦り寄ってお酒を勧めて来るんだけど、これって深い意味はないよね?

 

「私は余り強い方ではないし……というかこれ、鬼の酒よね」

「大丈夫大丈夫。ちゃぁんとあたいが、お姉さんを寝床まで運んであげるからさ。安心して酔い潰れておくれよ。ね?」

 

 銘柄なんて知るはずもないが、鼻で嗅ぐだけでも強烈な酒気を帯びているのは解る。

 妖怪が飲む酒は、基本的に人間ではとても飲む事が出来ないほど度の強いものが多いが、鬼の好む酒はそれすらも越えた領域のものだ。

 人間に近い身体である私が飲んだら、一発で昇天する事は間違いないだろう。

 

「お燐。私が死体になるまで、待ってるって言っていたわよね?」

「な、なんの話だい? あたいは別に、やましい事なんてなんにも考えちゃいないよ?」

 

 警戒心全開で私が問えば、お燐はあからさまな調子で誤魔化しながらきょろきょろと視線を逸らしだす。

 

「飲まないの? だったらうつほが貰うね」

 

 そんな中、瞳をキラキラさせながらにとりたちの弾幕ごっこを見ていたお空が、私に渡そうとしていたお燐の杯を横から掠め取った。

 

「あ、こらお空!」

「ごきゅっ! ごきゅっ! ごきゅっ!――あ~ぱ~……」

「お、お空!? しっかりおしよ! お空!」

 

 杯の中身を一気飲みした途端、顔を一瞬で紅潮させ目を回してぶっ倒れるお空。それを、お燐が大慌てで両腕を伸ばし抱き止める。

 鬼の酒といえど、幾らなんでもこれはおかしい。酒の中に、何か仕込んでいるとしか思えない酔いの早さだ。

 

「お燐?」

「にゃ、にゃはははは……ちぇっ」

 

 これはアカン。

 ここで酔っ払ったら、猫車で地霊殿までお持ち帰りされて食われる。多彩な意味で。

 流石は地底妖怪のお燐。ネコでタチとか、恐ろしいにもほどがあるわ。

 恐いわー、妖怪恐いわー。

 

「かぁ~! 負けた負けたぁ、くっそう! 次やる時は絶対勝つからね! この開発バカ!」

「へっへっへぇ、何度やっても同じだよ! おととい来なよ、この建築バカ!」

 

 お燐が仕掛けた罠に、私が戦慄を覚えつつも呆れている間に、どうやら早くも第二試合の決着が付いたらしい。

 ケンカするほど仲が良いとは良く言ったもので、なんだかんだで仲良くなれそうな二人に、改めて弾幕ごっこという遊戯の素晴らしさを実感する。

 互いの陣営に戻って行く二人を一瞥し、さて、次の試合は誰だろうと土俵に目を向けた後――全力で見ない振りをした。

 

「可愛い服、可愛い髪型、可愛い顔――妬ましい妬ましい妬ましいぃぃ……っ」

「あらあらあらぁ、貴女ってとっても厄いわぁ。集めがいがありそうね、うふふふふふふふふ……」

 

 ど・う・し・て・そ・う・な・っ・た。

 

 親指の爪を噛みながら、濁りきった瞳で相手を下から覗き込む嫉妬の橋姫、水橋パルスィと、恐怖さえ覚える極上の笑顔でその邪気を受け止める厄寄せの雛人形、鍵山雛。

 めでたい祭事のはずなのに、明らかに人選ミスした試合が始まろうとしていた。

 相性が良過ぎて、空気そのものが黒ずみ淀んでしまうほどの瘴気が、二人を中心に渦巻いている気がする。

 

「ほぉ、厄神と嫉妬妖怪の対決ですか。色んな不浄のものを見境なく振り撒きそうで、中々面白そうです」

 

 そうだねー、明日も晴れると良いねー。

 

 文は弾んだ声で何か言っているが、見ただけで呪われてしまいそうなのでとりあえず何も見なかった事にしておく。

 

「お空、大丈夫?」

「うにゅ~」

 

 これから起こるだろう嫉妬と厄の素敵なコラボレーション風景は思考の脇に置き、キスメを桶に入れ直した私は、代わりにお空の頭を膝へと乗せ熱した彼女の額と頬に手を添えながら、見下ろす形で地獄烏の少女を見た。

 私の横から、浮かんだ桶の縁に手を置いたキスメも心配そうにお空を見ている。

 随分と酔いが回っているようで、時間が経っても火照ったままの体温が触れた箇所から私へと伝わって来る。

 

「辛いようなら、早苗に頼んであげるから神社の中で休んでいた方が良いわよ」

「でも……うつほ、次に緑の巫女さんと弾幕ごっこしないといけないし……」

「そんなのお燐が代わるわよ。まずは自分の心配をしなさい」

「うにゅ……お人形屋さんって、なんだかさとり様みたい」

 

 失敬な、誰があんな性悪捻くれ妖怪か。

 私の心は、百パーセント純粋です。

 言い過ぎた。七十――いや、ここは謙虚に六十八パーセントくらいにしておいてやる。

 

「でも……ごめんね、お人形屋さん。やっぱり、うつほがやらないと」

「どうして?」

「うつほのかみさまがね、しんこーを欲しがってるの」

 

 お空の中に居る神。それは、神奈子と諏訪子の力によって降ろされた太陽の運び手にして化身、八咫烏。

 神の力を飲み込み移動する社と化したお空は、常に取り込んだ八咫烏と交信を行っているような状態らしい。

 

「うつほが頑張るとね、かみさまが喜ぶんだ」

 

 一つの体に二つの意識。溶け合うのでも、一方に支配されるのでもなく、お空の思考は中途半端で不安定のままそこで安定してしまっているのだ。

 信仰とは、祈りであり、願いであり、理想であり、希望であり――そして、神は確かに居るのだという理解である。

 この辺りのあり方は、ある意味妖怪などと近いかもしれない。

 認識されなければ――信仰を、畏れを受け取らなければ、その存在を現世に保つ事すら許されない。

 神奈子も、諏訪子も、雛も、静葉も、穣子も――例外はなく、幻想郷の住人たちは皆で互いを認識する事で支え合っているのだ。

 実際に神が往来を出歩く幻想郷では、極端な話お空という神が居る事をこの地に住まう者たちが知るだけでも、それはある意味信仰が手に入るのと同義となる。

 それが、力を示した事での畏れや憧れであれば尚更だ。

 

「だから――うつほは頑張りたいよ」

「……そう」

 

 何かをねだるような潤んだ瞳で、私の服の裾をほんの少しだけ掴むお空。

 私に何を期待しているわけでもないのだろうが、今の弱った身体では誰かにすがらずにはいられないのだろう。

 そんな目をされては、こちらが折れるしかないではないか。

 

 ごめんね、早苗。

 今日の私は、この娘の味方だ。

 

「仕様がないわね――「麗和浄(ディクリアリィ)」」

 

 心の中で謝罪しながら呪文を唱えると、かざした右手から淡い光が走り、お空を優しく包み込んだ。

 これは、体内の毒物を中和し無毒化する呪文だ。効果を確認する為に、わざわざ毒キノコを自分で食べて使用するという無駄な体当たりをして検証した呪文である。

 どんな毒物でも中和できる訳ではないし、アルコールが毒物に判定されるかは微妙だが、やらないよりはマシだろう。

 

 そもそも、毒と薬って表裏一体だし、効果も種類も豊富なのにどうやって体内に悪影響を及ぼす毒素だけを判別してるんだろうね?

 

「「復活(リザレクション)」」

 

 ゲームなどでは定番で登場している、解毒魔法に対する根底を揺るがしかねない疑問はさておき、それだけでは心許ないので追加で高位の回復呪文も掛けておく。

 こちらは、傷の治療は元より体力の復調などの副次的な効果も多いので、今のグロッキー状態のお空にとっては最も有効な術だと言えるだろう。

 妖怪であり神でもあるお空は自力も回復力も高いので、私の拙い魔法でもものの数分で元気になってくれるはずだ。

 

「あったかい……ありがとう、アリス」

「どういたしまして」

 

 呪文を続ける私の手に自分の手を添え、やや弱った笑顔を向けてくれるお空に、私は相変らずの無表情で言葉を返す。

 

「……互いの健闘を祈ろうとお空さんの激励に来たのですが、何だか既に敗北した気分です。文さん、私は一体どうしたら良いのでしょうか」

 

 お空の世話をしていて気付かなかったが、近くまで来ていた早苗が私とお空を見ながらなぜかしょんぼりとした顔をしていた。

 

「あややや。早苗さん、そう気を落とさず元気を出して下さい。ふむ、「山の神と地底の神、人形遣いの心を射止めるのはどっち!?」――少しパンチは弱いですが、次の記事はこれでいきますか」

「そうですね、相手が弱っているのであればむしろ好都合です。ここは、これ以上ないほどの完全勝利を果たし、アリスさんの膝を独占する権利をもぎ取りましょう!」

「ええ、ここはパチュリーさんや魔理沙さん辺りにも取材をお願いして、内容を膨らませてからの方が面白いでしょう。「人形遣いの膝は誰のもの!? 仁義なき膝枕戦争!」――うん、これで少しはマシになりましたね」

「……山の奴らっていうのは、変なのが多いんだねぇ」

 

 会話が成立しているのかいないのか解らない早苗と文を見て、お燐がしみじみと呟いている。

 

 あのねお燐。

 そこの二人は、山に住んでる面々の中でもかなり特殊な部類に入る気がするから、基準にはしない方が良いと思うんだ。

 というか、地底も大概だからその発言って完全にブーメランだよね。

 

 神と妖怪の祭事は、その後も日が沈むまで行われ続け、夜にはそのまま何時も通りの大宴会へと移行して騒ぎ明かした。

 地底も地上も、神も妖怪もなく、ただひたすらに笑いと狂乱の宴が守矢神社の境内で繰り広げられてゆく。

 最終的に勝者がどちらとなったかは、語らない方が華だろう。

 私も、時折傍に来る数名と言葉を交わしながら、少し離れた場所でその素晴らしい空間を堪能した。

 キラキラと宝石みたいな、私には勿体無いほどの日常。

 

 明日も良い日でありますように――

 これだけ沢山の神が居るんだから、私の願いの一つや二つくらいきっと叶うよね。

 

 ちなみに、元気になったお空に完全敗北した早苗は、己の不甲斐無さを嘆きながら私に抱き付いて膝を独占していた。

 その時の彼女の顔は、正に計画通りといった表情だった事を付け加えておく。

 そんな強かな少女に内心で苦笑しながら、私も己の欲望に従い彼女の綺麗な髪を手櫛で梳き続ける。

 これもまた、一つの需要と供給の一致と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 深い深い地の底――お空の為にあてがわれた地霊殿の一部屋で、地獄烏の少女がベッドに入り規則正しい寝息を立てていた。

 睡眠も娯楽の一種だ。妖怪に変じて必要なくなったとはいえ、特にやめなければいけない理由がある訳でもない。

 なので、大抵の妖怪は程度の差はあれこうして普通に睡眠を取っている。

 乱雑とした室内で大量に溢れ、灼熱地獄からの光源でステンドグラスの床と共に数多の光を反射するのは、ガラス片や宝石の原石など玉石混交した光物たちだ。

 出掛ける度に増えていくゴミと宝の山は、先日さとりから命じられて一掃したにも関わらず一月と経たずにこの有り様となっている。

 そんな、彼女以外の誰も居ない空間で、突然お空の口が開いた。

 

『――誰ぞ』

 

 唸るように低く、口調もまるで別人と化した端的な誰何。

 瞳を閉じたまま上半身を持ち上げた彼女の胸元に埋まる、眼球のような紅い宝玉に光が灯る。

 

「――わたしだよ」

 

 呼び掛けに応え、部屋の隅に出来た暗がりから徐々に滲み出すようにして一人の少女が現れた。

 特徴的な市女笠(いちめがさ)に、鳥獣戯画の描かれた袖の長い和服。守矢神社が一柱、洩矢諏訪子だ。

 

『蝦蟇神か』

「久しいね、八咫の。異変の時も今回も、挨拶しそびれちゃったからね、ちょっと寄ってみたんだ」

 

 簡単に行き来が出来る距離でも土地でもないはずだが、諏訪子の口調は至って気軽そのものだった。

 更に言えば、ここが他人の敷居である事など、彼女にとっては何の妨げにもなりはしない。

 

「調子はどうだい?」

『フンッ、最悪だな』

 

 お空の身体を介して会話をする内なる神が、その苛立ちを隠そうともせず吐き捨てる。

 

『太陽の化身と讃えられたこの我が、よもやこのような穴倉の阿呆鳥に押し込められようとはな。蛇神も、余計な真似をしてくれる』

「ふぅん、その割には悲壮感はないみたいだね」

『神など、所詮は信仰の集合体に過ぎん。あれば集い、なければ失う。それだけだ』

 

 多少の不満は抱えていても、八咫烏はただ現状をあるがままを受け入れていた。

 必要とあれば降臨し、不要となれば去る。自動的とさえ言えるこの自己の希薄さが、お空への神降しを成功させているのだ。

 

「そのつまんない考え方、昔っからちっとも変わらないねぇ」

『神の心がぶれれば、それを信じる者の心もぶれる。貴様も神の末席であれば、導き手を担う者としての義務を果たせ』

「さて、私はアンタや神奈子みたいな高天原の連中と違って、それほど神である事に誇りや使命感なんて持ち合わせてはいないからね」

 

 怒りにも似た八咫烏の苦言を、飄々とした態度で受け流す諏訪子。

 

「ま、長期休暇だとでも思ってのんびりすれば良いさ。ここは神も、人も、妖怪も――言葉を、意思を互いに交し合える場所だからね。今までの古臭い認識は、あんまり通用しないよ?」

『解っておる。寄り代のこの小娘から、昼夜を問わず延々と語り掛けられ続ければ、嫌でも理解させられるわ』

 

 精神的に幼く、知識に疎いお空にとって、内なる神は新しく出来た友達感覚でしかない。

 朝起きてから夜寝るまで、本当に間隙なく日常の些細な出来事の感想やお腹が空いたなどのどうでも良い希望を聞かされ、いかにもうんざりといった調子で八咫烏から溜息が漏れた。

 

『そも、この小娘が望んだのは我ではなく「力」そのもののみ。そのような願望で取り込まれた今の我に出来る事など、こうして小娘の眠っておる時にお主へと愚痴をこぼす程度よ』

「またまたぁ。やろうと思えば、肉体の主導権どころかその娘の魂魄を丸ごと取り込み返すくらい、わけはないだろうに」

『その行為に、我の気を晴らす以外の意味があるのであればな』

 

 それは、八咫烏にとって寄り代であり、社であり、巫女でもあると言えるお空を消滅させてまで行う価値のある行為ではない。

 

「まぁ、元気そうで良かったよ。バ神奈子共々、これからよろしくね」

『蝦蟇神――貴様も、相変わらずの昼行灯振りよな』

 

 過去と現在は繋がっている。

 今はのんきな性格を表に出しているが、祟り神の頂点として君臨していた頃の諏訪子を知る者であれば、彼女がここに来た本当の目的など考えるまでもない事だ。

 アリスならば、今のような諏訪子をこう評するだろう。

 「談笑している相手の首を、笑いながら掻き切るタイプだ」、と。

 

『今の我でも、我が身を省みず力を振るえばあの神社程度瞬く間に灰塵と出来よう。蛇神からの仕打ちに怒り大人しくせぬと言えば、この場で娘ごと食らう気だったか?』

「何の事だか」

『――去ね、これ以上は娘が起きる。この娘にこれ以上の余計な手出しは、我が許さん』

「はいはい」

『蛇神にもそう伝えておけ。もっとも、この娘は望むだけの力を与えてくれた蛇神の事を、純粋に好いておるようだがな』

「りょーかい。それじゃあね」

 

 振り返り、片手をひらひらと適当に振った諏訪子は、地面に溶けるように身を沈ませて消えていった。

 

『――そこな娘も安心しておけ。我は無用の争いを好まぬ。余程の事でも起きぬ限りは、この娘の中で大人しくしておいてやる』

 

 諏訪子がどこかへ去った後、部屋の扉に向けてそれだけ言うと、八咫烏もまた胸の宝玉から光を消してお空の身をベッドに横たわらせた。

 

「――なにやら物騒な心が読めると来てみれば……神というのは本当に身勝手な方々ですね」

 

 二者と入れ替わる形で、この屋敷の主である古明地さとりが顔をしかめながら扉を開け、お空の部屋へと入って来る。

 

「そんな事を言われて、私が感謝するとでも? ペットの身体をそちらの都合で好き勝手にしておいて、恩まで着せようとは下手な妖怪や人間よりも余程性質が悪い」

 

 ぶつくさと文句を言いながら、はだけた毛布を掛け直したり枕の位置を調節してあげたりと、寝ているお空の周りを整えるさとり。

 一頻り作業を終えると、彼女は床に撒かれた光物たちを蹴散らしながら再び部屋を後にする。

 

「まぁ、感謝ではありませんがお空やこの地霊殿に争いを持ち込まないよう配慮して頂いた点だけは、正等に評価して差し上げますよ。これから、お空の事をお願いしますね」

 

 お空と神は、完全に融合を果たしてしまっている。今更無理に切り離そうとしても、それは寄り代である地獄烏の死を意味しているだけだ。

 ならば、もう諦めて受け入れるしかない。幸い、お空の取り込んだ八咫烏は分別のある性格をしているようなので、寄り代の身体を使って無茶をする事はないだろう。

 替わりに、神の力を使ってお空が無茶をするかもしれないが、それは防ぎようがないので考えない事にしておく。

 扉を閉めてから、盛大に溜息を一つ。

 

「――こいし、帰った神様に付いて行くのは構わないけど、危ない事に関わってはダメよ?」

「はーい」

 

 知覚は出来るものの、先程からずっと傍に居るのにまるで姿の見えないこいしが、気の抜けた返事をして駆け去って行く。

 心を閉ざし、ふらふらと地底や地上をさ迷う彼女もまた、さとりにとって悩みの種の一つだ。

 彼女の無意識によって、今度は一体どんな面倒事が起こるのか。想像しただけで、さとりは胃が痛くなる思いだった。

 

「やはり、外と関わると碌な事が起こらないわね。あの河童も時々来て、勝手に屋敷のあちこちを改造しているようだし――はぁっ……」

 

 妹も去り、最後に一人残されたさとりは己の不幸を噛み締めながら、明りの尽きない地霊殿の通路を歩いて行く。

 彼女にとって、至上の幸福である平穏な日常は、これからもしばらくは訪れそうにはなかった。

 

 

 

 

 

 

 追記。

 翌日の私は、すこぶる幸運だった。

 朝に寄った博麗神社では、入れて貰ったお茶に茶柱が立っていた。

 次に寄った紅魔館では、マザーグースの一つらしい歌を口ずさむ上機嫌な咲夜と通路の角でばったり出くわし、時間を止めてまで逃げて行った彼女の大変珍しい恥じらい顔をうぜぇ丸のフル連射で見事に撮影する事が出来た。

 最後に寄った人里では、偶然来ていた幽香に八百屋で果物の目利きをして貰ったお陰で、食後のデザートとして作ったイチゴのタルトは絶品だった。

 

 すげー、神頼みすげー。

 よし! これからは、毎日必ず神に祈ろう。

 

 当然、奇跡や幸運とは偶然の隣人であり、神に祈っただけで全ての物事が万事円満になるとは流石に思ってはいない。

 だが、私の小さな感謝であの神様たちが少しでも喜んでくれるのなら、祈る価値は十分にあるのではないだろうか。

 

 明日も良い日でありますように――

 私の隣人たちが、どうか幸福でありますように――

 

 明日もまた、私にとってとても素敵な一日が始まる事だろう。

 




ここのアリスの幸福が、なぜか許せない自分がいます……

いや待て、違うんだ! 話を聞いてくれ!
これはきっと、異変編でアリスを虐めろという神の啓示なんだよ!

上の語りは冗談ですが、後三話くらい日常編をやってから異変の話に移る予定。
次は、もうちょっと早く上げたいですねぇ……

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