東方有栖(アリス)伝   作:店頭価格

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超・難・産!

ちくしょう。
姫様の美しさを、百万分の一すら書けてねぇ……っ。




32・月下月人

 太陽の輝きが猛威を振るった夏が終わり、ようやく日差しと風の涼しくなり始めた、そんな季節の昼と夜の中間地点。

 迷いの竹林の外周を旋回するように、高速で一つの影が飛翔する。

 影の正体はアリスであり、彼女の家と同じように竹林の内部へと少し入った場所に建つ掘っ立て小屋の前に着地すると、入り口である戸を拳で強く叩き始めた。

 

「妹紅、妹紅っ。お願い、居るなら早く出て来てっ」

 

 およそ、何時もの彼女らしからぬ強い声で小屋の住人を訪ねるアリス。

 

「――これは随分珍しい。アリスがそんなに慌てるなんて、幻想郷が滅びる異変でも始まったの?」

 

 それほど間を置かず、軽口を叩きながら立て付けの悪くなった開き戸をガタガタと開き、家主である藤原妹紅が姿を現した。

 

「今から、急いで永遠亭に案内して欲しいの」

「――急患かい?」

「えぇ、説明は道中で」

 

 すぐに事情を察して尋ねる紅妹に、アリスが頷く。

 迷いの竹林は、その名の通り入った者を迷わせる迷路のような場所だ。

 目印の少なさや、微妙な傾斜により平衡感覚が狂ってしまう土地柄など様々な根拠が存在するものの、最大の理由はこの天然の要塞に住まう月の民たちによる隠蔽工作にあるのかもしれない。

 幻想郷に存在する竹林の案内人は、永遠亭の住人と関わりを持つ藤原妹紅ただ一人。

 アリスも永遠亭へと辿り着ける手段は幾つか持っているものの、時間が掛かり過ぎる為今は使っている余裕がないのだ。

 

「事情は良いよ。それより急ごう」

「ありがとう。患者の女性は、人里から通ってる道の終わりでフランと上海たちに担がせているわ」

「了解っ」

「「翔封界(レイ・ウィング)」」

 

 足に力を込め一気に加速する妹紅を、速度を調整した高速飛行の呪文を唱えてアリスが追従していく。

 一つの命を拾い上げる為、地と空を二つの影が疾駆する。

 目指すは、隠れ里の中に作られた月人たちの隠れ宿。幻想郷の万能薬、八意永琳の構える診察室だ。

 騒動こそが幻想郷の日常だというのなら、この一幕もまた日常の一つに過ぎないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 純和風で平屋建ての日本家屋。永遠亭。

 豪奢ではないが、正に隠れ家に相応しいとても静かで落ち着いた雰囲気を醸す建造物の一室に、私は居た。

 以前、フランと図書館でした「輝夜に会わせる」という約束を果たす為、彼女と一緒にこの屋敷へと向かう途中で思わぬ拾い物をしてしまった。

 道中の川縁で、恐らく人里の住人だろう三十代ほどの女性が顔面蒼白の状態で川縁の近くにうずくまり倒れていたのだ。それなりに上空を飛んでいたので、フランが彼女の腫れ上がった首筋から流れる血の匂いで気付かなければ、確実にそのまま素通りしていた事だろう。

 回復呪文と解毒呪文を掛けたもののまったくと言って良いほど効果が現れてくれず、私は人里の医院か永遠亭のどちらに搬送するかの選択肢を迫られた。

 魔法による回復も、万能ではない。特に、私の呪文は怪我の治療と体力の復調に重きを置いている為、ウイルスなどによる感染症には本人の自己回復力を頼るしかないのだ。

 距離的に近いのは人里だったが、人里の医院で手が打てなければ結局は永遠亭に運ばれる。なので、多少のタイムロスを覚悟で全力疾走したという訳だ。

 

「ここまでご苦労だったわね。峠は越えたわよ」

 

 診察室で椅子に座って待っていた私に、治療を終えたマッドサイエンス薬師、ヤゴコロ製薬社長の八意永琳が戻って来た。

 長い銀髪を三つ網のように後ろで一つに結わえた、妙齢の美女。隙のない立ち姿と振る舞いは、どこか八雲家の第一従者を思わせる。

 あちらとの違いは、冷厳さを保ちながら僅かな緊張感を発し続ける九尾様に対し、その上位であるスキマ妖怪に近い包容力と余裕を持っている点だろうか。

 

「貴女の魔法で割りと薄まってはいたけれど、首筋の後ろから針状のもので麻薬に近い酩酊系の毒物が打ち込まれていたわ。注射針なんて幻想郷ではそれなりに貴重でしょうし、まず妖怪の仕業でしょうね」

 

 患者である彼女のものであろうカルテを片手に回転椅子に腰掛け、私が自分の分のついでで入れた緑茶を湯飲みですすりながら診断結果を教えてくれる。

 

 どうでも良い事だけど、椅子に座って足を組む仕草に壮絶な色気を感じずにはいられませんよ、八意先生。

 長丈のスカートでほとんど隠れているというのに、滲み出る大人のかほりが半端じゃねぇ。

 この色香、そんじょそこらの小娘には捻り出せもしませんな。

 あーぁ、私もガワだけのへっぽこじゃなくて、何時かはこんな知的美人になれたらなぁ。

 まぁ、寿命を捨てて成長が止まってるから、普通に考えて無理なんだけどねー。

 

「貴女が応急処置をせず、かつ到着するのが二時間ほど遅かったなら――多分、死体を運んで来た事になっていたんじゃないかしら」

 

 私の憧れと尊敬の視線には気付かず、永琳は何気ない口調で喋る。

 本当に気負いのないその声音が、彼女の語る言葉がただの事実である事を物語っていた。

 

「それは良かったわ」

 

 こわっ。最初の判断で人里に向かってたら、間に合わなかったかもしれないじゃんそれ。

 いやぁ、本当に良かった良かった。

 

 私の回復呪文も効果が薄かったのでかなりの重症だと推測していたが、どうやらイヤな意味で当たりだったらしい。

 

「貴女たちの事、伝えておく?」

「別に良いわ。恩を着せたくてやった訳ではないもの」

「そ。それじゃあ、治療費の請求もあちらにしておくわ」

「そうしてちょうだい」

 

 助けはしたものの、そこから先はもう本人に任せた方が良いだろう。永琳の薬師家業は暇潰しみたいなものなので、そこまでの大金を吹っ掛けられる心配もない。

 

「それと、次は貴女の診察だったわね」

 

 あぁ、そうそう。そんなお願いもしてたね。

 思わぬ出来事に遭遇したインパクトが強過ぎて、永遠亭に来たもう一つの目的を忘れそうになってた。

 

 女性の容態と彼女を襲った妖怪の事は気になるが、被害者である彼女が起きてこない事には詳しい事情も解らない。よって、とりあえずその件は一端保留だ。

 私が永遠亭に来たもう一つの目的は、先日ちょっとした事情で魂を引っこ抜かれるという貴重な体験をしたので、大事をとって健康診断をして貰おうと思い立ったからである。

 今の所不調や違和感は感じないし、完全に自業自得な出来事ではあったものの、身体は資本。無理をさせた分、相応に労ってあげたい。

 

 頭を打ったら幽体離脱する体質とかになってたら、大変だからね。

 まぁ、それはそれで楽しそうだけど。

 

「そちらは少し待って貰えるかしら。うどんげに手伝って貰いたい作業もあるし、あの娘がお使いから帰って来てからにしたいから」

「えぇ、それで構わないわ」

「それまで、姫様のお相手をお願い出来る? 丁度、遊び相手になりそうな子も連れて来てくれているみたいだし。報酬は、今回の診察代ね」

「元々、今日は一日フランに付き合うつもりだったのだけれど――まぁ、貰えるのなら貰っておくわ」

 

 永琳の気遣いにより小銭が浮いたので、帰りに人里でフランに何かお洒落な小物でも買ってあげる事にしよう。

 

 そういえば、この前人里の露天で竹細工のかんざしとか櫛とかが色々置かれてたっけ。

 まだやってるか解らないけど、帰り道にでもフランと一緒に覗いてみようかな。

 よーし。今日はお姉ちゃん、お財布の紐弛めちゃうぞー!

 

 余り買い与えてばかりだとレミリアと咲夜辺りが良い顔をしないのだが、彼女たちも結局はフランにただ甘なので多分小言を言われるくらいで済むはずだ。

 叱る役は他の人に任せ、私は目一杯甘やかす役目を請け負おう。

 悲しみは分かち合い、喜びは二倍に。

 身贔屓になってしまうが、あの娘は四百九十五年間閉じ込められていた分まで幸せになるべきだ。

 その一助となれるのならば、これほど嬉しい事はない。

 

「それじゃあ、後でね」

「えぇ」

 

 そんな素敵な未来を胸に短い挨拶を交わし、すぐさまカルテへと書き込みを始めた永琳に背を向けて、私は診察室を後にする。

 

「てゐー、てゐー」

 

 見事な情景に剪定された中庭を眺めながら長い廊下を抜け、玄関で待つフランと妹紅の元へと辿り着いた丁度その時、反対側の廊下から着物の裾を引きながら長く美しい黒髪をした絶世の美少女が現れた。

 月からやって来た、働きたくないでござる星人とは仮の姿。解語の花とは彼女の為にある言葉だと断言出来る傾国の美姫であり、かの昔話「かぐや姫」の主人公その人、蓬莱山輝夜のご登場だ。

 

 いやもう、彼女って何度見ても美し過ぎて素で平伏したくなるんだよね。

 幻想郷で知り合う原作の少女たちは皆べらぼうに可愛いけど、彼女はそこから更に頭二つ分は飛び抜けてる。

 そりゃあ、貴族さんたちも必死になって求婚する訳だよ。結婚しよ。

 

 私が輝夜の造形美を観察し脳内で唸っていると、彼女は私よりも先に玄関に立つ妹紅に気付いてそちらへと視線を向ける。

 

「あら、もこたんじゃない」

「もこたん言うな」

「可愛いのに」

 

 ほぼ反射に近い速度で妹紅が文句と眼光を送るが、輝夜はまったく動じていない。

 

 ……ごめん、これ私のせい。

 うっかり私が口を滑らせた場所に、輝夜が居会わせたもんだから……

 本当にごめんね、もこたん。

 

 そこから広がり、実は影で言っている者は少なからず居るものの、面と向かって呼んでいるのはこのお姫様ぐらいだろう。

 

「貴女が屋敷の中に入って来るだなんて、随分と珍しいわね。上がっていく? 泊まっていく? 弾幕(たま)っていく?」

「どれもしないよ。私は単に、アリスとフランドールの付き添いで来ただけだし」

「それなら、上がっていきなさい。今、イナバにお茶を入れさせるわ」

「聞けよ」

 

 直接本人たちから聞いてはいないが、私の持つ原作の知識が正しければ同じ不老不死である二人の関係は、相当に複雑だ。それこそ、未だに定期的な「殺し合い」を続けるぐらいには。

 お互いが被害者のようで、加害者のようで、無関係のようで――千年以上の月日が経ってさえ、妹紅にとって輝夜は心中複雑な相手らしい。

 しかし、どうやら輝夜の方は違うらしく、妹紅の言動を上手くあしらっては今のように自分のペースに巻き込んでいる場面を時々見掛ける。

 慧音といい、輝夜といい、妹紅が孤独を好む性分であるが故に世話を焼きたくなるのだろう。

 

「ふわー、きれー」

 

 のれんに腕押しと輝夜を睨み続ける妹紅の隣で、フランが瞳を輝かせながら月の姫君に見惚れていた。

 

「あら、貴女がフランドールね。お姉さんのレミリアから、話は聞いているわ」

 

 視線を移し、フランの前へと移動した輝夜が小さな淑女(リトルレディ)と視線を合わせる為に優雅な動作でしゃがみ込む。

 

「初めまして、蓬莱山輝夜よ」

「フランドール・スカーレットよ。アリスお姉ちゃんが言ってた通り、本当に綺麗な人なのね」

「うふふ、ありがとう。お近づきの印に――こんなのはいかがかしら?」

 

 竹取の姫が取り出したのは、四枚のスペルカード。

 弾幕ごっこは、争いばかりの目的で行われるものではない。時に娯楽に、時に交流に、己を曝け出し相手と心を通わせる手段としても、この決闘法は非常に優れているのだ。

 

「あはっ、喜んで!」

 

 フランの瞳の輝きが更に増し、立て掛けていたピンクの日傘を片手に大急ぎで外へと駆け出して行く。

 

「ひめさまー、呼んだー?」

 

 そこで、輝夜が来た側の廊下から間延びした声を出しながら、首の後ろで手を組んだてゐがひょっこりと顔を覗かせて来る。

 

「今はもう良いわ。久しぶりに、書道の道具を引っ張り出して貰おうかと思っていたのだけれど――もっと面白い遊びが、相手と一緒にやって来てくれたから」

「さいで」

 

 気紛れなお姫様に振り回される事など、永遠亭では日常茶飯事なのだろう。怒るでも呆れるでもなく、てゐの反応は至極淡白だ。

 

「そっちの二人が遊び相手?」

「いいえ、二人は客人よ。イナバを呼んで、お茶を出させて」

「鈴仙なら、置き薬の回収と補充で人里に行ってるよ」

「それじゃあ、貴女にお願いするわ」

「はいはい」

「おひめさまー! はやくはやくー!」

「はーあーいー」

 

 外で待つフランから大声で呼ばれ、まるで友達感覚で返事をした輝夜はてゐに後の事を全て丸投げした後、玄関口に置かれた自分の靴を履きウキウキとした軽い足取りで外へと向かう。

 彼女の年齢が幾つであろうと、その奔放さに年相応の少女だという感想を抱いた私は、果たして間違っているのだろうか。

 

「んじゃ、お客様二名ごあんなーい。出すのは、出涸らしとお茶漬けで良い?」

「もてなす気ないだろ、お前」

「まっさかぁ。てか、ほんとに上がっていくんだね」

「輝夜の奴、無視すると私の家を潰しに来るからな。何万回も建て直してるから、もう諦めた」

「愛されてるねぇ」

「言ってろ」

 

 どうにもこうにも――この隠者の屋敷は、相変わらず曲者揃いな事で。

 

 炸裂する弾幕により奏でられる音たちが耳を打つ中、妹紅と軽口を交し合いながら客間へと案内しようとするてゐに私は内心で軽く溜息を吐く。

 輝夜もてゐも、万事が万事この調子なのだろうから、常識人枠である鈴仙の苦労が忍ばれるというものだ。

 

「私は、弾幕ごっこが終わるのを待ってから二人と一緒に行くわ」

「はいよ」

「流れ弾には気を付けなよ」

 

 手を振る二人と別れ、今度は私が外へと出て行く。

 

「元気が良いわねぇ! 好きよ、そういう子!」

 

 神宝 『ブリリアントドラゴンバレッタ』――

 

「あはははっ! お姫様の弾幕は、貴女と同じでとっても綺麗ね! 綺麗過ぎて――粉々に壊したくなっちゃうわ!」

 

 禁弾 『スターボウブレイク』――

 

 現れた五色の宝玉から振り撒かれる極色と、翼の宝石より出でて降り落ちる極色。

 二つの弾幕群がぶつかり合い、生い茂った竹林の中でありながら空がうかがえる開けた場所を、更に艶やかな光で彩り染める。

 右隣に浮かせていた上海を前方に配置し、何時でもこの娘のギミックである魔力障壁が展開出来る状態にしてから玄関を抜ければ、ヴァンパイアレディとムーンプリンセスが嬉々とした表情で暴れ回っていた。

 

「あっはぁっ!」

「ふふっ、危ない危ない」

 

 太陽が雲で隠れた瞬間日傘を折り畳み、上空から縦回転をしながら垂直落下したフランの繰り出す踵落としを、輝夜は前方に出現させた一つの小さな鉢――恐らくは、スペルカードで使う仏の御石の鉢の一つ――でがっちりと受け止める。

 直後、高速で後方へと距離を取ると同時に互いが休まる事なく大量の弾幕を放つ。

 くるくると、飛翔し、撃ち出し、舞い踊る。

 

「ふふ、ふふふふふっ」

「あはっ、あはははははぁっ!」

 

 うわぁ、二人ともすっごい笑顔。

 退屈が嫌いな二人だから、娯楽に飢えてるんだろうなぁ。

 

 人間生きて五十年。妖怪生きて幾千年。

 不老不死の蓬莱人に至っては、永遠に終わりなど訪れない。

 だからこそ、妖怪変化たちは今この時を全力で楽しむのだろう。その精神のあり方は、私も見習いたいものだ。

 

 とりあえず、あの様子じゃ終わった頃には二人とも泥んこになるだろうから、タオルを出して「浄結水(アクア・クリエイト)」の呪文で濡らしておこうか。

 

 「浄結水(アクア・クリエイト)」は、任意の空間に水を生み出す便利な生活用呪文だ。平凡で地味な呪文だが、およそ水が必要になるあらゆる場面で活躍してくれる。

 すっかり世話焼きが板に付いてしまった自分の思考に少しだけ嬉しくなりながら、まずはタオルを引っ張り出す為に転送の魔法陣を展開させる私。

 輝いては消える幻想の光景の下で、私はこの地での生を改めて噛み締める。

 こんな私には、勿体無いほどの光が見える。見えて、感じて――実感出来る事が、たまらなく愛おしい。

 

 時よ止まれ、君は美しい――か。

 あーぁ、本当に綺麗だなぁ――ちくしょう。

 

 心の中の悪態が、何に対するものなのか私にも解らない。

 この勝負の勝敗に、意味はない。よって、どちらが勝者だったかは語らぬが華としておこう。

 

 

 

 

 

 

 自己紹介を兼ねた弾幕ごっこも終わり、本当に出涸らしとお茶漬けでてゐからもてなされていた妹紅に合流した後、アリスたちは輝夜と一緒にお手玉やあやとりなどの遊びを楽しんで時間を潰していた。

 

「――師匠! 急患一名、大至急です!」

 

 そんな和んだ空気を引き裂くように、今度は玄関からバタバタと慌しい音と鈴仙の焦った声が聞こえて来る。

 

「だから、慌てなくとも私は大丈夫だと何度も言っているだろう」

「どう見ても重症じゃない! 駄々をこねてないで、ちゃんと師匠に診て貰わないとダメよ!」

「診察を拒んでいる訳ではないさ。私は厄除けの力を持つハクタクの半獣なので、病や毒にはそれなりに耐性があるんだ」

「バカッ、そんな素人判断が一番危ないのよ! 喋ってる暇があったら、足を動かしなさい!」

「やれやれ……」

 

 続いて聞こえて来るどこか困ったような声は、慧音だろうか。心配する薬師見習いとは違い、寺子屋教師の方には随分と余裕がある。

 

「鈴仙? 何かあったのかい?」

「てゐ! アリスと妹紅も、この分からず屋を運ぶから手伝って!」

「分からず屋はお前だ」

 

 ぞろぞろと足を運んだアリスたちを見て、鈴仙がろくな説明もせずに指示を出す。

 彼女から左腕を掴まれて呆れている慧音の逆側の腕は、一部が大きく腫れており膿んでいるのか僅かに淀んだ血が溢れ出している状態だった。見た目的には確かに重症だが、当の本人は至って平静を保っており重篤とは程遠い様子だ。

 訳も解らないまま、一先ずは言われるがままに慧音を永琳の診察室まで送り届けるアリスと妹紅。永琳は、慧音の腫れ上がった傷を見ても「今日はお客さんの多い日ね」などと涼しい感想を漏らすだけだった。

 

「はぁっ……」

 

 慧音を永琳に任せて二人が客間に戻ると、鈴仙がなにやら地面にでも埋まりそうなほど落ち込んだ様子で机に突っ伏している。

 

「それで、結局何があったの?」

「帰り道の途中で、私がいきなり大きいムカデの妖蟲に襲われたの」

 

 アリスの質問に、机から少しだけ顔を上げた鈴仙がポツポツと事情を説明し始めた。その表情はとても苦味に満ちており、お世辞にも良いとは言えない。

 

「事前に異変を察知して妖蟲を追ってた慧音とリグルが一緒に戦ってくれて、何とか退治はしたんだけど……あの人が、私を庇って毒針を受けて――」

「それで、一人であんなに大慌てしてたのかい。ダメだねぇ、心臓の弱い兎ちゃんはこれだから」

「てゐ、茶化さないの」

「へいへい」

 

 落ち込む鈴仙に、叱咤激励のつもりなのか追い討ちを掛けるてゐだったが、輝夜から注意されると肩をすくめてあっさりと引き下がる。

 

「それで、そのリグルは今どこに居るの? 一緒には来てないみたいだけれど」

「はい、姫様。彼女は、怪我をしたあの人を私に任せてその妖蟲を供養すると言っていました。「助けられなかったから、せめて自分の手で送りたい」、と」

 

 「蟲を操る程度の能力」を持つリグルにとって、全ての虫は友人であり同胞。それを手に掛けて平然としていられるほど、彼女は強くも冷たくもあれない。

 

「妖蟲は完全に正気を失っていた様子で、私を襲う前にも無差別に暴れていたそうです――アリス。この前の満月の夜、貴女が攫われた事件があったんでしょう?」

「えぇ」

「その時、事件の影響なのか色んな妖怪たちが普段よりとても興奮してたみたいなの。リグルは、それに強く当てられたせいで少しずつ狂っていったんじゃないかって……」

 

 狂気や興奮は伝染する。虫という、単純な精神構造しか持てない存在が大量の妖怪たちが暴れ回った熱気を一身に浴びたのだとすれば、精神の拮抗を崩したとしてもなんら不思議はない。

 一ヶ月以上も興奮状態から醒める事も出来ず、悶え苦しみ続けた妖蟲を憂うリグルの気持ちはいかほどのものだったのだろうか。

 

「慧音、大丈夫かな……」

 

 聞いている内に不安になったのか、フランがアリスの服の裾を掴みながら顔をうつむかせてしまう。

 

「本人が大丈夫だって言ってたんだ。嘘を吐いてた様子もなかったし、あの薬師に任せておけば問題はないだろうさ」

「――まったくね。この程度の患者で動揺されては、私の腕が疑われている気がしてくるもの」

「すまない。皆にも、心配を掛けてしまったな」

 

 楽観する妹紅へと答えたのは、障子を開けて客間へと訪れた永琳と慧音だった。慧音は傷のあった片腕を包帯で吊っているものの、顔色や動作に不調は見受けられない。

 

「言った傍からか。随分と早かったね」

「当然よ、てゐ。彼女が受けたのは、アリスが運んで来た患者と同じ毒だったから、解毒薬はもう作製済みだったもの」

 

 弾幕ごっこなどを挟んだとはいえ、アリスが女性を運んでからまだ二時間すら経過してはいない。永琳は、そんな短時間で患者の体内を侵す毒物を検査し、解毒に必要な成分をあっさりと調合してのけたのだ。

 先行して別の被害者が来ていたとはいえ、出鱈目過ぎる技術力である。

 

「アリスの連れて来た患者の方は、意識が覚めるまで入院ね。貴女たちには帰りに解毒薬を幾つか渡すから、他にも被害者が出ていたらそれを使ってちょうだい。まぁ、もし本当に居たとしても時間的にもう手遅れでしょうけれど」

 

 アリスの応急処置があったからこそ、連れて来た女性は間に合ったのだ。もし他に普通の人間が襲われていたとすれば、永琳の言う通り最早手の打ちようはないだろう。

 

「リグルには、後で深く詫びねばならないな。彼女は最後まであの妖蟲を救おうとしていたのに――私は、二人を守る為とはいえせめて苦しまずに止めてやる事しか出来なかった……」

 

 吊るされていない左手を強く握り、己の無力さを噛み締める慧音。

 そんな彼女を一瞥した輝夜は、軽く二回手を叩く事で注目を自分へと集め、部下たちに指示を出す。

 

「――てゐ、酒蔵から他のイナバたちと幾つかお酒を持って来て。上等なやつじゃなくて、量を優先でね。鈴仙は、リグルを探してここに連れて来てちょうだい」

「了解」

「え? あの……きゃっ」

 

 疑問も質問も返さず立ち上がったてゐが、突然の要求に戸惑う鈴仙の頭をはたく。

 

「ほれほれ、ボーっとしてないで早く動きなよ。姫様直々のご命令だよ?」

「ちょ、こら、待ちなさいよ。てゐっ」

 

 立ち去るてゐの後を鈴仙が慌てて追って行くのを見送りながら、慧音の顔が僅かに歪む。

 

「酔って紛らわせろと言うのか……柄ではないのだがな」

「紛らわせるだけじゃダメよ、吹っ切れなくっちゃ。幻想郷(ココ)は、そういう場所でしょう?」

 

 袖元で口を隠し、輝夜はクスクスと意地の悪い笑みを浮かべていた。

 永遠とは不変。それは、「今」という時間の連続に他ならない。

 死に直面するまでの工程を生だとするのならば、彼女はその呪縛から解き放たれた時点で「生きてはいない」のだ。

 

「盛者必衰、諸行無常。命が終われば、そこで終わりよ。それ以上はないし、その先もないの――折角生きているのだから、ここにある今を楽しみなさいな」

 

 全ての時間を超越する永遠と須臾の狭間で、終わらない無限の牢獄に捕らわれた姫が笑う。何時もと変わらない、不変の笑みで。

 

「今日の診察は、諦めて貰った方が良さそうね」

「立てていた予定が変わるなんて何時もの事だし、別に良いわよ。急ぎでもないし、日を改める事にするわ」

 

 これから全員が飲むというのなら、時間の掛かる診察はまず控えた方が無難だろう。

 永琳の言葉に、アリスもまた同意して頷きを返す。

 彼女の故郷であり象徴である月が姿を現す瞬間は、もうすぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

「ひっく……私だってねぇ、虫の知らせサービスとか自分なりに頑張ってるつもりなんだよ!? 力ない同胞たちが、せめて自然の理の中で天寿を全う出来るようにってさぁ!」

「解る、解るぞリグル! 私もな、子供たちが立派に成長出来るようにと毎日頑張っているんだ! なのに、上手く導く事の出来ない自分が酷くもどかしくてなぁ……っ」

「なに、殺虫剤って! 虫を殺す為にどれだけ凶悪な道具を開発したか、本当に解ってるの!? 人間って、そんなに私たちの事が嫌いなの!?」

「あだ名は良いんだ……親しみを込めてくれるという意味では、とても嬉しいんだ……だがな――「おっぱい先生」はないだろう! 私の胸以外は、付属品扱いか! 私だってなぁ、好きでこんなに大きくなった訳ではないんだぞ!」

「慧音……っ」

「リグル……さぁ、飲め! 飲むんだ!」

 

 呼ばれて来たリグルと共にハイペースで飲み続けた慧音は、お互いが出来上がった状態で愚痴りあい完全に意気投合を果たしていた。

 

「……はぁ、結局こうなるんだ」

「二人とも、溜め込むタイプみたいだしねぇ」

 

 呆れる妹紅の隣で、リグルたちに捕まって早々に酔い潰されてしまった鈴仙の頭を膝に乗せ、てゐが苦笑気味にその光景を眺めている。

 最奥の壁際では、はしゃぎ疲れて眠ってしまったフランを膝に乗せた永琳が、酒の入ったコップを傍に何をするでもなく吸血鬼の少女の頭を優しく撫でる。

 

「ん――ちょっと外で涼んで来る」

「あいよ」

 

 飲み干したガラスのコップを机に置き、顔を扇ぎながら席を立つ妹紅に片手を振って見送るてゐ。

 障子を閉め、風を受けようと目指した庭の廊下には、すでに先客が腰を下ろしているらしかった。

 

「ありがとう、輝夜」

「別に、貴女の為ではないわよ」

「それでもよ。ありがとう、輝夜」

 

 先客は二人。金髪の人形遣いと黒髪の月姫が、月を眺めながら静かに晩酌を楽しんでいる。

 

「妹紅も貴女も、あの娘たちに付き合って難儀な生き方をしているわよねぇ……永遠を受け入れるだけで、こんなにも退屈(こうふく)になれるのに」

 

 永遠以外のものは、いずれ必ず死を迎える。例外はなく、その離別を避ける方法は存在しない。

 出会うから傷付くのだ。別れるから悲しむのだ。ならば、最初から付いて来られる者だけを残して何もかもを受け入れなければ良い。

 全てを表面だけで済ませ、深くに入らせないまま「今」だけを愛せば、それは永劫を生きる者にとって確かな幸福となり得るのだから。

 

「確かに、辛い思いや苦しい思いをする時もあるわ。だけど、私が好きでやっている事だもの」

 

 輝夜と同じように月を見上げながら、表情を作らないアリスはそれでも万感の想いを込めるように語る。

 

「皆が大好きよ。例え、逃れられない結末が待っているのだとしても。その先で、いずれ全ての思い出と記憶が風化していくのだとしても――それでも私は、誰かを愛せる私でありたいの」

「――貴女は、揺るがないのね」

「まさか、揺らいでばかりよ。こうやって言葉を着飾らなければ、今すぐにでも泣いてしまいそうなくらいには、ね」

 

 ――慧音。

 

 二人の会話を聞きながら、妹紅の脳裏に大切な人の笑顔が浮かんで消える。

 受け入れてしまった代償は、後で必ず訪れる。深く受け入れれば受け入れるほどに、最期の時は身を引き裂くような苦しみとなって襲い掛かるのだろう。

 

「妹紅」

「……なんだよ」

 

 居心地の悪さからてゐたちの居る部屋へと戻ろうとした時、何時から気付かれていたのか輝夜から呼ばれ妹紅は反射的にぶっきらぼうな声を出してしまう。

 

「来なさい」

「命令するな」

「来て、妹紅」

「……」

「――お願い」

 

 何度も乞われ、遂に根負けした妹紅が近づき輝夜からアリスを挟んだ場所へと腰掛ける。

 

「……」

 

 会話はない。三人が口を開く事なく、ただ満月の過ぎ去った大きな十六夜の月を眺め続ける。

 擦れ合う笹とススキの反響が、宵闇の中でサラサラと川の流れる音色に似た静かな音楽を奏でていく。

 

「――月が綺麗ね」

 

 最初に口を開いたのは、三者の中で唯一「死」を持つアリスだった。

 二人からの返答はない。そんなものがなくとも、二人の答えはもう決まっているのだから。

 

「本当に――月が綺麗ね」

 

 永遠を生きる三者の晩酌は、そのまま静かで優しい雰囲気のまま、持って来ていた二本の徳利が時間を掛けて空になるまで行われた。

 月は満ち、そして欠けていく。しかし、欠けた月はまた満ちるのだ。

 連綿と続くその営みは、例え永遠を生きる者たちでさえ否定する事は出来ない。

 彼女たちの見えざる未来もまた、同じように――

 

 

 

 

 

 

「いたたたた……やっと帰りましたね、あの人形遣い」

 

 妹紅が慧音を、アリスがフランとリグルを抱えて永遠亭から立ち去った後、酔いから来る頭痛に悩まされながら鈴仙が後片付けの途中でポツリと愚痴をこぼした。

 

「ん? うどんげは、アリスの事が苦手なの?」

 

 見ているだけで手伝わない輝夜からの質問に、兎の兵士はばつが悪そうに視線を逸らして言い訳を開始する。

 

「いえ、その……あの人って、感情の波長に起伏が全然ないんですよ。だから、まるで石か壁にでも話し掛けてるみたいに感じてしまって」

「意外と真っ当な理由だったわね」

 

 布で机を拭きながら、鈴仙の告げた理由に平坦な声で驚きを語る永琳。

 

「え? どういう意味です?」

「そりゃあもう、想い人が自分よりもアリスの方と親しげだから、やきもち焼いてるんじゃないかって話だよ」

「は? ――はぁっ!?」

 

 空の徳利を足で持ち上げ、盆へと乗せていたてゐの言葉に鈴仙はしばし首を傾げた後、素っ頓狂な声を上げて一気に顔を赤らめさせた。

 

「ち、違います! ていうか、妖夢もこの前アリスの事は苦手だって言ってました!」

「貴女からの気持ちは、否定しないのね」

「別に、あの庭師の事だなんて誰も言ってないけどねー」

「姫様! てゐ!」

 

 墓穴を掘った真っ赤な兎を二人が更にからかい、怒鳴り返す鈴仙の頬は火が付きそうなほどに赤熱を起こしている。

 

「言ってくれれば、生える薬くらいすぐに作ってあげるわよ?」

「師匠まで! もー、知りません!」

 

 遂には師にまで真顔でからかわれ、鈴仙は頬を膨らませながら徳利などを乗せた盆を手に、急ぎ足で逃げ出すように部屋を出て行く。

 

「うどんげったら、照れているのかしら」

「……お師匠って、たまに天然だよね」

「あら、失礼ね。私は不老不死の薬を飲む前に肉体の改造なんてしていないから、身体は全部天然物よ」

「解ってるんだか、解ってないんだか……」

 

 口と一緒に手と足を動かしながら、てゐが肩をすくめて首を振る。

 

「新しい友達も出来た事だし、今日は少しだけ楽しかったわ。明日は、一体何をしようかしらね」

 

 残った最後の一献を片手に、輝夜姫が窓から覗く月を眺める。故郷として、景色として。

 平穏と静寂の中に、僅かな騒乱と喧騒のある風景。永遠亭の日常は、おおむね問題なく幕を閉じていく。

 繰り返される永遠の、不変に近い夢物語のように。

 

 

 

 

 

 

 アリスたちと分かれた後、慧音を背負った妹紅が竹林を抜けて夜の幻想郷を飛翔して行く。

 

「もこぉ、もこぉ」

「なんだい、慧音」

「んー、もこぉは良い匂いだなぁ」

 

 鈴仙やリグルを相手に日頃の鬱憤を吐くだけ吐いて満足したのか、今度は甘え上戸になって片腕で妹紅へと抱き付きながら髪の匂いを嗅ぐ慧音。

 

「もこぉはこんなに綺麗で可愛いんだから、もっとお洒落に気を使うべきだぞぉ」

「良いって、今更恥ずかしいよそんなの」

「もう呉服屋に、一着頼んであるんだからなぁ。サプライズというやつで、今度プレゼントして驚かせやるぞぉ」

「ぷっ、ありがとう」

 

 酔いで口が軽くなり、折角のサプライズを自分で暴露してしまっている事を自覚しない酔っ払いに、妹紅は思わず噴き出してしまう。

 

「私はなぁ、お前に幸せになって貰いたいんだぁ」

「今でも十分幸せだよ」

「人間はなぁ、忘れるから幸せになれるんだぞぉ」

「話が飛んでるし」

「いずれ歴史になる私の事もなぁ――背負うくらいなら、忘れて良いんだぞぉ」

「!?」

 

 酔っていようが――否、酔っているからこそ、彼女の言葉に嘘はないのだろう。

 

「きっと、きっとなぁ、お前を受け入れてくれる人は必ずまた現れるから……わらしはぁ……おまえがしあわせなら……それで……」

 

 最後の方はかなりろれつが怪しくなりながら、それでも慧音は眠りに落ちるその瞬間まで傍に居る誰かを心配し続けていた。

 お人好しにもほどがある。愛する人に忘れて欲しいなど、本当は思うはずもないのに。

 

 だけど、そんな馬鹿な慧音だから、私は受け入れてしまったんだ……

 

「――忘れないよ」

 

 慧音の火照った左手に自分の片手を沿え、こちらに迫りそうなほどの大きな月を見上げながら、妹紅は誓いの言葉を紡ぐ。

 

「例え忘れても、またきっと思い出す。月が満ちる度に、空に満月が訪れる度に――何度でも、何度でも」

 

 顔が合えば、接吻(くちづけ)をしていたかもしれない。向き合っていれば、抱きしめていたかもしれない。

 不死鳥の少女は泣かなかった。泣けば、きっと止められそうにないから。

 そんな時、不意に何時かのアリスの言葉が妹紅の脳裏を過ぎ去った。

 

「――明日も良い日でありますように」

 

 口に出し、笑みを浮かべてみる。

 

 ――悪くない。悪くないな、これは。

 うん、なるほど。

 この言葉はきっと、アリスにとって希望の呪文なんだ。

 

 別れは恐い。出会いは恐い。だが、だからこそ「生きている」と言えるのだ。

 不老でありながら、永遠を愛さず未来へ進む事を選んだあの魔法使いのように。

 差し込んで来る日の出の光を、妹紅は目を細めて受け入れる。

 

「これは、私が好きでやる事だから。だから――貴女の歴史は覚えていて良いよね、慧音」

 

 明けない夜はなく、止まない雨はない。反対に沈まない太陽も、降らない雨もまた、摂理には存在しない。

 永遠に続いた夜は、もう終わりを告げてしまった。

 そして、永遠に続かない夜が彼女たちの前でゆっくりと明けていく。別れと出会いが、一日だけ近づき秒針を奏でる。

 

「へっぷしゅっ」

「おっと。早く帰って布団に入れないと、河童の川流れになっちゃうね」

 

 可愛いくしゃみをする慧音に苦笑し、妹紅は人里へ向かう飛行速度を上げていく。

 新しい朝。繰り返されながら、一つとして同じ日のない幻想郷の一日が、再び始まろうとしていた。

 




うーむ、ちょっと百合が露骨過ぎましたかね。
あ、言い忘れていましたが、私「うどみょん流行らせ隊」の回し者ですんで。

次話はいよいよ、異変編の導入でござい。
今回は、一気に三つほど過去の異変を消化するというかなり尺の長い展開を予定しております。

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