東方有栖(アリス)伝   作:店頭価格

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こちらは後編です。

二話連続で投稿したので、前編を読んでいない方はそちらを先にどうぞ。


62・太陽について廻る蛍(後)

 最初に花畑を作った理由は、もう思い出せない。

 花を見るのが好きで、笑顔のように咲いた可憐な姿を見るのが好きで、その花が一番綺麗に咲ける場所を探しては、ただ咲かせていた。

 転々と歩き、転々と花を咲かせていった。

 咲かせ歩いている内に、噂話も歩き始めた。

 花畑に住む、滅法強い女の妖怪。

 性格は凶暴、その力は凶悪無比にて(そうろう)――

 まずは、妖怪が来た。

 自慢の花畑を踏み荒らす、粗野で、下品で、低脳な塵芥(ちりあくた)にも劣る下卑た連中。

 

 全て殺した。

 

 次に、人間が来た。

 腕試し、賞金稼ぎ、祓魔師――時には隊や軍を名乗る大勢も。

 彼らもまた、こそこそと不意打ちをしたり、彼女の作った花畑に火を放ったりと、好き勝手に攻撃して来た。

 

 全て殺した。

 

 極まれに、変人と狂人が来た。

 人間でも、妖怪でも、摂理や輪の中から弾かれた者たちとは、不思議と気が合った。

 

 彼ら彼女らは、口々に花畑を褒め――そして、色んな理由で死んでいった。

 

 結局、残るのは何時も自分だけだった。

 それで良かった。

 もう、それだけで良かった。

 花畑を作る理由――何故そんな事をしているのか。

 彼女はもう、遠い昔にその動機を忘れてしまっていた。

 それでも彼女は――もう、それで良かった――

 

 

 

 

 

 

 彼女は弱かった。弱くて小さかった。

 なぜ、弱くて小さい自分に同族を支配する「虫の王」としての素質が備わっているのかと、心の奥でずっと悩みを抱えていた。

 強くなりたくて、能力に相応しい自分になりたくて、強い者を観察し始めた。

 それは博麗の巫女だったり、健康マニアの焼き鳥屋だったり、花の妖怪だったりした。

 美しくて、格好良くて――でも、強い者は大抵独りだった。

 大勢で居ても、それは強い者の知り合いや取り巻きが居るだけで、やはり強い者は独りだった。

 強い者は、独りで良かった。他の者が邪魔ですらあった。

 だけど、その姿はどこか寂しそうに見えた。

 だから、彼女は強くなりたかったが、仲良くしている者たちとは離れたくはなかった。

 群れる事が当たり前だった彼女は、そんな孤独には耐えられそうもなかった。

 だから、彼女にはまた新しい悩みが増えた。

 もしも、自分が強い者になった時独りではなくなるには、一体どうすれば良いのだろうか――

 弱いままの彼女には、それは解く事の出来ない難しい問題だった。

 

 

 

 

 

 

 その妖怪は強かった。強くて大きかった。

 だから、何でも好きに出来た。

 食って、暴れて、殺して、なぶって――

 思い通りにならない事など、何もなかった。

 だが、そんな妖怪の栄華は唐突に終わった。

 人間たちが、餌か玩具でしかなかった矮小な存在たちが、その妖怪を否定したからだ。

 否定し、認められず、遂には忘れ去られた。

 「死」とは根本的に違う、存在そのものの完全なる消滅。

 妖怪は、幻想郷へと移り住んだ。

 だが、狭く小さいその土地では、今まで通り好きに暴れる事は許されなかった。

 食えず、暴れられず、殺せず、なぶれない――

 生き甲斐の全てを失った妖怪の転落は、あっけなかった。

 見栄によって地底にも行かず、当時の己を他者に語っては、ただただくだを巻くばかり。

 それでも、妖怪は過去を忘れられない。

 縋り、乞い、己にとって最高だったあの時を切望し、しかし、過去を願う度に妖怪は「老い」を重ねていく。

 今を、己を、世界を否定するという事は、妖怪にとって「死」を願うに等しい行為だからだ。

 だとしても、その妖怪には――もう、それしか残されてはいなかった――

 

 

 

 

 

 

 西に沈んだ太陽が再び東から顔を出し、暦がまた一つ次の数字へと移った博麗神社。

 早朝の寒さで若干かじかむ手足に鞭を打って、神社の境内で箒を片手に掃き掃除をしていた霊夢へと、参道の階段を上り一人の参拝者が訪れた。

 

「――はぁい」

 

 客の名は、風見幽香。

 何時も通り薄く笑ったような表情で、何時も通り日傘を開き、何時も通りの足取りで歩いて来る。

 

「……」

 

 片手を振る幽香の挨拶に無言で返し、少しの間だけ視線を向けていた霊夢は箒を近くの灯篭へと立て掛けた。

 

「あら、もう掃除は終わり?」

「立ち話をする気もないんでしょ。こっちよ」

 

 首を傾げる幽香へ簡潔に答え、巫女は妖怪を神社の中へと誘う。

 

「はい、お茶」

「ありがとう」

 

 茶葉の入った急須に水を入れ、しばらく放置して作ったのだろう冷茶の入った湯飲みを幽香へと渡し、霊夢自身もまた同じものを注いで縁側へと腰掛ける。

 

「ふぅっ……冷たいわね」

「そうね」

「……」

「……」

 

 そこで会話が止まり、風に揺られる草木の音と静寂のみがその場に満ちていく。

 幽香の気紛れは今に始まった事ではないが、霊夢に会いに来る事は本当にまれだ。

 だからといって、霊夢の対応は変わらない。

 悪戯好きの妖精であろうと、強大な力を持つ妖怪であろうと、助けを求めるひ弱な人間であろうと――

 優しくも厳しくもなく、誰であろうと対等に、平等に――彼女は、一切の遠慮も配慮もしないままただ自然体として、同様の態度で接し続ける。

 幽香が霊夢に会いに来るのはまれだ。だが、そんな巫女(にんげん)を求めて人外が訪れる事は、珍しい事ではない。

 

「……」

「……」

 

 だから、霊夢は喋らない。興味がないから。

 幽香もまた、何も語らない。語る気がないから。

 時折湯飲みを傾け、二人はただ静かに縁側からの景色を眺め続ける。

 

「ねぇ、霊夢」

「何?」

「お茶菓子はまだかしら」

「図々しいわね。お腹を膨らませたいなら、たらふくお茶を飲んでなさい」

「貧乏性ねぇ」

 

 会話に意味が無くとも、言葉に価値がなくとも――お互いに、孤独を享受出来る存在であろうとも――

 他の誰でもない、博麗霊夢と風見幽香の関係がそこにはあった。

 白黒のように騒がしくもなく、人形遣いのようにただ優しくもない、漠然と時間だけが経過する何気ない一時が過ぎていく。

 ここは幻想郷――

 妖怪と人間の楽土として作り上げられた、夢現の彩る幻想の世界――

 妖怪が人間を食い、人間が妖怪を退治する。

 そんな摂理の中で、それでもこうして両者は一服の茶を共にする。

 ある者にはどこまでも優しく――

 ある者にはどこまでも残酷な――

 見る者によって姿を変えるその光景は、二人が二杯目のお茶と少量の茶菓子を腹へと収めるまで続けられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 幽香から受けたあれほどの傷が一日で治るはずもなく、リグルの身体はボロボロのままだった。

 折れた腕と全身の火傷の跡には、沢山の両手を広げたほどの大きな葉が添えられ、細い植物の蔓で落ちないように身体へと巻き付けられている。

 あの後、同じく幽香に吹き飛ばされて気絶したチルノと共に大妖精の住処にてリグルが目を覚ましたのは、翌日の昼を過ぎた頃だった。

 助けてくれた妖精の少女たちにお礼を言って分かれた後、特に当て所もなくふらふらと飛び回った彼女が辿り着いたのは、魔法の森の近くの道に一本だけ生えた大木だった。

 座り心地の良い枯れかけた草原に腰を下ろし、葉を失った枝の間から覗く群青の空を眺め続ける。

 汚れのない雲の流れはどれだけ眺めても一向に変わる事なく、次第に自分が今何を考えていたのかさえ忘れさせてくれた。

 

「――おいおい、こんな所に縮こまってるてんとう虫が居ると思ったら、リグルじゃないか」

「魔理沙……」

 

 見るからに落ち込んだ蛍の少女へと努めて軽快な口調で声を掛けたのは、ご自慢の黒帽子に手を添えた白黒の魔法使いの少女だった。

 

「何かあったのか?」

「あの……」

「言えよ。言うだけタダだ。お前がどうしても聞いて欲しいって言うんなら、暇潰しがてらに聞いてやらんでもないぜ?」

 

 回りくどく解り易い台詞でニヒルな笑顔を向けられ、リグルは顔をうつむかせたまま事情を説明し始める。

 

「実は……」

 

 最初は少しずつ。

 次第に、自分の心情を交えた雄弁なものへと。

 ちぐはぐで、曖昧で、伝わりそうにもない支離滅裂でも、せきを切った言葉は止まらない。

 解る事、解らない事、沢山あったもやもやとしたものが、口に出す端から形になっていく。

 

 自分は無神経だった。だから、幽香は怒った。

 自分は無知だった。だから、幽香から拒絶された。

 現れたあの妖怪が、幽香にとってどんな存在なのかは知らない。

 だけど――多分、自分は幽香を傷つけた。

 謝りたいんじゃない。

 謝られたいんじゃない。

 でも、このままじゃ終われない。

 終わりには、したくない。

 したくないのに――

 

「なのに、今更だよね……幽香の事が恐くて、会いに行けないだなんて……っ」

「……ぷっ、あははははははははっ!」

 

 ズボンの裾を強く握り、流れそうになる涙を耐えているリグルに対し――話を聞き終えた魔理沙が返した態度は、腹を抱えての大笑いだった。

 

「な、なんでそこで笑うの!?」

「あははっ! いやだって、くくっ――絶対不可侵とまで言われてる、あの風見幽香がねぇ」

 

 当事者ではない者には、立ち位置が遠い分見えてくるものもある。

 魔理沙の場合は、正にそれだった。

 地面に座る妖虫を見下ろす魔法使いが、腹が立つほどにニヤニヤと笑いながら説明を始める。

 

「私も、幽香とはちょっとした付き合いがあるけどな、アイツのそんな顔なんて一度だって見た事ないぜ?」

「嘘じゃないよっ、あれは――っ」

「まぁ聞けって。私は見てない、でもお前は見た――つまりだ。他の誰でもない、お前だけがその顔を見たんだよ」

 

 幽香は油断したのだ。

 誰にも見せた事のない、見せてはいけないと思っていた自分の秘した部分を、誰かが居る時に晒してしまった。

 

「私、だけ……」

「まぁ、それにしたってやり過ぎだけどな」

 

 だから慌てた。慌てふためいて、近くに居た者を払い除ける事で誤魔化した。

 リグルにとっては災難で、幽香にとっては恥に近い。昨日の一件は少なくとも、花の妖怪側にとってはその程度の出来事だったのだ。

 

「いいか、リグル。私もお前も弱い。幽香や他の大妖怪なんて呼ばれてる化け物連中みたいに、決して強くはないんだ」

 

 立ち上がったリグルへ向けて、魔理沙は真剣な表情で己の内にある想いを告げる。

 強者の理不尽がまかり通る、それが幻想郷だ。

 ルールはあれど法はなく、秩序はあれど暴力が勝る。摂理を摂理のままに享受する、妖怪の楽園。

 

「それでも、自分の弱さを言い訳にはするな。アイツらと対等でいられる場所は、人間だろうが妖怪だろうが誰にだって確かにあるんだ――この奥にな」

 

 右手の親指で自分の胸を力強く示した魔理沙は、同じ手を滑らせて人差し指をリグルの胸へと押し込む。

 

()()勝てないのかもしれない。でも、絶対に負けてはやらない――そうだろ、リグルッ」

「――っ」

 

 人間の少女が放つ燃え盛らんばかりの熱が、指を通して蛍の少女の胸へと確かに流れ込んでいく。

 

(ココ)の炉心は、何時だって全開で燃やしていけ。私たちなりの意地ってやつで、ふんぞり返ってる連中の(ココ)をぶち抜いてやれ」

 

 折れた意思を奮い立たせ、再び立ち上がらせる役目は人間にこそ相応しい。

 

想い(ハート)言葉(スペル)は、でっかくガツンと――火力(パワー)だぜ」

 

 ウィンクする魔理沙の飛び切りの笑顔を受け、リグルの顔が興奮により紅潮していく。

 

 そうだ。自分は何を臆していたのか。

 今だって、幽香は恐い。

 だけど、幽香が優しい事はもう知っている。

 幽香が、どんなに強くとも一人の少女なのだと知っている。

 だったら、もう恐くない。

 恐いけど――もう恐くはないと、言い聞かせられるはずだ。

 

「私、幽香の所に行って来る!」

「おー、頑張れよー」

 

 顔を上げ、勢い良く飛び立って行くリグルへと、魔理沙は力の抜けた手を適当に振って見送った。

 

「――なんてな。なぁにカッコ付けてんだか……そんなのが簡単に出来たら、苦労はしないぜ」

 

 一人残された魔理沙が、顔を歪めて頭を掻く。

 帽子を押し込んで赤らめた顔を隠し、ブツブツと文句とも悪態ともつかない言葉を幾つも漏らしていく。

 

「あーぁ、慣れない事するもんじゃないな――くそっ、今更恥ずかしくなってきた」

「――あややや、とんでもない。実にお見事な激励でしたよぉ、魔・理・沙・さん」

「うをわぁっ! あ、文!?」

 

 その場を去ろうとした魔理沙が振り向くと、そこには先程の彼女と同じかそれ以上の腹の立つ笑顔をした烏天狗が、カメラをこれみよがしに胸で構えながらそこに浮かんでいた。

 

「ちょ、おまっ、何時からそこに!?」

「まぁまぁ、お気になさらず。「おいおい、こんな所に縮こまってるてんとう虫が居ると思ったら――」辺りから居ただなんて、私の口からはとてもとても」

「古いネタ使いやがって! それ、一番最初だろ!」

「次の記事は決まりですね。「想い(ハート)言葉(スペル)はでっかくガツンと火力(パワー)だぜ」――女性読者に受けが良さそうです」

「待て! このマスゴミ烏!」

 

 飛び上がった文を追い、箒に跨った魔理沙が高速で飛び上がる。

 魔法使いからばら撒かれる弾幕を華麗に回避しながら、文は首から革紐で吊り下げられたカメラを服の中へとしまうと、手帳と万年筆へと持ち替えてインタビューを開始する。

 

「さて。ちなみに参考としてお聞きしたいのですが、魔理沙さんは一体どなたにその必殺呪文(スペル)を使うおつもりで? 霊夢さん? パチュリーさん? そーれーとーもー、アリスさんですかねぇ?」

「だー! うるさいうるさいうるさーい!」

 

 恋符 『マスタースパーク』――

 

 真っ赤な顔をした魔理沙の魔力が爆発し、八卦炉から溢れた盛大な閃光が空を穿つ。

 魔法の森の近くの空が、弾幕によって煌びやかに彩られていく。

 烏と少女の追いかけっこは、それから日が落ちるまで半日中続く事になるのだが――幻想郷では良くある話だった。

 

 

 

 

 

 

「何……あれ……っ」

 

 最近、頻繁に太陽の畑へと出入りしていたリグルは、その異常にいち早く気付いた。

 否、誰であろうとその異常は一目瞭然だった。

 幽香が丹精込めて育てた一面の花畑の一角が根こそぎ枯れ果て、更に腐臭を放ちながら土色を黒色へと変じさせているのだ。

 そして、その範囲は時間の経過と共に更に広がり続け、周囲を侵食し続けている。

 

「――お前っ! 昨日の!」

「……んん? なんじゃ、羽虫が先に掛かってしもうたか」

 

 侵食の中心に降り立ったリグルが見つけたのは、昨日この場所で出会った老妖だった。

 最初の邂逅の時以上におぞましい気配を振り撒き、ギョロついた片目が訪れた妖虫へと向けられる。

 

()く失せよ。小娘の相手などをしても、仕方がないわい」

「ふざけるな! 今すぐ幽香の畑を元に戻せ! ――がっ!」

「木っ端風情が、口の聞き方を知らんと見える」

 

 息巻くリグルを、突然強烈な力が真横へと吹き飛ばす。

 リグルを攻撃した物体は、漆黒の腕だった。老いた妖怪の背にある影から生え伸びた巨大な二本の腕が、鋭く尖った指先を頭上に向け獲物を求めるようにゆらゆらと揺れている。

 

「妖木……っ!」

「理解したところで、お主に一体何が出来るね」

 

 良く見れば、黒く塗り潰されたそれは禿げ上がった樹木の幹だと解かる。両腕は老妖の影ではなく、その下にある地面から生まれ姿を晒しているのだ。

 

「どうして、こんな酷い事をするの! 幽香が、一体何をしたっていうの!」

「ならば返そう――貴様のような小物が幅を利かせるような惰弱となり果てたこの土地に、如何ほどの価値がある!」

「っ」

 

 リグルの大声に、更に大きな大喝が返される。

 噛み合わないボロボロの歯から砕けんばかりの歯軋りが鳴り、とうとう老妖の口から憤りの言葉が吐き出されていく。

 

「何が妖怪の楽土じゃ! 言葉巧みにワシらを丸め込み、出来上がったのはかような糞にも劣るお遊戯場! ワシらはただ生かされる駒の一つとして、人間を襲う事も許されず皺枯れてゆく事しか許されなんだ!」

 

 滾る妖気と怒りに呼応するように、黒の腕は更に数を増し一本の巨大な樹木の如く蠢き始める。

 

「弾幕ごっこじゃと? スペルカードじゃと? 恐怖と絶望の根源たる妖怪(ワシら)が、襲いも食らいもせずにただ遊戯で戯れるなど――どうして認められようか!」

 

 ただ強く、ひたすらに強い妖怪が、幻想郷という「世界」にその強さを否定されたのだ。

 妖怪の憤怒は、当然のものだった。

 例えそれが――悲しいほどに報われない逆恨みであろうとも。

 

「大結界が張られて早々、ワシらはあのババアを討つべく同士を集めた――結果はこのザマよ。力は奪われ、こんなみすぼらしい矮小な体躯のみが残され……のう、惨めじゃろう? 哀れじゃろう? のうのう」

「……っ」

 

 博麗大結界――

 スペルカード・ルールが作られる遥か以前にも一度起こった大きな確変に、この妖怪は取り残されたのだ。

 どこまでもおぞましく、どこまでも虚しい哀切を誘う妖怪の、狂気さえ滲むギョロつく片目がリグルを射抜く。

 圧倒的なまでの気迫に押され、虫の少女は何も言い返す事が出来ない。

 

「風見のは、あろう事か下らん掟に恭順を示しのうのうと生き延びおった……っ」

 

 何故、自分はこんな姿になったのか。

 何故、幽香は自分のようにならなかったのか。

 同じ強者として、新しい掟を受け入れた幽香を許す事が出来ないのだろう。震える声から感じるのは、深く濃い沼の如き憎悪と絶望。

 

「あ奴はもう、妖怪として死んだも同然よ! ならば、ワシが食らって力に変え、あのババアに一矢報いる役にでも立ててやるわい!」

「っ!?」

 

 言うべき事はもうないと、老妖の背後に溢れていた腕たちが一斉にリグルへと襲い掛かった。

 

「く……っ」

 

 強靭な漆黒の樹木たちは、一つ一つが途轍もなく速く、鋭い。

 牽制として振り撒く弾幕程度では怯みすらしないほどに重く堅い乱撃を前に、元々大怪我をして動きの鈍いリグルには避け続ける事すら難しい。

 

「ぐっ、くぅ……っ」

 

 次第に攻撃が掠り始め、身体に巻いていた蔓や葉が剥がされていく。傷口の上から更に傷を増やしながら、リグルは必死に黒の腕の中を逃げ惑う。

 

「――「螺光衝霊弾(フェルザレード)」!」

 

 遂に一本の腕が彼女の身体を捉えようとしたその瞬間、上空から斜めに飛来した螺旋の光弾が迫る手の平へと直撃し大きく弾きながらばらばらに打ち砕く。

 

「――何やら、随分と物騒な様子ね」

「アリス!?」

 

 降り立ったのは、リグルと幽香の知り合いである七色の魔法使いと沢山の人形たち。本人が小脇抱えた菓子入りのバスケットを見る限り、どうやら幽香とお茶会でもする為に訪れたらしい。

 

「ちっ、また羽虫か……」

「貴女、自分が何をしているのか解かっているのかしら?」

 

 忌々しく唸る老妖へ向けて、訪れたばかりのアリスが周囲を見渡しながら淡々と口を開く。

 

「幽香の大切な花畑をこんなにして、とても正気とは思えないわね」

「知った事か! ワシは、縛られるものなどなにもないあの頃の栄華を取り戻す! それを邪魔する輩共は、皆一様に食らい殺してくれるわ!」

「そう、そういう事なのね」

 

 短いやり取りだけで、全てを察したというのか。

 人形遣いは一度静かに瞳を閉じ、そして再び開いた両目で老妖を見据えておごそかにも似た雰囲気をまといながら口を開く。

 

「貴女は昨日を求めた。幽香は今日を――だけど、私は明日が欲しい」

 

 どこまでも平坦でありながら、しかし、どこまでも決然とした言葉が紡がれる。

 怯まず、恐れず、屈しない――

 声を荒げているわけではない。

 強い意志を乗せているわけでもない。

 それでも、何かへと手を伸ばすような動作で右手を眼前へと持ち上げた少女の言葉には、不動の巨木にすら勝る鋼の決意が込められている。

 アリスの背を見つめるリグルの胸の奥に、かっと熱い想いが去来する。

 

「その明日に、最早腐り果てるだけの未来しかないのじゃぞ!?」

「いいえ、良くなるわ。例えどれだけ時間がかかろうと、()()は幸せを求め続けるから」

 

 これがアリス。

 これが、アリス・マーガトロイドなのか。

 心がない? 皆、一体何処を見てるんだ。

 彼女の炉心()は、こんなにも赤々と燃えているじゃないか。

 

 魔理沙の言っていた事は、正しかった。

 彼女の強さの源は、心の強さだ。

 大きく、揺るがない、真っ直ぐ伸びた心の芯。

 そして、アリスのそれは幽香の心とは似て非なるもの。

 強大な妖怪として、遥か高みにたった独りで立ち続ける幽香とは違い、彼女は何時も両手を広げて皆との輪を望んでいる。

 誰かを信じ、幻想郷(せかい)を信じ、明日を信じる。

 それを、弱さと呼ぶ者も居るだろう。現実を知らない夢想家と蔑む者もいるだろう。

 だが、リグルにはそれが確かな「強さ」なのだと信じられた。

 

 私も、何時かアリスのように強くなれるかな。

 そして、そして――

 何時か、彼女のような本当の強さを手に入れたその時に――

 私は、幽香と「友達」になれるかな――

 

 リグルの抱いていた憧れという名の淡い想いは、今、現実を帯びた確かな未来への夢へと昇華を果たしていた。

 

 

 

 

 

 

 今度はこちらの番だと、幽香の自宅に突撃訪問をする為に太陽の畑を訪れた私は、どす黒い荒地と化したその中心で老妖と戦うリグルを発見し大慌てで介入した。

 

 こんないたいけな少女に触手プレイとか、お姉さん許しませんよ!

 てか、リグルめっちゃボロボロじゃん。

 ――てめぇの仕業か、お婆ちゃん。

 絶対許早苗だよ!

 

 そして、未来を憂い幻想郷へと牙を剥こうとする老妖へと、私のドヤ顔決め台詞が炸裂する。

 

「貴女は昨日を求めた。幽香は今日を――だけど、私は明日が欲しい」

「その明日に、最早腐り果てるだけの未来しかないのじゃぞ!?」

「いいえ、良くなるわ。例えどれだけ時間がかかろうと、()()は幸せを求め続けるから」

 

 世界を壊し再生する為、その身体を虚構と血で染め上げてでも歩き続けた、大罪人にして救世主が願った未来への可能性。

 老妖が反論してくれたので、返しの台詞まで見事に再現出来た。お婆ちゃん、ぐっじょぶである。

 

 どらぁ! 良い台詞じゃろうが!

 感動したなら、今すぐ逃げ帰って下さいお願いします!

 

 他人様から借りた台詞ではあるが、私の言い分もそこに集約されている。

 諦めたら、そこで試合終了だ。先の道が悪くなると思ったのなら、より良い方向へと向かうべく自分なりの努力をすれば良い。

 人事を尽くして天命を待つ。最初から努力を放棄した落伍者に、道理を語る資格などあるはずもない。

 

 ……まぁ、私にとってもブーメランなのは自覚しているけどね。

 

「夢に溺れて果てるが望みか! つくづく度し難い小娘共よ!」

 

 はいダメでしたー。

 ですよねー……ぐすんっ。

 

 流石は、老いたりとはいえ幽香にケンカを売ろうとしている妖怪だ。

 弱体化しているのだろう現在でさえ、迸る妖気は大妖怪と呼んで差支えがないほどに強大なままとは、恐れ入る。

 

「アリス……っ」

「下がっていなさい――来なさい、ゴリアテ!」

 

 ここまで来れば、是非もなし。リグルを後ろへと促し、私はゴリアテ人形たちを転送して即座に臨戦態勢を取る。

 老妖の主張は、確かに解らないでもない。

 以前とはまるで違う、まったく新しいルールを掟として敷くのだ。賛否両論があるのは当然だし、中には掟を受け入れられずこの老妖のようになってしまう者も居るのだろう。

 だが、だからといって彼女の破滅願望に付き合ってあげる義理はない。

 そもそも、紫が大妖たちの弱体化や隷属化を望むわけがない。

 彼女にとって、一方的なワンサイドゲームほどつまらないものはないのだ。幻想郷の騒動と駆け引きを誰よりも楽しみながら見下ろしている彼女が、そんな下らない理由でスペルカード・ルールを広めるなど、絶対にあり得ない。

 しかも、何時また「吸血鬼異変」の時のような脅威が外や内から現れるかも解らないのに、自らの保身を求めて戦力を縮小するなど可能性すら疑う価値はないのだ。

 よって、老妖の考えは的外れな僻みでしかない。

 

 つまり、三文字にまとめると――嫉妬乙。

 はい、論破。

 

 過去に縋り、今から目を逸らし、未来に絶望した。

 彼女の老いは、起こるべくして起こった必然なのだ。

 

「「暴爆呪(ブラスト・ボム)」!」

 

 空気の軋む音すら立てて、鉄を易々と溶解させる十数の高密度火球が、私の周囲に出現する。

 原作キャラには、例え生死を懸けた戦闘になってもどこか無力化を前提とした戦法を考える癖に、見ず知らずの妖怪相手には平気で即死級の呪文が放てる。

 これもまた、私の抱える矛盾の一つだ。

 この妖怪とももっと知り合っていれば、私は殺したくないと甘い考えを抱くのだろう。

 本当に、私はどこまでも愚か者だ。

 

「ぐっ、ぎぅっ――ぐぎゃあァぁぁアアぁぁぁあぁァァっ!」

 

 連続で飛来する火球の群れを黒い触手のような腕たちで防御する老妖だったが、四つほどを防いだ所でそのほとんどを焼き払われ、残り全ての火球が胴体へと直撃する。

 轟音を伴った大爆発。熱風と土煙が吹き荒れ、私の視界を覆い尽くす。

 

「――クはっ、くヒははハハははははハははッ!」

 

 砂塵に隠された老妖から、高々と狂った哄笑が響く。

 煙が晴れる間すら待たず、飛び出して来た腕たちをゴリアテ一号の大剣が薙ぎ払い、二号の砲撃が焼き尽くす。

 撃ち漏らした腕たちも、私やリグルには届かない。私の前に立つ三号の構えた両腕の大盾から半球状の魔力結界が発動し、迫る脅威のことごとくを受け止め阻む。

 

「くひっ、くひゃひゃひゃ」

「な、なんで……」

 

 私の後ろから、リグルの掠れた声が聞こえる。ようやく煙が晴れた先に居たのは、最早先程の老婆ではなかった。

 ボロ布だけは変わらぬまま、顔から皺が薄れ、肌に艶が戻り、随分と若々しい姿へと変化していたのだ。醜い笑い声だけが、妖艶な美女へと変わった妖怪が前の老婆であった事を主張している。

 焼き払い、切り払った黒の腕たちもまた、まるで映像の逆回しのようにしてあっさりと再生していく。

 

 効いてないどころか、若返った?

 いや、確かにさっき悲鳴を上げてたよね。

 食らった後で、再生したの? 今の腕みたいに、一瞬で?

 ……ごめん、霊夢にバトンタッチして良いですかね?

 

 まさかの超速再生と美女化である。この妖怪は、霊光波動でも極めたのだろうか。

 火力という意味では最高に近い呪文でこれでは、他の生半可な呪文でも結果は同じだろう。

 

「さて、どうなぶってやろうかのぉ……」

 

 折角解語の花と呼べるほどの美貌になったというのに、勝利を確信した妖怪の顔が醜く喜悦に歪む。

 今の攻防で、私の魔法では自分の再生力を超える事は出来ないと、こちらの戦力を理解したのだろう。

 確かにその通りだ。「神滅斬(ラグナ・ブレード)」は近接用なので、あの腕たちが邪魔だ。

 そして、恐らく「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」でさえ彼女を一撃で消滅させる事は不可能だろう。

 だからといって、()()呪文は使えない。

 しかし、この妖怪がこれだけの力を持つネタも、もう割れている。

 

「貴女……幽香の畑を「食って」いるのね」

「左様! 左様! 流石はふらわーますたーと己を謳うだけはあるさな! これほどの充足を、今一度味わえるとはなぁ!」

 

 空から見えた広大な黒の侵食は、文字通りこの妖怪の「食事」なのだ。

 ありとあらゆる草花を育てる事を可能とする、栄養豊富な土壌。恐らく植物の妖怪なのだろう彼女にとって、正に若返るほどの旨みとなって喉を潤している事だろう。

 フィールドは、完全にアウェーだ。

 彼女をこの場から引き剥がさない限り、私に勝ち目はない。そして私に、その手段がない。

 ないなら、どうする。

 ――簡単だ。

 

「幽香……ごめんなさい」

 

 敵に有利なフィールドならば……そのフィールドを壊す。

 

「「煉獄火炎陣(ヴレイブ・ハウル)」!」

 

 ゴリアテ一号と二号を後退させ、三号の足下で大地に手を付いた私の呪文が発動し――前方に煉獄を召喚する。

 

「グぎャあぁぁぁァアああぁぁァァァっ!?」

 

 元老婆の妖怪の口から、おぞましい悲鳴が上がる。

 何せ、彼女の足元に先程まであった地面が崩れ、赤色を灯す溶岩の海へと変わったのだ。

 彼女の後ろに生えた腕たちも、焼けた鉄板の上で悶える鰹節のように勢いを増して暴れ回っている。

 足下が溶岩流に変わろうと、悶え苦しみ、焼け爛れながら、この場を「根」とした彼女はもう動く事が出来ない。

 

「かあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「無駄よ」

 

 苦し紛れに紅蓮に燃える腕たちをけしかけて来るが、最早勝敗は決した。ゴリアテたちを再び動かし、今度は三号の結界にさえ触れさせずに全てを叩き落してみせる。

 

「幽香の……畑が……」

 

 リグルの嘆きに、元凶の一人である私は答える(すべ)を持たない。

 発動していた呪文が止まり、溶岩の海は赤熱する岩盤へと変わっていた。

 元々が、妖怪の侵食によって手の施しようもないほどにボロボロになっていたのだ。普通の手段で元の花畑に戻すのは、相当に骨だろう。

 

 

「かひゅー……かひゅー……」

 

 そのまま赤色の海に沈むかと思われた妖怪は、再び老婆の姿へと戻り、半身を地面の下に浸して辛うじて息をしている状態だった。

 背後であれほど溢れていた黒い腕は、全て溶岩に飲まれて焼け落ちている。

 強引に得た力を、根こそぎ削ぎ落とされたのだ。精神的なダメージも、相当なものとなっているに違いない。

 

「か、風見のならば……いざ知らず……」

「相手の手札の見極めすら出来ないなんて、大した大妖怪様ね」

 

 幽香であれば、きっと溶岩の上でさえ悠然と仁王立ちしてみせるだろう。私の中での大妖怪とは、それほどまでに圧倒的な理不尽を超えた先に居る強者に冠せられる名だ。

 かつては、さぞや名の有る者だったのだろうに……私程度にさえ膝を突かされるほどに弱った大妖怪など、哀れみしか涌いてこない。

 死に体で掠れた声を漏らす老妖へ向け、私は皮肉を込めて正面からその双眸を見下ろす。

 

「ふざ、けるな……ワシが……この、ワシがぁ……げ、がぁっ!?」

 

 そして、これで幕だ。

 この場を収めるべき、この土地の本来の所有者が戻って来ていた。

 私だけに集中していた妖怪の胸部を、未だ高温を振り撒き続ける地盤へ平然と立つ女性の細く綺麗な右腕が無情に貫く。血塗れた手の平には、妖怪の核なのだろう一回り大きな胡桃のような堅い木の実の塊りが握り込まれていた。

 

「か、かか……かざ、み……の……」

「「私の住処で、随分と好き勝手な事をしているわね」「貴女、許せないわ」」

 

 振り返る老妖へ向けた幽香の言葉は、完全な棒読みだ。まるで、自分ではない他の誰かの言葉を代弁しているかのような、そんな語り口である。

 

「「死になさい」」

「ゆう……か……」

 

 苦痛に歪んだ……それでいてどこか救われたような老妖の表情を見て、私は察してしまった。

 

「釣れぬを、承知で……待っていたというのに……変わった……なぁ……」

 

 あぁ、そうか。

 この妖怪は、死ぬ為にここに来たのか。

 幽香(友人)の手によって、我が身の最期を迎える為に。

 幽香も、きっとそれを察して……だから、自分の大切な花畑が食い荒らされるのを黙って見てたんだ……

 どんな形にしろ、老い先短い彼女の末期の望みを叶える為に……

 

「私は変わらないわ」

「――く、くかか……」

 

 幽香の返答に、老婆が笑う。万感の想いを込めた、弱々しくも清々しい笑みだった。

 

「変わったよ……お主は……変わった……」

 

 妖怪の身が、散っていく。

 指先から光の粒が粒子となり、淡く、儚く、虚空へとその身が溶けていく。

 

「無様、よなぁ……」

 

 無様――

 名も知れぬ、そして語らぬ妖怪の、それが最期の台詞だった。

 それは、自身か、幽香か、幻想郷か。

 その答えを知る者が、その答えを憂う者が、この幻想の園ですら生きられず、その存在を消滅させる。

 夕の始まりにすら届かぬ――逢魔ヶ時の遥か前――

 彼女が死んだのは、妖怪にとって半端に過ぎる――そんな侘びしい時間帯での出来事だった。

 

 

 

 

 

 未だに多くの岩肌が覗く、太陽の畑の一角――小型も中型も大型も、五十を超える様々な人形たちがせっせと畑仕事と岩運びに従事しているその場所に、彼女は再び訪れていた。

 アリス自身すら罰として鍬を両手に汗水垂らして働かせながら、野外に設けた椅子と机で優雅にお茶を楽しんでいる幽香の前に降り立ったのは、傷を癒し終えたリグルだった。

 

「懲りないわね……」

「六枚」

 

 挨拶すらもなく、妖虫の王女は向日葵の王女へと取り出したスペルカードを真剣な表情で突き付ける。

 

「何のつもりかしら」

「私はまだ、幽香より弱い。見ている事しか出来なかった私に、何も言う資格はない――だから、今はまだ言わない」

 

 チルノに伍する実力しかない今のリグルでは、弾幕ごっこでさえ幽香には遠く及ばない。

 

「だけど何時か――百年先でも、千年先でも、そこに行くから、追い付くから――強くなるから」

 

 その時に、きっと言うから――

 

「何度だって来るよ。何度だって挑む。もう、私はそう決めたんだ」

「来なさい」

 

 妖怪とて、心は育つ。

 そして、育つ心はそのまま自力へと変化していくのだ。

 幽香が日傘を閉じ、右手に同じ数のカードを生み出す。

 

「行くよ! 幽香!」

「飽きるまでは、相手をしてあげるわ」

 

 語りはここまで。後は全てが無粋に過ぎる。

 強い妖怪は、最初から強者として生まれる。

 弱い妖怪として生まれた者は、年を経る事で強くなる。

 では、弱い妖怪が心強く育つとどうなるのだろうか。

 その証明を、これからの時を費やし彼女が行うのだ。

 古い妖怪が否定した、新しい幻想郷で――

 彼女の成長は、ようやくここから始まるのだから――

 

 

 

 

 

 

 幽香の自宅に、一つ小さな鉢植えが増えた。

 本当に小さな、なんの種が植えてあるのかも解からぬ、ただの鉢植え。

 それが咲くのは何時になるのか――

 或いは、永遠に芽吹く事すらないのかもしれない――

 その鉢植えは、きっと幽香がその想いを風化させるまで、この家の片隅からなくなる事はないだろう。

 それは未練か、追悼か、哀れみか――

 秘める少女の胸の内を、知る者は居ない――




リグルは健気熱血系女子が似合うと思うのですが、どうだろう?
ゆうかりんは、安定のハートフルボッコ系女子ですね。

次こそは寺子屋……と見せかけて、紫になるかもです。

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