翌日、俺は親に起こされ、墓参りに行く支度をした。支度と言ってもただ普通に着替えるだけ…当たり前の行動だ。
「これで、いいか…」
着て行く服は適当でいいだろうと思い、いつも来ている緑のジャージを身を包んだが…
「カズマ、いつものじゃなくて、用意した黒のスーツって行ったでしょ!」
「………はぁ」
結局お袋に注意されて俺は用意してあった黒のスーツに着替え直した。黒のスーツは着慣れない為、変な感じ…いや、久々に着たせいか、自分でもよっぽど変に見えた。
墓参りに行くって返答した俺だが、正直黒のスーツまでは考えていないため、ジャージの方が良かったと改めて感じた。
時期は夏に近いため、外は日光が凄まじく、地面に対する熱気が半端無かった。暑い暑いと口に出したいが、言うと一層暑くなりそうと思い、心の中で叫ぶ事にした。汗が汗が滴って滴って、顔から地面に落ちる……このまま滝のように流れ出そうだ。
家から歩いて30分くらいのところに墓地があり、そこに兄貴の墓がある。
「着いたな。」
「えぇ。今日も暑いけど、この天気だからお墓はもっと熱そうね」
「……………」
「じゃあ、済ませようか!」
草取りは親が前もって済ませてあるらしく、今日は墓に花と線香を供え、手を合わせた後で墓地を後にした。
「それにしてもほんと暑いわね…」
「夏も近いからな」
「………………」
「大丈夫か、カズマ?」
「………なにが?」
「いや、さっきから無言だから気になったんだ」
「大丈夫…。」
この暑さな上、外に出る気力もないのに、無理して外に出たんだ。そりゃあ、無言にだってなる。はぁ~、死んだ兄貴も俺みたいに時々外へ出ていたのだろうか、もし出てたら俺と同じように同じ事を感じていたのだろうか。
俺はそう考えていると………
ブゥーーーーーーーーーーーーーーーーーン
プッ、プゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カズマ「えっ?」
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
何かの音に気付いた俺は考え事を止めて、前を見た。が、次の瞬間、体に物凄い衝撃と共に体がバラバラになりそうなほどの強い痛みが走った。
そこで俺は意識を失った……。
「…………………ズマ、…………………カズマ…………」
なんだ、俺の呼ぶ声が…。
「カズマ!!」
「ハッ!?」
「あ、す、すみません!む、息子が目を!?」
親父? 目を覚ますと目の前に親父の顔が。待てよ……すみませんって事は俺はいま、どこに?
「それは良かったです。ただ、病院に着くまでは安心できませんよ」
病院、着くまで?? そうか、ここは救急車の中か!!
「カズマ、良く目を覚ました。車に撥ねられてあんなにも酷かったのに、良く…」
「親父…?」
僅かに開いた俺の目には、涙を流す親父の姿があった。
察した俺は事故が起きるまでの経緯を思い返す……どうやら、考え事に夢中になったせいで俺は車道を歩いてしまい、更には親の呼びかけや車が向かってきた事にも気付かず、そのまま車に撥ねられてしまったようだ。
そして、重傷のまま意識不明になったが、搬送中に意識を取り戻した、という事か。ちなみに同伴したのは親父で、お袋は事故の事で警察に話をするため、その場に残ったという。
「そろそろ、病院に着きます。」
「もう大丈夫だ、カズマ!」
「お、おや……………うっ!?」
な、なんだ!?急にく、苦しく……
「ど、どうしたカズマ!?大丈夫か!!?」
ピピピッ、ピピピッ、ピピピピッ
「ま、マズイ!心拍が!?」
く、苦し………胸が、体が苦しい感じが!!!
「ぐぅっ…!!?」
ガクッ
次の瞬間、俺は再び意識を手放した。
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
「か、カズマ………カズマアアァァァーーーーーーーー!!」
なんだか、俺の名前を叫ぶ親父の声が最後に聞こえたような気がした…。
「ハッ!?」
俺がまた目を開けた瞬間、そこは……
変な空間だった。なんだか暗闇に包まれたような…。
「死んだのか、カズマ!」
突然の声。だが、それは聞き覚えがあった。なぜなら、
「まさか、俺の時みたいに若くして死ぬとはなぁ!」
「あ、兄貴っ!!?」
それは死んだ兄貴の声だったからだ。6歳の時でも俺は兄貴のその優しい声だけは覚えていたのだ!
「よっ!10年ぶりか。まだ6歳だったお前がこんなにも大きくなるとはねぇ…。」
「いや…よっ、じゃないよ!?なに、普通に生きて会ったような言い方してんだよ!?」
「あ~、確かに「よっ」じゃ、普通に会ったような言い方だな」
「ってか、兄貴に会ったっつーう事は俺は本当に死んだんだな!」
「当たり前だろ。既に死んだ俺が居て、話をした時点で夢じゃなくて、本当だって受け入れろよ」
まぁ、あんな事故に遭ったから、死ぬとは思ったけど、まさか死後の世界ですぐに兄貴に会えるのは当たり前だが、想定外。というよりも信じられなかった。
そして、俺は兄貴に気になる事を聞いた…。
「それより兄貴。兄貴は今、死後の世界でどういう生活を送ってんの?」
「俺か?まぁ、色々さ…。正直、10年前に死んだから、あれから色々とあったし、上手くは伝えられないが、一つ言える事は俺は俺でちゃんとした生活を送れてるって事だな!」
はぐらかされた。が、別にそれで生活できてるならいいかと、俺は詳しくは聞かなかった。
「とりあえず、俺は死んでこの死後の世界で兄貴に会った事だから、今後は死後の世界を兄貴と過ごすって事でいいのか?」
「………………」
「兄貴?」
「カズマ…」
「んっ?」
「お前は確かに死んだ。だが、まだ死後の世界で過ごすには早過ぎるぞ!!」
「………はぁっ?!」
いきなり出た、兄貴の突拍子な発言。
えっ、俺は確かに死んだが、まだ死後の世界で過ごすには早過ぎる?…今の発言に引っ掛かることがあった。
それは死んだのに、死後の世界で過ごすには早いって事だ。まるで俺がこれから生き返るみたいな言い方に聞こえたような……?
「おっと、そろそろあの方の導きの時間だな」
「へっ、あの方、導き??」
「それはこれから分かるさ。いいか、お前はまだ死後の世界に来るには早い。もう一度頑張って来い、
「えっ、別世界?? 別世界ってなんだよ、兄貴?!」
まったくもって意味不明だ。別世界ってなんだよ!!
「俺はもう行かないと。最後に、これをお前に渡そう」
スッ
俺は兄貴からある物を手渡された。それは…
「アクセサリー?」
「首飾りだ。ただし、これは普通に首に下げないで大事に隠し持っておけ」
「な、なんでだよ?」
「いいから、隠し持っておけ。いいか、この首飾りはお前の命が本当の本当に危ういと思った時にだけ出せ!! きっとその時、お前の役に立つはずだ」
「?」
兄貴の話がいまいち分からない。この首飾りが俺の役に立つ、さっきの別世界の件といい、ますます意味不明だ!
「じゃあ、俺はもう行くからな。10年ぶりに会えて良かったぞ、カズマ!別世界に行っても元気に頑張れよ。そして、いつか
「っ!!」
更に兄貴は最後に笑顔で意味深な事を言って、俺の前から姿を消した…。
その瞬間………
「サトウカズマさん………」
「っ!?」
俺は誰かの声に驚き、同時にいつの間にか椅子に座っていた事に気が付いた。
「ようこそ死後の世界へ…」
そして、俺の目の前には、いつの間にか見知らぬ女の人が居て、俺にそう語り掛けてきた。
ここまでになります。
このすばにハマってからこの小説の執筆を始めるのに思い悩みましたが、思い切って挑戦することにしました。
果たして今後、どうなるか?