実に下らない話だが、神はダイスを振るらしい〜外伝集〜   作:ピクト人

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もし主人公が幻影旅団の一員だったら。


思いつきIF√集
旅団IF√


 その日、悪名高き幻影旅団団長・クロロ=ルシルフルはそわそわと妙に落ち着きがなかった。

 

 普段は泰然と椅子に腰掛け趣味の読書に没頭しているのが殆どであるクロロ。しかしその日は朝から席を立ったり座ったり、本を逆さまに持っては虚空を眺めていたりと奇行が目立つ。今などは行ったり来たりと檻の中の虎のようにウロウロ歩き回っている。

 

「あー……団長?今日は一体どうしちまったんだ。いつものお前さんらしくもなく落ち着きがないが」

 

 様子がおかしいクロロを気遣ったのか、はたまたいい加減鬱陶しく思ったのか。その場にいた団員を代表してウボォーギンが声を掛ける。

 ちなみに今このアジトにいるのは、クロロ以外ではトランプゲームに興じているウボォーギンとノブナガ、フェイタン、フィンクスの男衆四人。そしてガールズトークに花を咲かせているパクノダ、マチ、シズクの女衆三人である。

 

「…………聞いてくれるか、ウボォーさん」

 

「お、おう」

 

 いくら今日は非番(オフ)とはいえ、最近では珍しく年相応の口調で話すクロロに面食らうウボォーギン。どうやら団長モードは迷子であるらしい。

 

「実は……カオルがある稀覯本を持っているらしいんだ」

 

「稀覯本?」

 

 稀覯本とは、歴史的価値などが高い希少な古書全般のことを指す。中には念が籠められたことで所謂魔導書や呪いの本となったものも少なくなく、物によっては億単位の金銭価値がつくことなどザラにあるのだとか。これを蒐集することがクロロの数少ない趣味であることは周知の事実である。

 そんなものをカオルが持っていると。ウボォーギンは数年前にスカウトされ、旅団に加入した新入りのことを思い浮かべる。我らが団長と同じ特質系の念能力者であり、他者を溶かして丸ごと吸収し己の力にする恐ろしい少女だ。

 まるでその鋼の脚のように攻撃的な性格の人物だが、意外にも人形好き(ドールマニア)という少女的な趣味を持ち合わせているらしいことは(本人は隠しているつもりらしいが)全団員が知るところであった。

 

「アイツが……?そんなモン持ってたっけか」

 

「あ、それあたし知ってる。あの趣味悪い革張りの本でしょ」

 

 すると、女性向けのファッション雑誌を眺めていたマチが口を開く。その呟きを聞き逃さなかったクロロがぐりんと顔を向けた。

 

「詳しく」

 

「え、ええ……と言っても、あたしもそんなに詳しく知ってるわけじゃないんだけど……」

 

 マチが言うには、カオルは何回か前の仕事の際に例の本を取り出し、よく分からないが念獣のような気味の悪い生物を数匹呼び出していたのだという。その本は表紙にデスマスクが張り付いており、とても不気味なオーラを放っていたのだとも。

 

「てっきり団長の"盗賊の極意(スキルハンター)"みたいにアレもカオルの念能力だと思っていたんだけど……本物の本だったんだ」

 

「それ、それだ。間違いない、シャルが仕入れてきた情報通りだ」

 

 マチの証言で確信を得たのか、やや興奮した様子でしきりに頷くクロロ。しかしすぐに気落ちしたようにソファーに座り込んでしまった。

 

「一体全体どうしたのよ?カオルの本が読みたいなら借りればいいじゃない。そのぐらいなら別に断られはしないと思うけど」

 

「それができれば苦労はしない!……実は、だな」

 

 机に両肘を立てて寄り掛かり、口元で両手を組んだクロロが重々しく口を開く。ごくり、と団員の面々は唾を呑んだ。

 

 

 

 

「───カオルが大事にとっておいていたらしいプリンを、うっかり食べてしまったのだ……!」

 

 

 

 

『………………』

 

「それが二日前の出来事でな……それからというもの、拗ねられてしまって口を利いてもらえんのだ。で、カオルの持つ稀覯本について知ったのが昨日のことでな」

 

 どの面下げて頼みに行けばいいんだ……とゲンドウポーズのまま嘆くクロロ。実に下らない理由であった。

 

「それ、私知ってます。確かパティスリーEMIYAの限定商品で、百年に一度……それも一羽につき一個しか産卵しないシームルグバードの卵をふんだんに使った超高級プリン。一個云百万ジェニーもする激レア商品らしいです。『五年ぐらい前から(大金積んで)予約してようやく手に入れたのよ!』ってカオルに散々自慢されましたから」

 

「知っているのか、シズク……というかあのプリン、そんな高級品だったのか。道理で滅茶苦茶美味かったわけだ」

 

「一個数百万もするプリンとか絶対おかしいだろ……」

 

 そりゃあカオルが怒るのも当然である。ついでに言えば、そんな高級品を不用心にも共同スペースの冷蔵庫に入れておくカオルも頭おかしいが。どうせいつものうっかりでしょ、とパクノダが呟いた。

 

「とはいえ何も考えず食べた団長も悪いわけで……」

 

「それは承知している。いずれ何らかの埋め合わせはするつもりだ。

 ……しかし、それはそれとしてアイツの本が気になるんだ……!シャルに依頼して調べてもらった情報が正しければ、アレは恐らく有史以前に著された、異界の神について記述された魔導書……の写本の一つ!深海に潜む神秘にまつわる叡智の書!レア物の中のレア物だ!ああ、気になってこのままでは夜も眠れん!」

 

念能力者(ワタシたち)なら一週間ぐらい寝なくても大丈夫ね」

 

「そういう問題じゃない!」

 

 珍しく気を利かせたフェイタンの冗談(ジョーク)を一刀両断し、クロロは勢いよく立ち上がった。前髪を掻き上げ、額の逆十字を露わにさせる。

 

「……決めたぞ、こうなれば自棄だ。カオルに出会うことなく本を手に入れてやろうじゃないか……!」

 

「ど、どうするってんだ団長!?」

 

「オレたちは盗賊だぞ?……盗むのさ」

 

 "蜘蛛"は欲しいと思ったものは必ず手に入れる。彼らを希代の極悪人と称する者は数多いるが、知ったことではない。盗まれる方が悪い!と臆面もなく言い放つのが彼ら盗賊の流儀である。

 

「……団長って、時々すごい馬鹿になるわよね」

 

 パクノダの呟きに、マチとシズクは無言で頷き同意した。

 

「面白そうじゃねえか。いつ盗みに行く?オレも同行するぜ」

 

「ウボォーギン」

 

 そう言って名乗りを上げたのは生粋の筋肉馬鹿、ウボォーギンだ。

 ウボォーギンは数週間前にカオルと二人でカジノに繰り出し勝ち星を競ったところ、圧倒的大差で敗北を喫したことを根に持っていたのだ。強化系のクセして随分とねちっこい男である。

 

「ウボォーギンが行くならオレも行くぜ。暇だしな」

 

 そう言って立ち上がったのは能力不明野郎(ノブナガ)だ。ウボォーギンとは昔馴染みで仲が良く、何かと一緒に行動することが多い。余談だが、作者()のリア友によるとウボォーギンが攻め、ノブナガが受けであるらしい。知らんがな。

 

「二人も抜けるんじゃトランプができねぇな」

 

「しょうがない、ワタシたちも行くね」

 

 そしてフィンクス、フェイタンも参加を表明する。これで男衆四人の参戦が決定した。早く帰ってきてくれ参謀(シャルナーク)

 

『…………』

 

「いや、そんな期待するような目で見られても行かないから。ガチ武闘派のカオルを敵に回すとかしたくないから」

 

 クロロたち五人に見つめられたマチがブンブンと首を振る。パクノダとシズクも参加には消極的なようだ。

 

「ならせめて同じ女性としてアドバイスをくれ。カオルはいま何をしているんだ?」

 

「カオルなら自室で趣味のガレージキット作成をしてると思うけど……」

 

「チッ、部屋にいるのか」

 

 恐らく例の本もカオルの部屋にあるだろう。どうするべきか……と思案するクロロに、ウボォーギンがニッと笑って肩に手を置いた。

 

「オレに任せてくれ、団長!我に秘策アリだぜ!」

 

「本当か、ウボォーギン!」

 

 旅団の頼れる最年長、ウボォーギンが男らしい太い笑みを浮かべてドンと胸を叩く。まあ動機は大変みみっちいのだが。

 要するにカオルを部屋から出せばいいんだろ、とウボォーギンは自信満々にカオルの部屋へと向かって行った。その後をクロロたちがこっそりとついていく。

 

「おおい、カオル!いるかぁ!」

 

 ドンドンドン!と乱暴に扉を叩くウボォーギン。ややあってガチャリと扉を開き、不機嫌な様子のカオルが顔を出した。

 

「何よ突然。私はいま忙しいのだけど?」

 

「まあそう言わずによ。ちょっくらオレと一緒に……」

 

 

 

 

「筋トレをしないか!?」

 

「却下」

 

 

 

 

 ガチャン、と無情にも扉は閉ざされる。しかも鍵まで掛けられた。

 チッ、とクロロが舌打ちする。

 

「やはり脳味噌まで筋肉でできているような奴には無理だったようだな」

 

「むしろ何故大丈夫と思たね」

 

「お前ら……」

 

 クロロとフェイタンのあまりの言いように顳顬(こめかみ)を押さえるノブナガ。しかしノブナガも強くは言い返せないようだった。

 「すまねぇ団長、無理だったぜ……」と肩を落としてすごすごと戻ってきたウボォーギンを菩薩の微笑み(アルカイック・スマイル)で迎えるクロロ。それを見かねたのか、今度はフィンクスが名乗りを上げた。

 

「しょうがねぇ、次はこのオレに任せな」

 

「ホントに大丈夫かフィンクス。立て続けに行くと怪しまれるね」

 

「大丈夫だってフェイタン。オレを信じろ!」

 

 そう告げて意気揚々とカオルの部屋に向かうフィンクス。ウボォーギンとは対照的に、コンコンと控え目なノックで来訪を告げる。

 

「すまん、カオル。フィンクスだが、ちょっと今いいか?」

 

『また来客?ちょっと待ってて』

 

 ややあって扉が開かれ、ひょこりとカオルが顔を出す。しゃらりと艶やかな黒髪が流れた。

 

「どうしたのよ」

 

「それなんだがよ。ちょっとコイツを見てくれ、どう思う?」

 

 そう言ってフィンクスは手に持っていた携帯の画面を見せる。電脳ページにも接続できる最新式の携帯電話だ。

 

「ん、オークションの出品目録?……って、これは……!」

 

 途端、急に目の色を変えたカオルが携帯に飛びつく。ニヤリ、とフィンクスが笑ったことには気づかない。

 

「ジャポンが誇る人間国宝、ゴウヨウ=ヒラタ氏のジャポン人形……!しかもこれはあの伝説の作品"粧ひ(よそおい)"じゃない!失われて久しいと思われていたこれに、まさかお目に掛かれる日が来るなんて……!」

 

「このオークション、オレが前から欲しいと思ってた品も出るみたいでよ。どうだ、良かったら一緒に行かねぇか?」

 

「行く、行くわ!こうしちゃいられない、すぐに準備しないと……!」

 

 バタン!と勢いよく扉が閉まる。しかし今度は鍵が掛けられることはなく、しばらくゴソゴソという音が中から聞こえていたかと思うと、すぐに再び扉が開かれた。

 中から出てきたのは完全武装のカオルだ。いつもの戦装束に身を包み、足の具足も既に展開されている。

 

「べ、別に人形に興味があるわけじゃないけど、ここ最近盗みに行ってなかったから勘を取り戻さないといけないわ。フィンクス、手伝いなさい」

 

「お、おう」

 

 予想以上の熱意を見せるカオルに引き気味のフィンクス。カオルはそんなフィンクスの襟首を引っ掴むと、ズルズルと引き摺るようにして慌ただしく出口へと向かう。ガツン、ガツンと鋼のヒールが床を抉る。

 引き摺られていきながら、フィンクスは廊下の突き当りから呆然と覗くクロロたちに向けてグッと親指を立てた。

 

 ───女を連れ出したいときは、如何にソイツの興味を引けるかが重要だぜ。これナンパの秘訣な!

 

 そう雄弁に目で語るフィンクスを見送ったクロロたちは、玄関の扉が閉められると同時に"隠"による隠形を解いた。

 

「……ナンパの秘訣がどうこうというより、単純に乙女心への理解が深いだけだよな」

 

「やはり乙女チクね」

 

 とはいえ、これでカオルを自室から追い出すことには成功。ニヤリといやらしい笑みを浮かべた四人は「いざ鎌倉」と意気込んでカオルの部屋へと侵入した。

 部屋に入ると、真っ先に目に入るのは巨大なショーケースに収められた大小様々な人形たちだ。古今東西、あらゆる国々のサブカルチャーからなるフィギュアが飾られているが、やはり一番多いのはジャポン製のフィギュアだろう。先ほどのジャポン人形への並々ならぬ熱意といい、カオルは何やらジャポンに対するこだわりがあるらしかった。

 

「だがそんなことはどうでもいい、重要なことじゃない。本だ、本はどこにある?」

 

「そういや団長、その本は何て名前なんだ?」

 

「ルルイエ異本、というらしい。流石にオリジナルということはないだろうが、しかしどの翻訳本も人皮で装丁されているのは共通らしい。きっとすぐに見つか……な、何ィ!?」

 

 きょろきょろと部屋を見回していたクロロが、とある一点を見て声を上げる。どうしたのか、と振り向く面々を促し、クロロは震える手で壁際に鎮座する本棚を指差した。

 

「な……!?」

 

「ば、馬鹿な!?」

 

 決して大きいとは言えないその本棚に収められていたのは、それほど本には興味を示さないノブナガやフェイタンでも知っている著名な魔導書。誰も本物を見たことがないのに、名前だけが独り歩きし様々な憶測を呼んだ呪われし異端の禁書。『アル・アジフ』、あるいは『死霊秘宝』とも称される邪悪なりし異界の叡智。

 

 

 その名は、『ネクロノミコン』……!

 

 

 

 

 

 ───という題名が背表紙に記された本が、本棚一杯にぎっちりと隙間なく収められていた。

 

「ネクロノミコンがこんなに沢山!」

 

「いやいやどんな悪夢ね!?絶対本物違うよ!?」

 

 震える手でその内の一冊を手に取るクロロ。本当にぎっちり収まっているため取り出すのに苦労しつつ開いてみれば、記されているのは見慣れぬ言語による文章の羅列。

 ジャポン語に似ているようにも見えるが、所々が異なる似て非なる言語だ。本を読むためにあらゆる国の言葉を網羅するクロロでも知らない字の数々。

 

 ……そしてページごとに月日が記入されている。今クロロが開いているのは1996年6月19日のページであるらしい。

 

「日記かよこれ……!」

 

 思わず床に叩きつけそうになり、慌ててこれがカオルの私物であることを思い出したクロロはそっと本棚に戻す。本っ当にぎっちり詰め込まれているため戻すのにも苦労した。

 

「おいおい団長、それにノブナガにフェイタン。困ってるみたいだな?」

 

 すると、ウボォーギンの自信に満ちた声が上がる。何事かと振り返ってみれば、その巨体を必死に屈めてベッドの下をまさぐる筋肉達磨の姿が目に入った。

 

『………………』

 

「おいおい、何をそんな死んだような目で見てやがる。隠し物と言えばベッドの下にあるのが定石じゃねぇか」

 

 それはガキの色本の隠し場所だ、と叫びそうになるのをぐっと我慢する面々。彼らにも慈悲というものはあるのだ。

 

「おっ、何かあったな」

 

 嘘やん。まさか本当にあるとは思わず目を剥くクロロたちを尻目に、ウボォーギンは探し当てたものを取り出し掲げる。それは漆黒の革で装丁された分厚い本だった。

 

「えーと、何々……『チャーリー=OKAZAKAの合コンで使える魔術百選』……」

 

『…………………』

 

 再び沈黙に包まれる一同。端的に言って意味が分からない。

 

「……なあ、もう諦めねぇか団長。マチじゃねーけどよ、何か嫌な感じがするぜ」

 

「同感ね」

 

 明らかに少女の部屋にあるものとしてはおかしいアイテムの数々。立て続けに訪れる珍事に、何やら釈迦の掌の上にいるような気になり不安を覚えるノブナガとフェイタン。

 

「……そうだな。確かに本は惜しいが、妙な胸騒ぎを覚えるのは確かだ。なあウボォーギン……ウボォー?」

 

 ふと、クロロは『チャーリー=OKAZAKAの合コンで使える魔術百選』という本を開いてから黙りこくったままのウボォーギンを見上げる。

 

 果たして、ウボォーギンは白目を剥いて立ったまま気を失っていた。

 

「!?」

 

「なっ、ウボォーギン!?どうし……おぅわ!?」

 

 異変を察知し身構えたクロロ、ノブナガ、フェイタン。その三人の意識の間隙を突くようにして、ベッドの下から伸びた青黒い触手が一瞬で彼らの全身を捕らえ締め上げた。

 

『ふふ、ふふふふ……』

 

 ずるり、と虚空から滲み出るようにして修羅が現れる。

 

 ───彼の者の名は"失われぬ自我(アルターエゴ)"。そのあらましは"快楽の化身(メルトリリス)"。その言祝ぎは冒涜となりて吹き荒ぶ。

 

 ───畏れよ、定命の者ども。畏れよ、乙女の部屋に侵入せし不届き者ども……!

 

 修羅(カオル)は黒髪を(おどろ)に揺らめかせ、鋼の脚を打ち鳴らしつつ床に降り立つ。

 彼らにとっての絶望が、ここに顕現したのだ。

 

「カオル!?馬鹿な、お前はフィンクスとオークションを襲撃に行ったはずでは……!」

 

「フィンクス?ああ、アレのことかしら?」

 

 パチン、と指を鳴らすカオル。その合図に合わせ、扉を開いて一匹の海魔が入ってくる。……その触手に泡を吹いて気絶するフィンクスを巻き付けて。

 

『ふ、フィンクスー!?』

 

「良いことを教えてあげるわ。ドレインを繰り返して成長したのはオーラだけじゃない……肉体の基礎性能も劇的に上昇していたのよ」

 

 そしてカオルの聴力は既に常人の域にはない。つまり、リビングの会話は全部筒抜けであったのだ。

 ビキビキと顳顬に青筋を浮かべて歩み寄るカオル。鋼の爪先が床を叩く度にフローリングにバキバキと罅が走る。そしてビクビクと震えるクロロたちの顔は既に真っ青だ。

 

「さて……何か言い残すことはあるかしら?」

 

「せ……セーブさせて下さい……」

 

 

 ───そして、男たちの醜い悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

「あー……何があったんだい、カオル」

 

「天罰が下ったのよ」

 

 アジトに帰ってきたシャルナーク、フランクリン、ボノレノフ、コルトピの四人が見たのは、土気色の顔で倒れ伏す男たちの姿。

 そして、『私は駄目な団長です』と書かれた看板を括りつけて天井から真っ逆さまに吊るされる、クロロの変わり果てた姿だった。

 


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