実に下らない話だが、神はダイスを振るらしい〜外伝集〜 作:ピクト人
なお、H×Hに関係のない他作品の固有名詞は今まで通り『』で囲っていきます。
『第六号、99番キルア。第七号、383番アストルフォ。第八号、403番レオリオ。第九号、404番クラピカ。第十号、405番ゴン。以上五名、所要時間51時間46分』
「やっと終わった~!」
「まともなのは最初ぐらいだったじゃねーか! 何だあのふざけたトラップのオンパレードはよぉ!」
原作の所要時間を大幅に短縮してトリックタワー一階の広間に到達したアストルフォたち五人。
トンパという邪魔者の代わりにアストルフォという大きな戦力が加入した恩恵は大きい。だがその一方で、試験官がエミヤとアーカードになったことによりトラップの悪質さに磨きが掛かったため、決して安易な道程とはならなかった。
「多数決の道……我々五人が息を合わせれば問題ないと思っていたが、決して楽な道程ではなかったな……」
「何なんだよ“服だけ溶かすスライム”と“このすばオーク(雌)”の二択って……あんな条理に反した魔獣をどっから調達してきたんだよ……」
げっそりとやつれたクラピカとキルアがぼやく。上記の二択のどちらを選んだのかは、ズボンを残して裸同然の状態となっているレオリオを見れば分かるだろう。
このすばオーク(雌)とやらがどんな魔獣なのかは想像もしたくない。アストルフォの強硬な主張によりスライムのルートを進んだが、きっと碌でもないモンスターだったのだろう。
「ひのふのみのよ……うわぁ、だいぶ減ったねぇ」
「入るときには二十四人もいたのに、オレたち含めて十人しかいないや」
広間にいるのは彼ら五人を除けば、ヒソカ、ギタラクル、ハンゾー、ボドロ、ポックルの五名のみだった。あの麻婆地獄を乗り越えた猛者が半分も振るい落とされたのだから凄まじい。
「って、あれ? カオルと
アストルフォはキョロキョロと広間を見渡すも、そこに見慣れた二人の姿はない。
二人が一緒なのか別々に行動しているのかはアストルフォの与り知るところではないが、どちらにしろ二人が尋常な仕掛けで躓くことなどあり得ないだろう。よしんばキャサリンのような念能力者が敵として立ちはだかったとしても同じことだ。彼らの持つ力はアストルフォと比べより殺傷能力に秀でている。片や文明を呑み込む毒の蜜、片や絶対無敵のベクトル操作。どちらも単騎で一軍どころか国家を相手取れる超人魔人の類である。本来ならばハンター試験程度で苦戦するなどあり得ない大戦力なのだ。
そんな二人が50時間以上経過してまだゴールに到達していない。ならば単純な力ではどうにもならない類のギミックに足止めを食らっているのか──
「ネックなのは
「まだ20時間近くあるんだし、きっと大丈夫だよ!」
「そうだな。あの二人も君に負けず劣らずの実力者なのだろう? 信じて待とうじゃないか」
キャサリンとの一戦以来、すっかり一目置かれてしまったアストルフォにゴンとクラピカが声を掛ける。
ありがとう──そう返そうとアストルフォが口を開こうとしたその時、彼ら五人が入ってきたのとは別の扉が重々しい音を立てて開く。奥の暗闇から現れる人影……その数は二つ。
『第十一号、382番カオル。第十二号、384番アクセラレータ。以上二名、所要時間51時間53分』
「か……カオルッ!?
現れた二人は別人のように生気がなかった。目に光はなく、幽鬼のような覚束ない足取りでフラフラと広間に入ってくる。
だが何よりも特筆すべきは二人の装いである。カオルは何故かセーラー服を身に纏っており、更に頭には猫耳カチューシャが。そして
「カオル! 何があったの!?」
「デキタテノポップコーンハイカガ?」
「
「ハハッ」
「何があったと言うのおおおお!!」
アストルフォの必死な呼び掛けにも二人は意味不明の言葉の羅列を垂れ流すのみ。その虚ろな表情が見るに堪えず、クラピカとレオリオは目頭を押さえて俯いた。
「くっ、何と惨い……」
「痛ましくて見るに堪えねぇぜ……! これがハンター試験っ……! 悪魔的試練っ……!」
そう、これこそがハンター試験。毎年万を超える挑戦者を迎えつつも、その九割以上を振るい落とす世界で最も過酷な試練。
曰く「死者が出るのは当たり前」、「挑戦するにはまず超人でなければならない」、「基準を底辺に合わせていない」。
その困難さは念を修めた者にも等しく降り掛かる。否、等しいと言うと語弊があろう。試験官の意向によっては、念能力者にこそより困難な試練が用意されることも決して珍しいことではないのだ。
真っ白に燃え尽きた二人は、結局72時間の刻限を迎えるまで茫然自失としたままだった。
「生き残ったのはこの十二人か……一先ずトリックタワー脱出おめでとう、と言っておこう。喜びたまえ、試験は残すところあと一つ……最終試験のみだ」
タワーを出た彼らの前に現れたアーカードとエミヤの二人。残った十二人から例外なく注がれる恨みがましい視線を柳に風と受け流し、アーカードは試験が
「あと一つ……」
「それを乗り越えれば、ついに……!」
「最終試験はここから見えるあの島……ゼビル島にて執り行われる」
アーカードが示す先にあるのは、トリックタワーから数十キロ離れた位置の洋上に浮かぶ孤島である。
四次試験ならぬ最終試験が行われるゼビル島は、島の殆どが鬱蒼と生い茂る森林に覆われた無人島だ。ヌメーレ湿原ほどの魔境ではないにしろ、人間の血液を好む“好血蝶”が生息するなど相応の危険を秘めている。人工物が一切存在しない天然の狩場にて、果たして何が行われるのか──
「諸君らが行うことは単純明快、
「バトルロイヤル……」
「諸君はゼビル島滞在中の三日間、自分以外の全員を敵として戦ってもらう。合格条件は
「オイオイちょっと待てよ、おかしくねえか。合格条件は
「それならば初めから自分のもの以外のプレートを一個以上入手することと言うさ。無論、いま君たちの胸にある
「はあ!? なら戦わないで三日経つのを待ってりゃ全員合格できるじゃねーか!」
堪らず声を上げたレオリオの疑問に対し返ってきたアーカードの答えは、全員を驚愕させるに足るものだった。
もしそれが本当ならば、レオリオが言った通り三日間何もせずに刻限が過ぎるのを待っていればよい。そうすれば余計なリスクを負うこともなく、労せずして合格を勝ち取れるだろう。
果たしてそんなことがあり得るのか……否、最難関と知られるハンター試験に限って出来レースのような手抜きがある筈がない。何か裏があるに違いない、と誰もがアーカードの言葉を額面通りに受け取ろうとはしなかった。
「……?」
ふと、潮風に混じって微かな異臭が漂っていることに気付いたゴンが顔を上げる。五感に優れる彼は犬のように鼻を動かし、その異臭の正体を探ろうと意識を集中させた。
次いで反応を見せたのはヒソカ、ギタラクル、ハンゾー、キルア、そしてカオルたち三人だった。彼ら七人は自分たちに向けられた敵意を鋭敏に察知し、瞬時に身構える。
「戦わずして勝つ、それも良いだろう。それが自分のものであれ他人のものであれ、一個でも
『RUOOOOOOOO──!』
木霊する狼の遠吠え。敵意が明確な殺気と化して四方から受験生たちに突き刺さる。
辺りに漂う獣臭と血臭……そして、濃厚な“死”の匂いが充満する。塔の陰、草陰、岩陰、あらゆる死角に潜んでいたソレらが飛び出し、一瞬にして十二人を取り囲んだ。
「──プレートの所持数が二個に満たない者には刺客が襲い掛かるがね」
『GURrrrrrr……』
現れたのは身の丈三メートルにも達しようかという巨狼と、それに付き従う十頭の狼だった。血の色を想起させる黒々とした深紅色の獣毛で覆われた狼の群れは、その全身にはち切れんばかりの悪意と獰猛な食欲を漲らせ受験生らを品定めしている。
「何だこいつら……!」
「魔獣か? こんな種類の狼、見たことも聞いたこともないぞ……!」
幻獣ハンターを志し、動物の生態には一家言持つポックルでさえこの恐ろしい魔獣には覚えがなかった。
然もあらん。これは真っ当な生態系の上にある生物ではなく、そもそもが
「バスカヴィルの魔犬……」
僅かな戦慄を滲ませてカオルがその名を呟く。
バスカヴィルの魔犬、あるいはバスカヴィル家の犬とも呼ばれる、英国の民間伝承に語られる怪異より生じた幻霊。ギリシャに名高い三つ首のケルベロスに連なる
その名は『黒犬獣バスカヴィル』。アーカードに使役される使い魔の一つであり、彼と同じ吸血鬼をも容赦なく捕食する恐るべき怪物。この世界に生きる「猛獣の域を超えて大きな力を持つ、または人に匹敵する知能を持つ獣」と定義される魔獣とは異なり、文字通り「“魔”を帯びる“獣”」として神秘を宿す正真正銘の化け物である。
血走る眼球はギラギラと悍ましい殺意に濡れ、灼熱の吐息が熱風となって頬を撫でる。絵に描いたような怪物の姿に、受験生らは大なり小なり畏怖を抱き身を強張らせた。
アーカードは黒犬獣の頭に手を伸ばし掌を這わせた。これ見よがしに撫でてみせることで、この魔犬が確かに自らの制御下にあることをアピールする。文字通り魂を掌握されているバスカヴィルに抗う術も意思もないのだが、そんなことを知る由もない受験生らにとっては唯一安心できる要素だろう。少なくともアーカードの支配下にある限り、先の条件を逸脱して受験生に襲い掛かることはないと証明されたからだ。
「ここにいる彼らはあくまで刺客の
「マジかよ……」
一際異彩を放つ黒犬獣バスカヴィルは勿論のこと、受験生を取り囲む眷属のブラックドッグも十分に恐ろしい猛獣である。そんな怪物が更に複数おり、それが刺客となって条件を満たせぬ受験生に襲い掛かるのだ。その情景を想像してしまい、顔を青褪めさせるレオリオは恐怖に身体を震わせた。
「改めて説明するか。合格の条件は
だが、プレートの所持数が一個以下の場合には試験官アーカードが飼い馴らす魔獣が襲ってくる。一個しかプレートを持たない者は刻限まで魔獣の追跡から逃れ続ける必要があるし、プレートを奪われてしまった者は魔獣の襲撃を躱しつつプレートを取り返さないといけない。……例によって我々試験官及びハンター協会は君たちの命に何ら責任を負うことはないので、生きるも死ぬも全て自己責任となる。ここまでで何か質問はあるかい?」
アーカードに代わってエミヤが試験内容を掻い摘んで説明する。彼は受験生らに質問の有無を問い掛けるが、手を挙げる者は一人もいない。
何しろこの試験に複雑なことは一つもない。ルールは至って
「こうして刺客となる魔獣の恐ろしさを目の当たりにした以上、誰もが自分のもの以外のプレートを求めるだろう。取り敢えずプレートを二個確保しさえすれば、警戒するのは他の受験生からの襲撃のみとなる。危険度は格段に下がるだろう」
「ああ……逆にプレートを全て失っちまった場合の難易度はグッと跳ね上がる。コイツらの牙から逃れつつ、更にバリバリに警戒してるだろう他の連中からプレートを奪うなんざほぼ無理ゲーだぜ」
この試験の危険度を過たず理解したクラピカとキルアが言葉を交わす。この二人のみならず、聡い者は共通して同じ考えに至った。
──最初の十二時間が勝負だ。
刺客が現れない十二時間の間に
そして
「清々しい程プレートを二個以上持つ者が有利になるわけね。シンプルに厭らしい試験だわ」
「うーん、真っ当すぎて逆に違和感」
「……本当にそれだけ? 何か変な罠とか現地に仕掛けてない?」
一方、これまで散々仲間である筈のアーカードとエミヤからの嫌がらせに遭ってきた三人は疑心暗鬼になっていた。二次試験では激辛麻婆豆腐を食べさせられ、三次試験では──特にカオルと
「オイオイオイ、何て目で見やがる。悲しいなぁ、そんなに信用ないかい?」
「むしろ何で信用されると思ったの?」
さも「嘆かわしい」と言わんばかりに手で目を覆い首を振るエミヤ。彼は一度胸に手を当てて自己の所業を省み、自制という名の薬を服用するべきである。
「だが安心しろ、今回の試験に関してはおふざけナシだ。激辛も、コスプレも、口にはしづらいアレやコレもない。いま説明したもの以上のことは一切ない、正統派の試験だとも」
「ホントにぃ?」
「本当だとも。さあ……」
そう言ってエミヤは手を差し伸べる。その表情は真剣そのもので、ふざけている様子は見られない。どこか慈愛すら感じられるようなアルカイックスマイルを浮かべ、受験生十二人に対し包み込むような温かい眼差しを注いだ。
「やろう、お前ら……綺麗で、丁寧で──真剣なハンター試験を!」
「やかましいわッ!」
これから行う試験が真っ当なものであれ、これまでの所業が許されるわけではない。カオルのハイキックがエミヤの頭を刈り取り、受験生たちから拍手と歓声が上がった。
「勝負は最初の十二時間だ……この間にプレートを取れるか否かで全てが決まる」
船に乗りゼビル島へと到達した受験生たちは、第三次試験をクリアした順に島へと上陸する。四番目に入島したポックルは狩人としてのスキルを最大限に活用して身を隠し、素早くポジショニングを済ませた。
十二人目が上陸した時点で試験開始を告げる狼煙が上がる手筈となっている。ポックルは開始と同時に他の受験生を襲撃し、プレートを奪うつもりでいた。
「ゼビル島はその全てが深い森に覆われている……まさに狩人たるオレの独壇場だぜ」
ポックルの自信はそう的外れなものではない。彼は自然に溶け込む術、そして自然を活用する術に精通している。臭い消しのために草の汁を身体に塗り付けたポックルは背負っていた短弓を手に取り、矢を番えた。
「矢尻に塗った麻痺毒は成人男性であっても忽ちの内に行動不能に陥らせる……こいつを当てさえすれば、誰が相手でも簡単に料理できる」
森に潜むポックルの隠形を破るのは困難を極めるだろう。人間などよりよほど警戒心の強い動物を相手に狩りを行う彼は、矢を射掛ける直前まで僅かにも殺気を漏らすことはない。音もなく忍び寄り、気配なく殺す。大自然の暗殺者である彼は、それこそ相手が念能力者でもない限りあらゆる相手に有利を取れるのだ。
尤も、今回の受験生の中には五人も念能力者がいるのだが。
「……! 信号弾だ!」
試験開始を告げる狼煙が上がり、俄かに森が騒つき出す。他の受験生が一斉に行動を開始したのだろう。
だがポックルは焦らない。大自然の中では冷静さを失った者から死ぬということを彼は身に染みて理解していた。
焦らず、確実に獲物を捉え、そして仕留める。それを徹底する限り、この森の中でポックルに敗北はない。
──筈だった。
「ん?」
ふ、とポックルの上に影が差す。反射的に空を見上げた彼は、今にも己に襲い掛かろうとするヒポグリフと目が合った。
「のわあああああ!?」
慌てて地面を転がりその場から退避する。直後、数瞬前までポックルがいた地面を鷲の前脚が大きく抉り取った。
「動くと当たらないだろ!」
「お、お前は383番の……!」
ヒポグリフに跨る少女の姿を認め、ポックルは呻く。
そう、アストルフォが従える幻獣ヒポグリフは猛禽の頭を持つ。その視力は人間の比ではなく、数キロも離れた上空から森に潜むポックルを捕捉し急襲したのだ。
(やばい、あの魔獣を相手に勝ち筋が見出せない……! ここは何とかして逃げないと──)
「カオル!
『応!』
だが不幸なことに、ポックルを狙うのはアストルフォだけではなかった。初撃で仕留め損なったと見るや迅速にヒポグリフの背から飛び降りる人影が二つ。
「三人掛かり……!?」
「悪いわね、53番」
吹き荒れる風を物ともせず、カオルは乱舞する暴風の中心で動けないでいるポックルへと迫る。
だが許してほしい。このままポックルが合格してしまうと、後のキメラアント編において亜人型キメラアントへと念の情報が漏洩してしまうのだ。それに彼自身も命を落とすことになる。ここで脱落するとて、死ぬよりはマシだろう。
カオルの右足が天を衝く。凄まじい柔軟性を発揮し振り上げられた踵は、まるで稲妻のような勢いでポックルの顔面へと叩き下ろされた。
「履いてな──!?」
グシャリ、とローファーの踵が頭蓋に減り込み意識を刈り取る。そして容赦なく加えられる追撃。カオルの小さな拳が頬を抉り胴を打つ。華奢な少女の拳骨といえど、その肉体は魔力を帯びオーラを纏う超人のそれ。非念能力者であるポックルに耐えられる道理はなく。
崩れ落ちるポックル。三人は予め持ち込んでいたロープで素早く手足を縛り上げ、茂みへとその身体を横たわらせた。
意識を刈り取ってから茂みに隠すまでの所要時間、実に十秒以内。プロの犯行である。
「一応プレートも貰っておくわ」
「ゴメンね! でもこれも君のためだから! 本当だから!」
「……随行してる協会のスタッフさんに回収してもらおうか」
ポックル……両眼窩底骨折、鼻骨陥没、上顎骨亀裂、肋骨損傷四箇所、そして全身至る箇所の皮下出血により──
最終試験会場であるゼビル島には、ハンター協会及び審査委員会から派遣されたスタッフが監視要員として潜伏し受験生らを追跡している。彼らは死亡した際の死体の回収、あるいは明らかに試験中の再起が不可能な程の大怪我を負った受験生の救出を任としている。後者の基準が曖昧なため、割合としては前者の条件で動くことが大半だろうが、こうまで痛めつけられたポックルが三日間の内に巻き返すのが不可能なことは傍目にも明らか。ほぼ確実に監視員によって救助され、生きて帰ることができるだろう。
こうして試験開始と同時にポックルを蹴落とした三人だったが、彼らの快進撃は終わらない。終わらせるつもりなど更々なかった。
「ぶっちゃけ今回の試験さぁ~私たちぃ~いくら何でも振り回され過ぎじゃな~い?」
「わかるぅ~」
「一方的にやられっぱなしってぇ~私たちらしくないってゆーかぁ~」
「試験官と受験生の立場の差を振り翳すのってぇ~フェアじゃないよねぇ~」
「……わかるマーン」
『…………』
「覚悟せぇやマダオども。こっからがハンター試験本番じゃコラ」
「今宵のヒポグリフと『
「……こっから先は一方通行……だぜ」
〝
アストルフォの手に忽然と現れた黄金に輝く馬上槍が握られる。傍に侍るヒポグリフは強大な霊格を誇る幻想種としての本能を剥き出しにし、猛々しい嘶きで孤島を震撼させた。
加減なく鬱憤を解放させんと猛るカオル。己の
彼ら三人が本気になるということ。それ即ちゼビル島が崩壊することと同義。もはや彼らの頭に“自重”の二文字はなく、持ち得る
ハンターライセンスを盾に理不尽な試験を強要されてきたカオルたち三人。
だが、いつまでもされるがままに弄ばれる彼らではない。
待ったなし──遂に奴らが本気を出す!
どうなるハンター試験! どうなるゼビル島! どうでもいいけどそろそろ頭のケモ耳カチューシャ外せよ二人とも!
次回、『ゼビル島消滅!? 大地を貫く怒りの閃光』! 乞うご期待ッ!
嘘です☆ミ
【追記】
親切な読者の方からのアドバイスにより、「〝 〟」が環境依存文字であることが判明しました。
もし今回使用したこれが文字化けしている方がいらっしゃいましたら、同様の内容を活動報告の方に