Jingle All The Way To Triumph   作:TAC/108

12 / 15
永劫回帰石塔の第二層にて待ち構えていた『第二の王』ギルガメッシュを、全霊を以て退けた立香とナポレオン。
かくして二人は、最後の王……巌窟王の待つ第三層へと向かう。


再走・第三層:怒れる王モンテ・クリスト

第三層の扉が開かれる。

そこは既に、月光に照らされる砂浜と化していた。

物理法則すら超越した変容は、いつ見てもそう慣れるものではない。藤丸立香は目眩のするような状況を見据え、夜の砂浜に佇む一人の男を見ていた。

幽鬼めいた男。黒ずくめの衣装からは、青白い肌が覗く。重苦しい雰囲気を漂わせるその男は、寄せては返す波の音を聴きながら、一面に広がる海を見ていた。

アヴェンジャー、巌窟王(モンテ・クリスト伯)が立っている。

 

「よう。メリークリスマスだな、巌窟王」

「……なんだ、その装いは。かのナポレオンともあろう者が、まるで道化だな」

巌窟王の表情に笑みは無い。だが、虎めいた黄金の瞳には、確かな輝きが宿っている。月光が照らす夜の砂浜で、三人は厳かに対峙していた。

「ま、見ての通り出直してきたってワケだ」

「英雄王とアルテラが、カルデアに帰還したのはオレも把握している。そしてその霊基の変質……酷く歪だが、剣騎(セイバー)として体裁は整えたようだな。末恐ろしいと言うべきか」

マントを大袈裟に翻し、巌窟王はナポレオン達の方へ向き直る。

後ろに右手を回し、巌窟王は虚空に向けて黒い炎を放った。炎は一直線に進み、何も無い場所に衝突して爆発を起こす。爆煙が消えると、爆発地点に縦に長い長方形の穴が空き、そこから階段が覗いていた。

「なっ!?」

「オーララ……英雄王ですら破れなかった結界を破るだと!?」

「この空間や石塔は確かに、あの男……フリードリヒ・ニーチェが宝具として所有する固有結界だが、いわゆる魔術的なソレとは根本的に在り方が異なると言って差し支えない。ただ精神によってのみ存在し、侵入した者の精神を映し出す鏡。ヤツ自身の強靭かつ他者と隔絶した精神性が、他者を観測し、他者の存在によって成立する固有結界となったワケだ」

「まさか……心持ち一つでどうとでもなる、と? それだけとは思えんが」

「英雄王は実際、この塔に縛り付けられながらも、本質を理解していたのだろうよ。ニーチェは神秘を否定する側の人間だ。神秘により近いモノ程、この結界には強く縛られる。幼き聖女にしてみせたように、英雄王をより強く縛り付け、物理的な手段で破られぬように防御を固めた。この件においてニーチェが求めたのは、精神的な克己だったからな」

「なるほど」

立香は手を叩いた。英雄王の様子が何かと奇妙だった点、それに対して巌窟王の言動は平時と大差なかった点。その二点を比較し、彼女なりに納得したのだ。

 

塔に囚われていたアルテラとギルガメッシュは『神性』をスキルとして所持している。神に近しい者達が持つスキル、それが『神性』だ。

神秘を縛り、零落させる能力を、ニーチェが持つというのなら、たとえ強力なサーヴァントであるとはいえ、神性を持つ二人が縛られないという道理は無い。

ジャンヌ・オルタ・サンタ・リリィは出自こそ特殊極まるが、大元になっているのは、後世に『聖人』として認められ、神からの啓示を賜ったジャンヌ・ダルクである。

そして、彼女を一つの存在として規定する概念はサンタクロース。サンタクロースの起源は、紀元三世紀の聖人ニコラウスにまで遡るとされる。

つまり、特殊な経緯で生まれたとはいえ、本質的にはジャンヌ・リリィも神秘の側に立つサーヴァントと言えるだろう。

 

十九世紀フランスの作家アレクサンドル・デュマ・ペールが産み落とした、復讐の神話。『モンテ・クリスト伯』と題された小説の主人公、あるいはその原型たる人物。

無実の罪にて地獄めいた牢に繋がれ、十四年の時を経て、名を変え身分を偽り悪鬼となって帰参し、尋常ならざる精神力にて復讐を果たすために走った男。

たとえその出自に幾らかの神秘が混じろうとも、彼の本質はそこにはない。

十四年の地獄を生き延び、絶対の応報者として舞い戻った、彼の超人的精神力。『巌窟王』の名を冠するに相応しい、鋼鉄の心こそが、彼を復讐神話の英雄たらしめたのである。

 

「……つまり、出ようと思えばここから出ることも出来たってこと?」

「まあ聞け。本題はここからだ」

立香は溜め息混じりに言った。物理的な破壊力ではなく、精神力の話をしているのだとすれば、確かに巌窟王ほどの英霊であれば、単独で脱出することも不可能ではなかっただろう。

「アルテラと英雄王を解放したということは、お前達が『新たなサンタクロースを輩出する』という形で、この塔に再び臨んだように、彼奴らもまた同様に成し遂げたということだ。ここを出る方法は単純だ。己を見つめ直し、そして『答えを得る』こと。アルテラは自らの役割を見出し、新たなサンタクロースを導いた。英雄王は裁定者として、サンタクロースとしての気概を問うことで、この事件における役割を果たした。どちらもお前達の存在無くしては、成し遂げられなかっただろうな。だが……オレは違う。オレの役割はもう終わっている。そして答えも出ている。今のお前達ならば、先に進み、全てを終わらせられるだろう」

巌窟王は言葉を切った。彼の役割とは即ち、この階層で立香達を見定めること。ニーチェと相対するに値するかどうかを、彼が最後に見極める。それが己の役割であると述べた。

 

しかし。

「待ちな」

当代のサンタクロースが、静かに剣を構える。

「オレ達の役割は、まだ終わっちゃいねえのさ」

立香達の役割、それは特異点の修正とジャンヌ・リリィの奪還。だが今回はそれだけではない。

「オレとお前の因果は、まだ終わっちゃいねえだろ」

「待ってナポレオン、どういう——」

問い質すその言葉が最後まで紡がれることはない。ナポレオンが無言で制止したからだ。

「確かに、今の言い分ならお前さんはお役御免ッて扱いになるだろうよ。だがな、()()()()()()()()()()()()

「——ほう、そう来たか」

巌窟王の目に光が灯る。冷厳な眼光は色を変え、獰猛な肉食獣のように煌めく。

「ああ。クリスマスプレゼントは、キッチリ受け取って貰うぜ。生前、オレ達が果たせなかった因果を、ここで一度精算していこうじゃねえか」

ナポレオンと巌窟王の因果。

無実の罪にて獄に繋がれたエドモン・ダンテスという一人の男を、ナポレオンは救うことが出来なかった。その結果、エドモン・ダンテスは誰もが知る超絶の復讐鬼(モンテ・クリスト伯爵)に成り果てたのである。

救えなかった後悔と、救われなかった憎悪が共にある以上、いずれ果たされるべき宿業であった。

 

「ク、ククク……フハハハハハハ!!」

復讐者は哄笑する。

役者が揃い、舞台が整ったことを彼は完全に理解していた。

果たされざる復讐、在り得ざる未来を前に、巌窟王は至上の歓喜を得る。

 

「良かろう、ならば我が名を聞くがいい……我が名は()()()()()()()()()。恩讐の彼方より来たりて、貴様に応報する者だッ!」

 

「これで良いんだね、皇帝陛下」

立香がやや呆れ気味に言った。不要な戦いだ。最上層への扉は開かれている。だが、叩きつけたハンカチを今更拾い直すような真似をするのも、野暮というものだろう。立香はそういった浪漫に一定の理解があった。

「ああ。いずれケジメはつけにゃならんかったからな。コイツも聖夜の奇跡ってコトで……付き合わせちまって悪いが、始めるぜメートル(マスター)!」

 

巌窟王(エドモン・ダンテス)の新たなる復讐劇が、ここに幕を開ける。

 

◆◆◆◆◆◆

 

先手は巌窟王が打つ。黒い炎を連続で放ち、ナポレオンの足を止めに掛かった。ナポレオンは聖剣で炎を斬り払い、全速力で巌窟王に迫る。

以前はジャンヌ・リリィが前衛に出ていたため、後方からの支援を主な仕事としていたが、今回のナポレオンは単騎。強力な遠隔兵装も持たないため、自ら前に出て攻めなければならない。

肉薄して数手打ち合う両者。攻撃を交え、互いに実力を推し量っている。

上段から斬り掛かったナポレオンの斬撃を、巌窟王が刃を掴んで逸らし、反撃としてナポレオンの顔面に左拳を喰らわせる。よろめいたナポレオンに追撃の黒炎が襲いかかり、直撃した。

 

立香は両者の戦闘を固唾を呑んで観察していた。令呪は全て消費してしまったため、礼装に仕込まれた三つの術式のみが、彼女に可能な援護となる。その術式も、恐らく使うならばそれぞれ一回が限度であろう。巌窟王は直接戦闘において強力なサーヴァントであり、第一宝具を失っているナポレオンの事情を鑑みれば長期戦は望ましくない。

故に彼女は、最善のタイミングで礼装の術式を使用するために、ナポレオンと巌窟王の戦いを見ておく必要があった。

 

ナポレオンが剣を振り抜き、巌窟王に一太刀浴びせる。巌窟王は高速で飛び回り、すれ違いざまに連続で斬りつける。掻撃は虎の爪牙が如く、ナポレオンの全身を引き裂きに掛かる。剥き出しの殺意と怨念が、刃となってナポレオンを抉る。

続けざまに放たれた巌窟王の回し蹴りを左手で受けたナポレオンは、聖剣を逆手に持ち替え、剣の柄頭を巌窟王の顔面に叩き込む。至近距離ではセイバーとしての精妙な剣技を発揮しにくいと判断してのことだ。大きくよろめいた隙に力任せの前蹴りを食らわせて距離を離した。

「来な! まだ勝負は始まったばかりだぜ」

「ハ、言ってくれるな皇帝陛下……この程度で終わっては、貴様とて癪だろう」

「そうさ……互いに全霊を見せようじゃねえか!」

 

剣戟の音が響き、赤と黒の火花が散る。

数十手打ち合ってなお、両者の攻勢に瓦解の色は無い。実力は拮抗し、戦況は千日手に陥りつつあった。

埒が明かぬと悟ってか、巌窟王が距離を離した。虎めいた双眸が鈍く光る。

「我が名は巌窟王(モンテ・クリスト)! その身に刻み込め——我が往くは怨讐の彼方……『虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)』!」

巌窟王の姿が目前より搔き消える。次の瞬間にはナポレオンの背後を取り、強烈な一撃を入れていた。血を撒き散らしながらナポレオンが前方に吹き飛ばされると、その方向に先回りして更なる一撃を見舞う。

「オーララ、予想以上だな、コイツは……!」

「クハハハハ! 是なるは我が憎悪、我が道程、我が真髄! 貴様であれど容赦なく、オレは虎の爪牙で刻むまで!」

瞬間移動に匹敵する速度で、虎の如き者が爪痕を刻む。地獄をも超越した人間の精神の為せる業。

胸に飛び蹴りを喰らい、地面に叩きつけられるナポレオン。起き上がる暇など与えずに、巌窟王は呪詛の炎を放つ。ナポレオンは全身を黒く焦がされ、満身創痍に陥った。

 

「やるじゃ、ねえか……」

装束を焼かれ、全身を裂かれてなお、ナポレオンは立ち上がる。立香は『応急処置』の術式を発動して、彼の傷を癒した。残る術式は二つ。『応急処置』の再充填までは待てない。

「このオレは貴様の意志を絶つ者、復讐の悪鬼として今此処に在る。ならば徹底せねばなるまい。呪詛を叩きつけ、弾劾し、やがては破滅に追い遣る。救われざる者、貴様への怨念を滾らせる全ての魂をも糧として!」

「ならば果たしてみせろ! その怒り、嘆き、絶望の全てをオレにぶつけろ! 全て踏破してやるさ、このオレがなッ!」

再び両者が距離を詰める。ナポレオンの突きを巌窟王が刃を掴んで強引に止め、至近距離で雷火が迸る。その身を焦がしながらも、ナポレオンは巌窟王の顔面を引き寄せて頭突きを見舞った。ナポレオンは掴まれたままの剣を、巌窟王諸共全力で投げ上げる。体勢を崩した巌窟王に向かって跳躍の後、渾身の拳打を叩き込む。

浜辺に聖剣が突き刺さる。後ろに控えた立香は、剣を両手で投げてナポレオンに渡した。巌窟王が空中機動で迫るが、聖剣を取り戻したナポレオンは立香の術式『緊急回避』の援護を受けて無傷で着地する。

「そこか……!」

着地の隙を狙って、巌窟王が黒炎を放った。ナポレオンの背後には立香が控える。回避すれば彼女が直撃を喰らうだろう。

「(マズったか、背後には立香が……いや、まだ策はある!)マスター(メートル)、最後の術式を頼む!」

「了解! 『瞬間強化』!」

立香が最後の術式『瞬間強化』を発動した。虹色の光を纏う聖剣を、全力で巌窟王に向けて投げる。黒炎は霧散し、巌窟王の左腕を斬り飛ばして聖剣は遥か彼方へと飛んでいった。

巌窟王が着地し、間合いを詰めて丸腰のナポレオンと組み合う。左腕が無くなったとしても、彼の攻勢は揺るがない。呪いと怨念を叩きつけるが如く、一瞬の内に連続攻撃を仕掛ける。

もはや双方共に満身創痍である。それでも二つの魂は、ただ一つの結末を求める。

即ち、因縁の決着を。

「貴様の全てを捩じ伏せ、オレは果たされざる復讐を果たす……! たとえ有り得ざる因果であっても、オレは!」

「そうさ……果たせなかった後悔はオレにもある。マルセイユの船乗りであったハズのオマエを、オレは見殺しにした! 巌窟王を産み落としたこの世の悪意、その一つとしてオレは……エドモン・ダンテス! オマエと向き合おう! たとえ遅きに失したとしても、この奇跡が赦されるのならば!」

血を吐くような絶叫。救われなかった者と、救わなかった者。遅すぎた因縁の終着は、奇跡の名を借りて果たされる。

何故に我は救われぬ。何故に我は救わざるか。憎悪と悔恨、共に行き着く先は憤怒。世の不条理に怒り、反逆する運命。その終わりが近づいている。

乾坤一擲、最後の一撃は互いの拳。怒りを乗せた鉄拳が、両者の顔面を捉える。

脳を打ち鳴らす破壊の響き。一瞬の後、一人が膝をついて崩れ落ちる。

もう一人は遥か後方に突き立った聖剣を取りに向かう。その足取りは重いが、彼の表情に暗いものはない。

何かに納得し、答えを得た者の顔であった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

「……い……陛下……陛下! 起きて!」

「おおぅ!? んぁ、どうしたマスター(メートル)? ……あ、いや、皆まで言わんでも分かる。コイツは……オレの負けか」

立香に揺り起こされて、ナポレオンは意識を取り戻す。文字通りに全てを賭けた一戦に、彼は敗北したのである。周囲はかつて第三層に初めて来た時と同じく、仄暗い牢獄の様相を呈していた。

ナポレオンは自分の側に立て掛けられた自分の得物……聖剣ジュワユーズのレプリカに気づいた。

「いや、そうでもない。オレに一時の勝利すら齎した貴様もまた、この場においては勝者と言って差し支えあるまいよ」

暗闇から声が響く。青い炎と共に巌窟王が現れた。その左腕は失われたままだ。しかしその身体は淡い光に包まれ、輪郭が薄れている。退去の光。彼もまたカルデアに送還されるのだ。

「見事、と言っておくべきか。かつては神の領分であった奇跡を、貴様はこうして成し遂げた。かつてエドモン・ダンテスであった男は、巌窟王(モンテ・クリスト伯)としてここに一つの復讐を成した。その筋書き(シナリオ)を書いたのは他ならぬ貴様だが、ともかく『聖夜の奇跡』の名を借りて、オレは生前にすら成し得なかった復讐を果たしたわけだ」

巌窟王は淡々と結論を述べる。

地獄より還った復讐者は、かつての生においてすら果たされぬ復讐を成した。『それこそが、お前の言う奇跡だったのだ』と、巌窟王は語ったのである。

「出会った以上は、いずれオレ達の因果にはケリをつけにゃならんかっただろう。そしてオレも同様に、お前と向き合わなければならなかった。生前に未練があるのはオレも同じだからな」

巌窟王が哄笑する。人理に刻まれた英霊である以上、二人とも次の召喚にこの記憶を、記録を持ち越すことはないだろう。それでも、彼らにとっては確かに意味のある行いだったのだ。当事者であった二人が、信じ続ける限り。

「じゃあ行くぜ。しばらくの別れだな。いずれ再び、相見える時まで」

「今度は、カルデアでね」

ナポレオンが立ち上がり、剣を腰に取って進み始める。立香が後を追って歩き出し、巌窟王を背にして扉に向かう。

「斯くして応報は果たされ、奇跡は此処に成った。進め、新しき聖者よ! 決して己が道を見失うな!」

巌窟王が檄を飛ばす。それはこれより先に待つ最後の戦いに向けた助言でもあった。

ナポレオンが第三層の扉に手を掛けたその時、最後の言葉が強く響く。

「……改めて再会を望むか。ならばオレはこう言うしかあるまい——『待て、しかして希望せよ』と!」

巌窟王は光と共に、石塔から去っていった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

最上層へ登る道中、立香はナポレオンに尋ねる。

塔の主、ニーチェが求めた『答え』とは何であったか、と。

彼は最後に『答えを抱き、再び私の下に来るがいい』と言った。立香の中では、その答えが未だに漠然とした形でしか固まっていない。

「オレとお前が抱く答えは違うものになるだろう。だが、考え続けることにこそ意味があるってものさ。悩んでもいい。その時間は決して、無駄になんかならねえよ」

ナポレオンが励ました。彼はこの騒動について、彼なりの答えを既に見出していたようだ。

やがて二人は、最上層の扉に辿り着く。

立香が前に出て、扉に手を掛ける。力を入れて引くと、重苦しい音を立てて扉が開く。

 

最後の戦いが、始まろうとしていた。

 

つづく。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。