「...ということなんです」
コイツ本当に年下か?
そう思うほど説明が上手すぎた。俺が何分も懸けて必死に説明した内容を1分経つか経たないかくらいで説明し終わっていた。さすが姫。
「そう...とりあえずお茶にしましょ?」
どうやら春香は買い物に行っていたらしい。ビニール袋から大根が少しはみ出ている。
しかし美しい。同い年とは思えない大人の女性って感じ。だがそれでいて優しさもある。
『この人なら俺のすべてを受け止めてくれる』そう思うほどであった。
あと気づいたことが一つある。
思っていたより身長が低い。まあそりゃあそうだ。だって女の子だもん。うん。
この3姉妹が並ぶと必然的に春香が一番大きく見えてしまうので正直170cmくらいあるのかなとか思ってた。低身長の俺氏ちょっと安心。
春香の登場によって場の空気が少しは良くなった気がする。俺もいい感じに緊張がほぐれてきた。
もう何が何でも南家に居座ってやるという気持ちで頼み込むことを心に決めた。
◆◇◆◇
「ユウくん...だっけ?今何歳なの?」
一番されたくない質問が飛んできた。
おそらく彼女らは俺のことを中学生くらいだと思っているであろう。
ここで本当の年齢を公開したら『年下の私たちに土下座した哀れな男』というイメージで固められてしまう。
かと言って嘘なんか言えるわけない。さっきそう決意したじゃないか。
もう仕方がない。俺は事実を伝える。
好きなだけ笑ってくれ。そうだよ。俺は年下の女の子に土下座をした哀れな男だよ。はいはい。もうそれでいいですよ。
このタイミングで何故か吹っ切れた。
「17歳です」
もう胃が焼けちまうよ...。
ずっと引き籠っていた俺が女の子に土下座したり普通に考えて色々おかしいだろ。
俺だったら即通報案件なんだけど。
「私と同い年じゃない...。泊めるのは構わないけどこれからどうするかは決めてるの?」
案の定全員驚いていた。
そんな中、春香は驚きながらも落ち着いた声色で次の質問を投げかけてくる辺り本当に大人びているなと感じた。
そしてこれはまた的確な質問である。
確かに俺は泊まることしか考えてなかった。今日を乗り越えても明日に希望なんてない。俺はそこで初めて『転生』を本気で恨んだ。
「えーっと...それは...」
何も言えねえ。
『明日も泊めてください』何て言えるわけねえ。
ここにきて初めて言葉を濁した。
いやもうこれはしょうがない。そうするしかなかった。
明日元の世界に戻れるという確証なんかない。やばいじゃんお先真っ暗じゃん。
少し考えればわかることだが絶望的な状況にいるということを俺は理解していなかった。
心の奥底でまだ『みなみけの世界を謳歌したい』と思っていたのだ。考えが甘すぎた。
もうそんな余裕なんてないのだ。
頭が真っ白になっていくのを感じた瞬間に思いがけない言葉が飛んでくる
「はぁ...もうしょうがないわね。少しの間ここに泊まっていいわよ。」
『――ただ』
『働くのが条件よ』
「...分かりました」
僕はニートを卒業します
◆◇◆◇
あぁ~いい湯だ。
俺は今風呂に入ってる。『南家の』ね。
この時期じゃシャワーで済ませるのが普通だと思っていたのだがどうやら俺の常識は間違っていたようだ。
ていうか聞いてくれ。
あの3姉妹が浸かった湯に俺は入ってるんだぞ。もうこの湯で溺れ死にたい。絶対シアワセハイテンションじゃん。
「あっちぃ...」
完全にのぼせた。欲張ってかなりの時間湯に浸かっていた。もうこのままじゃ命の危機すら覚えるので流石に出ることにする。
いやーしっかし俺イケメンだなぁ...。
カーブミラーで見たときは一瞬だったからイケメンと感じてもちゃんと鏡で見たら実はブサイクなんじゃないかと怖くて見るのにかなりの勇気が必要だった。
まあその心配はなかったんだけどね。
無論かなりイケメンだ。
この世界に来てまだ数時間しか経ってない俺が言うと説得力の欠片もない。
なんせ男が少なすぎる。これに関してはどうしようもない。ハーレムに期待したい。
さっきの修羅場を忘れたのかおい。
そんな下らんことを考えているうちに着替え終わった。
とは言っても服なんて持ってきているはずもなかったので貸してもらったのだが...タケルとかいうおっさんの服らしい。あいつ数話しか登場しなかったくせにパジャマまで用意されてるとか良いご身分だな。
さてと、どうするか。
「いいお湯でした」が正解か?
それとも「出ましたー」か?いやそれはない。何の報告だよ。
ん?ここは敢えて「美少女3人が入ったお湯格別でした」もアリだな。ウケ狙いで行くか?追い出されるわボケ
よし決めた、
「いいお湯でした~」