「春香姉さま...本当にあの男を泊めていいんですか?」
千秋はユウを泊めることに納得していなかった。
「うん...放っておくわけにもいかないしね。でも2人が嫌だっていうなら今からでも...」
『――私は!』
夏奈が勢いよく立ち上がった
「約束を守る女だ!」
「いきなりなんだよ」
千秋の素早いツッコミ。2人は理解できるはずもなく混乱していた。
「私はユウに泊めると言ってしまった。後悔はしているが泊めると言ってしまったからにはその約束を守る!」
「なんでこの状況でちょっといい奴になってんだよ」
「約束を守る人間が好かれることに私は気づいたんだ」
「当たり前だよバカ野郎」
いつものやりとりが始まろうとする中、春香が口を開けた。
「千秋は...やっぱり嫌?」
優しい口調で問いかける。
「...そんなことないです。春香姉さまが良いなら私は構いません」
「そう?何かあったらいつでも言ってね...私もちょっと不安だから」
「春香姉さまは私が守ります!指一本触れさせません!」
「まったく千秋は――」
――ガシャーンッ
「上がったみたいね...」
※※※※
『みなみけのリビングなう』
こんなツイートを画像付きでしたらきっととんでもないことになるだろうな。
そんな事を考えながら千秋に睨まれているこの状況。
夏奈は寝っ転がって漫画を読み、春香は晩御飯をつくっているこのみなみけ感が半端ない空間に1人挙動不審な男が居座っている。
春香に『手伝わせてください』と申し出たが『千秋たちと遊んでて~』とやんわり断られてしまった。。。
俺にどうしろってんだ。
とりあえず何か言わないとな...なんだろ。
あー良いこと思いついた!
「千秋ちゃん,,,何か俺に聞きたいこととかあるかな?」
出会ってまだ少ししか時間が経ってないからこそできるこの質問。俺は神か?
「は...」
お、口を開いたぞ。これをきっかけに千秋と仲良くなれるかも!
『春香姉さまには指一本触れさせない!』
どうしてこうなった。
いや触れるつもりなんてないけど。触れたいけどさ。
「え...そんなことするつもりないんだけど...」
千秋が小学生ということもあり、あまり強い口調で反論するわけにもいかなかった。
とりあえず何か誤解している気がするからどうにかしないとな...
「嘘だ!寝込みを襲おうとか考えてるんだろ!」
いやなんでやねん。確かに襲うにはコンディションがいいな...じゃなくて!
「千秋ちゃん。一旦落ち着こう。ね?」
キャラ崩壊もいいところだ。
俺に『だけ』かもしれんがめっちゃ当たり強いしイメージ崩れまくりなんだけど。
報われねえなぁ...
完全に敗北モードになっていると、
『夕飯できたわよー!』
台所から春香の声が聞こえた瞬間に夏奈が飛び起きる。
コイツ...相変わらずだな。
夏奈だけは変わっていないのかもしれない。。。
※※※※
「どう?...お口に合うかしら」
『めっちゃ美味しいです!!!』
めっちゃ美味しい。ほんとに。お世辞とかじゃなくて。
俺他人が作った飯食えないタイプの人間なんだよね。そんな俺が美味しく頂けちゃってるってもうこれは革命かもしれない。
というか春香の手料理食えるって前世で1億くらい募金したのか俺は。
ちなみに料理の方は
ビーフシチュー、厚揚げの煮物、大根のサラダ
うん、結婚してください。
正直どれも特別好きな食べ物ではないのだがここまで俺を奮い立たせてくれるとは流石としか言えない。
完全に惚れちまったよ俺...
胃袋を掴まれてしまった。
あぁ幸せ。
「...おい」
...ん?
我に返ると千秋が
「春香姉さまの手料理を食べれることに感謝しろよ」
はいはいわかってますって!
何なんだよこの生意気なJSは!
おい原作者!こんな裏設定作ってたんか?勘弁してくれよ。何するにも嫌味を言われ続けるじゃねえか!
...冷静になろう。
しかしまあ外見が完璧でなかったらこれは学校でいじめられるレベルだぞ。
矛先が俺だけに向いていてくれと心から願った。
「ごちそうさまー!」
マジで食うの早えな。
そそくさと片付けてリビングに戻る夏奈。また漫画でも読むんかな。
あ、すげーくだらないこと思いついた。
多分お前らも分かってると思うから言わないけど。
さてと、俺も片付けるかな。
実は夏奈より先に食べ終わってたんですボク。
脳がパンクするほど頭使ったから死ぬほどお腹すいてたんです。
「...ごちそうさまでした!」
食べてる時誰も喋らないもんだから、あー食ってる時喋っちゃいけない系の家庭なのかとか思ってしまった。
ごちそうさまが言いづらかったのはそのせいかと納得した。