tsプロゲーマー配信者なぎちゃん   作:ヲタクフレンズ

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続きです。


ろくわめ!

 配信を終えた深夜、なんとなく眠れなかったわたしは、とりあえずパソコンを点けてみる。

 

「配信を始める前までは深夜から朝まで24時間ずっとゲームしてた事もあったな……惰性でやってて、今思えばゲームに失礼なことをしたかも」

 

 ココアでも入れるか、お湯を電気で沸かしている間に、つおったー+を開いて、ってうえわあ……1000人突破した……DMもちょっと、多過ぎて整理出来ないなあ。

 

 ま、まぁ全部見るけど……っておい!DMにまで告白してくんなよぉ!もう……嬉しいけどさ。

 

 ファンアートだ〜〜!きれ〜〜……わたしかわいい、別段絵が描けるわけじゃないし、憧れるなあこういうの、かわいいわたしをありがとうございます。綺麗ですね…っと。

 

 出来たココアをふーふーと息を吹く、わたしは猫舌ではなかったはずだが、舌が敏感になったのか熱い飲み物は少しぬるくしないと飲みにくくなったみたいで。

 

 舌だけじゃなく、耳も少し良くなったように思える、完全防音された部屋の外の音が聞こえる訳ではないが、反応速度が上がったというかなんというか……

 

 身体的スペックが全体的に上昇したのか?

 

「今ならバク転も出来そう……いや、流石に無理かな、でもなんでだろう、全能感ってものは無いけど、出来て当然の事が増えてきたような……」

 

 小さい鏡を取り出して、わたしを見つめてみる、黄金色のおめめに銀色のシルバーブロンド、最近は整え方がわかってきたから、心なしかふわふわしているように見える。

 

「久々にFPSでもやろっかな」

 

 パソコンの前に移動して、なんのFPSをやろうかなとジャンル分けしたファイルの中からどのゲームをやるか探す。

 

ん……丁度良いのがあった、少し廃れ気味だけど、やる人はいるぐらいのゲーム、大体これぐらいの頃になったゲームはそんなに民度が低くないと、わたし的には思ってたり。

 

 ……アカウントのパスワードなんだっけ?

 

 あ、やば、これ思い出せない奴だ、わたしのプレイ時間が……ま、まあ切り替えて行け?アカウント作成から始めよう。うん。

 

 配信でやるかもしれないし?今のうちになぎちゃんで作成するのは先を見越したわたしの、ずのうぷれいなのだ!

 

「初期武器そこそこ強かったし、うん……これはハンデ、縛りプレイ。そういう事にしよう」

 

 アカウント作成が終了する。

 

 さっそく5対5で戦い、AとB、攻め側は両方何方かに爆弾を置いて、守り側は置かれるのを阻止するシンプルなモードを選択。

 

「どれぐらい腕落ちたかなー、暫く振りだから感覚掴まないと、配信の事も考えると今のうちに勘取り戻さないとね」

 

 ちなみにこのゲームはSSS社が作ったゲームじゃない、SSS社はFPS系を取り扱ってなかったりする、ガンアクションゲームを作る癖して、一人称視点のガンゲーは作ってないのだ、少なくともゲームジャンル上は。

 

 では今プレイしているFPS、一時期流行って、有名配信者の人達が「VRで実銃持った方がリアリティは追求できるよな」の一言で廃れたゲーム、Standard・On-lineはというと。

 

 SSS社の次に有名なゲーム企業、ととーる社のゲームだ。元はギャルゲーとか恋愛ゲームとか作ってた会社だけど、途中から方針を変えたんだっけかな。

 

 実際、パソコンのゲームは多いようで、作る会社が少ないので、偏ったりする事がある。中にはVR大手企業発のゲームで、パソコンと連動しているみらくるカートなんかのようなゲームもあるが。

 

 初回配信でやったゲーム、OverCoreFaRrewrite-7のようなロボゲーは、SSS社でもととーる社でもなかったりするんだけどね。

 

「んー?個チャきてる、え、なんでわたしに……?この人、ミクちゃん?へー……このゲームもやってたんだ」

 

 えーと何々?良かったら一緒にプレイしませんか、かあ。ていうか確かになぎちゃんって名前だけど、良く成りすましって疑わないな、本物ですか?ぐらいは聞くかと思ったけど。

 

 配信では同じゲームで二回も一緒にプレイした仲だし、配信外だから一緒にプレイしないなんてことはない。別にボイスチャットをするわけでもなし。

 

 せっかく誘ってもらったんだし、わたしとしてもうれしい。

 

「良いですよ、と……フレンド認証しよ。ふふっ……初めてのフレンド貰われちゃった、まあミクちゃんなら良いかな」

 

 ああ、そういえばこんな風に親友以外で一緒にゲームをしていた友達が一人いたなあ。

 

 あれは誰だったかな、今も元気にしてるかな、存外近いところでゲームしてたりするのかな?

 

 あの子は生粋の引きこもりゲーマーだったから、今のわたしとそう変わらない生活を送ってたりするかもしれないなぁ……違うのは自分で収入を得ている所か。

 

 配信を始めてから一週間と少しぐらい、投げ銭機能が解禁されるまで後二週間ぐらいの日がある。お金を貰えるような配信をしているつもりはないけど……稼げるようには、なりたいな。

 

 少し俗っぽくて、卑しい考えかな。また少し自分が嫌いになる。

 

「……違う、最終的な目標はなぎ民からお金をもらう事じゃないでしょ、広告とかを付けて、企業さんからゲーム関係のお仕事を貰えるようになる事だろ」

 

 その為には頑張らないと、こうやって一緒にプレイしてくれる人の為にも。

 

 深夜はまだ少しだけ続く、ミクちゃんと一緒にやるFPSは、何処か懐かしさがこみあがって。

 

 ココアの味が少しだけ、いつもより違った気がした。

 

 

 

 

 さーて!今日も張り切っていこうか〜〜!

 

 っとと、張り切りすぎるのもいくない、適度に、そしてわたしらしくやろう。

 

 つおったー+での集計の結果、今回やるジャンルは協力型アクション、家庭用ゲームからパソコンへ、パソコンからVRへと土壌が動いた今。

 

 その名を知らない者は居ない、アクション界の王道、ハンティングアクションの産みの親をプレイする事になった。

 

 狩猟ゲーとも呼ばれる今回のゲームは、予め参加する人は全員が同じデータ、つまり初めからを選択してとお願いしてある。わたしも新鮮な気持ちで初めからするつもりだ。

 

 配信準備は整った、後は配信開始をクリックするだけ。

 

「にゃろはー!……なぎちゃんだよ、今日もたのしもうね」

 

『にゃろはー!』『はおー!』『始まりました今日のなぎちゃん』『かわいい』『かわいい』『生初めてだ』『うおおおおお!』

 

「生放送初めてのなぎ民もいるの?来てくれてありがとう、楽しんでくれるとうれしいな」

 

「さて、今回はつおったー+での集計の結果、みんな知ってる例のゲームをするよー!実際やったことないって人でも、名前ぐらいは聞いたことはあるんじゃないかな」

 

『この道は避けては通れない』『沼の始まり』『やっぱこれだね』『このゲーム以外した事ない』『実はやったことないです…(ボソッ』『パソコン版はやったことないなー』

 

「勿体ぶってないで早速始めるか!狩りの始まりだ!うおおおおおお!」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおお!』『一体何が始まるんです?』『知らないのか、一方的な狩りごっごだ』『楽しみだね』『この日の為にパソコン買った』『行動が早い』

 

 説明しよう!このゲームは古今東西、100年以上の歴史のあるゲームの一つ!狩りゲーを世に知らしめた。その名も「ブレデターハンター」

 

 幾千種類もある膨大なプレデターの数々!強大なクマ、凶悪なミュータント!破壊の化身、ドラゴン!それらを倒すは我らがプレイヤー!

 

 今回はストーリーをするつもりはないのでその説明は不要だろう、最大四人プレイまで可能のこのゲーム、まだ始まって間もないのに視聴者数800人前後がデフォになって来た今となっては、溢れる人も居るだろう。

 

 だけど、なぎ民同士でゲームを通して交流が出来る、わたしも、わたしと一緒に狩りをする三人以外も、たのしんでくれるはずだ。

 

「先着順だからね、わたしと一緒にやれなくても、他のなぎ民と、なぎ民同士で狩りに行く事もできるから、仲良くやろうね!」

 

『なぎちゃんまじ天使』『なぎちゃんの隣は貰います』『俺の俊足についてこれるかな』『オタク特有のクリック速度に勝てるとでも?』『仲間外れは…寂しいもんな』『実は初めてなんだ、教えてくれ』『いいよ』『いいよ』『なぎ民、優しい』

 

「にゃーし、サーバーたてるよ、なぎ民あつまれあつまれ」

 

『あつまうー』『あるまるー』『あつまるおー』『なんだこいつら』『なぎちゃんの真似すんな』『所で今日もおぱんつは白?』『ドロワでしょ』『業が深い』

 

「わたしは薙刀か長弓に迷ったけど、薙刀にしようと思うよん、スタイリッシュなわたしを魅せていくにゃー」

 

『かわいい』『かわいい』『かわいい』『おくちわるわる回確定』『スタイリッシュなぎちゃん』『長弓は地味強だからなあ、配信映えはね』『なぎちゃんだから"薙"刀ってか』『は?』『は?』『有罪』

 

 ……すこし上手いって思っちゃた、声に出さなくてよかった。

 

「よーし、さっそく人が集まりました…エリックさんとおにいちゃんさん……あーあー!謀られた!最後の一人は……ミクちゃん、いつも来てくれるね、ありがとう」

 

『エリーーーック!』『お兄ちゃん、有能』『ありがとう』『あ、無能だ』『ありがとう』『有能一人しかいないじゃん』『なぎ民多くね?』『パソコン勢思ったより多いなぁ』『よろしくお願いします』『俺の所になぎパパって名前の来たんだけど』『有能無能、無能!』

 

 エリックさんはハンマーでおにいちゃんさんはボウガン、ミクちゃんは〜〜、二槍ランスかぁ、上級者なのかな?FPSも上手かったしゲーム上手なんだろうなぁ。

 

「三人ともよろしくね、さっそくだけどクエストいくよー!最初の討伐クエストはあしら丸、今の装備でも充分倒せると思うし、がんばっていこう」

 

『あしら丸かあ』『全長3.5m!白い毛玉に覆われた一角うさぎのような外見をしているが、恐るべきはその繁殖性!仲間を呼ばれたら余裕で死ねる!』『説明乙』『有能』『初期装備でギギネブたそ倒してくるわ』『無謀、乙!』『逝ってらー』

 

「とりあえず二回狩りに行ったら、今のパーティーを解散させて別のなぎ民ともやろうと思ってるから、安心してね……?」

 

『この子が天使か』『やったー!』『うれしい』『今日はハーフパンツなんだね……ぺろ』『ちらももふとぺろ』『これがご褒美ですか』『最高だな』『上がって来た、ナニが』『ぺろぺろ』『段々と姿晒してきて好きだよ』『RECしたお』『有能』

 

「なっ!あ、この……!つ、次からは着ない!さいてい!さいてい!もう……」

 

『ご褒美』『かわいい』『ありがとう』『ありがとうございます』『ののしりなぎちゃん』『好き好き〜!』『ありがとうございます』『REC完了』『新素材』『致せる』

 

「三人とも準備できた?行くよー」

 

 ステージは森林、森林地帯はエリア8つと狭いけれど、すこし複雑な構造になっていて、エリア1からエリア6に行けたりする。

 

 大きなミスや故意的な邪魔をされたりしたら、ボスのいるところまで一人で行く事になったりすることもあったり。

 

 まぁそんなことしないよね……しないよね?するなよまじで。

 

「協力プレイだと敵の性能が三倍になるんだよね〜、だから協力しないと普通に勝てないから、がんばってよ〜マジで、特にエリックさん、おまえだぞ」

 

『草』『草』『本当は有能って信じてるから』『背負ってんぞエリック』『名指し草』『がんばれ』

 

「ミクちゃんずっとわたしに付いてきて和むんじゃ〜、エリアに蔓延る雑魚エイリアンはおねえさんにまかせなーさい!」

 

『デートか?』『ゆりゆりデートか?』『今のなぎちゃんはおっさんだぞ』『おっさんなのか美少女プロゲーマーなのかはっきりしろ』『寧ろおっさん二人の可能性が微レ存』『この世の地獄』

 

 ミクちゃんはおんなのこだぞ!少なくともわたしは絶対にそう信じているから!

 

「おにいちゃんがあしら丸見つけてる……わたしのおにいちゃんなら一人で余裕だよね?わたしの助けはいらないよね?エリックさんと二人なら問題ないよね、わたしはミクちゃんと森林デートするから、よろしー?」

 

 『草』『助けて』『即落ちエリック』『2コマで死ぬ男』『なぎ民が濃すぎる』『報復されてて草』『すみません…すみません』『わりと奮闘してて草』

 

 いい気味だぜ、まぁ仲間呼ばれて討伐増えるのも面倒だし、しかたないなぁ手伝いに行ってあげよう。

 

 森林をかき分けてエリアを移動する、森の中にボウガンの音が木霊する、その音を頼りに向かっていくと、そこには一人のハンターが全長3.5mの毛玉と戦っていた。

 

 赤い瞳は捕食者特有の鋭い眼つきを持っていて、その分厚い毛玉に押し潰され容易に埋もれ死ぬ事が想像出来るだろう、しょうじきこのゲームのVRとか、パソコン版よりむずかしいんじゃないかな?

 

 補助機能とかで大分やりやすくなるんだろうけど、実際どうなんだろう。

 

 いつかはわたしも、VRでなぎ民と一緒にやる日が来たりするのかな。

 

「ってもうすでに仲間呼んでんじゃんか?おーいっ……まぁ一匹増えようが脅威じゃないですし?」

 

 『イキリ』『これはイキなぎ』『かわいい』『ボウガンの立ち回りええなあ』『おにいちゃん、まさかの有能!』『お兄様、なぎちゃんを僕に下さい』『ダメです』『ぼくのだぞ!』『認めません。わいの娘やぞ』『私の娘ですよ』『こん無能、放置してないで回復してくれ』『仕方ないですね』

 

 薙刀は一撃の力が重いパワー型だ、それでいて機動力もあって初心者から熟練者まで気軽に楽しめる、欠点と言えば攻撃モーション中に回避ができない事だろうか、緊急時に他の動きが出来ないのは、わりかしきびしい。

 

「っおら!たおれろっ!……って危な、おにいちゃんのボウガンで吹っ飛んでなかったら攻撃食らってたー」

 

 回転しながら薙刀を振り回す、乱舞からのバックステップであしら丸の俊敏なひっかき攻撃を華麗に避ける、わたしがヘイトを稼いでいるうちに、ミクちゃんが後ろから突撃とつげきひたすら突撃!二槍ランス特有の攻撃しかかんがえてないモーションすき。

 

「うおお……爽快だなあ、ところでエリックさんは?……あ、もう一匹と戦ってる、がんばれがんばれ」

 

『録音成功した』『エリック、ありがとう』『エリックが無能で助かった』『やっぱゲーム上手いよなぁ』『ミクちゃんの二槍ランスの動きエグいが』『なぎちゃんのつよつよ薙刀』『よう連携出来てんな』『一人だけHP赤なの草』

 

「っこれで……よし、やったやった!あと一匹だよ……仲間呼ばれる前に倒せそうだね」

 

 おにいちゃんのボウガンの放つ大砲があしら丸を大きく仰け反らせ、その間にエリックさんが宙を飛び頭のてっぺんを大きなフルスイングで強烈な一撃を浴びせる。

 

 地面に叩き落とされた所をわたしとミクちゃんで連携を組みながらひたすらに攻撃していき、そして。

 

「っや〜〜た!倒したぞ!お疲れ〜……いやぁ、三人とも上手いなぁ、一人でやってたより大分早く終わったよ、あ、素材剥ぎ取らないとね」

 

『うおおおおおおお!』『おめ』『おめ』『流石に早いな』『ゲームうまうま』『VR版とどっちが良い?』『流石にVR版かな』『どっちも楽しいぞ』『臨場感の差がね…』

 

 討伐終了のカウントタイムが0になり、リザルト画面が流れ、集会所に戻る、さーて次は何のクエストをやろうかな〜〜、少しきびしいけど大猪とかありだなぁ。

 

「って、ミクちゃん?何々?わたしたちならリオドラゴンいける?ま、まぢ………?」

 

『お』『あっ……』『これはプロゲーマーの見せ所』『やっぱ強敵倒してこそでしょ』『ナイス提案ミクちゃん有能』『リオドラゴン!空の戦士と言われる下級ドラゴンだが、空からブレスを吐いたり縦横無尽な攻撃をしてきたりと、別名初心者殺しとして有名である!』『説明乙』『この流れさっきも見たぞ』

 

 ま、まじでいってるのか…?いやいや、初期装備だし、うう……でも確かに三人とも上手いしカバーし合えばなんとか…?いやエリックさんには荷が重すぎるかもしれないけど。

 

「ぬ、にゃ……じゃーやってやろう!強大な敵を倒してこその狩人ですから?わたしたちで偉業を成し遂げるよ!三人とも良いな?やるぞ!」

 

『かっこいい』『登録者2000人おめでとう…(ぼそっ』『これはプロゲーマー』『視聴1500人いったぞ』『初見』『おめでとう、なぎちゃん』『どんどん有名になってきておじさん嬉しい』『おじいちゃん面するな』

 

 ってうえあ?1500人突破?せせせせんごひゃく?や、やばい……緊張してきた…顔があつい……うう。

 

「ぁ、ありがとう……い、今から見てくれているってなぎ民も、楽しんで……い、いくでございますですよ……?!」

 

 リオドラゴンの生息地はさっきと変わらず森林フィールドだ、ただ2エリア程増えているので、その分さっきより索敵の時間が増えるかな。

 

「って早速エリック奈落に落ちてんじゃねえか〜〜!本当にわたしたちで倒せるのか……あ、やられてる」

 

 出オチみたいなやられ方が多すぎないか〜?……この人やっぱりゲーム下手なのでは?

 

「おにいちゃんが助けに行ってる……ん、どうしたのミクちゃん、その下にいたりする?」

 

『索敵うまい』『有能』『有能』『ミクちゃんプロゲーマー説』『熟知してねえとこんな早く探せねえぞ』『とことこついてくなぎちゃんかわいい』『奈落…蹴落とし…パッチ…う、頭が』『やめろ』『ほら、金が必要だったから…』

 

「うおー、寝てるじゃん、二人呼んで先制攻撃出来るよ、ナイスミクちゃ…………ん?なんだそのエモート、てかちょっと近いよ?近すぎるよ?な、なにさ……そ、そんなに近づかないでよ……ぁう」

 

 ドン、そんな小さな衝撃音とともに、わたしの体が宙に浮く。

 

 って、え?

 

「うにゅにゃあぁあ!なな、な!?蹴落としやがったこいつ!おい!ばかなにやってんだ!頑張れじゃねえんだよ!あああ起きちゃったじゃんかぁ?!」

 

『草』『草』『やっぱ腹黒だろ』『コントか何かですか?』『落ちる女、なぎちゃん』『協力プレイで良くやられる奴』『めっちゃ動揺してて草』『リトラスで見た』『相性良いなぁこの二人』『生で見れて大変満足です』

 

「ほぇ〜〜無理無理、勝てないから勝てないからぁ!さっき言ったよね敵の性能三倍になるって!上で見てないで助けてよ!ってうおおい何座ってんだ高みの見物ってか!?ひぇっブレス掠ったあ!」

 

「ほんとやばい負けたくないけど負けるって………おい!エリック?!どこだエリック!死んでないで早くきてくれ!わたしをたすけて!なうあぁ……エリックはやく!」

 

『笑いが止まらない』『これが新手の腹筋を割る方法ですか』『エリック……』『名前で呼んでもらいてぇなぁエリックうらやま』『ご乱心なぎちゃん』『すげえ避けてる』『神回しか作れないなぎちゃん』

 

 やばいってぇ……薙刀使いは残機ないんだよお…っああ、黄色までHPが…負ける負ける、本当に負けてしまう。

 

「や……やだ、負けたくない、勝ちたい……お、おにいちゃん!わたしのおにいちゃんなんでしょ?!たすけて!おにいちゃんたすけて!早くきて!来い!来いよォ!エリックは見捨てて良いからわたしを助けろォ!」

 

『草』『かわいい』『おくちわるわるなぎちゃん』『おめめぐるぐるなぎちゃん』『なぎちゃんのおにいちゃんなら隣で寝てるよ』『ミクちゃん、渾身の高笑いエモート』『あ、HP赤になった』『くしょざこなぎちゃん』『誰も助けに行かないのかわいそうかわいい』『かわいそうかわいい』

 

「あ…回復弾、おにいちゃん?来てくれたんだね?おにいちゃん!あぁ……危なかったよお…行けっ、やっちゃえおにいちゃん、倒しちゃえ!わたしのおにいちゃんなら出来るよ!二人で倒そう!」

 

『エリック、戦闘不能!』『あいつ残機3もあったのに……』『公認おにいちゃん』『ご馳走様です』『さも助けに来たかのように降りてくるミクちゃんさん』『なぎ民のキャラが強過ぎる』『なんだ、今日も神回か』

 

「やべ、ミス出来ねえ、普通にドラゴン強え、でも三人なら……ってあー!おにいちゃん食べられた…おにいちゃん?捕食され……つかえねえなぁ!おにいちゃんなんかじゃない!偽兄だよぉ!」

 

『草』『草』『おにいちゃんかわいそう』『流石に同情した』『すまない妹よ……』『あ、偽兄だ』『奮闘した方だけどな』『まぁ流石に無謀過ぎたか』『二人で勝てるか?』

 

 くっそ……わたしとミクちゃん二人で勝てるのか?全然体力減ってないよな……いや!わたしたちなら、二人ならきっと!

 

「ってあぁ…ミクちゃん飛ばされた……星になった……終わった。むりだよぉ……一人じゃむりぃ…誰かたすけて」

 

『わざと死んだな』『わざと死んだね』『なぎ民は芸人の集まりなのか?』『なぎ民芸能』『ありそうで草』『ひとりじゃむりななぎちゃんかわいい』『かわいい』『あ、食べられた』『捕食END』『滋賀県みたいだぁ……』『なんでや!この前一斉駆除したやろ!』

 

「もぉ……ふふ、でもたのしいしいっか……仲良くやれたならそれで……って認められないよ!リベンジだ!ごめん、もっかいやらせて!ぜってー勝つ……本気出せよミクちゃん!偽おにいちゃん!」

 

『エリック…?』『忘れ去られたエリック』『認知されないエリック』『可哀想、でも妥当』『最初から三人でした』『エリック、とは』『楽しそうで安心した、なぎちゃん頑張れ』

 

 あれ、このコメント……

 

 いま、見てくれてる?は、恥ずかしいな……ああでも、嬉しいな。

 

 って、見られてんのか…?わたしのふとももを…?ご、誤魔化せるか?!いや、んん……?!いけ、いけるか、無理か、なんとか……やばいどうしよう、うううう……考えるのやーめた!

 

「っしゃー!やるぞなぎ民〜〜!!」

 

『うおおおおおおお!』『エリック本気出してて草』『それでも弱くて草』『この流れ…延長しますね』『だとしたら何気に初?』『ギギネブたそ倒してきたわ』『は?初期武器で?』『狩人さんじゃん』『狩人さん、エリックと交換しません?』『草』

 

 人が増えるだけ、わたしのプレッシャーは増える、だけれど、だからこそかもしれないけど……わたしを知ってくれる人が増えるのは。

 

 なんだか言葉に出来ないけど、うれしいんだ。

 

「うおら!おらおら!修羅と化したわたしと三人のなぎ民になぁ!勝てると思ってんのかぁトカゲ野郎!落ちろ…落ちろぉ!」

 

『まるで虐殺』『最初からこうしろと』『それだとくしょざこなぎちゃんみれないだろ』『くそちゅよなぎちゃん』『あ、エリック落ちた』『PC版も良さそうやな』『いまから始めても人いる?』『手伝っても良いよ』

 

「っや〜〜っ、たー!勝った!勝った!優勝した!優勝したよ!優勝した!リベンジ成功だよぉ〜……三人ともありがとう、なんだかんだ1時間になりそうだから、1時間延長するよ、まだまだたのしもうね!」

 

 ああでもなんだか、やっぱりこの懐かしい感じ。わたしは何処かで知っている、体験している。

 

 …………今は配信中だから、この疑問は心の内に留めるとして。

 

「さーて、次はどんな人が来るかな……?あ、せっかくだし長弓に武器変えよう、ちょっとまってね………よし、準備完了なり〜、じゃあ募集するよー?」

 

 この配信(祭り)を精一杯楽しもう。




感想、誤字報告、評価その他諸々、いつもありがとう!感想のなぎ民のコメで……ぼくは癒されている(?)

次の話どう転ぶかな…(まだ書けてない)

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