ウォーリーを探せ。言わずと知れた名作絵本である。僕は若いころウォーリーが中々見つからなくて苦い思いをしたことがある。しまいには本を投げてウォーリーを亡き者にしようとした。それほどまでにウォーリーが見つからなかったのである。
しかしある時僕に転機が訪れた。ボーっとウォーリーを探せを眺めていたら、突然ウォーリーが僕の目に飛び込んできたのだ。僕は興奮した。ついにウォーリーを見つけることが出来たからだ。しかしもう一度本に目を落としてみると、そこにウォーリーの姿はなかった。
この経験から僕は1つの重要な教訓を得た。何かを探すときは真剣であってはいけない。むしろボーっとしていた方が探し物は見つかると。
ボーっと、ボーっと、ボーっと、ボーっと
「だから授業中ずっとボーっとしていて、先生に体調が悪いと判断されて保健室に運び込まれてきたというわけね」
ボーっと、ボーっと、ボーっと、ボーt
痛い、叩かれた。やっぱり内藤は暴力の権化だ。
「で、何を探していたの?」
「華です、僕たちの部活を彩る華を探していました」
「部活って…もしかして」
「そうです、エロ動画研究部の事です」
内藤が額に青筋を浮かべている。せっかくの美貌が台無しだ。気づかせてあげないと。
「内藤先生。その青筋がある限り結婚できまs」
速い。恐ろしく速いアッパーカットだ。僕でなきゃ見逃しちゃうところだったね。まあそのアッパーカット、僕は顎で受け止めたわけだけど。加えて後方に吹っ飛んだわけだけと。
「先生、腕、上げましたね」
その後僕の意識はブラックアウトした。
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[9月28日:公園:夜]
僕は今静寂で無糖である。めっちゃかっこいい。具体的に言うとブラックコーヒー片手に夜の公園で1人佇んでいるわけである。ここ最近のお華探しに精神的にも肉体的にも疲弊したため回復行動に勤しんでいるわけだ。
なんだろう。胸が騒ぐ。多分僕は自分に酔っているんだ。だからこんなにも胸が騒いでいる。静寂と無糖を備えた僕は控えめに言ってもブルドックの次にかっこいいから、自分に酔ってしまうのも仕方がない。
騒ぎたい。騒がないとこの胸のざわめきは抑えられない。しかし閑静な住宅街で一人奇声をあげたら通報待ったなしだろう。でもこのまま騒がず胸のざわめきをそのままにしておいたら僕は多分ストレスで禿げる。禿げと通報、どっちが嫌かなんて言うまでもない。と言うことで、騒がせてもらうぜジョニー。
Yシャツを破り捨て公園の真ん中で獅子の如く吠える。その姿はまるで野獣。小学生のとき将来の夢の欄にライオンって書いたけど、今その夢がもう少しで叶いそうだ。僕は夢への片道切符をつかんだ。あとは電車に乗車すればいいだけだ。
月に向かって吠える。ライオンというよりこれじゃオオカミだな。でもかっこいいから別にいいや。試しに四足歩行になってみるか。うん、楽しいね!
ワン、ワン、ワン
おや、僕のハスキーボイスに釣られてワン公がやってきたな。首輪があるってことは飼い犬か。どれ世間話でもするか。
「アオーン、アオーン」
ワン、ワン、ワン
「ウワオォォォン、バウバウガウ」
ワン、ワン、ワン
なんか、青春してる気がする。僕の青春はここにあったのか。
「なにしてるんですか?」
その声は、例えるなら氷河のようであった。適度に火照った僕の体は一瞬で温度を失い、なんなら震え始めた。いやだめだ。ここで野獣としての誇りを失ったら僕は一生ライオンになれない。立ち向かえ、まだ見ぬ強敵へ!
声のした方に顔を向けるとそこには女性がいた。正直に言うとめっちゃ美人。蛍光灯に反射した黒髪は妖艶に輝き、肌は新雪のような儚さを連想させる白色で髪とコントラストを成していた。目はどこまでも深さのある湖の如く深淵を挺しており、目じりの切れがこの女性の性格を表しているようであった。スタイルは細身と言うよりスレンダー、身長は目測180cmはあるだろうか。月明かりに照らされた彼女の全体像はまるでこの世のものとは思えない芸術作品のようであった。
「お美しい」
僕は恥も外聞もすてて彼女を誉めそやしていた。僕の脳内では既に彼女を巡る世界を股に掛けた冒険を終え城内で幸せな結婚パーティーを開いているところまで未来予想図が進んでいた。子供は何人欲しい?
「子供は何人欲しい?」
パーだった。じゃんけんじゃないよ。パーでビンタされたというわけだ。
「変態。近寄らないでください」
どうやら彼女は誤解しているようだ。僕は策士でありドラマーでもあり野獣だ。決して変態の2文字で終わらせられるような人間ではない!なんとかしてこの誤解を解かなくては。とりあえず新居をどこに構えるかだけ聞こう。
「新居はどこに構えようか?」
飛んでる。僕は今飛んでいます。え、何故かって?それはね、彼女が背負い投げをしたからだよ。綺麗なフォームだったね。恐ろしく速い背負い投げだった。僕でなきゃ見逃しちゃうね。あ、地面が近づいて…
一日に二度も女性に気絶させられるって、ある意味ついてるよな。
病院のベットの上で僕はそう思った。
地味に話数が増えてきたので連載にしようか悩んでいる