機動戦士ガンダムSEED 永遠に飛翔する螺旋の翼   作:ファルクラム

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あとがき

 

 

 

 

 

 

 皆様こんにちは、ファルクラムでございます。

 

 この度は、拙作「機動戦士ガンダムSEED 永遠に飛翔する螺旋の翼」にお目を通していただき、誠にありがとうございました。

 

 実に1年。

 

 実に100話。

 

 正しく「書きも書いたり」と言った感じでございますが、ここまで書いて来られたのは、全て皆様の温かい応援の賜物であると認識しております。

 

 本当に、ありがとうございました。

 

 それでは、毎回恒例(?)となりました、ネタばらしを兼ねた説明を、若干ながらしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 さて、今回の隠れたテーマの一つとして「奪還」を意識して見ました。

 

 もっとも、主人公が割と無鉄砲な感じなので、もっとアグレッシブに「取り戻せ!!」と言うイメージが強いですが。

 

 登場人物たちは、故郷を、家族を、正義を、愛する人を、戦う理由を、それぞれ奪われ、それを取り戻すために戦いに身を投じていく、と言う形になっています。

 

 ただ、何かを取り戻すと言う事は、逆の見方をすれば、それを持っている人物から「奪う」と言う事を意味しており、そこで互いの正義がぶつかり合い、戦いになります。

 

 過去に現実で起きた戦争のいくつかも、こうした「取り戻す」事を目的として起こされています。また、我が日本にしたところで、先の戦争で国土の一部を失い、そのいくつかは未だに返ってきていなかったり、お隣の国に不当占拠された領土もあります。

 

 そう考えれば「取り戻す」事を前提にした戦い(戦争に限らず)と言うのは、決して絵空事ではないのではないか、と考えます。

 

 

 

 

 

キャラクター説明

 

 

 

 

 

 と言っても、全員紹介すると大変なので、思い入れのあるキャラを何人か。

 

 実は当初、子世代の年齢は全員統一した物にしたかったのですが、それだとどうしても「焔を刻む銀のロザリオ」のラストにおける状況との間に矛盾が生じてしまうので、今回のような形となりました。

 

 

 

 

ヒカル・ヒビキ

 

今回の執筆における目的の一つが「主人公交代」でした。これは、前々作に当たる「焔を刻む銀のロザリオ」の頃から思っていた事なのですが、それまでの主人公だったキラが、あまりにも強くなりすぎた事に起因しています。基本的に私はチートが嫌いですし(断っておくと、うちのキラは「最強」であって「チート」ではないと、個人的に認識しているのですが)、何より強すぎる主人公では、戦闘シーンで必要不可欠な「ピンチの演出」がやり辛い。そこで、ヒカルを新たな主人公として起用した訳です。

キャラ的には、静の雰囲気があったキラとは真逆に、こっちはとにかく積極的な言動をするように心がける。更に、当初は自分の中で戦う理由を確立できないでいたが、戦争や仲間との触れ合いを通じて、戦う理由を「自分の中の正義」としてしっかりと確立していく、と言う感じに仕上げてみました。

 

 

 

カノン・シュナイゼル

 

「Fate」の主人公であるラキヤとアリスの娘で、お気に入りキャラの1人です。彼女の体形について、当初は「トランジスタグラマー」と言うのを想像し、あまり頭身を低くするつもり心算は無かったのですが、いつの間にか「ロリ巨乳」と言う事で定着してしまいました。何でこうなった?

 最初は姦しい幼馴染キャラとして登場しましたが、徐々にヒカルに惹かれていく、という形を上手く表現できたかな、と思っています。

 

 

 

レミリア・バニッシュ

 

本作のもう1人のヒロイン兼もう1人の主人公。当初は男装キャラと言う事にしていましたが、この辺、もう少し強化しても良かったかも、と思っています。まあ、主人公と敵味方であった事を考えれば、手札を早めに出して正解だったかもしれませんが。

隠し要素として「ラクスの遺伝子上の娘」という設定を加えました。ラクスの遺伝子を培養し、それをスーパーコーディネイター、つまりキラを産み出した技術で作り出された存在。イメージ的には「もしキラとラクスが結ばれていたら、2人の間に生れていた娘」と言う感じです。

終盤、「一度死んで蘇る事で、初めて死んだ母親と触れ合う事ができた」と言う描写をやりたかったので、あのような形になりました。

 

 

 

アステル・フェルサー

 

本作における裏主人公とも言うべき存在がアステルです。そのキャラクター性の為に言動に甘さが残るヒカルやレミリアと違い、とことんシビアに現実を見続けるキャラにしました。おかげでヒカル達が理想に向かっている時でも、現実論を言わせる事で、場を締める役割を持たせる事が出来たと思っています。

 

 

 

 

 

リィス・ヒビキ

 

「焔を刻む銀のロザリオ」の時は「エストmk-Ⅱ」みたいなキャラでしたが、本作では成長して、「しっかり者の姉」キャラになりました。お陰で、何か種デスのアスラン並みに苦労人キャラになっていたような気もしますが。彼女とアランとの恋愛シーンは、実はヒカル達とのそれよりも気にいっていたりします。

 

 

 

 

 

アラン・グラディス

 

リィスのお相手にして、ある意味、子世代チーム唯一となる原作登場キャラです。あえて軍人ではなく政治家にする事で、政治的なシーンを強化すると同時に、ユウキが「戦略上の軍師」ならアランは「政治上の軍師」という立ち位置にしました。リィスとの恋愛シーンも、結構よく書けたかな、と思っていますが、何だか一部の読者様から反感を買ってしまったような気がします(汗

 

 

 

 

ルーチェ・ヒビキ

 

ヒカルの双子の妹にして、本作の裏ヒロイン。ヒカルにとっては過去のトラウマであると同時に、先述した「取り戻す」事への原動力となる存在です。敢えて彼女を敵に回す事で、ヒカルとの間に「知らないうちに兄妹同士で殺し合っていた」と言う状況を作り出しました。

 

 

 

クーヤ・シルスカ

 

彼女に求めた役割は「ヒカルとの対比」ですね。ヒカルが、自分の中の正義を徐々に確立していったのに対し、彼女は自分の中の正義を徐々に見失っていく感じにしました。

途中、なぜか人気が出てしまって「彼女がヒロイン?」とまで言われた時には、予定通りいくべきか迷ったのですが、初志貫徹と行きました。

 

 

 

フレッド、フィリア

 

今作における強化人間ポジションです。交戦的な妹と、その手綱を握る兄、と言った役どころです。その戦闘力と言動で、ヒカルをさんざん苦しめる役割にしました。

 

 

 

アンブレアス・グルック

 

イメージ的には「アドルフ・ヒトラー+ニコラエ・チャウシェスク」と言った感じです。理想は高いです。独裁者らしく、常に上を見ています。ただし、上ばっかり見て、下は一切見ません。周りも見ません。だから、いざ我に返った時、自分の周りには誰もいない事に気付く、言わば「裸の王様」みたいな感じです。

 

 

 

PⅡ

 

今作のラスボス。詳細については、ヒカルがPHASE-22で言った通り「究極の愉快犯」です。ガンダムのラスボスや大物敵役と言えば、その好悪に関わらず、壮大な理想を持ち、その実現の為に邁進しているのがほとんどですが、PⅡは敢えて、その真逆にキャラにしました。御大層な理想も、大義も正義も無い、ただ状況を掻き乱し、笑い転げる事が目的。手段と目的が逆の存在です。

因みにネーミングは、童話の「笛吹き男」から。世界を誤った方向に導く存在が笛吹き男にイメージがつながり、「Pied Piper(笛吹き男)」の頭文字をとってPⅡにしました。

 

 

 

 

 

主人公機

 

今作を書き始める前にふと思った事は、今まであまり「フリーダムを優遇してこなかった」という事です。原作で一番好きなモビルスーツなのに、今まで主人公機としてあまり活躍させられなかったばかりか、ロザリオの時は完全に噛ませ犬にしてしまいました。そこで、今作におけるラストの機体はエターナルスパイラルに決めていたのですが、序盤から中盤にかけて主人公が載る機体として、敢えてフリーダム級機動兵器を採用しました。

 

 

 

 

 

エターナルスパイラル・エターナルフリーダム・セレスティ

 

前作の主人公機であるクロスファイアを上回るインパクトを出すにはどうすればいいか考えたのですが、どうしても思い浮かびませんでした。そこでふと、昔何かで見た左右非対称の機体の事を思い出し、このような形にしてみました。

主人公機と言えば、中盤以降の乗り換えが醍醐味の一つでありますが、今回はあえて、乗換では無く「機体を進化」させる事にしました。最初は未完成状態のセレスティから、完成状態のエターナルフリーダムを経て、最後にエターナルスパイラルに進化する、といった具合に。

 

 

 

 

 

スパイラルデスティニー

 

ネット上にあるアフター系のSEED二次創作等を見ていると、フリーダム級機動兵器が重武装化の道を進んでいるのに対し、デスティニー級機動兵器はむしろ、シンプルな形で進化する道を辿る事が多いような気がしました。そこで、それを敢えて逆にしてみるだけでも面白いのでは、と考えて誕生した機体です。おかげでロザリオの時のライトニングフリーダム並みに重火力な機体になってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、

 

 気が付けば、ほぼ2作品分に匹敵する容量を書いていた訳ですが。

 

 ここまで書けば満足だろう、と言われれば、残念ながらNOです。

 

 今回、どうしても話の展開上、組み込めなかったネタや、新たに浮かんだアイデア等がいくつかあります。

 

 それらを合わせて、またいつか続きを書いてみたいとは思っています。

 

 ただ、流石にちょっと疲れたし、書く上で必要な細かいネタ等も使い切ってしまったので、暫くSEED系で書くのはやめておきます。また、書けるくらいにネタが溜まったら、その時は、書くかもしれませんが。

 

 「Illusion」「Fate」「焔を刻む銀のロザリオ」「南天に輝く星」と経て、今作「永遠に飛翔する螺旋の翼」と、5作品(容量的には6作品)を全て同じ時系列で繋げて書く事が出来ました事は、ある種の感無量であります。

 

 流石に、ネット上探しても、これだけ書いた人はそうはいないでしょうし(全くいない訳ではないと思いますけど)。個人的には非常に満足しております。

 

 これも全て、皆様の温かい応援あったればこそと認識しております。

 

 本当に、心から、御礼申し上げます。本来なら、読んでいただいた1人1人の方に直接会ってお礼を言いたいくらいに思っておりますが、どうか、この場を借りてのお礼でお許しください。

 

 本当に、本当にありがとうございました。

 

 またいつか、どこかでお会いできたなら、幸いでございます。

 

 では最後に、だいぶ昔に、暇つぶしに書いた短編SSを、紹介して終わりたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては、ここから始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼻に付く匂いはむせ返り、錆の浮いたような感触を鼻腔に伝えてくる。

 

 零れるように床を撃つ音は水なのか、あるいは他の何かなのか?

 

 耳障りなほど、妙に甲高く聞こえてくる。

 

 いかにも健康に悪そうな、湿気によって覆われた廊下を、その一団は音を潜めて駆けていく。

 

「アルファリーダーより、ブラボー、チャーリーへ。所定の位置へ到着した」

 

 くぐもったような男の声に、ややあって返事が返された。

 

《こちらブラボーリーダー、配置完了》

《チャーリー、同じく配置完了》

 

 同時進行の別部隊も、準備が完了した旨を伝えてきた。

 

 3方向からの同時奇襲攻撃。これなら、確実に作戦は成功するはずだ。

 

 しかし、

 

「油断するなよ。相手はあの『ヴァイオレット・フォックス』だ。どんな手を使ってくるか判らないぞ」

《判っている。突入後、最大火力で仕留める》

 

 目的は、逃走中の凶悪犯を確保乃至抹殺する事。そのたった1人の為に、20名以上から成る特殊部隊が派遣されるに至ったのだ。

 

 しかしその正体を知れば、疑問に思う者はいなくなる事だろう。

 

 CE63年に起きたパナマ基地破壊工作。

 

 CE64年8月に起きた大西洋連邦産業理事長暗殺事件。

 

 CE65年12月のワシントン工科大学学部棟爆破事件。

 

 CE67年5月のルクセンブルク同時多発テロ。

 

 CE68年1月のコペルニクス、ホテル スカイパレス爆破事件。

 

 同年11月の東アジア共和国軍士官学校爆破事件。

 

 判明しているだけでも、これだけの凶悪事件に関与しており、余罪を調べればこの3倍の事件に関わっているとさえ言われている。

 

 凶悪の一言に尽きるテロリスト。

 

 大西洋連邦内で付けられた通り名が「ヴァイオレット・フォックス」。初めに言い始めたのが誰なのかは判らないが、今やこの名は、連邦にとって脅威以外の何者でもなかった。

 

 だが、それも今宵限りである。

 

 過日の掃討作戦によって、ヴァイオレット・フォックスの所属する部隊を壊滅させる事に成功した大西洋連邦軍は、フォックス本人の居場所をも突き止め、強襲作戦を実行するに至ったわけである。

 

 古ぼけたアパートの一室に、逃れたヴァイオレット・フォックスが潜伏していると言う情報を掴んだ特殊強襲チームは3班に分かれ、1隊は正面玄関から、1隊は裏口から非常階段で侵入後、隣室の壁を爆破する形で、最後の1隊は屋上から窓を破って強襲という作戦を立てた。

 

 相手は1人。しかし、これまで多くの人間を殺してきた凶悪なテロリストを相手に、油断は出来なかった。

 

 アルファリーダーの時計の針が、ひどく遅く感じられながらも着実に進んでいく。

 

 その針が、ゼロを差した。

 

「突入!!」

 

 鋭い声と同時に、大音量の爆発音が闇に轟く。

 

 壁を爆破した部隊が、一斉に室内に突入し、同時に屋上襲撃犯も壁を伝って降下、更に廊下に待機していた部隊も一斉に行動を開始する。

 

 たった1人の命を奪う為に。

 

 暗い室内が騒然とし、ライトの明かりが暗がりを映し出す。

 

 住民の殆ど住んでいないアパートは、まさに戦場そのものの喧騒に包まれる。

 

 完璧とも言える奇襲攻撃。

 

 これなら、さしものヴァイオレット・フォックスも一巻の終わりだろう。誰もがそう思った。

 

 しかし、

 

 突入と同時に、兵士達は当惑の表情を浮かべた。

 

 ターゲットの姿が無い。

 

 どの部屋を探しても、ヴァイオレット・フォックスの姿は見当たらなかった。

 

 3人の隊長格は、首を傾げる。

 

 今回の作戦には慎重にも慎重を期され、機密保持は勿論の事、情報の信憑性にも細心の注意を払って行われた。

 

 この場所がヴァイオレット・フォックスの根城である事は間違い無いし、フォックス本人が事前に情報を得て逃走する可能性も低い。

 

 この作戦の事を知っているのは方面軍司令部でもごく一部の人間に限られる。もし情報を取得しようとするなら、軍の1級機密情報をハッキングするしかないはずだが、作戦開始前に調べても、ハッキングされた形跡は見当たらなかった。

 

 加えて言えばこのアパートは3日前から24時間の監視体制下にある。その間、ヴァイオレット・フォックスが逃走した形跡も無かった。

 

 これだけ入念に下準備をしたにも拘らず、フォックス本人の姿が見当たらなかった。

 

 手持ち無沙汰になった隊員達がリビングに集まり始めた。

 

 変化が起こったのは、その瞬間だった。

 

 何か、金属的な物が転がる音が聞こえた。

 

 次の瞬間、莫大な量の炎が室内を満たした。

 

 炎は調度品や壁を燃やし、一瞬で視界を火の海に染め上げる。

 

 悲鳴を上げる隊員達。

 

 炎に包まれながらのた打ち回り、ある者は錯乱して手にしたアサルトライフルを乱射、それが更に混乱を加速させる。

 

 狂乱の挙句、窓から身を乗り出してしまい、階下に落下していく者もいる。

 

 危機は急速に迫ろうとしていた。

 

 生き残った僅かな隊員達は、退避する為に狭い玄関へと殺到した。

 

 だが、そこで彼等の足が、何かのワイヤーに引っかかった。

 

 次の瞬間、目前で視界が炸裂する。

 

 恐らく突入後に仕掛けられたのだろう。クレイモア地雷がボールベアリング弾を撒き散らし、殺戮の輪を広げていく。

 

 この段になってようやく彼等は、自分達がヴァイオレット・フォックスが張った罠の中に飛び込んでしまった事に気が付いた。

 

 若干の幸運に恵まれ助かった隊員2人が、仲間の死体を蹴散らして廊下に転がり出る。

 

 とにかく襲撃作戦は失敗。こうなったら、命があるうちに逃げるしかない。

 

 そう思った瞬間、1人が頭部に衝撃を受けると同時に、もんどり打って倒れた。

 

「お、おい、どうした!?」

 

 声を掛ける同僚が見た物は、頭部から血を流して倒れる仲間の姿だった。

 

 恐る恐る振り返る。

 

 その眉間に、仲間の命を奪った物と同じ銃弾がめり込んだ瞬間、意識が急速に暗転する。

 

 彼が最後に見た物は、暗闇を貫く、2つの紫色の光だった。

 

 

 

 

 

 全ての事を終えて、ヴァイオレット・フォックスは銃を下ろした。

 

 彼は全てを知っていた。今日、自分を捕らえる為に特殊部隊が来る事も、その作戦がどの程度の規模になるかも、作戦開始時間がいつかも、このアパートが監視されている事も。

 

 フォックスの能力を持ってすれば、痕跡を残さずに軍の情報をハッキングする事くらい訳は無かった。

 

 全てを承知の上で、周到に罠を張り巡らしたのだ。

 

 まず自分の部屋を無人にし、フォックス自身は向かいの部屋に身を隠した。そして特殊部隊の突入を確認してから、その背後から部屋に侵入、あらかじめ仕掛けておいた入り口のクレイモア地雷本体にワイヤーを掛け、更に室内に手榴弾を投げ込んだのだ。

 

 手榴弾の爆発力はさほどでもないが、室内にはガソリンを満載したポリタンクを3個ばかし置いておいたので、後は爆発の衝撃で引火したのである。

 

 屋外に出ると、火が燃え広がろうとしていた。

 

 これでアジトも失った。味方部隊は既に壊滅してしまっている為、頼れる相手もいない。

 

 今回の勝利など、一時の淡雪でしかない。連邦軍は作戦が失敗した事を悟れば、必ず次の作戦を仕掛けてくるだろう。

 

 既に自分の居場所が知られてしまった以上、一刻も早く身を隠す必要がある。

 

 集まり始めた野次馬に紛れて歩き出す。

 

 連合軍は自分を血眼になって探す事だろう。最早この地上に、自分の居場所は無いのかもしれない。

 

 哀しげに、

 

 紫の瞳は夜空を見上げた。

 

 

 

 

 

PHASE―00「紫水晶の暗殺者」      終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご愛読、ありがとうございました。またお会いできる日を、楽しみにしております。

 

 

 

 

 

2014年10月23日    ファルクラム

 


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