CPUやってたら対面にいきなり金プレ来たのマジ許さない。
「……ということなので……」
真耶が教える声と、生徒達がノートに授業のメモを記す音が聞こえる中、マクギリスは分厚い参考書を未だに読んでいた。
「えー、ファリドくん。何か分からないところはありますか?」
「いえ、特にはありません。いずれ分からなくなったら頼らせていただきます」
「は、はい!是非頼ってくださいね!」
真耶自体、頼られたい願望がある人間のせいでこういうことを言えば直ぐにご機嫌が良くなること自体既に見抜いているマクギリスは、立て板に水で真耶に話した。彼女はニコニコ笑顔のまま、春万に向き直すと同じようなことを聞いた。
「……えーと、ほとんど分かりません」
「……え?ほ、ほとんどですか?」
これにはクラスの中からも困惑の声がちらほらと出るようになってきた。そして、どこからともなく千冬が現れて春万に聞いた。
「織斑、ファリドが持っている参考書は読んだか?」
「……古い電話帳だと思って捨てました」
パァン!と物凄い音が響き渡る。本音に至ってはぎゅっと目を閉じてしまっていた。千冬は、教壇の下にあった新しい参考書を取り出すと春万の机に放り投げた。
「一週間で覚えろ」
「い、一週間!?」
「出来ないのか?ファリドは三日で覚えたぞ?」
「み、三日……」
げっそりとした顔で春万はマクギリスを恨めしげに見るが、当の本人はすました顔で参考書を見続けているのだった。
――――――
「ちょっといいこと?」
「ん?」
「何か我々に用でもあるのか?セシリア・オルコット孃」
「まぁ!何てふてぶてしい態度なのでしょう!私に話しかけてもらえること自体素晴らしい事なのに!」
春万は何だよという感じでまたげっそりとしていたが、マクギリスからすればこの程度想定の範囲内だ。むしろ話しかけてもらえただけ有難い。本人の性格が間近で把握出来るのだ。
「これは失礼した、だが我々は既に学を共に学ばんとする同級生だ。多少の上下関係の緩さは見逃していただきたい」
「……まあ、いいでしょう。私は、代表候補生というエリートですし分からないことがあったら聞いていただいても構いませんことよ?」
「じゃあ、早速なんだが……代表候補生って、何?」
マクギリスは思わず溜息をついた。セシリアもワナワナと震えると声を大きくした。
「あ、貴方、そんなことも知らないのですか!?」
「織斑、代表候補生は国家を代表するIS操縦者の卵……つまりは出世が約束されたキャリア官僚のようなものだ」
「ふーん……すげえんだなぁ」
相変わらず他人事のように呟く春万を見てマクギリスは春万に対する評価を改めた。
こいつはイオク・クジャンに勝るとも劣らない無能だと。
――――――
「そう言えばクラス代表を決めねばならんな。自薦・他薦どちらでも構わん、やりたい者はいるか?」
「私は織斑くんがいいと思うなー」
「私もー!」
「お、俺!?」
「ファリドくんにお願いしたいな!」
「あ、それ私が言おうと思ったのにー!」
「……私か」
二人ともそれぞれ別の反応をする中、彼らの他薦に異を唱える声が上がった。
「納得がいきませんわ!」
「……オルコット、何か意見があるなら言ってみろ」
「このような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんて恥さらしですわ! そのような屈辱を、このセシリア・オルコットに味わえとおっしゃるのですか!?」
おやおやとマクギリスは肩を竦める。噛み付いてくることは想定の範囲内ではあったが、ここまでとは思っていなかったため、つい感情が出てしまった。そんな彼を置いてけぼりにして、セシリアは話を進める。
「そもそも実力から行けば私がもっともクラス代表にふさわしいのですわ。それを適当な理由で、極東の猿男にされては困りますの! 私はIS技術を修めにきたのであって、サーカスの必修にきたわけではございませんわ!文化にしても後進的な国で暮らさなくてはならないこと自体、私にとっては……」
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一メシマズで何年の覇者だよ」
「なっ……!というか、さっきから髪の毛を弄っていけ好かない顔をしているそこのイタリアの成り上がり貴族は何を黙っていらっしゃいますの!?何か言ったらどうですの!?」
何ともまぁ、酷い有様になったものだとマクギリスは嘆息した。だが、ここで黙っていては計画に支障が出てしまう。彼は、元々考えていた文句を口から再生した。
「……そうだな。まぁ、私自身日本人ではないし、日本に対して特別な感情も抱いていないからさっきの発言については聞かなかったことにしよう…………まぁ、外交問題に発展するかもしれんがな」
マクギリスがそう言うとセシリアは何かに気づき恐怖からかワナワナと震えた。
「だが、私が言いたいのはそこではない。貴女が『イタリアの成り上がり貴族』と言ったところだ。悪いが、それは私の家への侮辱と捉えてもいいのだろう?ならば、その侮辱は私に対しての侮辱と同じだ」
「……だ、だったらなんですの!」
「……簡単な話だ。私は、貴女に決闘を申し込む。私が勝った場合、今の発言を撤回してもらおう」
「け、決闘!?ま、まさか私に勝てると思っているのですか!?」
「……最初から負けると思う奴がいるか?」
バチバチと両者から火花が散る中、千冬は教卓に出席簿を叩きつけると話を強引に断ち切った。
「よし、決まったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで執り行う。織斑とファリドとオルコットはそれぞれ用意しておくように。では授業に戻る」
「待ってくれよ、千冬姉!俺は……」
「知らん、それとここでは織斑先生と呼べ」
また、教室に破裂音が鳴り響いた。
――――――
「マッキー、大丈夫なの〜?」
「……その名前はなんだ?」
「渾名〜、可愛いでしょ〜?」
そうマクギリスを呼ぶのは布仏本音。いつも眠そうにしているマクギリスの同級生だった。
「……まぁ、構わない。それで、何が大丈夫なんだ?」
「セッシーに決闘なんて挑んで、大丈夫なのかな〜って思って」
「……まぁ、言った通りだ。確かに私は彼女に比べて戦闘経験は少ないだろう。だが、それでも負けると思ったら決闘を申し込んだりはしないさ」
嘘だ。そうマクギリスは思った。彼女のような温室ぐらしの貴族に比べれば亡国機業の一員として後方の指揮官とはいえ戦闘してきたマクギリスの方が経験値ははるかに多い。だからこそ、負けるとは思っていなかったが、一つだけ未だに未知数のものがあった。
それが、BT兵器だ。マドカから多少は存在を聞いているとはいえ、実際に動いているところを見ることはできなかった。セシリアの専用機である『ブルーティアーズ』はBT兵器を搭載したオールレンジ対応型機体と聞いているため、それに対しての対策が不自由な今少しでも経験値を積んでおこうというのが実際の理由であった。
第一、彼女の言っていた侮辱はあながち間違いではない。亡国機業のポケットマネーでモンターク商会を建てて、金儲けでイタリア貴族の基盤を作っているのだから、成り上がりと言われても否定のしようがないのだ。
「そっか〜、じゃあ楽しみにしてるね〜……あ、チョコいる?」
「ああ、頂こう」
「はい、ど〜ぞ〜」
そんな事を考えながらマクギリスは本音から貰ったチョコレートを口に放り込んで、すぐに顔をしかめた。
「…………苦い」
どうも、ティッシュの人です。
さて、次回はバトルシーンですよ、バトルシーン!マジ辛いっす。バエルくんの戦闘シーン、ほぼ格闘しかないから何書いても一緒になっちゃうのほんまにアグニカ・カイエル。
ご感想、ご指導等がございましたら是非感想欄に書いてください。作者のアグニカポイントが溜まってエクバ2でバエルメインにさせることが出来ます。よろしくお願いします!