Change yourself,Keep yourself. 作:バーテックスケベ
あとかなり遅くなりましたが設定も投稿しました。
そういえば、これ"幕間"、「まくま」って呼んでたけど本当は「まくあい」なんですね。
また一つ賢くなってしまった……!
2度目の襲撃から2日後、世間は大型連休、ゴールデンウィークの初日である。
そんな一大イベントの最中、僕は香川で最大級の病院、円鶴中央病院に来ていた。
2日続けての戦闘や新しい力の発現などがあったので、大赦から1度詳しい検査を受けて欲しいとの通達があり、元々予定していた定期検診も兼ねての来院だった。
どうして病院に行く予定があったのか。
それは、僕には
正確には保護される以前の約13年分のエピソード記憶、いわゆる"思い出"が思い出せない。
2年前、瀬戸大橋近くの海岸に打ち上げられているのを発見された僕はこの病院へと運びこまれた。
目が覚めたとき、自分がいる場所が病院だということは分かった。
けど、自分が誰なのか分からなかった。
分からないという恐怖以上に、ただただ虚無だった。
空っぽな"自分"に茫然とするしかなかった。
茫然としている間に受けた様々な検査の結果、他の病院の履歴から"最上 翔一"である事が分かった。
身元が判明したことにより親族に連絡を取ったところ、最終的におやっさんこと安芸伸一郎が後見人を引き受けて今に至る、という訳だ。
記憶喪失の事を知っているのは全員で7人。
後見人のおやっさん、中学校の校長、担任、保健室の先生そして風と樹ちゃん。
「……よし、これで今日の検査は終了だ。お疲れ様」
それと2年前からの付き合いになる医師の
「ありがとうございました……ふぅ」
ちゃんとお礼を言って上げていたシャツを下ろしひと息つく。
心音を聴かれている時って意外と緊張する。
「結果待ちのもあるけど、今のところ前回とあまり変わらない。強いて言うなら筋肉がついてきてるってことかな……なに、好きな子でもできた?」
そうまとめた後に目を輝かせながら小声で聞いてきた。
「ち、違いますって。部活の基本的な活動が運動なだけですよ。それに鍛えたってコレはあまり人に見せられるものじゃないし……」
「あー、ソレねぇ……初めて会った時も調べてみたけど、異常なかったのに全然消えないよね。その
僕の胸の中央、だいたい心臓の位置にある、人の握り拳のような痣。
人に見られれば虐待でも受けているのかと誤解されそうなほど、はっきりとついている。
「消えない手形とか、なかなかホラーな話ですね……」
「まぁ、悪いものではないのは確かだから様子を見るしかないよ。……おっと、もうこんな時間か」
結論として様子見は当然だろう。
話していると伊予島先生のポケットからアラームが聞こえる。
どうやらかなり話し込んでしまったようだ。
「ごめんね、これから別の患者さんの診察に向かわないといけないんだ」
「いえ、こちらこそ長居してしまってすみません。今日はありがとうございました」
そうお礼を言って検診室を後にする。
検診室から廊下へ出てエントランスへ戻ろうとすると、どこかでチリーン、と小さく鈴の音がした。
「……うん?」
さっと辺りを見回しても気配も人影もない。
気のせいだと思い歩き出すと、再び鈴の音が聞こえた。
「気のせいじゃない……?」
今度はゆっくり見回してみると、廊下の突き当たり、エレベーターのあるあたりの壁から誰かが頭を出しこちらを覗いていた。
頭の高さからすると、入院している子供だろうか?
よく見ようと目を凝らすと、その子は壁の向こうに引っ込んでしまった。
引っ込む瞬間に短い黒髪と赤い布が見え、先程から聞こえていた鈴の音がした。
「あ、待って」
その時は何故だか追いかけなくてはいけない気がした。
エレベーターの前に着き、その子が消えた方を向くと階段があった。
検診室があるこの階は3階、下に行けば受付のあるエントランス、上の階からは一般病棟となっている。
「……どっちだろう?」
どっちに行ったか確認するために手すり越しに下を見たその時。
『アハハハハ』
上から女の子の笑い声がした。
急いで見上げると、2階ほど上の手すりから離れる赤い影と鈴の音。
僕は階段を駆け上がった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ハァ……ハァ……ハァ……」
不思議な子を追いかけて何階か上がると辿り着いたのは、薄暗い廊下になぜか1つだけある重厚な両開きの扉の前だった。
普段は閉じているであろうその扉は、片側だけが手前にズレていた。
あの子はここに入ったのだろうか。
「……フゥ、よしっ」
乱れた息を整え、意を決して扉を開けて中に入る。
「失礼しまーす……」
部屋の中は中央にベットが置かれ、そこだけに明かりが点いていた。
壁にいくほど暗くなり部屋全体を見ることは出来なかった。
ただ、扉から中央のベットまでカーペットのようなものが真っ直ぐ敷かれ道ができていた。
その道に沿ってベットまで歩いていると、コツッと何かが足に当たった。
「ん?なんだこれ」
拾い上げてみるとそれは人型にカットされた木製の板だった。
ただその人型は完全じゃなく、左右は分からないが片腕が無い状態だった。
「これって、確か」
確か歴史の授業で習った通りならこれは、
古来からある神道の儀式、
多くは紙で作られ、それらに罪や穢れを移し、焼いたり、川に流したりする事で罪や穢れを祓うとされている。
時には祭りの際に神霊の代わりとして置くこともあるという。
つまりこれが意味するものは
「なんでこんなものが……」
正直、病院といえど似つかわしくない代物だ。
よく見ると明るくなっているベットの周りにも無数に置いてあった。
この様子だとおそらく暗くて見えないこの部屋の全体も同じだろう。
「なんだよ……これ」
まるで……まるで何かを祀っている、崇めているようであまりに不気味だった。
ここは人のいるべき場所じゃない。
思わず一歩後ずさるとパキッと足元から音がした。
ハッとして足元を見ると、人形の胴体から蜘蛛の巣状にバラバラになっていた。
「……ん、んぅ……誰か、来てたの〜?」
僕がたてた音で起きたのかベットの方から間延びした女の子の声がした。
恐る恐るベットの方を見ると、左目と口元以外を包帯で覆われ、一般的な患者衣とは違う薄紫の着物を着た少女がいた。
部屋の異常さとは対照的なあまりに儚いその雰囲気に驚いた。
……とりあえず挨拶をしてみる。
「こ、こんにちわ」
「……ぅう?……あっ…きー……?」
「あっきー?」
まだ寝ぼけているのか、僕を誰かと間違える少女。
「あの、僕はあっきーって名前じゃないですよ?」
「……ん?あ、ごめんね、人違いだったんよ〜」
「人違い、ですか」
「うん。ここってあんまり人が来ないから……ときどき間違えちゃうんだよね」
名前を訂正すると、少女はこちらに謝った。
謝罪とともに気になることを言って。
「……人が、来ない」
「そうなんよ。ちょっと事情があってね。ところで、あなたは誰なのかな〜?」
「あ、ごめんなさい。僕は最上翔一、中学3年です」
「うーん、それなら……もがみんだ!」
「も、もがみん?」
「えへへ、私、あだ名つけるのが好きなんよ。……私の名前は
いきなりあだ名をつけたりと、マイペースに自己紹介する園子ちゃん。
「そっか、よろしくね。園子ちゃん」
「よろしくね〜……へいへい、もがみん先輩、そんなところにいないで、こっちに来なYO!」
「……オッケー、今行くYO!」
「おぉ、もがみん先輩ノリ良いね〜」
彼女のノリに合わせて答えると嬉しそうにする園子ちゃん。
さっき言っていた、あまり人が来ないというのは本当なのだろう。
お呼ばれしたのでベットの近く丸椅子を寄せ、彼女の右手側に置いて座る。
「して、お嬢様は何をお望みでしょうか?」
「それじゃあ、何か面白い話をしてくださらないかしら、セバスチャン」
「仰せのままに、お嬢様」
「「 ……ふふっ 」」
彼女のノリに合わせたら、お互いに何だかよく分からないキャラクターになってしまい、2人で小さく笑う。
それから彼女と色々話した。僕のことや、日常であったこと、勇者部のことなど、彼女が楽しめるように話せたと思う。
多分1、2時間話したと思う。
まるでこの時間に終わりを告げるように、突然、この部屋に来る前に聞いたものと違う鈴の音が響いた。
「この音……」
「あぁ、もう時間なんよ」
「時間……?」
「これは、そろそろ人が来るよ〜って合図なんだ」
「そうなんだ、じゃあ……」
やって来るのはきっと彼女の家族だろう。
この場合、僕は不審者だ。騒ぎになる前に帰った方がいい。
「うん、もがみん先輩はもう帰った方がいいかもね。多分騒ぎになっちゃうから」
「そっか、分かった……それじゃあ、園子ちゃん、
「……うん、またね〜」
彼女に別れを告げ、僕は部屋を出た。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……
冷たい胸にチクリとした痛みが走った気がした。
もがみん先輩がいなくなったからか、1体、また1体と精霊たちが現れる。
10体ほど出てきてその内の1体、座敷わらしのしーちゃんが近づいてきた
「ありがとうね、しーちゃん。久しぶりに楽しかったよ」
彼の話から目星はついていた。
この子が彼を私の元へと連れてきてくれたのだろう。
少しの間だったけど、彼がいてくれた間は私は人間の乃木園子に戻れた気がした。
冷えた心が温かかった。
「また、会いたいな〜」
近づいてくる複数の人の気配にうんざりしながら、私はそう呟いた。
今回の翔一くんは突然の奇妙な体験にも怯まず、中に突き進んで行きます。
ふへへ、ゆゆゆいで今ピックアップ中の防人組の3人とも1回の十連できたぜ‼︎(隙自語)やったぜ
その代わり、カスタムキャストで頑張って再現した樹ちゃんのデータが保存し忘れで消えました。ちくせう