Change yourself,Keep yourself.   作:バーテックスケベ

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あ^〜、誕生日イベントが尊みに溢れてるんじゃあ^〜


雀は肝が座ってるんだか、いないんだか。




第7話 情熱の赤

5月も下旬に入り、暖かくなってきた。

休日の僕はなんとなくの思いつきでトルネイダー(自転車)に乗り、気の向くままにサイクリングをしていた。

 

公園のサイクリングロードを走る。風を切る感覚が気持ちいい。

 

ふと前方に木の根元にしゃがみこむ小学校低学年くらいの男の子と、その子の近くで慌てているツインテールの少女がいた。

 

「うぇぇぇぇぇん……」

「ちょっ、ほら、大丈夫だから泣き止みなさいよ……ど、どうしよう」

 

お困りな方発見、レスキュー開始!

トルネイダーを他の人の邪魔にならないところに留めて2人に近づく。

 

「うぇぇぇぇぇん……」

「やぁ、おふたりさんどうかしたのかい?」

「うぇ⁉︎な、何よアンタ、いきなり現れて」

「おっと、怪しい者じゃないよ……どうしたんだい僕、何か失くしちゃったのかな?」

 

警戒する少女に大丈夫だと伝えてしゃがみこみ、男の子と目線を合わせる。

 

「うぇぇ……ぐすっ……」

「もしかして、あのボールは君のなのかな?」

「ボール?……あっ」

「ぐすっ……うん」

 

男の子のそばには木があり、その枝の間にすっぽりと水色のボールが挟まっていた。

ざっと見ても僕が登って取るには枝が細くて折れる可能性がある。

かといって、何かを投げて取るのは他の人に危険が及ぶだろう。

 

しょうがない、ここは少しばかり力を使おう。

 

「お兄さんに任せて」

「ちょっとアンタ、登って取るのは危険よ!」

「別に、登るわけじゃないよ」

 

男の子から離れて、ボールへと手を伸ばし集中する。

ボールを取るには下からボールを外へと押す力を加えた方が良さそうだ。

 

物を投げる事は出来ない。

では何を使うか……危なく無く、この場にあるもの。

 

 

答えは"風"だ。

 

 

「ふぅぅ…………はっ!」

 

意識を集中して"流れ"をイメージする。

あたりを自由に行き交うソレの向きと強さを調整し、放つ。

 

枝が揺れてボールがはずれ地面を弾む。

それを拾って男の子に渡す。

 

「はい、どうぞ」

「にーちゃん、ありがとう!」

 

男の子はそう言って元気に広場の方へと走っていった。

 

「アンタ……一体何者よ?」

 

残された少女が訝しげに僕に問いかけてきた。

 

「通りすがりの超能力者さ、すごいでしょ?」

「なによ、それ……でも、まあ、助かったわ。私じゃ難しかったし……」

「どういたしまして」

「それじゃ、私は行くとこあるからもう行くわ」

 

そう言って彼女は凛々しく去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

と思いきや、なぜか引き返してきた。

 

「ね、ねぇ、この住所って何処……?」

 

なんとも締まらない彼女に苦笑すると、笑うなと顔を赤くして怒られた。解せぬ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

6月のある日の放課後、急ぎの依頼も無く僕たちは久々に部室でまったりとした時間を過ごしていた。

 

「もぐもぐ……なんか、こういう風にのんびりするのも久しぶりだね〜」

 

東郷お手製のぼた餅を食べながら友奈がのんびりとした口調で言う。

 

「そうね、あれから何かと忙しかったものね……あっ、友奈ちゃん、ほっぺにあんこが付いてる……はい、取れたわ」

「えへへ、ありがとう東郷さん!」

「どういたしまして、友奈ちゃん」

 

放送部から送られてきた20通ほどの手紙を読みながらぼた餅を食べる。

うーん……ぼた餅って、こんなに甘かったっけ?

 

「お姉ちゃん達は何してるの?」

「ん?あぁ、これ?今度、放送部からお昼の放送の出演依頼があって、お悩み相談のコーナーでその時に解答するお悩みに目を通しているのよ」

「へぇ、そうなんだ。例えばどんなのがあるの?」

「例えば?そうね……『うどんにのせるトッピングといえば何ですか?』ね……ズバリお肉ね!これこそ女子力でしょ!」

「私もお肉がいいです!」

 

体育会系な2人がガッツリとした解答をする。

 

……女子力(肉)

「私は玉子でしょうか。あっさりとしていて食べやすいですよ」

「あ、私も東郷先輩と同じです」

 

お淑やかな2人は定番な解答をする。

 

「僕はエビ天かな。つゆの風味と衣のサクサク感が好きだな〜」

 

まさかの意見割れ、三つ巴の展開となってしまった。

 

「見事に割れたわね……よし、次!」

「あとは……『友人と映画を見る時、どんなジャンルが盛り上がると思いますか?』ね……」

「これは意外と難しい質問だね。定番だとアクションだと思うけど……みんなはどう思う?」

「コメディ系もセンスが問われるわね……」

「盛り上がる、といえばもうじき夏なので怪談という選択肢もありますよ」

「ひぃっ……」

 

東郷の怪談という言葉に風が情けない声を出す。

 

「怪談かぁ……あ、怪談といえば」

「といえば……?」

「この前、検査で病院に行った時にさ、そこで体験したんだけど……」

「ちょっと、翔一、アンタなに話す気……?」

「検査が終わって、帰ろうとした時なんだけど、気付いたら周りに人が全くいなくなって、シーンとしてたんだ。不思議に思ったけど特に気にせず歩き出そうとすると、何処からかチリーンって鈴の音が聞こえてきて……」

「⁉︎いやぁぁ、聞きたくないぃぃ!」

「あ、逃げた」

 

耳を塞ぎ、叫びながら部室から逃走する風。

その後を追いかけてなんとか捕まえる。

案の定、いじけていたので宥めると今日の帰りに、かめやで奢る事で許してもらった。

 

 

 

風と部室に戻る途中、ふと映画で思い出した事を呟く。

 

「そういえば樹海って、ラピ◯タっぽいよね」

 

 

 

〜〜〜〜〜 翌日 〜〜〜〜〜

 

 

 

前回の襲撃から約1ヶ月半ぶりにバーテックスが現れた。

 

「この光景も久しぶりだね」

「そうね……というか、昨日翔一が『樹海がラ◯ュタっぽい』とか言うからそういう風に見えるワ……」

「風先輩……私もです……」

「……僕、悪くなくない?」

 

風と東郷に何やら言われるが、お喋りもほどほどに各自が変身を済ませ敵を待つ。

今回の敵は進行速度があまり速くないようだ。

 

「あっ……来た!」

「……アレが、5体目」

「なんかタコみたい……」

 

友奈が気付き、東郷が銃をしっかり構える。

つるりとした上部、山羊の角を逆さまにして4本くっつけた足のような下部という見た目だった。

樹の言うように全体的にタコっぽいシルエットだ。

アプリのマップで確認すると、今回はヤギ座のようだ。

 

「今回はヤギ座か……」

「落ち着いて、ここで迎撃するわよ」

「1ヶ月ぶりだからちゃんとできるかな……」

「え、えーっとですね……ここを、こう、こう」

「ほう、ほう……」

「ええぃ!なせば大抵なんとかなる!しのごの言わずビシッとやるわよ!」

「「 は、はいっ! 」」

「勇者部ファイトぉ!」

「「 おーっ! 」」

 

風の掛け声に2人が答えた瞬間、突然ヤギ座の上部が爆発した。

 

「ちょっ……!」

「東郷さん!?」

「……私じゃない」

 

樹海の上の方から何かの気配がした。

 

「上から何かくるぞ」

「上から!?」

 

 

 

「ちょろいっ!」

 

そう言って赤が飛んできた。

 

 

 

「風先輩!空から女の子が!」

 

上空から飛んできた女の子を指差しながら、友奈が風へと振り返って叫ぶ。

 

「んふっ、友奈、は、今その台詞、ふふ、言わないでよ!」

「ゆ、友奈さん、ふ、ふふっ」

「あれ?私なんかおかしなこと言った?」

 

友奈の言葉に風と樹がたまらずと言ったように笑いをこぼす。

……今さっき話してたからな、◯ピュタ。

 

「……2人とも、今は敵に集中しろ」

「ふふっ、わ、分かってるわよ……ふぅ、よし!」

 

飛んできた赤の少女は、すでに着地して次の行動へと移っていた。

 

「思い知れ……私の、力ぁ!」

 

そう叫ぶと刀を数本呼び出して、バーテックスの下の地面へと投げて突き立てる。

 

「封印、開始!」

 

その掛け声と共に陣が浮かび上がり、封印の儀が始まった。

 

「ちょっ!あの子、1人でやる気⁉︎」

 

封印の儀により、ヤギ座の上部がめくれ上がると中から御霊が現れた。

このままいけるかと思いきや、御霊から大量の紫色のガスが吹き出して煙幕となり、視界を塞ぐ。

 

「全員、飛べ!」

 

俺は寸前で飛び退き、近くの根の上に立つ。

友奈達もそれぞれガスの上に出ている根の上にいる。

 

「ガスッ……⁉︎」

「ふぇ……何も見えないよぉ」

 

濃い紫のガスに覆われ、下の様子は窺い知れない。

一瞬、ガスの隙間にぼんやりと赤い光が見えた。

 

「そんな目眩し……気配で視えてんのよ!」

 

こんなもの無駄だと切り捨てると、赤い光は跳躍し一閃。

ガスの煙幕が晴れ、隠れていた御霊を見事に両断する。

 

「殲、滅」

『諸行無常〜』

 

結局、援軍らしき赤い少女は1人でバーテックスを倒してしまった。

すると友奈が少女の元へと向かい、それを残りの全員が追いかける。

 

 

友奈に追いつくと、少女は腕を組みこちらへと対峙していた。

赤い衣装に身を包み、短めなツインテールの勝気な顔をした少女は、つい先日遭遇した迷子の少女だった。

 

「えっと……誰?」

 

友奈が少女にそう問うと、彼女は全員を一瞥する。

 

「揃いも揃ってぼーっとした顔してんのね……、こんな連中が神樹様に選ばれた勇者ですって?」

 

そう評し、ハッと鼻で笑う。

 

「あ、あの〜……」

「何よ?ちんちくりん」

「ちんっ……⁉︎」

「私は三好夏凜。大赦から派遣された正真正銘、正式な勇者……つまり貴女達は用済み。はい、お疲れ様でした」

「「「「 えぇー⁉︎ 」」」」

 

……何やら終わったような感じになっているが、彼女は分かっているのだろうか?

樹海化がまだ解けていない。つまり、ヤツがいる。

 

「…………」

 

無言で彼女へ駆け出しオルタリングの左のスイッチを押して、青へとフォームチェンジする。

 

「え?翔一先輩?」

 

オルタリングから飛び出たハルバードを掴み、振りかぶる。

 

「ちょっ⁉︎翔一、何してんの⁉︎」

「な、何よ!あんた!」

 

驚きながらも刀を構える三好の横を通り抜け、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

まるで金属がぶつかり合うような甲高い音があたりに響く。

妙な手応えだったが力任せに振り、弾き飛ばす。

 

「まだ終わってないぞ、油断するな!」

 

 





実は私、今更アギト本編を見直しているのですが18話からキンタロスのてらそまさあきさんが出てたんですね。
聞いたことのあるいい声だな〜って思ってキャスト見たら驚きました。



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