Change yourself,Keep yourself.   作:バーテックスケベ

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た だ い ま (激遅)


いやー、今日のジオウは熱かったですね!(満面の笑み)

やっぱりみんなアギトが好きなんやなって……




第11話 収・穫・体・験!

ある日、僕たち勇者部はバスに揺られながら『桜農園』へと向かっていた。

桜農園とは、広大な土地に季節ごとの旬の野菜や果物の収穫体験が出来きることで有名な場所だ。

今回の依頼はその桜農園で、子供会の収穫体験のお手伝いだそうだ。

 

「なんだか皆で遠足みたいでワクワクしますね」

「ふふっ、友奈ちゃん嬉しそうね」

「楽しむのは良いけど、これは勇者部の活動なんだから、そのことを忘れないように、ね?」

「「 はーい 」」

 

やがてバスは桜農園に到着した。

子供会の子たちとバスから降りて、2m程の樹木が並ぶ道を歩くと、円形に開けた広場に出た。

その中央には青々とした葉を茂らせる大木があり、反対側には大きな洋風の建物があった。

この大木は農園の名前の元になった桜の木なんだそうだ。

春には広場を一般開放して、花見をすることができるのだ。

そんな由緒正しき桜の木を横目に迂回して、そのまま建物の中へと入る。

先生たちの案内で着いた食堂のテーブルに子供達を座らせて、人数を確認する。

 

「こっちは全員いたわ」

「こっちも全員いました」

「オッケー、ありがと樹、夏凜。それじゃあ先生たちに報告してくるわね。少し頼んだわよ」

「僕も行くよ。友奈と東郷も頼むね」

 

「「 了解! 」」

「分かりました」

「分かったわ」

 

先生たちのもとへ準備が出来た事を報告に向かうと、先生たちは年配の女性と大学生くらいの男性と話していた。

年配の女性はこちらに気付くと、柔和な笑みを浮かべて話しかけてきた。

 

「よく来てくれたね。アンタたちが先生たちの言っていた勇者部かい?」

「はい。讃州中学勇者部、部長の犬吠埼です。本日はよろしくお願いします」

「同じく讃州中学勇者部、副部長の最上です」

「しっかりした子たちだねぇ。アタシはこの農園の管理をしてる猿渡 桜(さわたり さくら)だよ。それでこっちが孫の……」

猿渡 一実(さわたり かずみ)だ。今日はよろしく」

「よろしくお願いします」

 

一実さんの差し出された手を取り、握手に応じる。

おそらく農作業でできたものなのだろう、掌にはマメの跡があり、細身なのにがっしりとしていて頼もしさを感じた。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

食堂で今日の収穫体験の説明を終えて、案内されたのは僕の身長よりも高く伸びたトウモロコシ畑だった。

毎年このくらいは成長するそうで、注意をしていても畑の中で迷子になる人が必ず数人はいるのだとか。

今回の依頼にも子供たちが迷子にならないように注意してほしいとあった。

一応、畑の近くには物見櫓が立っていて、最悪はそれを目印に脱出できるのだ。

 

今回、場所が場所なだけに東郷と友奈、樹ちゃんは畑には入らず、その周りで戻って来た子の相手と写真撮影をしてもらい、僕と風は収穫の手伝い、夏凜ちゃんが撮影といった役割分担となった。

 

「……ちゃんと集合時間には集まること。それからトウモロコシは後で焼いて食べるので1人1つまで。それじゃあ皆、怪我には気を付けて楽しく収穫しましょう!」

「「「 はーい! 」」」

 

先生の諸注意が終わり、そんなこんなで始まった収穫体験。

話の間もうずうずしていた男の子達は、我先にと畑の中に入っていき見えなくてなった。

反対に女の子達は数人ずつで固まり、あまり畑の中には入らずにお喋りをしながら近場のトウモロコシを収穫していた。

 

僕も畑に入って直ぐ、目に入ったトウモロコシで教わった穫り方を試してみる。

左手は茎を持ち、右手は実の根元を持って、茎を折るように手前に引っ張って……こう!

 

「ふんっ!……おぉ、取れた!」

 

パキッという小気味いい音とともに、ずっしりとしたトウモロコシの実が手に収まった。

自分の分のトウモロコシを穫り、それを東郷に渡したらお仕事開始だ。

 

 

 

 

 

 

畑の外側に近いところを見回っている最中、近くでガサガサ聞こえて見渡してみたら、トウモロコシを穫ろうと悪戦苦闘している樹ちゃんの後姿があった。

なんだか、小動物が一所懸命に動いているみたいな可愛さがあった。

 

「ほら、ここはこうするんだよ」

「ふぇ!?しょ、翔一さん?」

 

流石に見かねた僕は樹ちゃんの後ろに回りこみ、左右それぞれの手を重ねてさっきと同じように動かす。

すると樹ちゃんが苦戦してたトウモロコシがあっさりと取れる。

 

「ほら、取れたよ。コツは横に引っ張るんじゃなくて、下に引っ張ること……って、樹ちゃん?」

 

何故か穫れたトウモロコシを見つめている樹ちゃん。

もしかして自分で穫れなかったのは嫌だったかな?

 

「おーい、樹ちゃん?」

「!は、はい!なんでしゅか?」

 

慌てて返事をした樹ちゃんがこちらを見ながら言葉を噛んでしまい、妙な沈黙が訪れる。

噛んだことに気付いたのか、樹ちゃんの頬は徐々に赤くなっている。

 

「あ、その、ちがっ」

「……ふふっ」

「!もぉー、なんで笑うんですか!!」

「ふふっ、ごめん、慌てる様子が可愛くて、つい」

「か、可愛っ、むぅぅぅ!」

 

からかわれたと怒ったのか、ポカポカと叩いてくるが全く痛くない。

 

「あははは、ごめん、ごめんって樹ちゃん」

「樹ー、どこー?っといたいた……2人して何してるの?」

 

樹ちゃんと戯れていると、トウモロコシを掻き分けて風が出て来た。

すると樹ちゃんはサッと風の後ろに隠れて、顔を半分ほど出してジトっとした目で見てくる。

 

「ん?どうしたのよ樹?」

「……お姉ちゃん、翔一さんが意地悪する」

「へぇ、翔一はうちの可愛い樹に意地悪したんだ。……これは東郷に言って吊るしてもらおうかしら」

「えっ、いや、それは……」

 

1回だけ勘違いで吊るされたけど、アレは色々ときついので遠慮したいところだ。

 

「……なーんてね。それよりもこんなところで油売ってないでちゃんと見回って来てちょうだい。もちろん樹も、ちゃんと写真を撮るのよ」

「「 ……はーい 」」

 

 

 

 

 

 

それからはときどき苦戦している子を手伝い、皆が次々とトウモロコシを収穫していき集合時間が迫っているなか、1人の上手く収穫できていない男の子がいた。

どうやら残っているトウモロコシが男の子の身長より少し高いみたいだ。

 

(ん〜……手伝ってあげたほうがいいかな?)

 

様子を見ながらその子の方に向かうと、なにやら茂みの方に声をかけた。

すると声をかけたあたりから2人の男の子が出て来て、3人でトウモロコシを引っ張ろうとしていた。

 

少し嫌な予感がして向かう足を早める。

 

あと少しでたどり着くというところで、3人が引っ張っていたトウモロコシの茎が折れてしまった。

いきなりトウモロコシという支えを失った3人が、後ろへと体勢を崩した。

 

「っ!危ない!」

 

踏み込んで飛び出し、3人の背後に滑り込むことに成功する。

服が汚れるのも気にせず、3人と地面との間に入り込みなんとかクッションの役割を担う。

 

「ぐへぇ……」

 

だがしかし、子どもとはいえ人3人分の重さはそれなりに重く、潰れたカエルのような声が出た。

 

「あ!ご、ごめんなさい……」

「っ、僕は大丈夫だよ。それより3人とも怪我は無い?」

 

心配させない為に笑顔で大丈夫だと伝え、彼らが怪我をしてないか聞いた。

 

「は、はい!大丈夫ですっ!」

「良かった。それじゃあ、そろそろ集合時間だからみんなのところに戻ろっか?」

 

そう言って男の子達を連れて、畑を出てみんなの元へ戻ると、案の定びっくりされたけど転んだということにした。

 

収穫したトウモロコシをカゴに入れ、そのカゴを積んだ荷車を交代で押して食堂の外に隣接されているバーベキュー場へ行くと、既に施設の人達で準備をしてくれていた。

 

「あぁ、おかえり。おやおや……これまた派手に汚れたねぇ。大丈夫かい?」

「あははは……ちょっと転んじゃいまして、派手に汚れてしまいました」

 

戻って来た僕たちに気付いた桜さんは、土で汚れた僕を見ても驚くそぶりも見せず、優しく心配してくれた。

 

「そうだったのかい。それなら……一実ぃ、ちょっと来な!」

「あ?なんだよ婆さん、準備ならもう終わる……って、そういうことか。坊主、ついてきな」

 

準備の最中だった一実さんを呼ぶと、呼ばれた一実さんは何かを察して、僕についてくるように言うと建物の方へと歩き出した。

何が何だかよく分からないまま一実さんについていくと…………。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「あの、着替えまで貸してくださって、ありがとうございます」

 

ついて行った先の事務所で職員用だというシャワーを借りて、身体に付いた汚れを落とした後にまた事務所へと戻る。

もらった着替えのシャツは、なかなか独特なデザインだけど、わりと好みだった。

 

「構わねぇよ。せっかく来てくれたのに泥だらけのままってわけにもいかねぇし、汚れたからシャワーを貸してくれって事はわりとあるしな。ほら、こっちに来い」

「?」

 

不思議に思いながらも、指示されたとおりに一実さんの正面に座る。

 

「向こうをむいてくれ、背中に怪我がないか見るから」

「あ、はい」

 

よく見たら一実さんの傍には救急箱が置いてあった。

僕は大人しく一実さんに背中を向けるように座り直した。

 

「服をめくるぞ」

「……分かりました」

 

いつもの定期検診で慣れているとはいえ、少し気恥ずかしくて黙ってしまう。

 

「……ふむ、多少赤くはなっているけど、どこも血は出てないな。一応、全体的に消毒するが痛かったら言えよ?」

 

「お願いします……それにしても、なんだか手慣れてますね」

 

「ん?あぁ、チビどもの相手をしていれば多少はな。アイツらはすぐ怪我してくるからよ」

 

「チビどもって……?そんな子たちは見かけませんでしたけど」

 

「今は全員学校だからな。……お前の着てるそれも元々はチビどもに買ってやったんだが、不人気だったしお前にやるよ」

 

そう言って小さく笑った一実さんは、上げていた服を下ろして僕の背中をポンっと軽く叩いた。

 

「ほい、終わりだ。とっとと外に行きな、お仲間さんが待ってるぞ」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「……どうだった?」

 

翔一が出て行った後、入れ替わるように事務所のドアを開けて入って来たのは桜だった。

 

「どうって?あいつなら怪我なんざしてなかったぜ。チビどもと違って丈夫なんだな」

 

使ったものを片付けながら、桜の方を見ずに答える一実。

 

「はぁ、そうじゃないよ。あれが今の勇者様たちだ……本当ならあの子らと同じくアタシら大人が守らなきゃいけない子たちだよ」

 

一実の答えに、呆れたようなため息を吐く桜。

 

「またその話かよ。いい加減、次期()()としての自覚を持てってやつだろ?わかってるっての」

「ならいいけどね……」

 

そう言って、桜は事務所を出て行った。

残された一実は救急箱の中身を片付け終わると、近くの椅子に腰を下ろして背もたれに寄りかかり、天井を見上げた。

 

「……確かに同じだったよ、マサルやショウキチ達と同じまだまだ小さぇ背中だった。なのに世界だなんて重てぇもん背負ってんだよなぁ……腹ぁ括るしかねぇか……」

 

ポツリと呟かれた言葉は誰に届くでもなく、誰もいない事務所の空気に溶けていった。

そのままの体制で目を閉じる一実。しばらく事務所には外からの子供たちの声しか音は無かった。

しかし突如として、一実のポケットから電子音が鳴り響く。

 

「んだよ、こんな時に電話してくるアホは……っ!?」

 

一実は気怠げにポケットから端末を取り出して発信者を確認すると、慌てて電話に出た。

 

『あ、もしもし、かずm』

 

「はいっ!あなたのかずみです!御用はなんでしょうか、みーたんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一実さんに言われて外に出てみると、美味しそうな匂いがしていた。

 

「あ、来ました!おーい、翔一せんぱーいここでーす!」

 

事務所から出てきた僕を見つけた友奈がこちらに向かって大きく手を振っている。

その反対の手には焼かれたトウモロコシが握られていた。

 

「みんな、遅れてごめん。もう始まってるよね?」

「はい、どうぞ。最上先輩の分です」

「あ、ありがとう東郷。いただきます……ん〜、美味しい!」

 

東郷から僕の分のトウモロコシを受け取り、齧り付くと口の中にトウモロコシの甘さと焼けた醤油の香ばしい香りとが広がる。

 

「プチプチとした食感も良いし、止まらなくなりそうだよ」

「焦らなくても平気よ、まだ始まったばかりだから。それにしても……ナニソレ?」

 

なぜか微妙な表情でこちらを見る風。目線の先には僕の着ているシャツ。

みんなを見回すと東郷と樹ちゃんも似たような表情をしていた。

対照的に、友奈と夏凜ちゃんは興味がありそうな感じだった。

 

「何って……あぁ、これ?貸してもらった着替えのシャツだよ。余り物だからあげるって言われたけど。良いでしょ」

「なんていうか……独特なデザインですね」

 

そうだろうか?カッコいいと思うんだけどなぁ……。

シャツには、シンプルにデフォルメされた煮干しが三角形に並んでいて、その上下を円で囲むように『かるしうむ とりにてぃ』と印刷されている。

 

「そう?私は別にいいと思うけど?」

 

夏凜ちゃんがこのシャツに肯定的な意見を出した。

そんな夏凜ちゃんに驚いたような呆れたような目を向ける風。

 

「……夏凜は煮干しなら、なんでもいいんじゃない?」

 

「なっ!?違うわよ!完成型たる私のセンスをなめないでよね」

 

「いやいや夏凜、アンタ流石にそれは女子力無いわよ。……しょうがない、あたしが女子力のなんたるかを叩き込んであげるわ。光栄に思いなさい!」

 

「思うかっ!!わ、私にだって女子力の1つや2つあるに決まってるでしょ!」

 

「女子力って、1つ2つって数えるんだ……」

 

2人の言い合いに遠い目をする樹ちゃんを横に、風は夏凜ちゃんと女子力談義を始めてしまった。

……ただ、焼きトウモロコシ片手に飲み物を飲みながら話す姿は、女子力とは程遠い気がするけど。

 

「あ、私も似たTシャツもってますよ。お揃いですね!」

 

「友奈ちゃん、それはどんな服なの?参考までに教えてもらえないかしら」

 

いつのまにか、メモを用意していた東郷が友奈にシャツの詳細を尋ねる。

 

「?いいよ。えっとね、こうこの辺に煮干しのイラストが1つあって、かるしうむって平仮名で書いてあるシンプルなやつだよ。お母さんが買ってきてくれたんだ」

 

「へぇ、そういうのもあるんだ。このデザイン流行ってるのかな?」

 

「……どうなんでしょうね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、子供会の子たちに聞いてみたところ、漏れなく全員から"ダサい"との返答をいただきました。……解せぬ。

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。バーテックスケベでございます。

更新が滞って申し訳ない。(五体投地)

完全に私事なんですけどちょっとメンタルをやられている時に仕事の繁忙期も重なり、手がつかなかったという……。

しかし!
ネタを練る事はしていたので、この先の展開はある程度決まってます。
あとは文章におこすだけ……頑張る。

個人的な意見ですが、日常回を上手に書いてる他の作者さん達が凄すぎ。その腕見習わせろ。焼肉食べに……これは神絵師になる儀式だった。


P.S 本当は先週に更新したかったけど、出来ませんでした……!
あと、かるしうむ とりにてぃのイメージはこちら

【挿絵表示】
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