Change yourself,Keep yourself. 作:バーテックスケベ
初めてのしっかりと原作キャラとの絡み
胸に感じる、これでいいのか?感
いや、これでいいのだ(名言)
夢を見る。
蒼く揺らめく視界、海の中なのだろうか。
冷たくもあり温かくもある。
不思議な心地よさがあった。
誰かが海の中は落ち着くと言っていたけど、確かにその通りだった。
このまま漂っているのも良いのかもしれない。
海の底で静かに眠るのも良いのかもしれない。
そんな気分に
耳をすませど聞こえるのはくぐもった音だけ。
しかし確かに呼ばれた気がした。
……今度はさっきよりもはっきり聞こえた。
海面からだ。光が揺らめく海面から、誰かが呼んでいる。
行かないと、そう思い手を伸ばすも届かない。
むしろ、さっきまで平気だったのに少しずつ息苦しくなってきた。
もがけばもがくほど、息苦しくなり、海面が遠のく。まるで行かせまいとするかのように暗闇が広がる。
突然、伸ばしていた手を誰かが掴む。
その手に掴まれて、何故だか安心できた。
そして、その手はゆっくりと海面へ引っ張り上げてくれた。
あぁ、よかった。やっと……
やっと夢が終わる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
気が付くとカーテンレールの付いた天井を見上げていた。
「えっと……なんで保健室?」
天井を見上げたまま、疑問をつぶやく。
確か今は体育館で全校集会をしてて、確か校長先生の話を聞いていたはずだ。
「それはアンタが突然倒れたからでしょ」
「んぁ?あ、風いつからそこに……」
予想外の応答につい間の抜けた声が出る。仕切りのカーテンを開けて、こちらを心配そうに見ているのはクラスメイト兼お隣さんの片割れ、そして僕が所属する部活の部長である、
「『なんで保健室?』のあたりからよ」
「最初じゃないか。声を掛けてくれて良かったのに」
「アンタがうなされてたから、これを取りに行ってたのよ」
そう言って掲げた右手には濡れたタオルが握られていた。
体を起こし、ベットに腰掛けながら話す。
「ありがとう。でも、もう大丈夫だよ」
「……そうみたいね。あ、でも今日の部活はお休みだから」
「え⁉︎なんで……」
「なんで、じゃないわよ。副部長が倒れたんだからお休みにぐらいするわよ」
「倒れただけで大袈裟だよ。ほら、もう全然動けるよ」
流石に倒れたくらいでお休みにしたら、友奈達がビックリするだろうし。いや、倒れたことにも驚くだろうけど。
風にお休みにしなくて平気だよアピールをしていると呆れ顔でため息を吐かれた。
解せぬ。
「あんた、気づいてないの?」
「ぇ?何が?あ、寝癖とかついてる?」
「ついてないわよ。なら問題、今は何時でしょう?」
「何時って、一限目の終わりくらいかな?」
再度のため息。さっきよりも大きめの。なにゆえ。
「はぁ、やっぱり気付いてないじゃない。今はお昼休みよ」
「へー、お昼休みだったのか……ん?お、お昼休み⁉︎僕は4時間以上寝てたってこと⁉︎」
「そうよ、だから大事を取って今日は部活はなし。分かった?」
「あ、はいワカリマシタ」
たしかに4時間も倒れてた人の大丈夫は信用できないなぁ。
これは僕が悪い。悪いといっても倒れたことに心当たりが全くない。
まさか……校長先生が、僕を倒れさせたのか?
なんて、くだらないことを考えていると、風がベットに腰掛けてきた。
「それに今日は東郷が検査で病院に行くし、友奈も家族でお出掛けだから早く帰らないといけないらしいし、どっちみち休みだったのよ」
「そうだったのか……まぁ、それならよかったよ」
友奈は部活が楽しいみたいで、部室や出先でもいつも笑顔だ。その笑顔を一瞬でも曇らせるとなると、怖い人が約1名。僕の大丈夫アピールは無駄だったけど
あの子は本当に年下なんだろうか?
「で?一体何したら突然倒れるのよ。おねえさんに話してみなさい。ほら、勇者部五カ条は?」
「悩んだら相談。っていっても、本当に心当たりが無いし……うーん、何でだろうね」
「そうなの?夜更かししたとか、水分の取り忘れとか、何気ないことでも良いから普段と違うことは無かったの?」
「いやー、昨日は大人しく家で本読んだり、むしろダラダラしてたぐらいだし。今朝だって朝ごはんは食べたし、水分だってちゃんととったよ?」
普段と何も変わらない休日の過ごし方だったはずだ。強いて言うなら寝るのがいつもより早かったぐらいだ。
すると考え込んでいた風が何かを決めたのか口を開いた。
「よし!翔一さんや」
「……なんだい?風さんや」
「あんた今日はうちで夜ご飯食べていきなさい」
「んー?」
聞き間違いかな?
やっぱり僕はまだ体調が悪いみたいだ。
「ごめん、ちょっとよく分からない」
「ん?だから、今夜はうちでご飯食べていきなさいって」
「聞き間違いじゃなかった⁉︎……いや、嬉しいけど、女の子が気安く男の子を家に誘っちゃいけません!」
「何東郷みたいなこと言ってんのよ。ていうか、もう何度か家に来たことあるでしょ」
「いや、そうだけども!毎回そう思ってるの!」
「ふーん……」
なんで興味なさそうなの。こっちは今でも結構緊張するっていうのに……。
「おーい、ショウ、起きてるかー」
「ばか、保健室では静かにしろ」
そう言い合いながら保健室に入ってきたのは、去年同じクラスで仲良くなった
青には気に入られたのかあだ名で呼ばれている。
僕もノってるときはあだ名で呼んだりする。
ちなみに青は女子、友兎は男子だ。
2人は幼馴染みらしく、わりと一緒に行動してる。
「あれ、ショウが起きてて風がいる……はっ‼︎なるほど風がショウの王子様だったか!」
「へ?ちょっと青、それってどういう意味?」
また青が変なこと言い出した。風は王子様じゃなくて、ちゃんとお姫様してるでしょ!少しは君も見習いなさい!
「ん?眠り姫は王子様のキスで起きるんだろ?」
「き、きき、キスなんか、し、してないわよ!」
当然だろ?とでも言いたげな顔で説明する青と、なぜか顔を赤くし噛みまくる風。
てか、その説明だと僕が姫になるんだけど……。
「え?じゃあキス以上で起こしたのか!やるな、風!」
「違うから!そ、そういうことはしてないからぁ!あたしが来た時にちょうど起きてたの!」
「ふっふっふっ、そんなこと言ってぇ本当はぁ、ナニをy」
「おいこら青、流石にいじり過ぎだ。ステイッ!」
「ふぎゃあ⁉︎」
登場時からのハイテンションに呆然とし話せずにいると、
友兎のつっこみ(物理)を受け、女の子にあるまじき声を上げて大人しくなる青。ショギョウムジョー。
その後、戻ってきた保健室の先生と相談して午後はとりあえず出席することになった。
教室に戻ると、倒れたからかクラスメイト達や担任の先生からも心配の声をかけられた。担任の先生には保健室の先生とのやりとりを伝えておいた。
そして、何事もなく放課後。帰りのHRでは気をつけて帰るようにと、ありがたいお言葉を頂いた。
〜〜〜〜〜 通学路 〜〜〜〜〜
下校時間になり駐輪場で、風の妹で新入生である
途中でスーパーにより今晩の食材を買っていく。勿論、代金は出した。
自転車を押しながら3人で一緒に帰る。最近、当たり前になりつつある光景だ。
「あの、翔一さん、お怪我はありませんでしたか?」
「うん。ギリギリのところで友兎、友達が支えてくれたからね。保健室の先生は貧血か何かだろうだってさ。心配してくれてありがとう、樹ちゃん」
「そう、だったんですか。怪我が無くてよかったです。」
そう言ってふんわりと柔らかく微笑む樹ちゃん。天使かな?
すると前の方を歩いていた風がニヤニヤしながら振り返る。悪い顔してるなぁ……。
「なぁに、樹ったら翔一のことがそんなに心配だったの?」
「ふぇ⁉︎も、もうお姉ちゃん‼︎」
「あら、アタシは何も変なことは言ってないけど?」
「む〜〜〜⁉︎」
「あっ、ちょっ、樹、お腹はやめっ」
顔を赤くした樹ちゃんをからかって脇腹に反撃をくらう風。両手で自転車を押しているから樹ちゃんのつつく攻撃をうまく防げずにいる。
「はひいっ、ごめん、ごめんって樹ぃ‼︎」
「だめ、ゆるさないんだから」
「ひいーーーっ‼︎」
防げない風がくねくねと変な動きをするも、冷静に指で突く樹ちゃん。
なかなか愉快なことになっているがそろそろ止めないと買った食材が危ない。
「樹ちゃん、そのぐらいにしてあげなよ。ほら、風の自転車にも食べ物積んであるでしょ?」
「むぅ……翔一さんが言うなら」
「ふぅ……ふぅ……た、助かったわ。ありがとう翔一」
風が息を整えながら仲裁に入った僕にお礼を言う。勘違いしないでよね、食材が心配だっただけなんだから。
「余計なこと言う風が悪い。よって今夜のデザートのプリンは風だけ無しです」
「そんなぁ⁉︎あたしのプリンがぁ……」
そう言っておどけてみせる風。
この何気ない日々が今はとても楽しくて愛おしい。出来ることなら今日の様な事で心配はかけたくない。
「「「ご馳走様でした」」」
夕食を食べ終わり、一息つく。
この満腹感と満足感に満たされた時間が好きだった。
しばらくの間2人と談笑し、お腹を落ち着かせる。
「よし、それじゃあお待ちかねのデザートタイムだ!」
「わぁ、翔一さんのプリン、楽しみです!」
「じゃあ、ちょっとプリンを取りに戻るね」
そう言って犬吠埼家を出てすぐの自分の部屋に入る。
部屋に入り、靴を脱ごうとした瞬間に目眩がし咄嗟に壁に寄りかかる。
「嘘だろっ、こんな時にっ」
目眩だけでなく頭痛や耳鳴りもしだし、尋常じゃないほどの汗が出はじめた。
「がぁ……くっ……」
痛みが、耳鳴りが激しくなり足元がおぼつかない。
視界が歪み、焦点も定まらない。
物が動きだす幻覚まで見えはじめた。
ついに足に力が入らなくなり、前のめりに倒れる。
咄嗟に何かを掴もうとした手が物を弾き、玄関の姿見を割る。
床にぶつけた体が痛いが、床の冷たさが気持ちいい。
すでに立ち上がる気力も、体を動かす体力さえも無かった。
朦朧とする意識の中、呼び鈴の音と誰かが名前を呼ぶ声を聞いた気がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「じゃあ、ちょっとプリンを取りに戻るね」
そう言って出て行く背中を見送る。ここのところ心配しか感じない背中。
……本当にちょっとで済むのだろうか。
「お姉ちゃん、翔一さんのことが心配なの?」
私の不安を感じ取ったのか樹が聞いてくる。
「ん?そうね。今日のこともあるし、少し気にかけておかないとって思うの。妙な胸騒ぎがしたから家に呼んだけど……まだ何かありそうなのよね」
「そう、なんだ」
そうなのだ。初めて会った時から倒れるだなんて事は一度も無かった。
部活でも力仕事なんかは進んで手伝ってくれたし、体力に自信があると言っていた。
だからこそ、ここのところの彼の様子が変でどうしようもなく不安が募る。
「まぁ、でも沢山食べてたし、あの様子なら」
大丈夫でしょ、そう言いかけた時、隣の部屋からドスっと大きな物音がしてガラスの割れる様な音がした。
一瞬、思考が止まり動き出した頭にまさかが過ぎり不安が止まらない。
「お、お姉ちゃん……」
樹が不安げな顔をして消え入りそうな声で私を呼ぶ。……そうだ、私は姉なのだ。
ここでしっかりしなくちゃいけない。
溢れそうな不安にふたをし、気を引き締める。
「……樹は救急車を呼べる準備をしておいて、私が見てくるから」
そう言って樹を部屋に待たせて外へ出る。出てすぐ隣の部屋の扉は閉まっていた。
「翔一、大丈夫なの?」
そう言って呼び鈴を鳴らすも反応が無い。
ドアノブに手をかけると鍵は空いていて、あっさりと下がる。
「翔一、入るわよ?」
一声かけて恐る恐るドアを開ける。
いやに心臓がうるさい。
意を決して中を見ると、整理されていたであろう玄関は、割れた鏡の破片が飛び散っていた。
その中心にうつ伏せの翔一が倒れていた。
「しょう……いち?ねぇ、ちょっと翔一ってば」
話しかけてもピクリともせず、破片に気をつけながら揺すっても返事が無い。
呼吸は浅く、薄く開いた瞳も虚ろでどこも見ていない。
胸騒ぎと嫌な予感が的中した。
「っ‼︎樹、救急車呼んで!翔一、しっかりしなさい!翔一‼︎」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまでで既に難産気味。
登場予定のないオリキャラ出すからだろうなぁ……。
もしかしたらもう一話いけるかも……頑張ります。
ところで、主人公が呼ぶ郡さんのあだ名はなんだと思う?(星狩り族風)