Change yourself,Keep yourself. 作:バーテックスケベ
ようやくの変身回なのに前話の半分くらいの文量になってしまった……。
もうすぐでUAが1000にいきそうでドキドキが止まらない。
夢じゃない。
遥かに広がる、色彩溢れる樹海の光景。
死の恐怖に怯えて、流れる後輩の涙。
距離を開け、威嚇するように唸る怪物。
その怪物に投げ飛ばされた背中の痛み。
その怪物を蹴り飛ばしたこの脚の痛み。
そのすべてが夢と笑うにはあまりに
だからきっと
この力も
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
腰元に確かな存在感を放つ金のベルト。
これが何なのか、何をする為のもの分かる。
頭でなく、魂が分かっている。
「フゥゥー…………」
本能に従って左手を左のスイッチに軽く添える。
反対に、引き絞った右手を息を吐きながら前へと突き出す。
感覚を、精神を、魂を研ぎ澄ます。
一気に空気を吸い込み、叫ぶ。
「 変 身 っ ‼︎ 」
叫ぶと同時にベルトの両サイドのスイッチを叩くような勢いで押し込む。
ビリっとした痛みが全身に走った後、ベルトから光が溢れ出し世界を一瞬白く染める。
光がおさまった時そこには、
輝く2本の金の角を冠し
炎の如く赤い瞳が燃え
黒き肌に金の鎧を身にまとい
黄金のベルトが光の渦を巻く
不思議と冷静だった。
背中はあんなに痛みを訴えていたのに、大人しかった。
心臓はあんなにうるさかったのに、落ち着いている。
身体の奥から溢れるこの力のお陰なのだろうか。
……まぁいい、今そんな事は
今は目の前の、後輩を傷つけ泣かせたクソ野郎をこの力で倒す。それだけを考えろ。
『・・・・・・・・・』
未だに警戒するように此方を向いて唸る白い怪物。
改めてよく見るとなんとも悪趣味な造形である。
人型でやや猫背気味の真っ白な体に、
大きく裂けた口以外が無いのっぺらぼう。
その口も先程までは嗤う様に上がっていた口角が、今は忌々しげに下がっている。
『ァ…………ォ…………』
怪物が何やら声らしきものを発する。
『ア"…………ィ……ォ……』
呟きだったそれは
『ア"ァ"……ギ……オ……』
次第に大きくなり
『ア"ァ"ァ"ァ"キ"ィ"ィ"ィ"ト"ォ"ォ"ォ"‼︎』
咆哮へと変わる
怪物は大気を震わす雄叫びを上げ、一直線に向かってきた。
こちらも一歩一歩踏み締めて歩き出す。
『コ"ア"ァ"ァ"ァ"』
間合いに入り、怪物が叫びながら飛びかかり右腕を振り下ろす。
それを体を後ろに逸らすことで避ける。
右腕を振り下ろした体勢から今度は左腕を振り上げる。
それを屈み、腕をくぐるように右にずれることで避け、無防備な怪物の左脇腹に蹴りを入れる。
怪物が蹴られた方向によろける。よろけた怪物は体勢を立て直すと、じりじりと周りながらこちらの様子を伺う。
怪物の動きに合わせ正面を保つ。
『カ"ァ"ッ"!』
短く叫び、左で殴りかかってくる。
それを右の掌底で左に弾き、そのまま体を一回転させ左の裏拳を怪物の横っ面に叩き込む。
怪物は2、3歩下がって踏みとどまると、右ストレートを繰り出してきた。
スローで見えるその攻撃を右足を下げて半身になり浅く腰を落とし、左の前腕でななめ下から押し上げてそらし、から振ってがら空きの胴体に1歩踏み込んで右の正拳突きを心臓の位置に叩き込む。
「フンッ!」
ドズッと鈍い音がして、怪物が仰け反り後ずさる。
「ハアッ!」
そして体を半回転させ、右足を軸に左足で怪物の胸元を蹴り飛ばすことで
怪物はされるがままに蹴り飛ばされ、地面を削りながら遠のき止まる。
怪物が起き上がろうともがいている間に決めにかかる。
2本の角を6本に展開し左足を前に出す。右の掌を上に、左の掌を下に向け広げる。
「ハアァァ……」
すると地面にアギトの紋章が現れ、淡く光る。
前に出した左足を後ろに下げ、左腕を体に寄せ、右手を返し腰を落とし溜める。
紋章を介してエネルギーが両足に宿る。
「フッ、ハアッ!」
どうにか立ち上がるもダメージでフラつく怪物へ跳躍し、
蹴りの反動で着地した後も剣道の残心のようにしばらく構えたままでいる。
防ぐ事も出来ず、もろに蹴りを受けた怪物は地面を削りながら吹き飛び、やがて仰向けに倒れたまま動かなくなった。
「……凄い」
いつの間にでかい方の怪物を倒したのか、東郷のいる場所から友奈の呟きが聞こえた。
あれだけ激しく動いたのに息切れひとつしない。
どうやらこの体は大分強化されているようだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……凄い」
思わず口から言葉がこぼれる。
風先輩と樹ちゃんと一緒にバー……バーなんとかを相手していた時、ふと見たら東郷さんと翔一先輩が変な怪物に襲われていることに気付いた。
このことを風先輩に伝え、バーなんとかを3人で協力して、急いで倒し東郷さんと合流する途中。
突然、翔一先輩がピカーってしたと思ったら、シャキーンって変身していた。
変身した翔一先輩は、お父さんから武術を習っている私から見てもセンレイ?された動きをしていた。まるで昔見せてもらった演舞のようになめらかな動きでつい見入ってしまった。
終始怪物を圧倒し、あっという間に倒してしまった。
「……翔一?何よ、あれ」
隣の風先輩がそう呟く。樹ちゃんも無言で見つめている。
東郷さんは未だに恐怖が収まらないのか、私の腰元に抱きつきながら時々震えている。
私はあの姿をどこかで見たような気がする。でも、なかなか思い出せない。
うーん……どこで見たんだろう?
そうこうしているうちに翔一先輩は変身した姿のまま私たちのいる場所まで来た。
「翔一…アンタ、それは一体、なんなの?」
「これ?俺もよく分からないけど『アギト』っていうらしい、アレがそう叫んで攻撃してきたからね」
そう言って、遠くで倒れている怪物を親指で差す。
「アギト?それって、あの?」
「あの?あのって事は風は何か知ってるの?できれば、くわs」
「あーっ‼︎」
「「「「 ! ? 」」」」
思い出せたことに声を上げる。
そうだ!翔一先輩の姿はあの本のアギトと同じなんだ!かっこいいなぁ。
「ど、どうしたのよ友奈、突然大声なんて出して」
「ご、ごめんなさい風先輩。あの、翔一先輩のその姿って『花の勇者とアギトの戦士』に出てくるアギトに似てませんか?」
「そうなのか?自分では見れないから判断のしようがないんだが……」
「そうなのよ。私も見た目が本の記述通りだったから、もしかしたらって思ったの」
「そうなのか……」
あの本はこの前幼稚園での部活で、園児たちへの絵本の読み聞かせで読んだのだ。
絵本のイラストとそっくりだから間違いない!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
怪物を倒し、東郷のもとに戻るとやはり友奈たちがいて、東郷は友奈の腰元に抱きついていた。
ちらっと横顔が見えたが……もう大丈夫そうだった。
「翔一…アンタ、それは一体、なんなの?」
「これ?俺もよく分からないけど『アギト』っていうらしい、アレがそう叫んで攻撃してきたからね」
風が困惑した顔でそう質問してくる。
正直、自分でもよく分からない。
でも、この力があれば風たちだけを戦わせずに済む。
「アギト?それって、あの?」
「あの?あのって事は風は何か知ってるの?できれば、くわs」
「あーっ‼︎」
「「「「 ! ? 」」」」
そして何やら意味深なことを呟く風。
この世界やでかい方の怪物、バーテックスのことも知っていた彼女なら、この力についても何か知っているかもしれない。
そう思って聞き返したら、横から友奈の大声が飛んできた。
突然の大声には驚いたが友奈曰く、俺の今の姿は春休みに出会った鉄男くんからおススメされた本、『花の勇者とアギトの戦士』のアギトにそっくりらしい。
自分からは変異した手と下半身ぐらいしか見えなくて、かもしれない程度の認識だったが、風もその意見に同意したので信憑性は高い。
ふと写真を撮ってもらえば全身が見れる事に気付き、風に写真を撮ってと頼もうとした時
「お、お姉ちゃん……!」
樹ちゃんが風の服の裾を引っ張り呼んだ。
不安げな表情の樹ちゃんはある一点を指差していて、その先には謎の光の球体が浮かんでいた。
「あれって……」
「バーテックスの御霊を壊した時に出てきた光、かしら?」
「てことは、敵の?なんでそれが……っ!」
ふわふわと浮かんでいた光がいきなり高速で渦を巻く。
「な、なに、あれ⁉︎」
「ごめん樹、お姉ちゃんも分かんない!」
その渦はどんどん速さを増しながら小さくなっていく。
そしてバスケットボール程の大きさでピタリと止まり
光の奔流が降り注ぐ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
これにて覚醒までのカウントは終わりました。
次回から第1話となります。
(変なところから第1話だな、おい)
文字数に納得できず、投稿を渋る……
皆さんはどのくらいが読みやすいですかね?