Change yourself,Keep yourself.   作:バーテックスケベ

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祝 通算UA1200突破!

この小説を楽しんでもらえるように精進せねば(使命感)


第1話 竜巻の機馬

あまりに突然の出来事に呆然としてしまった。

 

「な、なに、あれ⁉︎」

「ごめん樹、お姉ちゃんも分かんない!」

 

光が降り注いだ場所には、先程倒した怪物がいたはず。

そのことを思い出した時、本能が警鐘を激しく鳴らす。

 

「3人とも、東郷を守れ!まだ、終わってなかった!」

 

そう叫び、数歩前に出て身構える。

降り注いだ光は倒れている怪物の体に入っていく。

やがて全ての光が収まると、倒したはずの怪物がビクリと動き出し、グチャグチャと不快な音をたてながら変形し始めた。

 

人型だった体は2回りほど大きくなる。

首が伸び、額に刃物のような1本角が生え、口が飛び出した。

腕が伸び、分裂し、飛膜が生えた。

脚が伸び、関節が逆に折れ、鳥のような脚は太く逞しくなった。

背骨を延長するように刺々しい背びれと棘のある尾が生えた。

 

それはまさに物語における竜の姿だった。

 

『Gyaaaaaaaa‼︎』

 

変形の終わりを告げるように全身にピンク色の紋様が浮かび、竜が産声を上げる。

 

「「ひっ⁉︎」」

「流石に……これはないわー!」

「アイツ、竜になりやがった!」

 

驚きながらも風は友奈たちを庇うように前に出て大剣を構える。

その前に立ち竜と対峙する。

 

竜はこちらをじっと見ると、ゆっくりと首を後ろにそらした。

すると、竜の腹部が光り始め、口の端から火が漏れ出す。

 

「風っ!剣を盾にしろ!」

 

咄嗟にそう叫び竜へと駆け出す。

その時、竜が翼を羽ばたかせ浮かび上がる。

その途中で溜めていた火球を吐き出してきた。

走る足を止め、その火球を迎撃する。

 

「フッ!」

 

1つ目を右の拳で砕き、確かに感じる熱と降りかかる火の粉を無視する。

 

「ハァッ!」

 

2つ目を右のハイキックで打ち返し、その見た目に対する手応えの軽さに少し驚く。

 

「テリャァ!」

 

3つ目を左の回し蹴りで蹴り砕く。

 

迎撃のために足を止めたそのわずかな間に、竜は空高くに陣取り、その顔に人型だった時のような笑みを浮かべて、こちらを見下ろしていた。

 

 

竜を見上げ、どうやって奴を倒すかを考えていると、再び奴の腹部が光りだした。

先ほどより倍近い火球を俺目掛けて飛ばしてくる。

殴る蹴るですべての火球を砕く。

まだ体力に余裕はあるが、このまま持久戦を続ける訳にはいかない。

既に奴の真下の地面から徐々に枯れてきている。

あれが何を意味するのか分からないが少なくとも良くない事だというのは分かる。

 

 

ジャンプじゃ届かない高さに届かせる術が、()()()()()()()()()()

 

 

そう考えた時、竜の後方から何かが飛来するのが見えずとも分かった。

 

『Gyaaa!?』

 

その何かが竜を弾き飛ばし、こちらに一直線に向かって来た。

 

「ま、また何か来たよ⁉︎」

「あー、もう‼︎次から次へと何よ‼︎事前の情報ぐらいしっかりしなさいよ、大赦ァ‼︎」

 

……避けようにも背後には風たちがいる。

選択肢は1つ、角を展開して力を解放し、やや前傾な姿勢になり両手を前に出し、受け止める構えを取る。

 

「スゥ…ッ」

 

浅く息を吸い込み止め、来たる衝撃に備える。

必ず受け止めてみせるという意気込みとは反対に、飛来した何かは1mほど手前でピタリと止まり、乗れと言うかのように横向きになった。

 

飛来したそれは一言で言うなら赤いホバーボードだった。

赤いボディの所々に金のフレームがあり正面には小さくアギトの紋章が刻まれていた。

 

「お前は一体……」

 

少なくともあの怪物のようにアギトに敵対するものではなさそうだが……。

そう考えていると頭の中で声がした。

 

『……走らせて』

「ッ⁉︎な、なんだコレは!頭の中に声が」

 

囁く声は変声期を迎える前の少年のような声だった。

 

『もう一度、止むことのない鼓動のように、あの彼方まで風を巻き上げて、走ろう』

 

願うように囁く声に目の前の存在の正体を悟る。

 

マシントルネイダー、アギトと共に駆ける竜巻の機馬。

 

「そうか、お前はアギトの……よし、行こう!アイツを倒すためにはお前の力が必要だ!やるぞ、相棒!」

 

そう言って飛び乗ると、まるで磁石が鉄にくっつくようにカチッと固定された感覚があった。

 

徐々にうかび上がる機体、微かにだがワクワクしているような感覚が伝わってくる。

 

「ちょっ、翔一⁉︎何それ⁉︎ってかどこ行くのよ!」

「こいつと一緒にあの竜を倒してくる。風、悪いけど3人を頼んだ!」

 

一言言って飛び出す。ぐんぐんとスピードが上がるが風の抵抗を一切感じない。

 

ついに竜と同じ高さにたどり着いた。

 

『Grurururu……』

「……よう、また会ったな」

 

弾き飛ばされたからか、優位をとったはずの敵が己と同じ場所にいるせいか分からないが、口元から笑みは消え、牙を剥き出し、忌々しげに歪めていた。

 

竜と対峙して数秒は互いに睨み合っていたが、しびれを切らしたのか竜から仕掛けて来た。

 

今までよりも2回りほど大きな火球を連続で吐き出す。

 

飛んでくる火球で直撃するものを砕きつつ、スピードを上げて竜へと突っ込む。

 

距離を詰め、そのままのスピードで機体を横滑りさせて、体当たりを当てようとするが下にくぐられ躱される。

 

横滑りさせた機体を90度回転させ追いかける。

 

真後ろを取った時に加速を使い、より速い蹴りを打ち出してみたがギリギリで躱され、回り込んだトルネイダーに着地し再び追いかけっことなる。

 

その後も縦横無尽に飛んで逃げる竜の後ろになんとか食らいつくが、なかなか一撃を入れる隙がない。

 

まぁ、隙がないなら作ればいい。

 

手のひらに意識を集中して、スマホを呼び出し風に電話をかける。

 

「風、頼みたいことがある」

『…色々と言いたいことはあるけど、いいわ。なにかしら?』

「風の大剣は大きく出来るか?出来るなら合図を出すからそれに合わせてやってくれ」

『分かったわ、やってやるわよ!』

「ふっ……ありがとう、風」

『お礼なら、今日の夜は翔一に作ってもらおうかしら』

「分かった。期待してなよ」

 

 

 

逃げ回る竜を先ほどのような加速からの蹴りなどを繰り返し誘導する。

何度目かのときに竜の逃げた方向に大剣を構える風の姿を確認し、そのまま追い込む。

 

「誘導した、合図する!3…2…1…今だっ!」

 

合図の掛け声と同時に突如として現れる壁、否、巨大な剣が竜の逃走を阻む。

突然の出来事に動きの止まる竜。

その隙を逃すわけもなく、構え、角を展開し力を解放すると、竜との間にアギトの紋章が現れる。

その紋章を通過するように機体の上から飛び出し、超加速の蹴り(ライダーブレイク)を放つ。

その蹴りは竜を突き抜け、風の大剣を轟音と共に弾く程の予想以上の威力だった。

 

竜は断末魔を響かせながら、砂へと変わって散り散りになった。

竜を倒した後、重力に引かれて頭から落下中にトルネイダーが走りこんで来た。

空中で体勢をなんとか立て直し、トルネイダーに乗ることで落下死は防がれた。

トルネイダーを操作して、風たちの近くに着陸する。

地面に足をつけるとトルネイダーは再び浮き上がり、何処かへ去っていった。

 

「助かったよ。ありがとうなトルネイダー」

 

変身を解除すると、ドッと疲れが押し寄せ少しフラついたがなんとか踏み止まる。

男の子の意地だ。

 

「あっ!翔一せんぱーい!」

「ちょっと翔一、あの蹴りは何よ!すんごい手が痺れたんですけど⁉︎」

「あはは……ほんと、ごめん。僕もあんなに加速するとは思わなくて」

「まぁ、でもナイスよ、翔一。私たちじゃあの怪物は倒せなかったわ」

 

合流した風たちと何言か話すと、この世界に入って来た時と同じように、空中に真っ直ぐな亀裂が入り、そこから光が溢れ出す。

その眩しさに腕で顔を庇う。

 

 

 

光がおさまるとそこは神樹様の社がある校舎の屋上だった。

 

「あ…あれ?ここ…学校の屋上?」

「神樹様が戻してくださったのよ」

 

風たちは制服に戻っており、見渡す街並みはいつも通りのものだと思う。

ハッと思い出し、東郷のもとに向かう。

 

「東郷、どこか痛むところはない?」

「い、いえ、大丈夫です、最上先輩」

「大丈夫って…転んだりしたでしょ。ほら、こことか、擦りむいてるじゃないか」

 

そう言ってタイツが破け、微かに血の滲む左膝を指差す。

 

「あ、こ、これは……」

「もう安全だから、我慢しなくていいんだよ。……ちょっと失礼」

 

一言断りを入れてから近くに屈み込み、東郷の怪我した膝にそっと手を重ね、傷に意識を集中する。

数秒経って手を離すと、東郷の膝の傷は()()()()()()()

 

「……ん、これでどう?まだ痛い?」

「痛く…ありません」

「そっか、なら良かった」

 

そっと笑いかけ、()()()()()()を無視して立ち上がる。

 

 

〜〜〜〜〜 放課後 駐輪場 〜〜〜〜〜

 

 

授業中に突然消え、屋上にいたということで一悶着あったが、なんとか放課後になった。

当然、あんなことがあったので今日の勇者部の活動はお休みとなった。

 

「え…えぇー⁉︎」

「うん?どうしたのよ翔一、そんな驚いて…って、えぇー⁉︎」

 

僕の驚いた声を聞き風が見に来るが、風も驚きの声を上げる。

自転車を停めていた場所にそれはいた。

異彩を放ちながら、当たり前だと言わんばかりに。

マ シ ン ト ル ネ イ ダ ー が。

 

「あれ、僕の…自転車は?てか、なんでトルネイダーがいるの?君、クールに去っていったじゃん。『また、戦場でな』って感じに消えたじゃん。それより僕まだバイクの免許取れないんだけどぉ⁉︎」

 

そうつっこむも答えてくれる人はいない。

ただいたずらが成功した子供にように、嬉しそうにトルネイダーの赤が光った。

 

非日常はまだまだ終わらない。




突破記念に何かやりたくもあるけど、ネタバレを控えるために番外編は書けない。
話が進めば、そのうち書けるはず(汗)


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