Change yourself,Keep yourself.   作:バーテックスケベ

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1週間以上も更新が遅れてしまって申し訳ナス。

オリジナルを書くとなると途端に遅筆になる。
それでも日常的な描写は書いておきたい。

まぁ、不定期更新タグあるしへーき、へーき(震え声)



第2話 初陣の後

風のスマホを使い、大赦に問い合わせてみたがいくら待っても返信が来なかった。

流石に頭にきたのか、その形のいい眉を(しか)めて(いきどお)りを露わにする風。

 

「こんの、大赦ァ……!」

「どうどう、抑えてよ風。お役目が始まったから、向こうも何かしらで忙しいんでしょ」

「……はぁ、ならこのバイクはどうするの?私たちは中学生だから乗れないわよ?」

「まぁ…手は1つしかない、かな」

 

トルネイダーをこのまま学校に置いて行くわけにもいかない。

かといって代理を頼もうにもそんな伝手はないし、コイツが他の誰かに乗りこなせるとは思えない。

というか鍵は持ってない、よく見たら鍵穴も無かった。どうやってエンジンかけるの?

 

 

結局、学校から自宅のアパートまで押して帰るしか無かった。

途中、巡回中のパトカーとすれ違い、すごくドキドキしたけど、パトカーは何も言わずに通り過ぎていった。

 

「……プフッ、翔一、すごい顔してたわよ」

「う、うるさいな!まさか自分の自転車が不思議なバイクに変わってるとは思わないだろ!」

「普通はそんな事自体が起こりませんけどね……」

 

パトカーとすれ違った際の緊張した僕を笑ったので、風を今夜のデザート抜きの刑に処すことに決めました。

 

「それはそれとして、この事をおやっさんにどう説明しようか……、ここは勇者部に頼るしかないなー。ねぇ、どうすればいいと思う、部長さん?」

「あー……大家さんへの説明があったわね」

 

そう、このまま帰れたとしてもアパートの駐輪場に見たことのないバイクがあったら不審に思うだろう。

最悪、警察に持っていかれてしまうかもしれない。……勝手に帰ってきそうだけど。

そんな事態を防ぐためにアパートの大家で、僕の後見人である通称おやっさんこと、安芸 伸一郎(あき しんいちろう)さんに事情を話さなくてはならない。

恩人に嘘をつかなくてはならないのは心苦しいが無用な混乱を避けるためだ。

御役目に選ばれた身としては、この辺とか大赦がサポートしてくれないのだろうか?とは思う。まだ返信来ないし。

 

「ちなみに僕は全く思いつかない。知恵を貸してくれ、部長!」

「しょうがないな〜、翔一くんは。んー、そうね例えば……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ああだこうだと話していると、いつの間にかアパートに着いてしまった。ちなみに答えは出ていない。

 

「あ、もう着いちゃった。どうしようお姉ちゃん……」

「……一先ず、駐輪場にとめましょう」

「そうだね」

 

とりあえずトルネイダーを駐輪場に置いてみたが、違和感というか主張がすごい。

 

「うわぁ……」

「すごいわね、どう見ても怪しい」

「怪しいというよりは、主張が激しいね」

 

真新しく鮮やかなトルネイダーの赤が年月により少しくすんだアパートの白と対比となり、より存在感がある。

端的に言えば周りからすごく浮いている。

トルネイダーと入れ替わった自転車も赤くはあったが、もっと落ち着いた色味だった。

 

「ほんとに…どうしようかしら」

「そうなんだよね、トルネイダーが元の自転車になれるなら解決するんだけど……」

 

そう呟いた時、まるで分かったとでも言うようにトルネイダーのヘッドライトが点滅した。

その点滅は急に激しくなり、今日何度目かの視界が白く染まる。

目の調子が戻ると、トルネイダーのいた場所には僕の使っていた自転車があった。

 

「うえぇ⁉︎」

「なんだ、初めからこうすれば良かったじゃない」

「そうだね。結構悩んだけどこれで解決したね」

「って、なんでお姉ちゃんと翔一さんは平然としてるの⁉︎」

「樹、世の中色々あるのよ」

「樹ちゃん、世の中色々あるんだよ」

「色々って何なのぉ〜」

 

色々は色々だよ。いきなり変なところで戦わされたり、よく分からない力に目覚めちゃったり、今日1日で驚きが飽和気味だよ。

 

「今のは何だ?…って、おや?翔一君たちか、おかえり」

「おやっさん、ただいま」

「ただいまです、大家さん」

「た、ただいま、です」

 

トルネイダーが放った光に驚き、確認に来たおやっさんと鉢合わせる。

初めは驚いた表情だったが僕らに気付くといつもの柔和な表情となり、おかえりと言ってくれる。ただ……

 

「ところで翔一君、最近、体の調子は大丈夫かい?気分が悪くなったりとかはないかい?」

 

先月、自分の部屋で倒れてから過保護気味になってしまった。

 

「大丈夫ですよ、むしろ以前より調子が良いぐらいです。…って、一昨日も同じ事言ってましたよ」

「そうかい?でも無理だけはしないようにね。風ちゃん、翔一君を頼むよ」

「はい、翔一は見張ってないと危なっかしいので」

「ちょっと風、ひどくない?倒れたのだってもう先月のことだよ」

()()、先月のことなのよ。だいたい1日に2回も倒れるだなんてよっぽどの事なんだから!」

「ふ、2人とも私から言ったけども、そのくらいにしたらどうだい?この時間はまだ冷えるし、ほら樹ちゃんが慌ててるよ」

 

声が荒くなり始めた僕らをおやっさんが仲裁し、そのまま一先ず互いの部屋に帰る。

 

部屋に戻り、冷静になった僕はメッセージアプリのNARUKOで風に一言謝りのメッセージを送っておき、シャワーを浴びて部屋着に着替え、夜ご飯の準備に取り掛かる。

おやっさんが言っていた通りまだまだ夜は冷えるので今夜は鍋にしようと決めていた。

 

夜ご飯の鍋の準備をしながら考える。

 

 

世界を滅ぼそうとする人類の敵、バーテックスの存在。

それに対抗する為の人類の戦士、勇者とアギトの存在。

大赦によって秘匿されていた真実は、僕らの日常が誰かの頑張りの上に成り立っていた事を示唆している。

そうじゃなかったらとっくに世界は滅んでいる。

ただ、そうなると僕ら以前の勇者たちは一体何処で何をしているのだろうか……

 

 

更に沈み込もうとする思考をチャイムの音が呼び戻す。どうやら2人が来たようだ。

一旦コンロの火を止め、玄関へと迎えに行く。

 

「いらっしゃい2人とも。さあさあ入って」

「じゃまするわよー」

「お、おじゃまします」

 

部屋の構造自体は変わらないし、何度か僕の部屋に来たことがあるので迷わず洗面所へ。そこで手を洗ってからリビングに向かう2人。

リビングにはシンプルなローテーブルがあり、それを囲むように座る。

ちなみにこのテーブルは冬の時期はコタツになる。

 

「あの時言ってたからね〜、期待してるわよん」

「お姉ちゃんの料理もですけど、翔一さんの料理も美味しいですから楽しみです」

「うわっ、ハードル高そうだなぁ」

「で、一体何が出るのかしら?」

「本日の料理は、鶏の豆乳鍋となっております」

 

鍋の中にはネギに白菜、一口大に切った鶏むね肉と鶏団子が入っている。シンプルだけどこれがまた美味しい。

 

「ほほう、これはまたなかなかな女子力ですなぁ」

「お褒めに与り、恐縮でございます」

「お姉ちゃんも翔一さんも一体何キャラなんですか……」

「と、おふざけはここまで。どうぞ、冷めないうちに」

「「「 いただきます 」」」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

2人が帰った後、歯を磨き明日の準備をしているとNARUKOの通知音が鳴った。

送り主を確認すると風からだった。何だろう?

 

[明日なんだけど、大丈夫かしら……]

[大丈夫かしら……って、テストか何かあったっけ?]

[違うわよ!……友奈と東郷のことよ]

[明日、ちゃんと説明すればいいんじゃない?あの2人なら許してくれるよ]

[でも……]

[あの2人に限ったことじゃないけど、普段の風を見てれば風がわざと黙ってた訳じゃないって分かるよ。だから大丈夫じゃないかな。なせば大抵なんとかなる、でしょ?]

 

すぐに既読がつくが返信に間があく。

 

[ありがとう、翔一]

[どういたしまして]

[まぁ、骨は拾ってあげるから]

[いや、死なないからね⁉︎]

[……東郷なら吊るしてくるかもしれない]

[はっ!そうだった!]

 

打てば響くようなテンポのいいやりとりにふと口角が上がるのが分かる。その後も他愛ない会話が弾む。

ふと、時計を見るともうすぐで10時になるところだった。

 

[そろそろ寝るとするよ、おやすみ風]

[あたしもそうするわ、おやすみ翔一]

 

文面からしか分からないが、とりあえず調子は戻ったようなので、後は寝たらそれなりに気持ちの整理がついているだろう。

五箇条が実行できているようで何よりだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

とある部屋、照明の点いていない真っ暗な中で、青白く光るパソコンの前に座る人影。その人影は携帯電話を取り出すとどこかへ電話をかけた。

 

『……なんだ』

 

数回のコールの後に携帯のスピーカーから聞こえる不機嫌そうな男の声。

 

『ターゲットは無事、覚醒した模様です。例の物もターゲットのもとに現れました』

『そうか……、引き続き監視を怠るな』

『承知しました。失礼します』

 

そう言いきる前に電話を切られる。人影はため息をつき画面を見る。

その見つめる先のパソコンの画面には、どこかのアパートの駐輪場で赤いバイクの前にたたずむ制服姿の3人の少年少女が映っていた。

 

 

 





ここにあったオリキャラ設定は、設定2の項目へと移りました。
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