Change yourself,Keep yourself.   作:バーテックスケベ

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ひぃー、この回ムズカシスギィ!
アニメ本編でもコミックでも東郷さんが無双しすぎなんよ(白目)



注:今回、後半部分のほとんどが地の文となってしまいました。
一応、面倒になった人の為に後書きにざっくりとまとめておきました。




第4話 青の嵐

東郷が勇者に変身した。足の不自由さを補うためなのだろうか、4本の紐状の触手が東郷を支えていた。

 

「綺麗……」

 

友奈がポツリと零す。

東郷が静かに右腕を前に出すと、着物を着た狸の精霊とともに武器である小型の銃がその手に現れる。

サソリ座が再び尻尾を持ち上げ、針を振り下ろそうとする。

東郷は冷静に引き金を引き、打ち出された弾丸はその針を半ばから砕き折る。

 

「……もう友奈ちゃんには手出しさせない」

 

そう言うと精霊と武器が入れ替わる。

着物を着た狸の精霊が火の玉のような精霊へ、小型の銃がより大きい二丁の銃へと変わった。

それをサソリ座に向かって絶え間なく撃ち続ける。

 

「すごい、東郷さん…これなら……!」

 

百発百中の東郷に友奈の顔が明るくなる。

そして、ついに東郷の猛攻撃にサソリ座の巨体が揺らぐ。

そこではたと気付き、東郷の近くに跳躍する。その途中で念のため揺れているサソリ座の側面に蹴りを入れて転ばし、2人の近くに着地する。

 

「友奈、東郷!」

「翔一先輩……」

「最上先輩、私……私も一緒に戦います!」

 

そう言ってこちらを見る東郷。その翡翠色の瞳には確固たる覚悟があった。

 

「……分かった。背中は任せるぞ、東郷」

「はいっ!」

 

東郷は嬉しそうに頷いた。

 

「友奈」

「なんですか?翔一先輩」

「アイツを投げて向こうのカニ座にぶつける。方向を教えてくれ」

「分かりましたっ!」

 

倒れていた友奈に手を貸し、立たせて簡単に指示を出す。

東郷が勇者になれたが、アプリのテキストによると封印の儀をするには勇者が3人以上必要らしい。

それならこのサソリ座をぶつけるか、ぶつからずとも敵の動きが少しは止まるはずだ。

 

「友奈、どっちの方向だ」

「えーっと……あっちです!」

 

スマホのマップを見ていた友奈が、そう言ってある方向を指差す。

 

「ゆ、友奈ちゃん、流石にあっちだけだと先輩が分からないとおm」

「よし、あっちか……でりゃあっ!」

 

針の折れた尻尾を掴んで、友奈が指差した方向へ駆け出す。

すると尻尾がピンっと張る感覚が伝わってきた。

その瞬間に強く踏み込み、背負い投げの要領で尻尾を巻き込むように引っ張ると、サソリ座が浮かび上がる。

タイミングよく尻尾から手を離しサソリ座を投擲する。

 

「えぇ……」

「東郷さん、行こっ!」

「うん、友奈ちゃん」

 

何やら呆れたような声を出した東郷だが、友奈に手を差し出されると、瞬時に嬉しそうな顔になりその手を取って動き出す。

俺はサソリ座の飛んでいった方向を気にしながら2人の後に続いた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

翔一からの電話が切れた後も私と樹はカニ座の反射する大量の矢から逃げていた。

ちょうど目に入った樹海の根の陰に隠れてひと息つくが、根の両側には今も矢が飛んできている。

 

「あ"ー、もう!ほんとに、しつこいんだから!」

「ど、どうしよう、お姉ちゃん……」

 

樹が困った顔で聞いてくるが、正直なところ私も困ってる。

この状況を打開しようにも、私の大剣は大きく出来るがその分動きが鈍くなるし、樹のワイヤーは敵の切断は出来るがそれ以外は全くの未知数だ。

 

『早く来てよ、翔一』

 

思わずそうこぼしそうになる。でもダメ、ここで弱音は吐けない。

 

「……ぅん?」

「どうしたの、樹」

 

樹が何かに気付いたのか小さく声をあげた。

 

「なんか地面が暗く……って、えええええ⁉︎」

「ほんとにどうしt……何か飛んでキタァー⁉︎」

 

次の瞬間、カニ座に向かって何かが飛来し、その何かとカニ座がもつれ合うように重い音を響かせながら倒れた。

 

「おーい、そのエビ、運んできたよーーっ」

「友奈ちゃん、あれはサソリよ」

 

何事かと根の陰から出てみると、そう言い手を振りながら友奈と変身した東郷が、少し遅れて翔一が近くに着地した。

 

「友奈、東郷、翔一……」

「……意外と上手くいったな、友奈」

「ばっちりでしたね、翔一先輩!」

「って、アレはアンタらの仕業かいっ!」

 

思わずツッコミを入れてしまった私は悪くない。

 

「東郷先輩……!」

「遠くの敵は私が狙撃します」

「……東郷、戦ってくれるの?」

 

私がそう聞くと、東郷は頷いてくれた。

 

「援護は任せてください」

「わかった。お願いするわ、東郷」

 

これでこっちの戦力が全て揃った。

 

「手前の2匹、まとめてやるわよ!散開っ!」

「「 オーケー 」」

「……不意の攻撃には気を付けて!」

「「 はいっ! 」」

「アタシのより、返事がいい……」

 

友奈だけでなく樹まで……っと、いけない切り替えなくちゃね。

さぁ、ここからは私たちの攻撃(ステージ)よ!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

3人が封印の儀でカニ座とサソリ座を相手している間、俺は東郷の少し前の位置で警戒しながら、事の成り行きを見守っていた。

未だにヒルコが姿を見せていない事が引っかかっていたからだ。

昨日の襲撃であれほどアギトに攻撃的だったヤツが今回はいない、なんて事は無い。

必ず何処かにいる。

何故そう思うのかと問われれば、正直答えに窮するがどこか確信めいたものがあった。

 

射手座の攻撃の悉くを、東郷はその正確無比な射撃で撃ち落とし、反撃を加えている。

 

視界の端で虹色の光が立ち昇る。

どうやら風たちがあの2体を倒したようだ。

その光はしばらくあたりを漂うと、射手座に向かって飛んでいった。

 

「もしや……」

 

飛んでいった光は射手座の背部にある突起物にそれぞれ入り込んだ。

その現象で姿の見えなかったヒルコの居場所に見当がつく。

 

光が全て入ると突然、射手座がぐるりと体を縦に回転させる。

背部の突起物をこちらに向けると、その突起物は2つ、勢いよく放物線を描きながら飛んできた。

それは放物線の頂点を過ぎ、落下し始めるとピシリと真っ直ぐな線が入り、2つに割れる。

中には、奴らが入っていた。

前回のように変形してはいたがアレらはヒルコだ。

 

1体は全体的にずんぐりとした体格で、上半身はまるで鎧を着ているみたいだった。

特徴的な口は見えず、代わりに蟹の目のようなものが生えて両手は巨大な赤い鋏になっていた。

 

もう1体は反対にスマートな体格で、刺々しいフォルム、顔の半分が甲冑のような装甲で覆われ、その下に見える口は牙がむき出しになっていた。前腕部が膨れ上がり手の甲側に黄色の鋭い針があった。

 

おそらくずんぐりとした方がカニ座を吸収し、スマートな方がサソリ座を吸収したのだろう。

ずんぐりしたのを蟹ヒルコ、スマートなのを蠍ヒルコとしよう。

 

「なるほど、最初からあそこにいたのか」

「どうしますか?最上先輩」

「…東郷はそのまま射手座を。アイツらは俺がやる。風たちが射手座を倒し次第、俺の援護を頼む」

「わかりました……先輩」

 

いざ駆け出そうとしたところを東郷に引き止められる。

 

「なんだ?」

「御武運を」

「……ありがとう。行ってくる」

 

 

 

2体が落ちると予想される場所へ走ると、蟹ヒルコは見た目通りに重いのか既に地上に降りていたが、蠍ヒルコはまだ空中にいるのが見えた。

幸いなことに、2体ともまだこちらに気付いていないようだ。

このチャンスを逃さないように走りながら角、クロスホーンを展開し力を解放する。

 

「ハッ!」

 

蠍ヒルコの足が地に着く直前に踏み切り、その無防備な背中に必殺の蹴り(ライダーキック)を叩き込む。

 

『shaaaaa⁉︎』

 

背後からの奇襲に気付き、奇声を上げながら振り向くがもう遅い。

蹴りをもろに受けて吹き飛び、転がりながら砂へと還る蠍ヒルコ。

 

「……まずは、1」

『gigigi……‼︎』

 

向かい合った蟹ヒルコは泡を吹きながら、不機嫌そうに貝殻を擦り合わせるような音を出す。

 

蟹ヒルコに向かって駆け出し、真正面から攻撃をする……フェイントをかける。

 

右拳を引き絞り、左で軽く踏み込む。

 

それに対し蟹ヒルコは右の鋏を振りかぶる。

 

その鋏が振り下ろされる瞬間、踏み込んだ左足で跳躍して蟹ヒルコの上を飛び越え、背後に着地。

即座に体の向きを変え、その勢いも乗せたパンチで背中を殴る。

 

「っ……‼︎」

 

当てた直後に後ろへ飛んで距離を取ると、蟹ヒルコが振り向きざまに振るった左の鋏が空振る。

 

……まるで素手で鉄板を殴ったかのように硬く鈍い感触だった。

殴った手の痺れを、強く握ることでかき消す。

 

『 gi gi gi gi gi 』

 

今度は機嫌良さげに先程より高めの音を出す。

前回といい、さっきの蠍ヒルコといい、ヒルコ達はかなり感情豊かだ。

……今のは煽られているようで、正直、少しムカついた。

 

「なら、ハァァ……」

 

独特の構えを取り、クロスホーンを展開する。

地面に現れたアギトの紋章からエネルギーを右足に集約する。

 

「フッ、タァッ!」

 

驚いたことに蟹ヒルコは仁王立ちのまま蹴りをくらった……いや、受け止めた。

 

「ッ‼︎…グァ……ガハッ‼︎」

 

蹴りを止められ無防備になった俺を、蟹ヒルコは左の鋏で足を挟み、1度地面に叩きつけると無造作に投げた。

 

投げられた俺は空中で何かに跳ね返されて、蟹ヒルコのもとに戻され右の鋏で首を掴まれ持ち上げられる。

 

持ち上げられ、視界が上に向けられて気付いた。

俺と蟹ヒルコを囲むように大小様々な透明な泡が浮かんでいた。

 

「ゥァ……クッ……‼︎」

 

首を掴む鋏の力が少しずつ強まる。

 

『 gi!gi!gi!gi!gi!』

 

いたぶるように、弄ぶようにじわじわと力を強め、嘲笑のような音を出す蟹ヒルコ。

頭に血液と酸素が巡らず意識が薄れるなか、本能的にオルタリングの左のスイッチを押した。

 

すると突然、突風が吹き蟹ヒルコと奴の撒いた泡を吹き飛ばす。

 

「ゲホッ……ハァ……ハァ……」

 

乱れた息をなんとか整える。

オルタリングを見るとその中央と左のドラゴンズアイが青く輝いていた。

 

「なんだ……これ……」

 

オルタリングが一瞬強く光るとそこから棒状の何かが飛び出した。

その棒を引き抜くと、長く伸び両端にある刃が展開した。

それと同時に左肩のアーマーが丸く隆起し、胸部装甲とともに青色に変化する。

 

 

アギトの特殊形態が1つ、

 

風の力を宿す姿『 超越精神の青(ストームフォーム)

 

そしてその武器、嵐の槍斧(ストームハルバード)である。

 

 

 

「ははっ、これは……聞いてなかったな」

 

聞いていなかったが使い方はわかる。それなら好都合だ。

 

具合を確認するために2、3度ハルバードを振る。

振った影響か風が巻き起こる。

右足を引きハルバードの刃先を蟹ヒルコに向け、槍術における左前半身の構えを取る。

 

 

沈黙

 

 

相手を視て、出方を探る睨み合い。

それは数秒だったかもしれないし、数分だったかもしれない。

永遠にも感じた沈黙は泡の1つが弾けた瞬間、破られた。

 

『 g i i i i i i ‼︎ 』

「ハァァァッ‼︎」

 

互いの得物を構えて走り出す。

こちらはハルバードを、あちらは自前の鋏を。

あと1歩で奴の間合いに入るというところで風を操り、急加速する。

 

 

振り下ろされる右の鋏をくぐり抜け、槍斧の両断(ハルバードスラッシュ)

 

 

腰元から両断された蟹ヒルコは、不快な断末魔をあげながら砂へと還った。

 

「……これで、2」

 

 

ハルバードを杖にし、ひと息つく……流石に今の戦いは危なかった。

 

その時、直感的に地面に刺したハルバードを引き抜き、後ろへ降ると何かを弾く。

キンッと軽い金属音が鳴り、地面に鉛筆大の針が突き刺さる。

 

針の飛んできた方向を見ると……いた。

大胆にも隆起した根の上に左膝を立てた片膝立ちでこちらを狙う怪人、射手ヒルコがいた。

 

その右腕が現代的な形の青い銃になり、頭部はカメラのレンズのような1つ目へと変形していた。

 

外したことが分かったのか、銃口を天に向け1度だけ上下させると再び右腕を伸ばし構え、再びの狙撃。

 

分かりきったそれを体の前でハルバードを高速回転させ弾く。

そのままハルバードの柄を半分ほどで持って、右足を引き真半身になりハルバードを持った右腕を引く。

クロスホーンを展開し、力を解放する。

さらに風の力をハルバードに纏わせる。

 

しかし、敵はその隙を逃すほどバカではない。

 

素早く3度目の装填の動作をして撃つ。

その直前に横から放たれた青い弾丸が銃口に当たり、銃口をはね上げる。

 

そんな事をされると思わなかったのか一瞬硬直する射手ヒルコ。

今度はあちらが隙を晒した。逃す手は無い。

 

十分に狙いを付け、抑え付けられていたバネが跳ねるように、全身を使い渾身の力で投擲する。

 

当然立ち上がり避けようとする敵。

しかし、その右膝を青い弾丸が撃ち抜きその場に留める。

敵は最後の足掻きなのか腕を組み、ガードの体勢をするがそれは許さない。

 

投げられたハルバードは、ガードする為に組んだ腕ごと敵の上半身を貫いた。

 

「……これで、3」

 

そう呟くと世界が白く染まりだす。

樹海化が解けるようだ。

スマホを確認すると全員の反応があった。

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

樹海化が解けると、昨日と同じ校舎の屋上だった。

 

「東郷さん!かっこよかったよ〜、ドキッとしちゃった!」

 

そう言って車椅子に座る東郷に抱き付く友奈。

満更でもなさそうな東郷。

 

「……そんな、私……」

「本当に助かったわ、東郷」

「そうだよ東郷、最後の支援は助かったよ」

 

東郷は謙遜したが、銃口という小さな的に当てるなんて凄いとしか言えなかった。

 

「……風先輩、覚悟はできました。私も勇者として頑張ります」

「……東郷、ありがとう!」

「これからは一緒に国防に励もう」

「……国防……はいっ!」

 

国防の言葉に反応し、目を輝かせる東郷。

 

「あ、そういえば友奈ちゃん、課題は?」

「あッ⁉︎課題……明日までだった。アプリの説明テキストばっかり読んでて……」

「ふふ、そこは守らないから頑張ってね」

「そんなー」

「勇者も勉強も両立よ」

 

友奈とのやり取りで東郷は、憑き物が落ちたような晴れやかな笑顔を浮かべていた。

 

 

〜〜〜〜〜 駐輪場 〜〜〜〜〜

 

 

その後は祝勝会ということで、いつもの『かめや』に寄り道することになった。

ひとまず駐輪場にトルネイダーを回収しに行く。

 

「〜 ♪ ……ん?あれ?」

「何よ翔一、アンタまたなんかあったの?」

「いや、大丈夫なんだけど、なんて言うか…….その……なんかトルネイダーの色薄くない?」

「ぅん?そう言われれば……少し薄くなってるわネ」

「あ、ホントだ。ちょっとピンクっぽくなってますね」

 

どうしてだろうか……!、ひょっとして

 

「今日の戦いで活躍できなかったから落ち込んでるの?」

 

そう言うとトルネイダーの色が、さっきより薄くなった。

……どうやら当たっていたらしい。

 

「えぇ……」

「プフッ、なかなかかわいいとこあるじゃないの、この子」

「あ、また薄くなった」

 

何か言われるたび、徐々に薄くなる色。

トルネイダーはピンクを通り越して白くなり始めた。

 

 

その後、元の赤色に戻るのに10分ほど慰めるはめになった。

 

 




後半まとめ!

蠍ヒルコ(モデル:スコルピオワーム)
・背後からの不意打ち&着地狩りを食らうの巻。
・めぼしい活躍も無く退場。
・没にしたけど主人公を苦戦させる予定だった。
・多分、敵キャラで1番不遇なやつ。

蟹ヒルコ(モデル:ボルキャンサー)
・ライダーキックを耐えるカチカチ防御。
・でもストームハルバードには勝てなかったよぉ〜(泡ぶく)
・蠍ヒルコとタッグで主人公を苦しめるはずだったのにぃ……!
・その為の右手(鋏)

射手ヒルコ(モデル:トリガードーパント)
・同じ場所で狙撃し続けちゃぁ、ダメだろ。
・某13な女子中学生からの狙撃にびっくり。
・膝に矢(銃弾)を受けてしまってな……。
・ズガーン(胴体貫通)



なんだか主人公がゴ◯リンスレイヤーみたいに容赦無くなってた。
……まぁ、いいや(思考停止)。

次回はオリジナルの幕間になる予定です。








オオカミノさんに食べられたい
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