あの娘の彼女です   作:まつりごと

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箸休めに書いて行く予定のSSです。メインは連載中の沙綾SSである支える君を支えたいの方ですのであしからず。それでもみさここを書きたい衝動が抑えられませんでした

まあ気楽に読んでいただければ幸いです。


天真爛漫な少女と平凡少女

「ねえ美咲」

「ん、なにこころ」

「恋人ってなんなのかしら」

「はい?」

 

定期テストに向けての勉強中の出来事。

唐突の質問にあたしは生返事と二度見。あのこころから急に「恋人」というワードが口から出たことが驚きだった。

 

「ど、どうしたの急に……」

「先日ね、お父様のパーティーに参加したの。その時のお客さまがね『恋人はいるの?』って聞かれたのよ。でもあたし、恋人なんていたことないの」

「いやあたしもいたことないし……」

 

恋人いない歴=年齢に加えて、今は女子校通い。「恋人」という2文字は脳内の予測変換の候補にすら挙がらない。そのくらい今は無縁な言葉だ。

 

「こころはその、恋人ってどんなものかわかる?」

「大好きな人のことよね!」

「ならさ、今こころは誰か好きな人とかいるの……?」

 

うわあ、こころとこんな話題で話すとは思わなかった。恋バナとか普段他の友達ですら滅多にしかしないし、周りがしてもノータッチか話を適当にあしらう側だし、自ら話題ふったの初めてかも。

 

「ええもちろん!世界中のみんな大好きよ!」

 

あーうん、ですよね。さすが弦巻こころ。らしい解答が返って来た。世界平和を願う少女を想像しろと言われたら弦巻こころを想像すればそれが満点解答。「世界を笑顔に!」も実際本気で思ってるからね。

 

「んーそれは好きな人ではないかな」

「あら残念。なら美咲。好きな人って呼べる人はどんな人なのかしら?」

「えっと、その人と特に一緒にいたい……とか?その人にもっと好きになってもらい……とか?まあそんな感じ」

 

いや、知らないけど。

 

頭を少し傾げながら考えるこころ。

こころに見合う恋人なんているのだろうか。いるならきっとその人は名家の子で、博識で、聖人のような心の持ち主なんだろう。

 

あたしとこころでは住む世界が元々違うのだ。住む世界も違ければ視ている世界も全く違う。私が10のことを知ってやっと1の発見をするなら、きっとこころは10も、20も、100も、新たに発見をして楽しむ。それが弦巻こころの魅力であり他一部が距離を置く理由でもあるけど。

 

「わかったわ!」

「へー、誰々?」

 

って聞いてもわからないか。もしくはなんとか大臣の子供とか。

この娘の答えはいつもあたしの斜め上を通る。今回だってきっとそうさ。

ペンを机に置いて勢いよくあたしのほうを向く。

 

 

 

「それは美咲よ!」

「へーあたしねー……ん?」

「美咲、恋人になりましょう!」

 

 

 

ひょっとしてギャグで言っているのか?んーわからない。こころが考え着いた先がよくわからない。斜めどころか真上。

 

「えっ、なんであたしなの?」

「……?だって美咲が言ったじゃない。特に一緒にいたい。もっと好きになりたい人が好きな人だって」

「今でも半分以上は一緒に居るし」

「あたしは美咲ともっと居たいわ」

「そもそもこころはあたしが好きなの?」

「ええ、もちろん大好きよ!」

 

こういうことを無意識で言いますかね。あたしは無理、言ったあと耳と顔赤くする自信ある……じゃなくて!この子、ライクとラブの違いがわかってないんじゃ。

 

「あのーこころさん?あなたの言ってる好きっていうのはlikeであってloveじゃない……」

「んーよくわからないわ。でも、好きっていう感情は本物よ?」

「……。それに!普通恋人って男の人と女の人のこと指すよ?あたし女、こころも女」

「確かにそれもそうね。でもね美咲、世界にはいろんな形の恋人がいるの!きっと恋人に性別も種族も関係ないのよ!」

 

なんでそんなこと言えてるのに肝心な恋そのものに対しては無知なのか……。

 

「ねえ美咲!美咲もわからないなら一緒に知りましょう!わたしと恋人になってわかりあいましょう!」

 

ここまできたらこころを手がつけられない。

 

……あたしだけじゃ視れない世界。こころとならみせてくれるのかな。

あたしの目に映る世界も、楽しく美しく見える時が来るのかな。

 

「……はあ、わかったよこころ。付き合うよ」

 

あたしもハロハピ色に染まっちゃったのか、それともヤケになってしまったのか。そのまた両方なのか。

あたしの返事に対して、こころは曇り1つのない笑顔を見せた。

 

「じゃあ美咲!恋人になる段取りを踏みましょう!」

 

勢いよく背を立つこころ。そしてしっかりとあたしを見つめる。

 

「美咲!あたしと恋人になってちょうだい!」

 

なるほど、段取りってこういうこと。こんな時だけ律儀だなあ。

乗りかかった船。あたしもつられるように席を立ち面と向かう。

 

「はい、お願いします」

 

告白した少女は、された少女よりも少し背丈の小さく、その少女は天真爛漫である。そして世界有数の名家の一人娘。対してごく普通の家庭の長女のあたし。特に取り柄もない。そんな少女が告白を受ける。

 

ここに、不釣り合いな女同士の恋人が誕生したのであった。




こころの知識の線引きクッソ難しい。どこまでは知ってるのかすら謎。

次回は未定ですが、忘れ去られないうちにあげたいと思います。是非感想や評価つけていただけると幸いです。

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