あの娘の彼女です   作:まつりごと

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残すはハロハピ2章となりましたね。美咲が☆4枠なら全力でお迎えしにいきたいなあ


寄り道の眠り姫

出会いと別れの季節が過ぎ、華やかな色合いから目に優しい色へと移り変わる薫風の候も過ぎ、入梅の候へと入った。

教室の窓から空を見つめる。

そこには晴々とした空がこちらに顔を覗かせる。もう時期梅雨に入るというのにそれを一切匂わせない空模様をしている。

 

「いい天気」

 

ひとりでに呟く。誰に返事を求めるでもなく、ただただその場に言の葉が溢れでた。

部活日和だし今日も頑張ろう。梅雨になったら室内練習が続いていくから、コートで目一杯練習できるのもこの先当分はないだろうし。

 

「ホームルーム始めるぞ〜」

 

担任が教壇の前に立ち生徒に呼びかけ生徒は自身の席にすわる。

 

「えー突然なんだが、本日この後緊急の職員会議があるので全部活中止となります。では挨拶してみなさん帰りましょう」

 

やったー!と歓声が教室を響き渡らせる。

んーせっかくやる気だったのに。でもまあバンドの練習もないし、久しぶりにゆっくりできそう。

 

「こころ一緒に帰ろ。アンタも天文部の活動ないし」

「ええ一緒に帰りましょう!」

 

特に学校に用事もなく、こころを呼び寄せた後すぐさま教室を抜け出した。

 

 

 

こころと一緒に帰るのはテスト明け以来だっただろうか。あの時はひたすら寝不足で帰りたい一心だった。そのくらいしか覚えていない。

あと一つ覚えているとしたらあれだろうか。こころの手の温もり。これだけは鮮明に覚えている。あたしより少し小さく細い指を。あたしの指は親指から小指全てがそれを感じていた。あたしよりも体温が高く、温かさと共にエネルギーのようなナニかが身体全体を巡りゆく感覚があった。幼い頃に握っていたお母さんやお父さんとはまた違う気持ちになった。

職員会議によって一斉に生徒が下校しているために、いつもよりも帰り道に同じ制服の姿をちらほらと見かける。

 

「今日はあの公園に行ってみたいわね!」

「はいはい、今日なら付き合ってあげますよー」

 

こころとはハロハピ結成後何度か帰ることはあった。その毎度、こころは楽しいもの探しを途中でし始める。

 

「でもあそこ、何かあったかな」

「別に問題ないわ!」

 

この子は人並み以上に感受性が豊かで、きっとアスファルトの割れ目に咲く花でさえ美しく素晴らしいものだって思っている。そこまでいけば、さぞかし世界が明るく見えることだろう。今回もきっとなにかしらを見つけるんだろうな。

 

「ねえ美咲」

「ん?なにこころ」

「今日は手を繋がないのかしら?」

「……えっと、この前言ったことは覚えてる?バンド練習の時の」

 

大まかに言ってしまえば付き合っていることバレないように過ごす。というのがあたしとこころのあいだで決めた約束事だった。

 

「今ここで手なんか繋いだら周りの同じ学校の人にバレちゃうから」

「全く知らない人でもバレたらダメなの?」

「いや……それは……」

 

恥ずかしい。この一言で理由は説明できてしまうほど他人の目を気にして恥ずかしがってしまう。

 

「……あたしは美咲と手を繋ぎたいわ」

 

いつも元気で周りをも巻き込むような声で話す彼女が、ねだるように小さな声であたしにだけ聞こえるように言漏らす。

 

「手、出して。……これが限界だから。これ以上は無理」

 

こころの左小指をそっと自分の右小指に絡める。いわゆる小指繋ぎである。

これならまだギリギリ自然に見える……はず。そう信じたい。

 

「ねえ美咲?」

「……なに」

「どうしてそっちのほうばかり見ているの?」

「……なんでもない」

 

アンタがズルいからよ……バカこころ。

顔を見られないように、こころよりも少しだけ早歩きで歩く。

 

 

 

学校から約15分ほどで着く位置に公園がポツリと存在する。子供の遊べる遊具に自販機、そして球技を少し楽しめる程度のスペースと公園の隅にあるベンチ。至って普通の公園だ。ここにこころは何かしらの楽しいことがあると思ってやってきたのだろうか。

 

「あそこのベンチに座りましょう!」

 

指をさした先には2人掛けのベンチ。特になにか特別な仕掛けなど一切ないただのベンチ。周りにももちろんなにも存在しない。それにこころは一体どんな魅力を見出したのか、まるっきりわからない。

 

「なんかこのベンチに面白いことでもあるの?」

「それはね、美咲とお話しすることよ!」

「え、いつもの楽しいこと探しは」

「今からするんじゃない。美咲とゆっくりお話がしたいの!」

「ふふっ変なの。いーよ、お話しよっか」

 

まっすぐに見つめる瞳。その大きな瞳を鏡となってあたしを映していた。

しかし瞳を覗いていると、なにやらこころの瞳は何かを捉えたように別のものを映し出した。

 

「こころなに見てるの」

「あそこの親子よ」

 

公園の遊具で遊ぶ元気な子供と、それを見守るように座る母親の姿があった。

 

「楽しそうだね。あの子」

「そうね、とても楽しそうね」

「こころは親に休みの日とか遊んでもらってた?」

「普段はお母様に遊んでいてもらっていたけど、お父様とはたくさんは遊べなかったわ。でも空いた時には遊んでくれたり、誕生日のような大切な日は必ず家族と過ごしてくれていたわ」

 

大切に、大事に親2人から育まれていたんだな。話している姿だけでわかる。

いろいろ常識知らずなところはあっても、決して非常識ではなさい。人から少し近寄りがたい存在と思われても、人を惹きつける魅力がある。

弦巻こころは、親の愛情で今の弦巻こころがあるんだ。

 

「こころ、ちょっとあたし飲み物買ってくるね」

 

さっきの話を聞いていてあたしは弦巻こころの本質。こころの中身に興味を持った。

ただ表の顔だけではきっとわからないことがある。表の顔、と言ってもきっとこころは裏も表もない。言っていることやっていることは紛れもなく本心。そんな彼女を、全て知りたい。

 

「あたしのはこれで、こころのもなんか買っておこう」

自分の分にお茶を買い、こころにはカルピスを買ってベンチに戻る。

 

「おまたせこころ……こころ?」

 

寝てるし。この数分にも満たない時間席を外しただけなのに喋りたがりなお姫様はいつのまにか眠り姫になっていらっしゃるようだ。

 

「ほらこころ起きて。起きないとほっぺツンツンするよ」

「……」

 

起きない。……本当に触ってみよう

人差し指でほんの少し触れてみる……柔らかっ!え、なにこの柔らかさ。マシュマロみたいな柔らかさと例えがちだが、それ以上に柔らかい。女として羨ましいし、少し悔しさがあるの。

そんなことをしているとこころの髪が揺れる。揺れた正体はどこからとなく吹いた風だった。心地よい風に、程よく暖かい陽の光が木漏れ日としてベンチにいるあたしたちに射し込む。この環境で昼寝ができたら最高、と言わんばかりの快適な空間が誕生していた。

なるほどね、これはウトウトしてしまいたくなるのもわからないでもない。

そっとこころの横のに戻り横顔を見つめる。気持ちよさそうに寝てるなあ。

風が吹くとともにこころの身体も少し揺れる。座りながら寝るのってわかってることだけど、後々身体が痛くなることもある。それに公園のベンチだし。

 

「……ほら、こっちおいで」

 

自分の太ももへと、こころを横に倒す。身体をこんなに動かしても眠り続けるところも、なんら子供と変わらない。

学校の授業が終わった後の身体は少し眠気を覚えている。運動していたら別だが、こんな気持ちいい風を浴びながらゆっくりとすごしていて、加えてすぐそこで寝ている人がいるとなるとつられて眠くなる。

 

あたしも少し寝ようかな。

 

少しずつ視界が閉じていく。全て暗闇にならず、ほのかな光によって淡い白色が混じっているようだ。

晴れたの放課後の寄り道。これも案外、悪くないものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みさき……?」

「……」

「…………♪」




作者の手によって部活は休み(暴論)

改めて思ういますけど、部活やったり一部では生徒会に所属していながらバンドの練習って相当ハードですよね。休みの日とか全くなさそうですけど、これもまた青春。なんでしょうかね

ふと思いましたが、後々この小説の季節は現実世界の季節に追いついて、追い越して、また追いついてしまう時が来るかもしれませんね。現実では真冬なのに海回。うーん寒い


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