あの娘の彼女です   作:まつりごと

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一番好きな自然の音は波の音です


雨とフェルト

「梅雨の時期になってきたね、ソラジ○ー」今朝のお天気コーナーで男性がマスコットキャラに対して投げかけていたこと朝のテレビを思い出した。

シトシトと降る雨は嫌いじゃない。適度な雑音は何かしらに取り組む時に丁度いい。傘や葉に雨が弾き合う音なんかが特に好きだったりする。

 

「あちゃー……」

 

それでも物事には限度というものがある。

見事なまでの降る様にため息がでる。

雨音は好きでも雨自体好きではない。濡れるし、洗濯物乾かないし、部活もロクにできない。雨水が靴の中に染み込んでいく瞬間なんて嫌で仕方がない。

 

「少しくらい弱まってくれないかな~バイトあるから無理にでも帰るけどさ」

「うあ、それは災難だね」

「まあ室内のバイトなんだけどさ、普段から行くまでが億劫なのに雨だとさらにだるさ増すよね」

 

こんな日にミッシェルの中に入ってバイトしたら湿気と不快感で参ってしまう。

 

「美咲ちゃんは帰らないの?」机の中にしまっていた教科書を鞄にしまいながらクラスメイトが話しかけてる。

「あたしはコレをしながら弱まるのを待つよ」

 

物をしまうクラスメイトに対してあたしは鞄から羊毛フェルトを取りだした。

必要なものはごくわずかで小さなスペースで事足りる。そしてやめ時も自分で決められる。時間をつぶすにはうってつけの趣味。でも完成した作品はあたしが身に着けるにしては少し可愛すぎるために、基本的に妹にあげてる。

じゃあね。と声をかけてクラスメイトはバイトへと向かった。

一人、また一人とクラスメイトは減っていく。バイトに行く者。部室へと足を運ぶ者。雨の中遊ぶ約束をして放課後を満喫する者と、あっという間に教室は静かになった。ただする音は校舎の外から大きな雨粒がノックする音のみ。

捗る。誰からか話をかけられてしまうと集中が乱れてしまって話し込んでしまう。

時間が経ち各部活が活動を始めた頃。吹奏楽部の演奏音や、廊下で練習をする運動部の賭け声。先程からノックをし続ける雨の音と混ざりながら教室の中が静かであっても教室の外からいろんな音が流れてくる。

 

教室の中は静かだ。そう静か過ぎるのである。熱視線が送られながらも静か過ぎるのである。

 

「……なにこころ。さっきからずっと見てて」

「一緒に帰ろうって誘おうとしたら、何かやってたから気になっていたの。これは何かしら?」

「羊毛フェルト。家庭科の授業とか、フェルトで小物作りやらなかった?」

「んー……」記憶にないようだ。

「こころってさ、どんな中学生だったの?」

「特別今と変わらないわよ?楽しいことを探して目一杯楽しんでたわ」

「なんかそれっぽい。むしろ今と違うイメージ湧かないな」

 

こころが礼儀正しいお嬢様キャラ……とかイメージ湧かない。

もしかしたら社交の場ではそうなのかもしれない。けど、普段のイメージが強すぎてね。でもそういえば、豪華客船の時に着てた赤いドレスは似合ってたな……本人には言わないけど。

 

「こころもやってみる?羊毛フェルト」

「あら、あたしもやっていいの?」

「うん。見てるだけじゃつまらないでしょ?一緒にやろ」

「ならやってみようかしら♪」

 

真正面にいたこころは、すぐさま隣の席をあたしの座る席にくっつけて準備を整える。

 

「それでなにを作るのかしら」

「簡単に作れるやつで……ネコとかどうかな」

「ネコね!それじゃあ始めましょう!」

 

 

 

最終下校のチャイムが鳴った。ネコを作り始めておよそ2時間が経過していたようだ。

 

「今日はここまでにしよっか、こころ」

「ええ、そうね」

「こころっていろんなことすぐできるようになったりするよね。前に薫さんの愛馬乗りこなしてたし」

「そうかしら?あれはシルバーが懐いてくれたからよ」

 

最初はこころに対して説明するのが難航していたが、工程が進むにつれてこころの手際が良くなっていった。初心者にしては十分な進捗だろう。

奇行や突発的な発想が印象に強く残るところだが、バンド活動の中でもあらゆるものに対しての成長速度が早い節は何度か目にしている。

 

「羊毛フェルトも楽しいわね♪またやってみたいわ!」

「なら今度あたしが持ってる初心者用の本貸してあげようか?それでネコの途中もできるし」

「それもいいけれど、あたしは美咲と一緒にまたやりたいわ」

 

その意味は一人ではやらないからなのか、あたしとやるから楽しかったのか……

後者だったらいいな。同じ趣味を共有できる人がいたら、もちろんあたしも嬉しいし楽しい。

 

「なら、また今度やろっか」

「ええ♪」

「で、本来の目的の時間つぶしはできたところだけど……」

 

窓を見ずともわかる。2時間前に比べてもそれほど変わらずに雨音が聞こえる。

もうこれは靴が濡れること覚悟で帰らないといつまでも経っても帰れなさそうだ。

 

「仕方ない。帰ろう、こころ」

「そうね帰りましょう。でもまず先生に課題を出さないといけないんだった。羊毛フェルトに熱中していたからすっかり忘れていたわ」

「いや、忘れちゃダメでしょ……」

「あたしは職員室に行ってくるわ。下駄箱で合流しましょ!」

「ん、わかった」

 

先に階段を降りて下駄箱へと向かう。周りを見渡してみると部活の道具を片付けている生徒たちの姿を目にした。久しぶりに部活以外で学校にこんな時間まで残ったな。羊毛フェルトに熱中しすぎていたことをチャイムと周りの姿で認識する。

 

待ち合わせるってことは、一緒に帰るのか。でもそもそもこころは傘を持っているのだろうか。持ってなかったらあたしの傘の中に入れるけど、さすがに雨の中傘をささずに暴れたりはしないだろう。そう願いたい。

 

後者の正面に位置する中央玄関からは校門までを見ることができる。その中に一台の車と黒服を着た女性が扉付近に立っていることも視認できる。

学校に生徒ではなく、黒服の人物。間違いなくこころのところの黒服さんだ。

 

「こんにちは美咲様。お嬢様は今どちらに」

「いま職員室にいます、課題提出のために。たぶんそろそろくると思いますよ」

「そうですか。学校へ登校される際に傘を持っていないと他のものから報告を受けていたので参りました」

「こころ天気予報くらい見ようよ……それはお疲れ様です。でもタイミングバッチリですね。こんな時間に帰るっていうのに」

「いえ、授業が終わる時間と同時にこちらに到着していたので」

「……本当にご苦労様です」

 

2時間も玄関で待ってたのか。黒服さん、申し訳ない。

 

「私の方でお嬢様を家まで送り届けますので、美咲様は心配せずにお帰りになってください。それとも車でご自宅まで送り届けましょうか?」

「いえ結構です。お気持ちだけ受け取っておきます。ではあたしはこれにて帰るのでこころによろしく伝えといてください」

 

黒服さんに軽く会釈をして扉を開けて外に出る。

6月といってもやはり雨が降ると少し肌寒い。コンビニで買えるワンタッチ式の黒い傘を取り出して、後者の屋根で濡れていない地面と雨で濡れた地面の境目を踏みしめる。

ああ、この感じだと帰る頃には靴下は濡れていることだろう。

帰ってまずお風呂入って身体をあたためよう。そしてその後に小テストの勉強を済ませてから、続きの羊毛フェルトでもやろうかな。

 

大きな雨粒が革靴に弾かれ、そして革靴は水滴を払う。

 

シトシトと降る雨は嫌いじゃない。適度な雑音は何かしらに取り組む時に丁度いい。傘や葉に雨が弾き合う音なんかが特に好きだったりする。

それでも物事には限度というものがある。

見事なまでの降る様にため息がでる。

それでも。こころと羊毛フェルトをやれるきっかけになった雨は、たまにはいいことするんだなとちょっぴり思えた。




本当にお久しぶりです。久しぶりすぎて申し訳ない。
アイデア決めてから書くまでのスパンが長すぎて本当に定期投稿向いてないんだなと思いました。でも諦めない。なので、温かく見守ってください

ハロハピ2章も終わって全てのバンドの2章が終わりましたね。果たして3章は出るのでしょうか?たぶんその前にアニメ二期三期のシナリオを軸にしたストーリーが来そうですけどね。
ハロハピ2章イベ期間中に単発でピックアップこころ引いた後にもう一回単発でピックアップ美咲引いた時は涙が出ました。みさここは運命なんだなって(そこ)

遅いながらも投稿はします!失踪はしないぞ……っ!
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