dark legend   作:mathto

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第1章
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魔王はモンスターを引き連れ

世界を支配し闇で覆うため人間達を襲い始めた。

この危機に王様は勇者を呼び出し魔王を倒すよう頼んだ。

勇者は仲間と共に激しい戦いを繰り広げついに魔王を倒した。

そして世界に平和が訪れた。

 

それから300年後...

 

 

とある山奥に小さな村があった。

その村はモンスターに襲われることもなく、戦争に巻き込まれる

こともなく人々は毎日平和に暮らしていた。

「こらっ、ジル。またリンゴを盗みおって。」

「盗られる方が悪いんだよ。」

怒っている村の農家を尻目に

紫がかった黒髪の少年ジルは手にしたリンゴをかじりながら走っていった。

ジルが走った先に一人の女性が手を腰にあて待ち構えていた。

「げ、母さん。」

ジルは止まれず母親に突っ込んでいくと母親はジルにラりアット

をかまし地面に倒した。

「あんたはいつもいつもどうしてそんなくだらないことをするの。

さぁ早く謝りに行くわよ。」

母親はジルを引きずりながらリンゴ農家のところへいった。

「ごめんなさい。」

「もういいかげんにしてくれよ。いったいこれで何度目なんだ。」

「パウロさん、本当に申し訳ありません。家でもちゃんと言い聞かせますから。」

「代金も払ってくれたから今日はもういいけど、これで終わりにしてくれよ。」

パウロは渋々許して2人は家へと帰った。

「マーサさんも大変だな。あんなやんちゃな息子をもって。」

パウロは2人が帰った後、一人呟いた。

その夜、マーサはこの村の長老の家へ相談に行った。

「長老、あの子はもう16になるというのにつまらない悪さばかりして

村の人たちに迷惑ばかりかけてるんです。いったいどうしたらいいのでしょう?」

「ふーむ、もともとジルはとても素直な子だったから

おそらく退屈でしかたなくやっていると思うのじゃが。

ジルは何か将来なりたいかとかいったことはないか?」

「あります。剣士になりたいと。でも私が危険だからと反対したんです。

私は農家とか商人とか安全な職業について欲しいと思って。

それ以来言わなくなりましたけど。」

「どうじゃろう?ジルを旅に出してやりたいことをやらせてみては。

息子を心配する気持ちも分かるがもっと信じてやってもいいのではないか。」

「分かりました。明日、ジルにそう言ってみます。」

マーサは覚悟を決めた顔をし長老の家をあとにした。

次の朝、

「ジル、話があります。」

「何だよ、母さん。急に改まって。」

「あなた、前に剣士になりたいって言ってたでしょ?」

「うん、そうだけど。」

「なってもいいわよ。」

「え、あんなに反対してたのに。やったー。

ということは村を出てもいいの?」

「そうよ、この平和な村じゃ修行は出来ないものね。それからこれは餞別よ。

剣士が剣を持ってないなんてかっこ悪いわ。安物だけどないよりはましでしょ。」

「ありがとう、母さん。」

マーサに礼を言うとジルは喜び、急いで準備を整え村を旅立った。


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